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”マーケティングの在り方”と、”人や組織の働き方変革”こそがミッション-Datoramaの日本展開の現状と今後 [インタビュー]

2015年に日本オフィスを立ち上げた Datorama (デートラマ)は、現在急速に組織を拡大している。サイバーエージェントグループからGoogleを経て、今回新たにチームに参画した、セールスディレクター/ビジネスディベロップメント担当の石戸 亮氏に日本での直近のビジネスの状況とDatoramaに参画した背景についてお聞きした。

(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)

― 自己紹介(ご経歴)をお願いします

2016年11月14日からデートラマジャパン株式会社にセールスディレクター/ビジネスディベロップメント担当として参画しました石戸亮です。

私は、前職Googleでは大手広告主の様々なデータやマーケティングの課題に向き合いDoubleClick、Google Analytics、Adwordsを中心に外部の様々なデータも活用し、統合的なマーケティングソリューションを提供してきました。オフライン広告(TVCMや新聞)とデジタル広告のアロケーションの課題解決の相談も多く近年Googleへ期待されることの変化も感じてきました。直近2年ほどはグローバル展開する米国のエンターテイメント企業の日本及びAPACの窓口としてGoogleの世界中のオフィスと協業し、特に日本及びアジア参入、その後の展開の支援をしていました。
前々職のサイバーエージェント時代には、モバイルとSEOに特化した2社のマーケティング企業を立ち上げ、営業・コンサルティング・広報/PR・採用などの執行業務・経営業務を取締役として統括していました。
さらに、学生時代にも起業、共同代表として累計30万部のフリーペーパーの発刊し、広告、マーケティングや経営に10年以上携わっています。大学在学中は電気電子工学を専攻し、光スイッチの屈折率変化の研究をしていました。

― 今回参画されたDatoramaについての紹介と、参画した背景についてお聞かせください

Datoramaは、2012年にメディアマインド(現Sizmek)のTechリーダー、Ran Sarig(ラン・サリグ)、Efi Cohen(エフィ・コーエン)とHavas Digitalのエグゼクティブ・バイスプレジデントであった Katrin Ribant (カトリン・リバン)がイスラエルで創業した会社です。現在はイスラエルを開発拠点、米国(NYC)を本社に、マーケティングに特化したSaaS型マーケティングBI企業として、世界唯一のマーケティング統合エンジンをブランド企業、広告代理店、メディア運営会社、マーケティング系プラットフォーマーに提供しています。2015年Gartner データドリブン・マーケティング部門のクールベンダーにも選出されています。Datoramaの柔軟性と拡張性、マーケター自らが活用可能な、マーケティング統合エンジンである点が評価されました。

私が今回Datoramaに参画した背景は主に2つです。”マーケティングの在り方”と、”人や組織の働き方を変革できる”と確信したからです。

まず、”マーケティングの在り方の変革”ですが、ほぼ全てのマーケティング全数がデジタル化・数値化可能な時代になったここ数年ですが、デジタルチャネルは元より、オフライン広告含め数値化可能なチャネルが増え、組織もサイロ化している企業にとっては、マーケティング活動の透明化やROIの可視化が困難な時代に突入してきたとも言えます。
前職のGoogleでは、デジタルデータのほぼ全数を取得する形で、統合的モデル実現の推進サポートをしていましたが、様々な要因でうまくいかないことも。10年以上私自身も顧客・社内で様々なダッシュボード構築やKPI設計及び運用に携わってきた中でDatoramaのビジネスコンセプトを聞き、実際のデモを見て、一瞬でこれだと思いました。

二つ目の”人や組織の働き方”ですが、私はワークスタイルにはそれなりの拘りがあります。サイバーエージェント時代には男性初の育児休暇を取得しました。一方で、取締役として在籍していた子会社のモバイルマーケティング企業の市場シェアを皆で力をあわせ30%まで成長させていました。生産性が低い業務は最適化し、本来やるべき仕事に、成果を生み出すことに時間も頭脳も集中投資すべきだと考えています。前職のGoogleではそれが組織として当たり前のようにできていたのには驚愕しました。
Datoramaが提供するダッシュボードは生産性の低い作業を大幅に削減し、最も時間を投資すべき業務に集中できる素晴らしいソリューションです。Datoramaを導入したあるお客様では、1日最大4 時間のレポーティング業務が1時間まで削減され、年間 720 時間削減を達成し、業務効率の大幅改善を実現されました。マーケティングの在り方をより良くするだけでなく、働き方そのものも変えていくと思っています。

Datoramaの創業地イスラエルはスタートアップ国家として技術革新の注目を浴びていて、日本の人口の1/16にも関わらずスタートアップへの年間の投資金額は日本の約2倍と言われています。Google、Appleなども大規模な開発センターをイスラエルに置き、勢いを増しています。そういった技術革新の著しい環境に身をおけることも楽しみにしています。

― Datoramaの日本でのビジネスの現状についてお聞かせください。(クライアント数、クライアントの属性、代表的な導入事例など)

グローバルでは23業種 / 2000+ ブランド/ 200+ エージェンシーに、日本でも既に電通様、電通デジタル様、SuperShip様、Yahoo!Japan様などに導入いただき、それぞれが持つ広告主様へ活用されております。広告主様主導の導入も増えてきております。

― Datoramaの事業戦略(プロダクト、ターゲット、チャネル、プロモーション)と今後の展望についてお聞かせください

今でも機械学習を実装し、データマッピングや将来予測をサポートしていますが、さらに2017年は人工知能(AI)の研究開発に集中していきます。将来的にはAIを搭載したInsight Bot(インサイト・ボット)という機能になり、一段も二段も上の事業判断迅速化のサポートをしていきます。全てのデータを継続的に学習し、過去と現在の実績を自動で分析し、KPI達成に関わる問題点などを自動抽出し、アラートなどを出していきます。ユーザーはダッシュボードを見る以前から「どこに、どのような問題があるのか?」がわかるため、一段と効率的かつ効果的に次の施策を打っていくことができます。Insight BotはPDCAの最適化からKPIの管理・最適化、ひいては事業全体の成長をサポートしていきます。今年9月に米VCライトスピード・ベンチャー・パートナーズからシリーズCラウンドとして3,200万ドル(約33億2,800万円)を調達しましたが、大部分をAI開発に当てる予定です。
来年も引き続き、マーケティング活動・投資の透明化やKPI策定に悩むCMOやマーケティング担当者、ウェブ担当、代理店、媒体社の皆さんをサポートしていきたいです。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。