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アドテクの開拓者:OpenXの日本における壮大な計画 [インタビュー]

Open Xの共同創業者でチーフレベニューオフィサーのJason Fairchild氏が、日本がなぜOpenXのアジア戦略において中心となり、どのように日本市場のユニークなプログラマティックマーケットプレースが世界的なイノベーションに繋がっていくのかについて説明してくれた。

(聞き手:ExchangeWire .com編集部)

― OpenX社が日本のビジネスを立ち上げてから6年が経ちました。この期間で積み重ねた経験はどのようなものでしょうか?

私たちは、最初に日本市場に参入したプログラマティック企業のうちの1社です。2010年から市場に参入し、2011年にOpenXを立ち上げました。私たちは当時から、日本でのプログラマティック市場成長の高い潜在性を感じ取り、市場参入以降、更にその市場性について確信を深めています。日本は世界で三番目に大きな広告市場である一方で、プログラマティック広告は、米国と比較してもそれほど浸透しているとは言えません。世界中のメディアは急速に「全デジタル化」に移行しており、アメリカ、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)以外の広告主は、今後プログラマティック広告の利点に注目し、利用拡大をはかっていくでしょう。

私たちは日本市場を、APAC市場でのプレゼンスを高めるための基軸と考えています。私たちは日本市場参入時に、顧客からの信頼が高く必要なサプライ及びデマンド供給をサポートしてくれる主要なパートナーを探しておりましたが、幸運にも電通の子会社であるサイバー・コミュニケーションズとの提携を実施することができました。現在まで、もの凄いスピードで時間が経過し、より大きなオフィスに移転し、スタッフの数は2倍に増え、直接的なパブリッシャーとの関係性を築くにつれて、日本市場への投資を優先させるようになりました。また、私たちのテクノロジーによる強みが、市場での成長と投資加速を引き起こし、RTB取引の発展や、ヘッダー入札テクノロジーの急速な市場拡大などを牽引することで、市場をリードしてきました。日本と世界の両方において、パブリッシャーは、公正な形でインベントリーを提供したいと考える一方で、より多くの競争を見据え、フィルレートを高め、イールドを最大化したいと考えています。OpenXはこれらの環境を提供できる業界のリーダーなのです。

― どのような新しいサービスを日本の顧客は期待していますか?

日本市場では全く新しいというわけではありませんが、他の国と比べると日本ではヘッダー入札がまだパブリッシャー間で十分に成功を収めているというレベルにまで至っていません。
ヘッダー入札テクノロジーのパイオニアの一社として、今まで培った経験と評判を生かし、市場における最も高パフォーマンスなソリューションを提供していきます。OpenX Bidderサービスの投入に合わせて、日本のクライアントに向け開発している主要なサービスの一つがプライベートマーケットプレース(PMP)です。

更に、AppAnnieの調査によると、日本はアプリからの収入が最も高い国の一つで、他の国と比較して、このプラットフォームへのエンゲージメントと投資は非常に高い傾向があり、更に成長が見込まれます。インアプリにおけるゲームなどは非常に投資及びエンゲージメントの高い分野です。私たちは、インアプリのパブリッシャー向けのサービスを拡大していく一方で、APACのマーケットプレースにおける知識を活用し、更に大きな地域で私たちのイノベーションを広げていきたいと考えています。

― 競合への差別化としてどのようなことを計画していますか?

私たちは、品質、結果、サービスの3つの面で競合に打ち勝つことを目指しています。

OpenXは広告ソリューションにおけるパブリッシャー(サプライ)側にフォーカスし、引き続き根幹となるソリューションに注力することで、パブリッシャーの収入拡大のための最良のプログラマティックプラットフォームであり続けたいと考えています。私たちのテクノロジーは、強力な競争、究極的な品質管理、パブリッシャーの立場にたったソリューションという原則に基づいています。

OpenXは世界で最も大きな独立系のプログラマティック広告取引を提供しており、私たちと同様の規模で運営可能な競合は非常に限られています。OpenXのテクノロジーと製品は、私たちの顧客に大きな変化を提供しています。例えば米国市場の例でいうと、OpenXのヘッダー入札ソリューションを導入した平均的なパブリッシャーは20%から50%以上もの収入の拡大を達成しています。

更に重要なことには、私たちのプログラマティック広告取引は、GoogleやRubiconなどを抑え、品質及びマーケットプレース管理において、業界でNo.1の評価がなされているという点です。これらの指標によって、多くのプレミアムバイヤー(企業)がサービスを利用し、利用企業が多くなるにつれ、広告空間により競争が生まれ、パブリッシャーにより多くの収益をもたらすことができます。

私たちのパートナーと築き上げた経験値は、OpenXにとっての差別化要因となっています。それぞれの国における専任の営業チームによって、私たちは顧客にとってかけがいのないパートナーとなる一方で、収益の最大化を目指しています。私たちの顧客サービスチームを活用することで、私たちはパートナーのニーズに応え、よりエンゲージメントが高く、協調的で、前向きな取り組みが行えるようなパブリッシャーパートナーによるコミュニティが形成できるよう成長を続けていきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。