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デジタルサイネージ広告活用の最新事情を語る―ラクスルが共催セミナーを開催 [セミナーレポート]

ラクスル株式会社は5月14日、「認知だけではなく獲得に進めるための、オフライン動画広告活用セミナー」をラクスル・目黒オフィスでZoomとのハイブリット形式にて開催した。マンションサイネージメディア「FOCUS CHANNEL」を提供するニューラルマーケティング株式会社、トイレサイネージメディア「アンベール」を提供する株式会社バカンとともに、オフライン広告の最新事情としてデジタルサイネージ広告の活用方法や事例を取り上げた。

 

※写真は、左から次のとおり。
栗原 旺裕 氏/株式会社バカン メディア事業本部 マーケティングマネージャー
近藤 賢志 氏/ラクスル株式会社 ラクスル事業本部 インキュベーション部
竹中 一真 氏/ニューラルマーケティング株式会社 常務取締役

 

ターゲティングメディアに進化するオフライン広告

セミナーの冒頭に登壇した近藤氏は「ラクスルもチラシなどの、オフラインの販促物を提供しているが、『本当にチラシが見られているのか』という疑問にも応える形で、デジタルサイネージも含むオフライン広告のPDCAを回して来た」と説明。

 

従来の広告は目立つことだけが重要視されてきたが、現在はターゲティングをしたうえで伝えたい情報・広告の価値を高め、その広告に接触した人の興味関心を誘い、次の行動変容に繋げていくことが求められるようになった。

 

それを踏まえたうえで近藤氏は「オフライン広告は簡単に出せる時代を経て、適切な人に価値を届けられるターゲティングメディアに進化をしてきた」と提示。

 

「効果指標を可視化したことで、特にミドルファネル(興味・関心層)において、強い価値を作れることが分かってきた。また、誰に伝えるか=Who、だけで語られることの多い広告において、When=時間だけでなく、Where=場所も指定が出来ることによって視聴環境を作りあげることで、近年はその真価が発揮されている(近藤氏)」

 

その具体事例として近藤氏が挙げたのが、バカンのトイレサイネージ「アンベール」と、ニューラルマーケティングのマンションサイネージメディア「FOCUS CHANNEL」である。

 

トイレサイネージに接触して、約6割に態度変容

バカンの「アンベール」は、都内オフィス・商業施設を中心に全国11,400台以上(2024年5月現在)設置されている、トイレサイネージメディア。トイレ個室という特徴を生かし、男性にはAGA商品、女性には生理用品など、男女の性別分けを適格にしたターゲティングも可能となっている。

 

バカンの栗原氏はトイレ個室内という空間について「情報量も少なく集中力が高まる空間で、30秒以上の広告でも視聴完了率が非常に高い」と説明。アンケート結果として、広告に気付いた人が95%・広告の内容を理解した人が70%となり、トイレサイネージで接触した商品・サービスについては、約6割に態度変容が起きたことを取り上げた。

 

「胃や腸に関する薬やフェムテック関連商品は、トイレの中にいる状態で広告を届けることにより、悩みが最大化された瞬間を捉えて情報を届けることが出来る。デジタル広告で、誰に伝えるか=Who、だけでは心が動かせなかった商品も、適切な場所・時間で届けることで価値を最大化することが出来る」と栗原氏はトイレサイネージの成果を伝えた。

 

生活導線上に設置されたマンションサイネージ

ニューラルマーケティングの「FOCUS CHANNEL」は、富裕層向けマンションサイネージとして、都内を中心に450棟・総戸数85,000戸を対象に展開されている。

 

サイネージはエントランスやエレベーターホールなどの生活導線上に設置され、その傍に設置されたパンフレットラックでは、チラシのほか、サンプリングや居住者限定の割引クーポンなども通じたアプローチが可能となっている。

 

ニューラルマーケティングの竹中氏は「メディアから家(部屋)までの距離が非常に短い設計になっている」ことを特徴に挙げ、申込者とサイネージ設置場所の住所を突合することにより、コンバージョンも非常に図りやすい媒体であることを語った。

 

デジタルサイネージで視聴環境を作り上げる

バカンとニューラルマーケティングのプレゼンテーションを受けて、ラクスルの近藤氏は「駅前などの大画面デジタルサイネージと比較し、ターゲティング型のデジタルサイネージの特徴はどこにあるのか」と質問を投げかけた。

 

バカンの栗原氏は「特定のタイミング・場所で繰り返し広告を見られる環境を作れること」と回答したうえで、「広告を繰り返し見て、内容の理解が進むにつれて好意度も上がっていく。その結果として、例えば消耗品ならば次の買い替えのタイミングで選択肢の1つ目に上がりやすくなるのは、我々の広告媒体の価値の一つではないか」と述べた。

 

また、ニューラルマーケティングの竹中氏は具体的な事例として、メンズスキンケアのサンプル付きパンフレットの広告事例を紹介。30代~40代の男性をターゲットにした商材ながら、実際にパンフレットを手に取ったのは、ターゲット男性の家族も多かったという。

 

「メディアから家までの距離が近いということは、家族のことを思い浮かべるタイミングでもあるので、『サイネージを見た高校生の娘さんが、パパのためにエントランスのサンプル付きチラシを家に持って帰り渡す』ということが十分に起こる状況であるし、パパも娘さんに勧められたなら、使うモチベーションや買うモチベーションも高くなる」と説明。

 

このような広告訴求から商品購入までのイメージやストーリーを描きやすいのも、ターゲティング型のデジタルサイネージの特徴にあると竹中氏は話した。

 

近藤氏も両社の回答に同意し「オフラインメディアであるデジタルサイネージは、視聴環境(When・Where)を意図的に作り、ターゲティングを強めることで、よりその商品の価値を感じやすくなる」と説明。

 

ラクスルでの旅行代理店の広告配信および効果検証事例では、ウェブ広告だけを実施した場合の新規顧客獲得の単価と比較し、デジタルサイネージ広告を組合せることにより、約半分の単価で新規顧客を獲得することが出来たという。

 

「我々は顧客と『商品購買時の選択肢で一番上に来る状態をいくら(予算内)でどの程度出せるのか』というお話をしている。そこではデジタルサイネージの配信時間や場所の変更、クリエイティブの調整などを繰り返しながら、顧客が他の競合に勝つための道筋・事例を作り上げているが、もし皆さんも今お悩みがあれば、我々から提案が出来ることもあるかと思うので、ぜひお話を聞かせていただきたい(近藤氏)」

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。