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中国IT大手Cheetah Mobileがフランスモバイル広告プラットフォームを買収

中国の大手インターネット企業Cheetah Mobileが、フランスのモバイル広告プラットフォームMobPartnerを約5800万ドルで買収したことを3月16日に公表した。

 

 

 

 

 

Cheetah Mobileは世界的に有名なClean MasterやCM Security、Battery Doctorなどのモバイルユティリティアプリを提供しているソフトウェア会社である。同社アプリのダウンロード総数は8億6220万、月間アクティブユーザーは全世界で3億4070万(いずれも2014年9月時点)の規模に及ぶ。同社は2014年春にニューヨーク証券取引所に上場している。

Cheetah Mobileのモバイルアプリの多くは無料で提供され、広告でマネタイズされている。世界中に数億規模のユーザー数を抱える同社は、世界でも有数の広告メディアとしても位置付けられる。

 

MobPartnerは2009年にフランスのパリで設立された、2013年に米国サンフランシスコと中国北京に海外拠点を開設、その後2014年には英国ロンドンにも拠点を広げている。

世界200か国以上で1500のキャンペーンを展開し、10,000以上のパブリッシャと提携し、月間180億のインプレッション在庫に配信可能なパフォーマンスベースのモバイル広告プラットフォームである。

 

Cheetah Mobileは今回のMobPartner買収を足掛かりに、モバイル広告プラットフォーム事業のグローバル展開に乗り出す。

 

国内で成功を収め資金力を得た中国IT企業が、マーケット規模が大きい米国あるいは、東南アジア、インド、アフリカなどの新興国への展開を進めつつあるが、その過程で今回のような欧米、インドなどのアドテクベンチャー企業の買収事案は、今後も続く可能性がある。

一方、技術面において中国より一歩進んでいる欧米のアドテク企業にとり、グローバル展開を目指す資金力のある中国企業というのは、大変魅力的な売却先となる。

 

中国デジタル広告市場の急拡大とともに、グローバルのアドテク市場のヒト、モノ、カネが今後中国に引き寄せられる動きが更に加速することは間違いなさそうだ。

 

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。