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TencentがWeChatタイムライン上で広告ビジネスを開始。2015年年間売上は300億円以上と試算!

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中国大手インターネット企業TencentがWeChatのタイムライン上で広告配信を開始したことが、中国国内で話題になっている。これまで中国のゲームパブリッシャー最大手として知られてきたTencentだが、全世界で4億6810万人と膨大なWeChatアクティブユーザーを対象にした広告ビジネスに本腰を入れ始めており、その収益構造が今後変化するかもしれない。

 

今回WeChatがテスト配信を開始した広告は、Moments(モーメンツ)と呼ばれているFacebookのタイムラインのようなコンテンツに挿入される、インフィード型広告である。

CHINA DAILYによると、1月21日にWeChatの自社広告が配信され、その後25日にCocaCola、BMW、中国の携帯電話メーカーVIVOなどのブランド広告が最初のスポンサー広告として現れたとのことだ。

各WeChatユーザーのタイムライン上に、48時間以内に少なくとも1回新しいものが表示される仕組みになっており、またユーザーが表示された広告に対してクリックなど何らかのインタラクションを起こした場合、一週間アクティブな状態が保たれるようになっている。

今回のテスト配信では、Tencentは50社に限定して広告配信を受け付けており、1社当たりの広告出稿額は、1000万元(約1億9,000万円)にのぼるとも言われているようだ。

また、このタイムライン広告の年間売上に関しては、2015年に17億元(約323億円)、2016年には40億元(約760億円)、2017年には76億元(約1,444億円)というドイツ銀行の試算も報じられている

 

Tencentの2013年の広告収入は50億元(約950億円)で、全体売上の約604億元(1兆1,476億円)と比較すると約8%に過ぎなかったが、ポータルサイトQQ.com、インスタントメッセンジャーQQ、動画サイトのTencentVideo等、他の事業プロパティにおいても広告ビジネスを拡大しており、その構成比は直近2014年第三四半期(7-9月期)時点で12%にまで高まっている。

 

中国のオンライン広告市場では、BaiduとAlibabaが最大手としてシェア争いをしているが、Tencentが近い将来これに加わるかもしれないことは、想像し得るに充分であろう。

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。