「モノ」がインターネットにつながる IoTの普及がもたらす、いっそうパーソナライズされた未来型広告 |WireColumn

ThinkJam 荒井さん、前田さん

私たちの生活を大きく変える3つの領域における IoTデバイスを紹介し、そこから見える広告の可能性を考えます。

 

 

 

 

 

 

●2014年は IoTが加速する!?

今年の1月7日~10日にアメリカで開催された世界最大規模の家電見本市CESでは、多くの IoTデバイスが紹介されました。IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)のことです。ここでいう「モノ」は電子機器からアナログな製品までいろいろ。これまではインターネットとは無縁だった「モノ」がインターネットにつながることで、より使いやすくなり、全く新しい使い道がでてきます。

現在、既に多くの IoTデバイスが存在しています。その数は100億台とされ、Cisco社によると2020年までには500億台になり、世界市場は8兆9000億ドルになると予測されています。家電量販店にずらりと IoTデバイスが並び、私たちの家にもやって来る日は遠くないかもしれません。

IoT化が進んだ未来はどうなっているのでしょうか。IoTによって広告も変わるのでしょうか。既にリリースされているデバイスから、IoTによる大きな変革が予想される3つの領域、「家」、「車」、「フィットネス・ヘルスケア」について考えてみましょう。

 

●外出先から家の中を簡単操作 IoT製品

家の中の「モノ」が IoTになることで、ホームオート-メーションが実現します。ホームオートメーションとは家庭内に電子機器を導入し、家庭内の仕事を自動で行うこと。最新家電は誰もが購入できる価格ではありませんが、普及価格になれば、買い替えのタイミングで IoT家電が普及すると考えられます。

家の IoTデバイスは、Philips社の照明hueや、Googleによる買収が話題となったNest社のNest Learning Thermostatなど、いくつかの商品が既に発売されています。多くの「モノ」が IoTになっても、それぞれ操作するアプリが違えば扱いが面倒。そこで、さまざまなデバイスを1つのアプリで管理できるSmartThingsを紹介しましょう。

SmartThingsはオープンシステムとしてデザインされているため、同社の製品だけでなく好きなスマートデバイスと連携させて、アプリで一括管理できます。

SmartThingsの製品は主に‥

1)IoTデバイスが他のデバイスやスマホと通信するためのハブ
2)窓の開け閉めや、物の存在などを感知するセンサー
3)想定外の出来事を検出すると作動するアラーム
4)スマホで操作可能な玄関の鍵、照明用器具やコンセント

‥に分けられます。これらを組み合わせることで、センサーで感知したことをスマホに知らせたり、スマホから IoTデバイスを操作したりできます。SmartThingsは行動パターンを記憶できますし、さらに IoTデバイス同士を連動させることで生活はもっと便利になるでしょう。例えば、もしあなたがSmartThingsを使って「睡眠を測定する活量計」と「家電」をつなげていれば、あなたが起きた時に睡眠が終わったことを活量計が察知し他の IoTデバイスに知らせ、自動で部屋に明かりがつき、コーヒーが淹れられるといったことが可能になります。

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hue

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Nest Learning Thermostat

 

f3SmartThingsの管理画面

 

このようにセンサーによる測定値や行動パターンがわかってくると、その人の生活に合った広告を出すことができるかもしれません。たとえば、毎日淹れているコーヒー豆の残量が少ないことをセンサーが察知してスマホで知らせると共に、オンラインショップでの購入履歴からおすすめのコーヒーの広告を表示、といったことが「モノ」と「モノ」がつながることによってできるようになるでしょう。さまざまなデータを個人が記録するようになると、消費者が商品を買うかどうか迷っているときに、自分のライフログから商品の必要性を確認するという、企業が消費者に対してレコメンド広告を出す際の判断プロセスに似たことを、消費者自身が行うようになるかもしれません。

インターネットにつながる「モノ」が増えると、まとめて管理できるデバイスが必要になってきます。データが集まることに加え視線が集まる場所ができると、そこに広告も集まってくることが予想されます。屋内でも屋外でも気軽に閲覧できるスマホはちょうど良い管理デバイスで、管理画面を見る頻度が高いため、広告を表示させるには恰好の場所。消費者にとっても企業にとっても、今後ますますスマホ中心の生活になっていくでしょう。

 

