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AppNexus社のアウトストリーム動画エクスチェンジ: AppNexus社ビデオテクノロジー部門SVPのEric Hoffert氏へのQ&Aセッション

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

AppNexus社のアウトストリーム動画サービスはバイヤー向けのサービスがスタートし、パブリッシャー向けには4週間のテストが行われたところだ。AppNexus社のビデオテクノロジー部門のSVPであるEric Hoffert氏がExchangeWireに対してアウトストリーム広告、ビューアビリティ、エンゲージメントに関して、また彼らのターゲット顧客について話をしてくれた。

―ExchangeWire: AppNexus社のアウトストリーム動画エクスチェンジについて結果や顧客からの反応を訪ねるのは時期早々でしょうか?

Eric Hoffert氏: AppNexus社でアウトストリーム動画マーケットプレイスをローンチしてから僅かな時間しか経っていませんが、定量的・定性的の両面においてポジティブな結果が出ています。測定可能な面から述べると、アウトストリーム動画マーケットプレイスのCPMは10USドルに至り、私たちの動画プラットフォーム全体の平均を上回る結果となりました。

パブリッシャーからのフィードバックに関しては、あるプレミアムニュースパブリッシャーがAppNexus社のアウトストリーム広告サービスを私たちの動画広告配信機能とともに利用して、平均して15USドルのCPMという望ましい結果を生み出しました。別の食品及び飲料企業はアウトストリーム広告への投資を増やして、25もの異なるドメインでキャンペーン及びVPAIDサービスを展開し始めています。ある月間UUが1億を超える人気のインターネットサイトは初期結果に満足し、次の様なフィードバックをくれました。「素晴らしい結果、素晴らしい進捗だ。非常に感謝している!」。彼らは、サイトのKPIを維持しながら、ネイティブ動画のユーザーエクスピリエンスを保ち、自然なサイトとの融合がなされている点にも高い評価をしています。私たちはサービス一般公開前でのクライアントからの非常に高い評価に非常に満足しています。

新たなアウトストリームのインベントリがパブリッシャーから提供されるのに加えて、私たちはTeads社のケースを好例として捉えています。彼らは私たちのプログラマティックによるオープンエクスチェンジのマーケットプレイスを利用して、プレミアムなアウトストリームのインベントリを提供し、優れたCPM及び競争力のある視聴完了率を成し遂げています。

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―アウトストリーム動画広告は他の動画広告とどう異なるのでしょうか?

アウトストリーム動画は全ての種類のパブリッシャーが動画広告によって収益化を行える機会を提供しています。インストリーム動画と異なり、アウトストリーム広告は動画コンテンツとは異なる場所で、通常テキストコンテンツの段落の境目部分に配信されます。そのため、パブリッシャーはアウトストリーム動画広告を利用する際に自身の動画コンテンツを持つ必要がありません。

―アウトストリーム動画はネイティブ広告なのでしょうか?

はい、アウトストリームはネイティブ動画と考えてよく、またインリード、インフィード、インテキストとも言えるかもしれません。アウトストリーム動画については、独立したパブリッシャーがFacebookのインフィード広告フォーマットを提供したり、Twitterのファーストビューのインラインの自動広告を自身のサイトで提供する様なものだと考えられます。

―どうしてアウトストリーム動画は高いビューアビリティやエンゲージメントを保証できるのでしょうか?

バイヤーが全ての主要なスクリーン上で、且つ彼らのメディア消費にあった形で消費者にリーチをしたいという要望が今まで以上に高まっています。動画はマーケターや広告主が彼らのターゲット消費者にリーチし、ブランド認知を上げ、魅力的なコンテンツを用いて消費者を説得するための非常に大きな可能性を秘めています。

アウトストリームはビューアビリティ向上を考えるバイヤーにとって非常に魅力的です。というのはアウトストリーム動画は消費者が視聴状態にある時にしか開かれないからです。アウトストリーム動画は殆どの場合、オーディオがオフの状態に視聴されることが多く、オーディオがオンの状態で視聴されるインバナー動画とは対照的です。アウトストリーム動画は動画遅延を減らす様な形で配信されます。これはユーザエクスプリエンスやエンゲージメントを考えると非常に重要な点です。

―サービス開始時に、AppNexus社はアウトストリーム広告におけるオープンなアプローチはYouTubeやFacebookによる閉じられたアプローチよりも優れていると強調していました。これについて説明をしてもらえますか?

GoogleやFacebookのような閉じられたサービスでは、彼らが購入を促進する限られた種類の動画インベントリへのアクセスのみが提供されており、価格や選択の自由など、開かれたマーケットという観点では不十分です。これらのサービスは技術的にも「閉じられた」システムです。閉じられた動画購買のプラットフォームにおいては、売り手と買い手は規定されたインターフェース以外でのやりとりが許されず、クリエイティビティの面で問題を抱えています。

AppNexus社が8年以上前に設立されて以来、私たちはオープンなプラットフォーム、自由な選択、顧客の関心を尊重することにフォーカスしてきました。私たちは買い手のキャンペーンにおける動画インベントリの選択において、できる限りの柔軟性や透明性及び管理能力が与えられ、一方売り手は自分たちの考えるやり方で収益化すべきだと考えています。この柔軟性について最適な例がAppNexus社のプログラマブルビッダーサービスで、マーケターがインベントリの購入にあたって独自の方法を採用することができます。

私たちはオープン型の動画マーケットプレイスが優れていると考えています。より多くの参加者を募ることが出来、価格競争があり、流動性があり、自分たちのキャンペーンにあったインベントリを見つけることができます。AppNexus社がインストリーム型とアウトストリーム型の両方のインベントリへのアクセスを提供しているのは、私たちのオープンなアプローチを示すものです。

―オープン型のエクスチェンジでは、不正なトラフィックが増加するリスクがあります。AppNexus社はどのようにして、このようなトラフィックに対処し、アウトストリーム型の動画エクスチェンジを展開するのでしょうか?サードパーティによる検証機能などを備えているのでしょうか?

データサイエンスによる自動化とマニュアル対応によって、AppNexus社は非常に高いインベントリ品質の標準を掲げ、消費者、広告主、パブリッシャーなどにとって最適なエコシステムを作り上げています。

特に動画対応に関して取り上げると、適切な動画サイトであるようななりすましサイトや、パブリッシャーと直接やりとりをした記録のないネットワークからの再販インベントリを閉め出すなど、高品質のインベントリを保持するための多くの対策を打っています。今後も、適切な動画インベントリを保持し続けるための品質技術を改善し続け、安全で活気のある動画マーケットプレイスを提供していきます。

―アウトストリーム動画広告はどういった顧客を狙っているのでしょうか?

多くのパブリッシャーがテキストのみをサポートしています。私たちは動画広告に大きな可能性を見出しています。インストリームの市場よりも大きな市場になる可能性を秘めています。

―自社動画コンテンツを有しているパブリッシャーにとっては、サービスが重なり合う部分もあるのではないでしょうか?

私たちは動画パブリッシャーやOTTにとって、まだ開拓仕切れていない市場があると考えています。例えば、放送メディア企業がテキストだけで構成された自分たちのページにアウトストリーム広告を使って、放送動画コンテンツのサイトに導く様な利用方法です。同じ様な方法でテレビや映画コンテンツを外部のテキストだけのページに表示させ、自社のサイトに誘導させるようなことも可能です。これらのフォーマットが競合しあっているとは考えておらず、インストリーム型とアウトストリーム型の組み合わせによって動画マーケットプレイスは更に成長すると考えています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。