×

米ルビコン・プロジェクトがIPO、初日取引で33.9%の上昇 [News]

(ExchangeWire Japan編集部)

米ルビコン・プロジェクトが米国時間の4月2日、ニューヨーク株式市場で上場した。公募価格が15ドル、1億15万ドル(約105億円)の調達が期待されていたが、公開直後に株価は上昇し、終値は33.9%上昇の20.09ドルで初日の取引を終えた。

 

ルビコン・プロジェクトは、デジタル広告向け業界最大の独立系リアルタイムトレーディングプラットフォーム、いわゆるSSP (Sell Side Platform)を運営し、今年2月に正式に日本市場にも本格参入した。

 

ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに対し、CEOの Frank Addante氏は、IPOを資金調達の手段であるとし、まだ未開拓な市場を開拓するべく今後も投資を続けるとしている。また、将来的にはデジタルの広告枠に留まらず、電話やFAXが主流のTV広告枠を含む従来型の広告枠のプログラマティック(データに基づく自動化・最適化)な買付けを視野に入れていると示唆した。

 

アドテク業界においては、今年は他にもグローバルなDSP企業のAppNexus, MediaMath、TurnがIPOの準備を進めていると噂されている。このような海外での大規模IPOを受け、アドテク市場の拡大・活性化が期待できる一方、買収合戦も激化し、業界プレイヤーの淘汰も進んで行くと考えられる。

 

Googleのように、セルサイドとバイサイド、広告ネットワークとアドテク周りを包括的に抱え込む業界大手が増えるだろう。また、最近のCriteoによるメール・マーケティング企業Tedemis社の買収や、Oracle、Salesforce.com、Adobeがデジタル・マーケティング・ソリューション企業を買収し、次々とマーケティング・クラウド戦略を発表している流れをみると、アドテクもマーケティング・ソリューションの一部として大手IT企業に統合されていく可能性も高い。

 

これらテクノロジーの進化や業界ビジネスの活性化の恩恵を受けるためにも、日本市場においては、こうしたテクノロジーを活用し、ビジネス全体への貢献を可視化できる人材育成や専門サービスの開発が急務になるだろう。

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。