ゲーム実況動画特化型メディア 渋谷クリップエイトの狙い [インタビュー]

サイバーエージェントグループ動画広告ビジネス横断組織キーパーソンへの取材第6弾。

渋谷クリップクリエイトでは、YouTuberなどのインフルエンサーを活用した動画マーケティング事業を展開し、4月には新しくゲーム実況動画に特化したメディアをリリースする予定だという。

サービスの詳細やその狙いなどについて、同社の代表取締役社長 桑野 俊一氏にお話をうかがった。

(聞き手:ExchangeWire Japan 山本 聖香)

YouTuberが所属する事務所をネットワーク

― はじめに、設立の経緯をお聞かせください。

当社の設立は2014年7月で、現在4期目になります。主に動画制作や、動画を使っての企業のプロモーションのお手伝いをしています。もともとはバイラル動画、つまりFacebookやTwitterなど、ソーシャルメディアで拡散される動画を企画・制作する動画受託制作会社としてスタートしました。

― 現在の会社の業務や、提供しているサービスの内容はどのようなものですか。

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主に、YouTuberなどの動画インフルエンサーを活用し、タイアップ動画を制作するプロダクト「PLAY CLIP」を提供しています。このほかにも生放送の番組制作を行う「LIVE CLIP」も提供しています。

「PLAYCLIP」は2017年3月時点で1000本を超えるタイアップ動画を制作し、「LIVECLIP」では、年間80本以上のネット生放送番組を制作しており、業界トップクラスの実績をつくることができています。

当社はクリエイターの皆さんが所属する「プロダクション」ではありませんので、大小合わせ約10社のプロダクションとお取引をさせて頂いております。
クライアントの要望に合わせ、プロダクションを跨いだクリエイターのキャスティング、動画企画のプランニング、動画公開までの制作ディレクション、など幅広く価値を提供させて頂いています。

クライアント / 代理店からすると、直接プロダクションへの発注が可能な状況にもかかわらず、1000本以上のタイアップ動画のプロデュースに携わることができているのは、当社が「企画」に向き合っているからこそだと考えています。

バイラル動画受託制作事業からスタートしておりますので、「何がバイラルする企画なのか」を当社社外取締役である放送作家の鈴木おさむ氏と企画会議を毎週繰り返しておりました。あの設立当初の時間がなければ、会社としてこの文化、強みは作れていなかったと思います。

― 貴社はグループの中では、どのような役割を担っているのでしょうか。

動画広告にも様々な種類はあります。
YouTuberタイアップ動画は、ダイレクトレスポンスの領域において獲得ボリューム、獲得単価などは他の広告手法と比べて遜色ないものが実現できていますし、ブランディング領域でも、人気YouTuberとのタイアップ動画では、500万再生を超える実績もあり、視聴ターゲットとの相性が良ければ、TVCMと同等以上のブランド認知を獲得することができます。

当社は、成長している動画広告市場の中でも狭いドメインに特化して事業展開をしていますので、制作ノウハウや実績が溜まりやすい状態をつくることができ、強い組織をつくり、グループへの貢献を目指しています。

また、動画プロモーション=企画とイメージを持っていらっしゃるクライアントが多い為、YouTuberタイアップにかかわらず、動画を使ったマーケティング施策をお考えの際、当社に声をかけて頂くことが多いです。

自社でYouTuberを作ろうと思った「暗黒時代」

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私たちがバラエティ番組を見ていたような感覚で、いまの中高生・大学生はYouTuberの動画をみていて、事実、翌日の学校の話題はテレビ番組よりも、前日にアップしたYouTuberの動画についてです。

自社でYouTuberを作ろうと思った「暗黒時代」もありました。社員全員で「やってみた企画」の動画を公開し続けて、ヒット動画づくりにチャレンジし、1ヶ月ほどで形にならず断念しましたが、その時、改めてクリエイターの凄さを体感できました。クリエイターの方々の気持ちを経験できた期間があるのも、今の事業に活きていると思います。

ゲーム実況動画集約アプリの新サービス

― 近くリリースを予定しているサービスなどがあれば教えていただけますか。

近く自社サービス(動画メディア)を立ち上げる予定です。これまでやってきたインフルエンサータイアップと、ゲームの実況動画を作り続けてきたノウハウを掛け算にした事業で、業界に風穴を開けるようなものです。

具体的には、「Play.U(プレイドットユー)」といって、ゲームの運用に合わせて実況動画を定期更新していく、ゲーム実況動画が集まっているアプリです。特徴は、次のようなものです。

