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大学は位置情報をどのように優良学生の採用に活用しているのか?

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

位置情報データを使用することで、広告主は広告を特定のユーザーに対してターゲットにすることができるが、このテクノロジーは同様に大学にて採用目的で活用されている。ExchangeWireは Blis社のセールスマネージャー Nate John-Grose氏に単独インタビューを行い、位置情報データを分析し高度なターゲティング機能を用いることで、いかに多くのオーディエンスから優れた人材を採用することができるのかについて話を聞いた。

企業は規模の大小に関わらず、しばしば良い人材を捜すために苦労してきました。人材管理協会による2016の調査によると、人事担当者の68%が雇用において難しい局面に立たされていると回答しています。また 84%は、応募時のスキルマッッチングに苦労していると回答しました。

これらの重大な課題に対処するため、多くの企業にて、位置情報データとテクノロジーを活用し、優れた人材を募集し採用するための革新的な方法を利用し始めています。位置情報はもはや広告を配信するだけの場所ではなく、トップクラスの大学は国内の優秀な人材を募集する手段として活用し始めています。 高度なターゲティング機能とともに豊富なインサイトを含む位置情報データを活用することで、 大学はこれまでとは異なる方法で新たな人材と接触することができるようになっています。

デジタル業界が毎年40%の割合で成長するにつれ、企業の多くは高度なデータとテクノロジーを利用して作業を行うようになっています。 例えば、Morgan Stanley社は、銀行人材の獲得のために優秀な学校をターゲットしてSnapchatの広告を配信しており、Johns Hopkins社のような病院においても新規人材獲得のためにジオフェンシングテクノロジーを活用しています。位置情報を活用することで、企業が理想とする人材像に合致するグループを見つけることができ、潜在的な顧客に対して大規模に広告を配信することができるのです。

この秋、国内の主要大学でも同様の取り組みが始まりました。 高校生が大学の出願書類を記入し始める時期になると、大学はクリエイティブで新しい戦略を活用して、優秀な成績を誇る生徒に対して募集を開始しします。 大学のマーケティング担当者は、位置情報データとテクノロジーを活用して、勉強熱心な高校生を大学に勧誘したり、他校の優秀な生徒を自校に勧誘したりといったことを行うことができます。その上、位置情報を活用して全米に4000ある大学の中でのブランディング向上に活用することができます。

Nate John-Grose氏
Blis社、セールスマネージャー

まず、高校生がどこで時間を費やしているかを認知し理想的な視聴者を特定し、その周辺にてジオフェンシングを活用することができます。例えば、大学のマーケティングチームは、高等学校、大学のスポーツ施設、学術会議センターの位置情報を用いて採用活動を行うことができます。 また、競争相手を検討している学生を特定することも可能です。位置情報データを活用し他校のオープンデーやキャンパスツアーに参加している学生を特定することが出来るのです。

次に、大学はリアルタイムにこれら個人に対して広告を配信したり、リターゲティングするために匿名のデバイスIDを保有することができます。(ナイキ、アンダーアーマー、AAA、Save-A-Lotなどの消費者ブランドにサービスを提供している)ブランディング、マーケティングコンサルティング企業の160over90社は、国内の大学に対して、高いスキルを持つ採用候補者を特定しターゲティングするソリューションを提供しています。

「2018年の入学希望者を増やし 高等教育における企業のコミュニケーション戦略を改革するために、当社は位置情報データを活用し高校や成長市場に対してジオフェンシングソリューションを行うことで、潜在的な学生、保護者、ガイダンスカウンセラー、その他のインフルエンサーにリーチをすることができます」と、160over90社CEO John Campanella氏は述べています。「高校生の所在を分析することで、大学側は潜在的な学生の習慣、態度、行動について豊かな洞察を得ることができるのです」。

大学のマーケティング担当者は、時間の経過とともにそのパターンを分析し、これらの学生についての洞察を深めることができます。たとえば、ラボ、ジム、その他の地域社会のイベントなど、高校生や現在の学生の活動を組み合わせることで、マーケティング担当者は、彼らの興味に合致したメッセージを配信しその学生の関心を特定することができます 。また、大学はデータを活用し進路を決めかねている学生に対して、彼らの関心に基づいて専攻についての情報を周知することが出来るのも興味深いソリューションです。

最後に、詳細なレポートツールを使用することで、大学は各キャンペーンを最大限に活用できるようになります。各キャンペーン中およびその後のリアルタイムのオーディエンス行動を測定することで、大学は、配信された時刻や視聴者の場所などの特性から どの広告が最も効果的かを知ることができます。 それらのデータを使用してキャンペーンを継続的に最適化することができます。

申請締切日が近づくにつれて、大学は現在の学生との関係を構築しなければなりません。大学は理想的な学生を見つけ応募率を向上させるだけではなく、提供する情報についても注意を払うことで他の大学との差別化を行う必要があります。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。