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マーケティングBIのデファクトスタンダードに向けて-元Sizmek カントリーマネージャー橋本 薫氏に聞くDatorama Japanの今後の展開 [インタビュー]

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イスラエル発のマーケティングBIベンダーであるDatorama社日本法人のクライアント・オペレーション・ディレクターに元Sizmek 日本カントリーマネージャーの橋本薫氏が就任した。

同氏が今回参画した理由や役割、直近の事業や今後の事業戦略などについて、話を伺った。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

― 橋本さんのこれまでのバックグラウンドについてお聞かせください

2017年8月1日、本日、Datorama Japan(デートラマジャパン)にクライアント・オペレーション・ディレクターとして着任した橋本薫です。

前職のSizmek(旧 Mediamind)では、セールスエンジニアとして入社し、その後、カントリーマネージャーを務めていました。セールスエンジニアとしては、お客様や営業へのヒアリングを通して、日本市場のニーズを熟知し、日本の市場に必要な機能を製品化してもらうために本国のプロダクトチームとの連携を密に行い、反対に新しい機能をお客様やパートナー企業様へ紹介するということも行っておりました。同時に、大手媒体社のリッチメディアテンプレートの開発支援、大手EC企業のデータ分析プロジェクトのプロジェクトマネジメントも行うなど、いろいろな経験をさせていただきました。

カントリーマネージャーとしては、主にSizmek Japanの戦略また経営指標をAPACのマネジメントに報告、共有を行い、かつ、Sizmekの各サービス(オペレーションやサポート)のリージョナルヘッドと継続的なコミュニケーションを取ることによって、日本チームの状況や置かれている環境を理解してもらい、適切な社内サービスや様々なレベルでのサポートを受けられるようグローバルチームとの関係構築、さらにキークライアントと継続的なコミュニケーションを取ることに注力してまいりました。

Sizmek自身は独立系の第三者配信ベンダーであり、それ自体を価値として認めてくれる国内外のお客様に高く評価されているベンダーです。近年では、広告配信チャネルやフォーマットの多様化を受けて、媒体を横断した広告配信データの一元管理ができるということ以上の期待値をお客様が持たれていると感じてまいりました。この点に関しては、昨年11月に発表のありましたYahoo! JAPANとSizmekの戦略的な提携は、お互いの強みを生かすという意味において有意義なパートナーシップになったと思っています。

また、前々職では、medibaという会社でmedibaが提供しているスマホアドネットワークの販売管理システムの設計やアドネットワークの製品企画などを行っていましたが、それより以前はSIerでシステムエンジニアを経験し、また、中小企業向けのパッケージソフトウェアベンダーではプログラミングを行っていました。

― 今回、Datoramaにジョインしたきっかけや理由についてお聞かせください

Datorama Japanにジョインした理由は2つあります。
1つ目がSizmekでセールスエンジニアとして働いていた時にデータ分析のプロジェクトにプロジェクトマネージャーとして関わっていました。Sizmekのデータを利用してデータ分析を行うためのプロセスとして、分析できるデータに加工しやすいようにキャンペーンや広告の命名規則の統一から始まり、配信データをデータマートに加工し、分析軸に合わせて、データへのフラグ立てを行い、分析ツールで分析を行い、データのビジュアライズを行うといった一連の作業がありました。

もちろん、このプロジェクトには多くの人が関わっていたのですが、最終的にはデータサイエンティストに分析いただいておりました。お客様には高く評価いただいたサービスでしたが、ひとつの分析に多くの時間とコストを要するため、このような取り組みに興味を持っていただくお客様は多いものの、誰にでも手の届くサービスではありませんでした。そのため、汎用的なデータ分析およびデータの可視化ができないかをグローバルチームとPOCのレベルで模索した時期がSizmek Japanではありましたが、結果的に個々のお客様の要望が異なるため、汎用化するのは難しいということで、POCから先の製品・サービスのレベルまで持っていくことはできませんでした。

今回Datoramaへ入社する上では、Datoramaの製品がマーケティングデータの分析と可視化を自動で行えるツールであったという点が非常に大きかったと思っています。自身がやりきれなかったことをDatoramaでできるのでは、と思っています。

2つ目は、Datoramaの現カントリーマネージャーである布施さんともう一度、働いてみたかったという理由です。Sizmekのカントリーマネージャーを布施さんが退任してから、彼の後任として2年半働かせていただきました。この間に私なりに学んだこともあるので、Datoramaをより強い、大きい組織にしていくために、何かしら貢献できたらいいと思っています。

― Datoramaのどのような点に魅力を感じられたのでしょうか?

