2014年日本の動画広告はどうなる? ~動画広告の課題と展望~ 【コラム最終回】 |WireColumn

DAC Mr.Saito WireColumn

こんにちは、DAC齋藤司です。前回までのコラムで動画広告の効果やプランニングについてお話させていただきましたが、今回は今後の日本の動画広告という事で、課題や展望をお話しできればと思います。

今回のコラムを始めさせていただいた2013年の5月末、その時点での動画広告といえば、基本は①音声がONで再生され、②画面上に他のコンテンツがなく、広告がユーザーの時間を占有する、③大型サイズの広告枠といった特徴のある「プレロール広告」のことを動画広告としてお話ししてきました。ただ、プレロール広告には在庫数やリーチの課題、また、媒体社の動画広告導入に対しては動画コンテンツが必要といったところでハードルが高いといった課題もあり、2013年の末頃から「インバナー広告」や、「インリード広告」の動画広告としての可能性が議論されてきています。まずは、そのお話からできればと思います。

 

 

◆CPVでセールスされる事で再度脚光をあびた「インバナー広告」

インバナー広告とは、1回目のコラムでも紹介させていただいたように、通常のバナー広告枠、ディスプレイ広告枠に動画素材が掲載された動画広告という事になります。今までもリッチ広告的に動画素材を流す等の手法が、さまざまな媒体社で可能でしたが、通常のバナー広告、ディスプレイ広告費にプラスして大容量配信費といったものがかかることもあり、一部の広告主へのセールスに留まっていました。しかし、今まではCPM課金であったインバナー広告をCPV(コスト・パー・ビュー)で課金する動画広告メニューが出てくることで再度実施する広告主も出てきています。仕組みとしては、動画素材が表示されている画面上に半分以上広告枠が表示されていたら動画が再生され、15秒等一定時間再生された際にはじめて課金するというものになります。

媒体社としては、現状のディスプレイ枠で実施可能という事もあり、参入障壁が極めて少なく可能性を感じさせますが、私見ですがプレロール広告の優れたアドフォーマットの特徴としての①音声、②時間占有、③大型広告サイズといった点とはすべて異なるため、広告認知や態度変容の広告効果を求める際にはフリークエンシーや動画広告視聴時間が、プレロール広告よりもかなり多めに必要になるのではと考えられます。

プレロール広告でまずはプランニングし、imp数やリーチを補う形でインバナー広告を使っていく、プレロール広告とインバナー広告を合わせた場合の調査が待たれるところです。

 

◆今後の導入媒体社によっては大きく成長が見込める「インリード広告」

インバナー広告の一種として、Webサイトを閲覧しているメインコンテンツのカラム上に動画広告枠が表示され、半分以上表示された段階で再生が開始する「インリード広告」というものが出てきました。「イン・アーティクル」と呼ばれる事もあります。

先日、Yahoo! JAPAN でも取り組まれていく事が発表されたのでご存知の方も多いかと思います。といっても日本ではまだほとんど実施されていませんので見た事がない方が多いと思います。

下記イメージや、下記サンプルURLを見てください。

http://webdemo.dac.co.jp/official/DAC_InRead_demo.html

 DAC-図1

このインリード広告は、プレロール広告と比べると音声は多くの媒体でデフォルトはOFFですが、広告枠へのマウスオーバーで音声がONになったり、時間占有や大型広告サイズといった点も表示された際に動画が再生されていくのである程度ユーザーに強い訴求が可能かと思います。細かい仕様はこれからになりますが、媒体社のインリード導入は動画コンテンツが必要ではないので、現状のサイト構成の中ですぐに動画広告実施が可能な事から考えると非常に可能性を感じます。

これは私見ですが、インリード広告の特徴であるメインコンテンツを閲覧していく導線上に大型サイズの動画広告が掲載されるというポイントから考えると、スマートフォンでの動画広告や、TwitterやFacebookでの動画広告展開も、現状ではソーシャルメディア特有の友人のリコメンドや、通常のコンテンツに似せた形を捉えてネイティブアド等と呼ばれていますがインリードと考えることも可能かと思います。今後は大きくひとつの動画広告として考えプランニングしていく事が出来ると考えられ、動画広告のプランニングの広がりも期待しています。

 

