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Eコマースのモバイルシフトを支援する、Facebookのフルファネルソリューション [インタビュー]

 
 

Facebookは今、Eコマース企業にどのようなソリューションを提案しているのか?
Facebookのダイレクトレスポンス系広告主向けのビジネスを統括するFacebook Japan執行役員 黒田 俊平氏にお話をうかがった。

(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)

― 自己紹介をお願いします。

Facebookの広告セールスチームのマネージャーをしています。
入社以来1年半ずっと、広告主チームの中で主にダイレクトレスポンスに重きをおいている業種、たとえば不動産や人材、旅行などのEコマース業種のお客様が対象です。
インターネット広告ビジネスには、2000年以降関わっています。

モバイルシフトはEコマースの最重要ポイント

― Facebook広告はかなり浸透してきましたが、2016年の1年間でどのくらい進展がありましたか?

写真1

2016年を振り返ると、2つの非常に大きな進展がありました。

1つ目は、多くの広告主様が、より広範にFacebook広告を活用されるようになったこと。

Facebook広告はこれまで、例えばダイレクトレスポンスに重きをおいた広告主のお客様は、主に購買ファネルの下方での展開に注力されていたのですが、2016年は動画広告を使って製品の認知度をあげるなど、ファネルのより上方においてもFacebook広告を活用されるようになりました。

2つ目は、中小規模の広告主のお客様が着実に増えていることです。

― ダイレクトレスポンス系の広告主のビジネス環境や、マーケティングにおける課題点があればおきかせください。

市場環境は大きく変わっています。皆様おっしゃるのが、スマートフォン(以下スマホ)の利用が著しく進んでいるということです。一方で広告主が生活者のモバイルシフトに追いついていないケースも見られます。

例えばEコマースの領域では、アプリを用意していなかったり、積極的に使ってもらえるような流れを作りきれていなかったり、あるいはアプリをどうやって見つけてもらい、使ってもらえるようにするかなど、スマホにおけるビジネスの拡大は、よく聞く課題ですね。

無論アプリにこだわらず、Web上でビジネスをうまく拡大されているお客様もいらっしゃいますが、モバイルアプリでいかにサービスをスケールさせていくかは、ビジネスを成功させる上で重要なポイントになるのではないでしょう。

Facebookは、日本では利用者の95%がスマホで利用されていますので、そういった意味では、ビジネスのモバイル対応でお手伝いできることは多いと思います。

フルファネルでの精緻なターゲティングがFacebook広告の強み

― 改めて、Facebook広告の特徴についてお聞かせください

Facebookの最もユニークな点は、世界で17.9億もの人々が、毎日のように、実名で利用しているということです。その“リアルピープルアイデンティティ”というものをビジネスソリューションとして活用されているお客様は、そこに価値を見出しています。

広告のターゲットがクリアであればあるほど、Facebook広告をより活用できると思います。想定ユーザーのイメージがクリアであればFacebook広告でピンポイントでターゲッティングが出来ます。例えば女性の中でも、年代、趣味や嗜好で多様なターゲット層がありますが、それに合わせて届けるメッセージやクリエイティブを変えられる柔軟性があるなど、非常に使い勝手がいいのがFacebook広告の特徴です。

InstagramとAudience Networkというプラットフォームを併せ持っており、様々な異なるシチュエーションで訴求できるのもFacebook広告ならではですね。

― Facebookでは最近特にフルファネルソリューションというメッセージを強く打ち出していますね?

「購買ファネル」の定義はいくつかありますが、大別すると、認知、比較/検討、意思決定/購入の3つに分けることができます。Facebookでは各段階において効果的なソリューションをご用意しています。

そもそもFacebookの利用者は、空き時間にスマホで何かを探しているケースが多く、それはお友達の近況だったりフォローしている企業からの情報だったりしますが、メディアの特性として「発見の場」であるということが言えます。そのような場で、適切な人たちに適切なメッセージを発信し、自社の商品やサービスを知ってもらうことができるのがFacebook広告です。例えば映画の予告編や新商品のCMを動画広告として配信して認知を高めるといった使い方が、認知ファネルでの活用例としてはわかりやすいかと思います。

比較検討の場面では、写真や動画はもちろん、カルーセルやキャンバスといったリッチな広告フォーマットで訴求できるのが強みです。特に、2016年2月に正式リリースしたキャンバス広告は、非常に高速に表示されるため、広告をクリック/タップしてくれたのにWebサイトの読み込みが遅すぎて離脱してしまう、という残念な事態の回避に効果的です。また、Facebook上で広告を見せることによって検索やその他チャネルでの流入が増えるという調査結果が国内外で出ています。

購入ファネルにおいては、ダイナミック広告がとても有効です。Webサイトやアプリで比較検討をした利用者に対してリターゲティングするわけですが、Facebookにアップロードしておいたカタログデータを使用して自動的にアップセルやクロスセルを行えます。商品点数が多ければ多いほど効果を発揮し、コマースだけでなく旅行や不動産などの業界でも活用が進んでいます。

明確な目的と成果指標で需要を喚起

― Facebook広告ならではの機能についてお聞かせください。

写真2

いろいろとありますが、個人的にユニークだと思っているのは、アプリ広告における多様性と、広告主のアプリビジネスを活性化させる設計です。

アプリビジネスでは、もちろんマネタイズは最終ゴールとして重要ですが、まずはアプリを使ってもらうことが大事です。Facebookでは、単にアプリのインストールを促すだけでなく、先ほど紹介したダイナミック広告を組み合わせ、実際に利用してくれそうな人にインストールしてもらうことができます。

例えば、自社Webサイトで商品を閲覧した人に対し、過去の閲覧履歴を活用し、閲覧した商品を表示しつつ、アプリでのイベント情報も表示させることができます。旅行業界ですと、台湾への航空券を買った人に対して、台湾のホテルの広告を旅程に合わせて表示させるといったこともできます。

動画はクリエイティブの主戦場に

― 動画広告にも注力されていますが、ダイレクトレスポンス系の広告主の動画活用はいかがでしょう?

動画広告はこの1年ものすごく普及が進み、数字にも現れています。そんな中で、スマホでの動画広告で関心を持ってもらったり、アクションに繋げられたりという、成功パターンもいくつか見えてきました。尺は短めのほうがよい、TVCMをそのまま動画広告として流してもうまくいかない、音声なしで見られることが多いので字幕をつけた方がよいなどです。

動画広告はトレンドとして引き続き伸びていくと思いますし、成功事例も増えています。他国のFacebook広告の傾向を踏まえると、いずれはFacebook広告の半分が動画になると見ていますが、日本でも今後同様のトレンドをたどるのではないでしょうか。

フルファネルソリューション活用に向けた環境作りを促進

― 今後のダイレクトレスポンス領域での目標をお聞かせください

スマホビジネスを活性化していただくために、フルファネルソリューション活用のご提案をさらに促進します。

ダイレクトレスポンス系の広告展開においてFacebook広告を有効活用するために重要なのは環境作りです。まず「Facebookピクセル」というJavaScriptを組み込んでいただき、洗練されたターゲティングや最適化を行えるようにして、ダイレクトレスポンスの効果をあげていきます。その上でダイナミック広告など、より高度な活用を進めていきます。

このような、Facebook広告を有効活用していただくための環境作りは、引き続きしっかりと取り組んでいきたいですね。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。