プログラマティックの未来に不可欠な、マーケットプレースの品質|WireColumn

日本におけるデジタル広告は重要な局面に達しています。デジタル広告は全体の広告支出における1/4に達しており、今後3年で30%を占めると考えられています。しかしながら、非常に大きな変換期が2020年の東京オリンピック以後に訪れると考えられます。

プログラマティックテクノロジーの急速な利用が、デジタル利用の増加に応じて進んでおり、特にプログラマティックの利用においてデスクトップを上回っているモバイル環境においては顕著です。広告主は、プログラマティックの拡張性による利点に関心を示し、オーディエンスに関するより詳細な情報を利用して、キャンペーンの最適化や効果の最大化を実現したいと考えています。

しかしながら、プログラマティックに関する支出が増加する一方で、マーケットプレースの品質に関する不安が投資を抑制している一面があるかもしれません。

プログラマティック広告の効果を促進してきた自動化により脆弱性の問題を引き起こされ、広告詐欺やブランドの安全性、ビューアビリティなどに関する懸念がプログラマティックの利用を妨げています。オンライン広告市場に関する意識を理解するために実施されたExchangeWireResearchとOpen Xとの共同調査では、全てのメディアバイヤー及びAPACのパブリッシャーが、プログラマティックのマーケットプレースにおける品質は「非常に深刻」、または「深刻」と考えていることが明らかになりました。

それでは、この品質に関する問題を解決し、プログラマティックがデジタル化の流れを促進するためには何がなされるべきなのでしょうか?

品質に関するコストを理解する

マーケットプレースの品質を改善するためには、高品質なインベントリの重要性についてバイヤーを教育することから始めなくてはなりません。広告主が低価格のインプレッションを求める限りは、詐欺的なトラフィックを含む廉価なインベントリや、ブランドの安全性やビューアビリティに問題のあるインベントリが市場に蔓延してしまうでしょう。

バイヤーはPixalate Global Seller Trust Index などの月間1000億のインプレッションを分析している品質評価基準を用いて、インベントリの品質及びマーケットプレースの品質管理に関して、一定のパフォーマンスを持つ広告プラットフォームを探し出すことが可能です。

高品質のトラフィックを探し求めるのと同様に、バイヤーはKPIを見直し、クリックやビューなどの、ボットが作り出すことが容易な項目の利用を控え、売上やメンバー加入といった擬似することが難しい項目により注力すべきです。

業界全体における標準を作る

プログラマティックのマーケットプレースにおける品質を定量化することは、定義、知覚、測定方法などが業界内において異なっているため困難です。アメリカ、ヨーロッパにおいてはIABなどによる業界団体によって幾分かの進歩を遂げており、ビューアビリティの計測などの標準が設定されています。一方で、多くのバイヤーはそれでは不十分と考え、自身のターゲット設定を行っています。バイヤーが許容できるマーケットプレースにおける品質には大きなギャップがあります。

計測方法に関するガイドラインや定義を標準化することによってのみ、業界は現状のマーケットプレースの品質を理解し、将来に向けて達成可能なターゲットを設定できるようになります。品質の問題に関してお互いを非難するよりも、バイヤー、アドテク事業者、パブリッシャーなどのプログラマティックのエコシステムに関わる全ての人々が、マーケットプレースの品質を改善し、共通の目標に向けて一緒になって取り組む必要があります。

代替モデルを探る

プログラマティックにおける品質の懸念はオープンエクスチェンジと紐付けて考えられているため、プライベートエクスチェンジ(PMP)などの代替えとなるプログラマティックモデルが、一つのソリューションとなるかもしれません。しかしながら、PMPがオープンエクスチェンジと比較して品質に関する問題の影響を受けづらい一方で、バイヤーがプログラマティックに求める拡張性を提供できない点については留意する必要があります。

テクノロジーを活用する

マーケットプレースの品質に関するこれらのより一般的なアプローチと合わせて、業界はトラフィックの品質をモニターするために、人間の深い洞察と自動化プロセスを合わせた最新のテクノロジーを活用すべきです。

テクノロジーの活用は、進化を続け発見することが難しくなりつつある広告詐欺を、即座に特定し除去する作業において非常に重要です。ボットは、サイト訪問やリンククリックなどの、人間のオンライン上の行動を徐々に擬似することができるようになっています。パブリッシャーとの直接的なタグの統合を活用した、ブラウザによる詐欺検知テクノロジーを活用することで、人間が実行していないインプレッションはできる限り早い段階で検知し、ブロックすることができます。これによって作業検知におけるビッグデータを活用したアプローチでは適わなかったトラフィックの飛躍的な品質改善につながります。

デジタル及びプログラマティックの広告支出が増大するにつれて、マーケットプレースの品質問題は避けることができません。広告詐欺の問題を処理し、ビューアビリティやブランドの安全性に関する改善を果たすためには、業界は多面的なアプローチを実行する必要があります。品質コストにおける知識の改善に努め、業界のガイドラインを確立し、最新のテクノロジーを活用して、より健全で信頼できるプログラマティックのマーケットプレース環境を創造することで、デジタル広告市場を更に繁栄させる必要があります。

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ABOUT 梅津 憲太

梅津 憲太

OpenX東京オフィス パートナーサービス事業部 ディレクター。インターネット業界で18年以上の経験を積み、過去にはAOLプラットフォームのクロスファンクショナル・チームとして手掛けたグローバル領域の大型プロジェクトや、日本市場でのマイクロソフト・アドバタイジング・エクスチェンジ(MAX)の立ち上げなどを率いた。米国及び日本のオンライン・マーケティング市場の動向や技術に加えて、企業のキャンペーン管理や改善方法などについても熟知している。