DACでも「In-Read(イン・リード)」のサービス名で、記事内動画広告の取り扱いを始めており、動画広告メニュー化支援、DSP連携といったところも今後展開を予定しております。興味のあるメディア、広告主、広告会社がいらっしゃいましたら是非お問い合わせください。

 

◆多様化する動画広告の整理

今後の日本の動画広告には、「プレロール」だけでなく「インリード」「インバナー」と動画広告にもいくつかの種類が出てきています。その中でも、①音、②時間、③サイズ面で認知効果・態度変容効果に優れているのがプレロール広告と考えられ、最もプレミアムな枠として高単価で売買されています。

続いて、まだ日本市場ではほとんど掲載されていませんが、今後はインリードがコンテンツを閲覧する流れで、動画広告が目に入ってくる点も含め価値も高くなっていくかと思われます。導入媒体社の動向によっては、リーチや在庫数もプレロールより獲得できる可能性があり、先述のソーシャルメディアやスマートフォンの動画広告枠等もインリードと考えていくと更に多くのリーチ・在庫も取れるようになってきます。「インリード」採用の動き次第で、動画広告の在庫と可能性が更に大きく広がると考えられます。リーチだけでなくインターネットならではのコンテンツマッチした掲載手法やターゲティング手法も可能になり、多様な動画広告市場ができると考えています。「インバナー」に関しては、「インリード」と共に広告枠が動画配信後にも掲載され続けるケースがあることから、Webサイト上での購入やゴールのある獲得案件に対して効果を発揮しやすいのではと可能性も語られています。また、他にも「リワード動画」といった形でユーザーに対し最後まで動画広告を見た際にポイント等を付与するといったのも出てきています。広告主にとっては長尺の動画広告を見せる事ができるメリットがあり、多様化した動画広告を目的に応じて使い分ける事ができるようになります。

 

動画広告の多様化

 

◆2014年の動画広告はどうなる?

僭越ではありますが、2014年の日本の動画広告を2013年後半の流れから予測してみたいと思います。

 

・プレロール在庫の拡大

現状の日本の動画広告の課題でもあるプレロール在庫を拡大していく動きが、各媒体社の中で出てくるのではないかと予測しています。まず、現状の有料VOD配信で動画コンテンツを行っているプレイヤーも少しずつ動画広告のトライアルを始めています。連載ものの数話だけを動画広告を入れ無料で配信するというもので、現状ではユーザーを獲得するプロモーションの意味も込めた形での実施ですが、サイト利用ユーザー数と広告+課金での収益面で折り合いがつけば、課金+広告のハイブリッド型は広がってくるかと思います。

つい先日も「もっとTV」がコンテンツ単体での課金から月額課金900円へと移行しており、もしかしたらプレロール広告を導入し、広告と課金のハイブリッド型も近いのかもしれません。

他にも海外の動画サイトも続々と参入してくるかと思います。日本のユーザーも非常に多い、デイリー・モーションは日本拠点も出来、コンテンツの権利問題もあるのですが、それを解決していくプロジェクトも始まっており、本格的な動画広告展開も2014年にはできるようになるかもしれません。

他には、現状動画コンテンツを多く保有するマスメディア(放送局、新聞社、出版社)の動画広告への本格参入が考えられます。既にYouTubeを活用して収益化を行っているケースもありますが、独自での展開もはじまっています。動画広告を実施するまでは至っていませんが、先日、日本テレビは見逃し視聴を無料で実施する挑戦を始めています。次回放送までの間コンテンツ閲覧が可能なようですが、放送の視聴率が上がったというような効果があれば、放送局の中で急速に動画コンテンツがWebに出る事にもなるかと思います。また、コンテンツの権利関係の処理がなされ、プレロール広告が入った際には相当大規模な動画広告媒体になるとも考えられます。

さらに追い風として、マスメディア等のコンテンツメディアにとって、動画DSPの出現と売買は今までの純広告でのセールスより、販売リソースを軽減可能であり効率的であると考えられます。

広告主動向としても現状のYouTube等の参画媒体に加えリーチ、在庫の広がりを求められている点からしても、特にマスメディアのコンテンツは、安全安心に掲載ができ、動画広告自体が最後まで閲覧される率(視聴完了率)も高くなると想定されます。結果的に動画DSPの中でも第一優先としてマスメディアコンテンツの動画広告を購入されていくケースと、高く売買されている事実が理解されてきたもの大きいかと思います。

 