まず、ゲームごとにYouTubeやニコ生で活躍をされているゲーム実況主が付き、そのゲームの動画を月に8本上げ続けてもらいます。そして、担当実況主には「Uナビゲーター」として、担当ゲームを継続的にプレイしてもらい、1人につき週に2回、月8本の新規の実況動画を公開する予定です。ゲームのイベントやキャラクターの追加、ガチャなどがあった時に、どこよりも速く「Play.U」内でプレイ動画が再生されてゆくようにします。

最新のガチャや、イベントがどのような内容なのかを、運用に合わせてユーザーに届けることができるメディアになるため、インストールしたユーザーにて定期的にゲームの魅力を伝え続けることができ、インストール後のゲームに対するエンゲージメントを高めることができるメディアになれると信じています。

新規でゲームをインストールしたユーザーが楽しさを理解し、コアにそのゲームにハマっていくまでのサポートを、この実況動画のプラットフォーム「Play.U」を通じて行っていきたいと思っています。

「Play.U」の動画編集は当社が担当し、YouTuberは、動画を撮影するだけです。「Play.U」では動画のフォーマットを統一しますので、プレイUに来たユーザーは、同じクオリティの動画を見ることができます。

「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」などは人気タイトルでYouTube上にたくさんのクオリティの高い動画があります。なぜなら人気タイトルを取り扱った動画は、多くみられることによりYouTubeから多くの広告収益が得られるので、多くのYouTuberが公開するからです。

一方、例えばアプリのストアの中のゲームの売り上げランキングで30位以下のゲームタイトルであっても、もちろんプレイしているユーザーはたくさんいるにもかかわらず、最新のゲームの運用に合わせたクオリティの高い実況動画があまり上がっていない状況があります。

そこでそうしたゲームの実況動画を月に8本運用に合わせて公開していくことで、ありとあらゆる人気ゲームの最新の実況動画がネット上で見ることができる環境を「Play.U」を通してありとあらゆる人気スマホゲームの全ての実況動画が、ゲームの運用に合わせてネットで見られる状態を目指します。

また、現在独自の自社番組FRESH by CyberAgentにて「金曜ゲームショー!」を配信していますが、4月から音楽番組も始める予定です。

インターネット上の人気コンテンツはゲームの次は「歌ってみた」「踊ってみた」などのカテゴリーですが、そういったテーマを扱っている音楽番組は、現在ありません。実力はあるのにファンがいない歌い手などを紹介する番組を、FRESH!内で展開しようと思っています。

生放送に注目。ライブならではのマーケティングが生まれる。

― 今後の目標についてもお聞かせ下さい。

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注目しているキーワードは「生放送」です。YouTube Live、Facebookライブはこれから盛り上がって行くだろうと思います。ほかにもTwitter社のPeriscopeやLINE LIVE などを使って、一般のユーザーが気軽に配信できる世の中を、ビジネスチャンスとしてとらえています。

今後1~2年の内では、Facebookで「昨日食べた店」をアップするように、Facebookライブで「いまこれを食べています」とアップされることが増えそうな気がしています。日本人、とくに大人は生放送配信が苦手ですが、10代には生放送配信をしている層が既にかなりいます。しかしFacebookは大人向けのサービスです。今後どこまで浸透するかは未知数といえます。

一般のユーザーの方に使っていただけなければ、企業もそのプラットフォームで何かをしようとは考えないので、まずは活性化することが必要です。

「金曜ゲームショー!」はYouTubeとFacebookでも同時配信にチャレンジをしようとしていて、プラットフォームによるユーザーの反応の違いなどを分析するつもりです。今後、1~2年で実現できれば、自社番組配信としてだけではなく、ライブ配信×マーケティング分野は事業としてチャンスがありそうな気がしています。

今後も「動画」を活用したプロモーションニーズは高まり、事業としても大きく盛り上がっていくタイミングなので、渋谷クリップクリエイトのビジョンとして掲げている「動画でインターネットを面白くする」を体現し、益々チャレンジしていきたいと思っています。

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ABOUT 山本 聖香

山本 聖香

1997年に調査・コンサルティング会社 シード・プランニング入社。 国内外のIT関連のマーケティングリサーチに従事。エレクトロニクスIT領域のリサーチを長年担当。主なIT分野の専門領域は動画、配信、デジタルコンテンツ。 2014年からは、デジタル領域を対象とする市場・サービス評価機関デジタルインファクトの事業に参画。