最近、イスラエルはIT系のスタートアップ企業が多いので注目を集めていますが、すでに4年半イスラエル企業で働かせてもらっている者として、その魅力をお伝えすると、女性が活躍できる環境があるということが挙げられるかと思います。

Sizmekでは女性の活躍に非常に力を入れていて、積極的に女性リーダーをPRしていくことを行っていました。私自身、去年ですが、Campaign AsiaのAsia's Top40 Women to watchに選出されています。Datoramaも創業者の一人は女性ですので、同じ様なカルチャーを持っているのではないかと期待しています。また、イスラエルは東洋と西洋の中間に位置しているためか、人情を大事にするようなところがあり、そういった部分にも魅力を感じています。

あえて2点目を挙げるとすれば、Datorama Japanの雰囲気の良さだと思います。布施さんはじめ、チーム一丸となって、ビジョン・ミッション・パッションをしっかりと持ち、いい雰囲気で仕事をしているのが伝わってきて、ぜひ、このメンバーの一人として参画したいと思うに至りました。

― Datoramaでの役割について、橋本さんが入られた後の組織体系と合わせて、お聞かせください。前職でのどのようなキャリアを活かすことが出来るとお考えですか?

クライアント・オペレーション・ディレクターとして、クライアントサクセス組織の強化とアカウントマネジメント組織の立ち上げ、そしてDatoramaの製品開発部門との連携を中心に見ていくことになるかと思います。前職の経験が生きるのは、グローバルチームとの連携が挙げられるかと思います。グローバル企業では、会社の様々な機能・部門が各国に散在しているため、各キーパーソンの役割の理解や各地域の様々な組織がどう有機的に関わっているのかをいち早く理解し、日本の立ち位置を確固とする体制構築を目指す考えです。また、Sizmekのカントリーマネージャーとして様々な経験を得たので、自分の業務・役職に関係なく、必要であれば、会社組織を改善していくような取り組みはどんどんさせていただきたいと思っています。

― 前職お仕事をご一緒されていたカントリーマネージャーの布施さんと、今回もご一緒されることになりますが、このことについて何かコメントがあれば、お聞かせください。

この2年半は別々の会社でお仕事をご一緒することはなかったのですが、この間にお互い学んだこと、変わった部分もあるかと思うので、前職で一緒に働いていた以上の相乗効果を発揮できればいいと思っています。

― 直近のDatoramaのビジネスの進捗や戦略について、グローバル、日本のそれぞれについてお聞かせください。

Datoramaはグローバルで2000社以上の広告主、300社以上の広告会社で導入の実績があります。グローバルではWPP、電通イージス・ネットワークなど世界最大規模の広告代理店グループ、広告主では、L’OréalやIBMなどグローバルブランドで採用されています。日本は進出から約2年で電通、Yahoo! JAPAN、ネスレ日本、サイバーエージェント、朝日広告社、Nikkei Asian Review、読売新聞などの導入実績があります。さらに、昨年以来、広告費の透明性確保が叫ばれる中、Datoramaは人間の手を介さず、システムが全てのマーケティングデータを収集し、ダッシュボード化、レポート化するため、グローバルでは、事業規模を問わず多くの案件が舞い込んでおり、ビジネスは順調に拡大しています。組織面から言っても、今年300人規模に成長する見込みです。

日本は、単独市場で急成長を遂げており、グローバルからも注目される市場となっています。
支社設立時から導入数ではなく、他の企業にも影響力を持つ最先端企業との事例作りに注力し、Yahoo! JAPAN、ネスレ日本などの導入実績が日本の広告界で大きなインパクトを持って受け入れられており、特に2016年後半から数はもちろん、規模の大きい案件の相談が非常に増えています。体制も昨年5月末はわずか2名でしたが、13名となり年内には20名組織を目指しています。

2018年以降、広告代理店、媒体社、広告主といったマーケティングステークホルダーの皆様にとって、マーケティングBIといえばDatoramaと言っていただけるような、デファクトスタンダードとしてのポジションの確立を目指していきます。そのために、各ステークホルダーがデータを十二分に活用し、マーケティングのPDCAの高速化、施策実行の迅速化をより一層サポートし、皆様とDatoramaの不可分なパートナーシップ構築を目指していきます。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。