・Facebook、Twitterを含めた総合的なWeb動画広告プランニングの始まり

先程も少し触れたFacebook、Twitterの動画広告とインリード広告を新たに動画広告として加え、現状のプレロール広告に加えてプランニングしていく事が始まっていきます。

Facebookの動画広告はまだ日本ではリリースされていませんが、表示された際に自動再生でニュースフィード上に掲載されると想定されます。現状でも、自動再生ではありませんが動画をエンベットして動画広告展開するといった事や、TwitterでもVineを活用しタイムライン上に動画素材を掲載する広告展開は可能です。

Facebookの広告メニューには1日で1000万人に到達するメニューもあり、飛躍的にリーチを拡大したプランニングが可能になります。リーチプランニングによりどれだけの広告認知・態度変容効果を獲得するか?といった各広告主の効果は、インバナーサーベイ等で調査していく事で、プレロール広告とインリード広告を含めた動画広告の広告効果をノーム値化していく事も可能になると考えています。

また、動画のクリエイティブに関しても検証が進み、タレントの有無による広告効果の違いや、TVCMと同様の素材での展開か?オリジナル展開か?といった手法の使い分けも開発されていくと思われます。

Facebook、Twitter、YouTubeといったユーザーがコンテンツを作っていくソーシャルメディアでの動画プランニングも行われる事から、広告枠をセールスするプレイヤーとして現状の広告会社だけでなく、ソーシャルメディアを得意とするマーケティング会社でも、動画広告に対する取組が更に本格化すると思われます。

 

・TVCMと動画広告の同一指標の開発

前回までもTVCMとの親和性の高さや、TVCMとの比較等をお話してきましたが、プランニングをする際にもTVCMと一緒にプランニングして動画広告を買付けするケースも多くなってくると思われます。

特に、ニールセン等の調査会社のデータを活用し、動画DSPではクロスプラットフォーム(TV、オンライン)でのターゲットリーチの把握やWebサイト毎のターゲットリーチの把握を行い、より効率的にターゲットにリーチするための運用も進むと思われます。そういった中で、デジタルDRPといった指標もかなり一般化していくと思われます。

 

DigitalGRP

 

・プレロール広告掲載先の担保と、動画素材権利処理蒙等課題も

話題に事欠かない動画広告ではありますが、よりきちんと市場を拡大していく為に乗り越えなければならない課題もいつくかあります。TVCMを動画広告に活用しようとしている広告主によく言われる事なのですが、「大きな予算を投下して制作したCM動画がどこに出ているのかがわからないのはリスクが大きい」というご意見をいただきます。最近の広告のトレンドは「枠」ではなく「人」に対して表示するケースが多くなっているにしても、動画DSPだからといって違法な動画コンテンツはもちろんブランドを向上させるにふさわしくないコンテンツの前に動画広告を出すような事は避けなければならないと思います。アドベリフィケーションテクノロジーの本格導入も期待されます。また、掲載される動画広告の素材の権利処理(音楽著作権等の権利関係の処理や日本国内、日本IP配信の権利処理や許諾)の啓蒙もきちんとしていかなければいけないと思っています。

 

最後に

今回5回のコラムを書かせていただき、色々と苦労や調整もありました。一方で、コラムを書くことでさまざまな課題が整理でき、今後動画広告で行っていくべき事が見えてきた気がしており、関係各位の皆様には感謝しています。私の文章ではまとまっていない点も多く読みづらい点もあったかと思います。今後もお問い合わせいただければ、動画広告の動向をお話させていただきご提案させていただければと思います。DAC動画チームまでぜひお問い合わせください。有難うございました。

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ABOUT 齋藤 司.

齋藤 司

株式会社トーチライト マーケティング ディレクター ラジオ、TVの放送作家を経て 2000年、雑誌をメインとした、広告代理店に入社。 アパレル、衛生機器メーカー等を担当し、2003年11月DACに入社。 メディア開発部等を経て2004年関西支社へ転勤。 広告会社に常駐し、インターネット広告の啓蒙、販売を行う。 2008年DAC本社にて開発・業推部マネージャー等を経て、 現在は第3メディア部マネージャーとして、ソーシャルメディア、動画を担当。 2013年10月より株式会社トーチライト出向によりマーケティングマネージャーとしてソーシャルメディアの啓蒙活動も行っている。 ※2014年2月時点 趣味は、落語、演劇鑑賞、ゴルフ等々