●安全運転がお得、コネクティッド・カーが実現する変動型保険サービス

現在でもスマホやカーナビなどを経由して車内でインターネットにつながっている方は多いかもしれませんが、今後は車そのものがインターネットにつながるコネクティッド・カーが増えそうです。コネクティッド・カーとは、インターネット通信システムを搭載した車や、スマホ・タブレットなどのインターネット通信をするデバイスと連携する車のこと。昨年はiOSデバイスと連携するiOS in the Carの発表があり、Googleと自動車関連メーカーは団体Open Automotive Allianceを設立。今年1月には東京ビッグサイトで第2回コネクティッド・カーEXPOが開催されるなど、コネクティッド・カー普及の兆しが見られます。

f4iOS in the Car搭載車のダッシュボード

 

車内から情報を送るサービスとしては、テレマティクスサービスが提供されています。テレマティクスとはTelecommunication(通信)とInformatics(情報科学)を組み合わせた造語で、テレマティクスサービスはリアルタイムな位置情報を基にした渋滞回避ルートの案内や、急加速や急ブレーキなどの危険運転があったことを管理者に知らせるといったもの。多くの車がインターネットにつながりデータが増えることで、テレマティクスサービスがさらに進化するでしょう。

中でも注目したいのは、テレマティクス保険です。この保険では運転状況が保険会社に送信されるため、走行距離や安全な運転をしているかという条件によって保険料が変わります。保険料を安くしたい人が多いために交通事故が減るかもしれません。運転状況や位置情報、車の状態を把握することで、適した保険プランや素早い事故対応の情報提供といった進化が期待されます。

車の領域では、操作性も変わりつつあります。VoiceBoxの会話音声技術では会話のような自然言語での情報検索が可能です。また、Googleはドライバーのジェスチャーを感知してエアコンなどを操作する技術を特許申請中とのこと。これらの新しい操作が可能になれば、運転中の音声や動きを、コンピュータが意味を読み取れるデータとして処理できるようになります。そうなると「お腹がすいた」という会話から、近くのレストランの広告を案内することも可能になるかもしれません。

 

●コーチングで強化されるスポーツや健康管理

フィットネス・ヘルスケアの領域に関しては、活量を測定する時計・リストバンド型のウェアラブル機器を既にご存知の方も多いでしょう。そこで、運動を追跡できる変わったモノ、94Fifty Sensor Basketballを紹介します。このバスケットボールは既定のサイズ・重量でありながら、9つのセンサーを搭載。バスケットボールとスマホをBluetoothでつなぐことで、ドリブルやシュートのフィードバックをスマホに送ってくれる、コーチのような役割をします。このようなデバイスを見ていると、本当になんでもインターネットにつながっていくのだということを実感します。

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94Fifty Sensor Basketballとアプリ画面

 

スマートな錠剤ケースのimedipacにも注目です。この錠剤ケースは1日4回×7日分の錠剤を入れるスペースがあり、アラームや服用する錠剤の収納スペースが光ることで正しい服用を管理します。服用状況をWeb上で管理できるほか、服用時に家族や医師に知らせるよう設定することも。高齢者が毎日薬を服用していることを遠方の子どもに知らせることで安心を届けることができるのです。その人がどんな薬を服用しているかがわかるサービスがあれば、薬を登録しておくことで、服用しているものと同じ効果のジェネリック医薬品が発売されたことを知らせたり、薬との飲み合わせを考えたレシピや食品を知らせたり‥といった広告サービスが出てくるかもしれません。少しニッチなサービスのようですが、高齢化が進む今後はヘルスケアのサービスが増えていくのではないでしょうか。

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imedipac

 

●いつでも、どこでも、なんにでもつながれる未来

上記で紹介したバスケットボールや錠剤ケースのように、これまではアナログだったものもデジタルに変わろうとしています。Freescale社は飲み込めるデバイスのARMチップを作っているという情報もあり、人体までつながってしまう時代が来るかもしれません!!

もちろん多くの「モノ」がつながることで懸念される点もあり、よりパーソナルな情報が取れるため、情報の利用の仕方に注意しなければいけないでしょうし、他人にデータを盗まれたり改ざんされたりしないよう、セキュリティに気を付けることも重要です。

それでも IoTによるメリットは大きく、多くの「モノ」が IoTになっていきます。IoTが当たり前になることで、個人的なデータが取得されてパーソナライズ化されたサービスの提供が進み、広告のパーソナライズ化もいっそう進むのではないでしょうか。

 

 

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荒井勇人、 前田衣里奈

株式会社シンクジャム プランナー 【荒井】2009年にシンクジャムを共同設立。WebサイトのIAプランニングをコアスキルに、構築ディレクションや戦略プランニングなどの面でも、大手企業のマーケティング支援を行っています。 【前田】国立の理系大学院を卒業後、シンクジャムに入社。Webプランナー兼アナリストとして従事する傍ら、定期的に国内外のWebマーケティング動向などを調査し、Web上などで発信中。