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先週のアドテクシーン: KCCS、デジタルマーケティング事業で新ブランド「KANADE」を展開、BrightRoll、プログラマティックビデオ広告に関する分析レポートを公開

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(ライター:岡 徳之

広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きた国内トピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
 

 

 

 

ソフトバンク・テクノロジーがパブリックDMP「Audience Search」の取り扱いを開始

ソフトバンク・テクノロジーが、フリークアウトグループでDMP専業のインティメート・マージャーと販売代理店契約を締結し、インティメート・マージャーが提供するパブリックDMPの取り扱いを開始した。これにより、パブリックDMPと、デジタルマーケティングソリューションAdobe Marketing Cloudを連携させることで、オーディエンスデータの分析・データ連携・施策活用できるサービスを提供開始する。これまで会員化までは判別が難しかった性別や年代、趣味嗜好などの来訪者属性情報をパブリックDMPから取得し、明確なペルソナに基づいた自社サイト内行動分析とパーソナライゼーションを実現するという。また、Adobe Media Managerのオーディエンス管理機能で構築したプライベートDMPとインティメート・マージャーのパブリックDMPを組み合わせて利用することにより、クロスデバイス、クロスチャネルでのマーケティング施策の最適化も実現する。

 

MediaMathが日本担当カントリーマネージャーに横田祐介氏を任命

MediaMathが、日本担当カントリーマネージャーに横田祐介氏が就任したと発表した。横田氏はアイレップ社において、執行役員としてビジネスを指揮・統括。ネクスタグ社、トレードダブラー社、オーバーチュア社でリーダーシップポジションを、広告代理店の博報堂、パブリシス社、グレイワールドワイド社でグループアカウントディレクター等を歴任した経験を持つ。今後日本におけるMediaMathのプレゼンス強化に取り組むとともに、既存および新規クライアントとの関係を構築・発展させる責任を担う。

 

BrightRollがプログラマティックビデオ広告に関する分析レポート機能を公開

プログラマティックビデオ広告プレイヤーのBrightRollが、同社が提供する「BrightRoll insights」において、新たに分析レポート機能を公開した。これによりBrightRoll insightsでは、パフォーマンス・オーディエンス構成・ブランドリフト・ソーシャルでの話題等、さまざまな指標で動画施策を分析することが可能となった。

 

サイバーエージェントがスマホゲームの利用状況に応じて広告を配信するサービスを開始

サイバーエージェントのアドテクスタジオが、Facebook等のソーシャルメディア上に、スマートフォンゲームアプリ利用ユーザー一人一人の利用状況に応じた広告を配信する「Game Tailor」の提供を開始した。本サービスは広告主企業が保有する、ゲームユーザーのレベル、保持コイン額、選択キャラクター、ログイン頻度などのユーザーステータス情報を連携し、分析を行い、ユーザー利用状況に応じたクリエイティブにて広告を配信するもの。サイバーエージェントは先日もゲームアプリに特化をした「Dynalyst for Games」をリリースしたが、スマホが普及し、さらに時間消費がゲームアプリに偏る中、集中的にサービスを投入している印象を受ける。

 

インテージとニールセンが合弁会社設立で合意

インテージとニールセンの日本オフィスが、両社合弁でインテージ・ニールセンデジタルメトリクスを設立することに合意した。目的は、デバイスをまたいだ広告効果の測定である。第一弾サービスとして、ニールセンの広告効果測定ソリューションである「ニールセンオンラインキャンペーンレイティングス(OCR)」の日本市場導入に合わせ、OCRとインテージが保有するデータを統合し、商品ブランド所有状況や商品購買意向、ライフスタイル、地域属性などさまざまな切り口で分析する新サービスや、オンライン広告の購買行動に対するインパクトやブランドスイッチ動向を分析するサービスなどを提供する。スマホシフトが進む中、ますます注目が高まるクロスプラットフォームでの計測であるが、大手2社の合弁会社が参入することでさらに盛り上がりそうである。

 

Smaatoがモバイル向けアドサーバー「SPX」の提供を開始

モバイル向けSSPを提供するSmaatoが、モバイル向けのアドサーバーである「SPX」を世界的にリリースした。SSPとアドサーバーを統合し、インベントリを垂直に管理する流れが来ており、それに対応するための戦略となる。今後、SSP x アドサーバー事業という構図が強くなると思われる。

 

Glossomの「AdColony」とアドイノベーションの「AdStore Tracking」が連携を開始

グリー傘下のGlossomが、同社が提供する動画広告配信プラットフォーム「AdColony」とアトイノベーションが提供すスマートフォン広告効果解析ツール「AdStore Tracking」と連携を開始した。これにより、AdStore Trackingをすでに利用しているユーザーは新たにSDKを設定することなくAdColonyを利用することが可能となる。

 

ユナイテッドがオーディエンスデータのシームレスな利用を可能にするサービスの提供を開始

ユナイテッドが、同社が提供するDSP「Bypass」において外部のDMP事業者と連携し、オーディエンスデータのシームレスな利用を可能にする「Audience data Plug-in」をリリースした。同サービスを利用することで、広告主企業はBypassの広告配信時にDMP事業者の保有するオーディエンスデータを自由に活用することが可能になり、これまで以上に親和性の高いユーザーへの配信設定が可能となる。DMPで区切ったセグメントをDSPでターゲティング配信するという運用は一般化してきており、そこを加速化させることが目的と思われる。

 

KCCSがデジタルマーケティング事業で新ブランド「KANADE」を展開

京セラコミュニケーションシステムは、プログラマティック分野ではデクワスシリーズ等の提供を行っているが、今回それらの新ブランドとして「KANADE」を展開することを発表した。KANADEは「企業と消費者に心地よいコミュニケーションを奏でる」をコンセプトにKCCSが提供するデジタルマーケティングサービスの新ブランド。同社は、KANADEブランドでDSP・DMPをはじめとするサービスを拡充し、デジタルマーケティング事業全体で初年度30億円の売上を目指す。

 

マイクロアドプラスがAdNear社と提携、ロケーション・ベース・オーディエンス広告の販売を開始

マイクロアドの関連会社であるマイクロアドプラスが、シンガポールのAdNear社の保有する「Location Based Audience(LBA)」広告の販売を強化するため、戦略パートナーシップを締結することに合意した。AdNearは、2012年にインドで設立されたロケーションインテリジェンス事業を手掛ける企業。今回の提携により、位置情報を利用したスマートフォンへのアプリ広告配信の実現を可能にする。具体的には、GPSのみならず、各基地局やWiFiのシグナル情報をマッピングすることで、より正確な位置情報を入手することができ、エリア内のユーザーに対してのみ広告を訴求することが可能となる。また、蓄積データと第三者の統計データ等を元に、ユーザーが住んでいるエリアや職場を解析し、買い物によく行くエリア等の行動範囲を絞り込み、特定のエリアで閲覧されているアプリ画面に対して広告を配信することができることも特徴。

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。