希少性高い女性向けインストリーム動画広告で勝負を挑むクエスト・コミュニケーションズのビジネス [インタビュー]

成長を続ける動画広告市場で、恒常的な在庫の供給不足の解消と多様性が求められているインストリーム動画広告の市場に、新たな事業者がプライベート・マーケット・プレイス(以下PMP)として本格参入する。

クエスト・コミュニケーションズの代表取締役社長 桜井 賢氏に、同社サービスの概要とその独自性についてお話を伺った。

(聞き手: ExchangeWire Japan 野下 智之)

女性向けコンテンツとインストリーム広告をパッケージで提供

― 貴社の概要についてお聞かせください。

写真1

当社はF1層、F2層のユーザーをターゲットとし、女性向け優良媒体を動画PMPとして提供する会社です。設立は2016年9月です。

3000近くのコンテンツを仕入れ、そこにインストリーム広告を挿入して媒体社に”コンテンツと広告のパッケージ”として提供、媒体社、コンテンツホルダー、そして当社でレベニューシェアをするというビジネスを展開しています。

広告配信先媒体は、大手の優良な女性向けカテゴリを持ったメディアに限定します。
動画プレイヤーは、JW Playerをベースに当社向けにカスタマイズしたものを使用しています。日本ではまだ当社以外では使用していないため、まずはこのプレイヤーを媒体社様に導入いただいております。

また、一部動画制作も行っており、企画から有望タレントのキャスティング、音楽、撮影など全てを含めた高クオリティーの動画を100万円でご提供しています

その他、オウンドメディアへの動画コンテンツや配信プレイヤーのみの提供も行うことも出来ます。

― ターゲットとされているクライアント層についてお聞かせください。

ロゴ

主にTVCMを出稿しているようなトイレタリー・化粧品などの女性系の商材を取り扱われているクライアントさんを想定しております。テレビではリーチしにくくなったF1層、F2層に向けて補完的に当社のサービスを利用いただければと考えております。

― 配信可能な在庫量はどのくらいになりますか?

当初は月間で3000万ストリームになります。
今インストリームの在庫は限られているので、広告会社さんからは1000万あれば十分なボリュームであるといわれています。
今後億単位のストリームを目指してまいります。

― 対応デバイスやプレイヤーのフォーマットについてお聞かせください。

対応デバイスはマルチデバイスです。比率は、スマートフォンの方が多いです。また、動画プレイヤーはまずは画格が16:9の比率のものを中心に提供してまいります。これはTVCM素材の画格に合わせています。

― 動画素材の尺の長さはどのくらいまで対応されるのでしょうか。

基本的にはスキップ不可で15秒を推奨しておりますが、クリエイティブの内容によっては最大で30秒まで対応できるかと思います。

― 単価はどのくらいの水準を想定されていますか?

写真2

キャンペーンとしてまずはCPM2000円~2500円でお試しいただいた後は、4000円でご提供させていただきたいと想定しております。

― 貴社PMPのビジネスモデルは、英国のPerform Group社のモデルに近しいという理解でよろしいですか?

はい。先方が、スポーツ系媒体をネットワークしているのに対して、女性向け媒体に特化してネットワーク化をしています。

― 媒体社に提供する動画コンテンツはどのようなものが多いのでしょうか。

How toものが多く、ヘアアレンジ、メイクアップ、ヨガインストラクト、その他グルメなどどれも高いクオリティーのものです。
動画コンテンツの中には、スマートフォンユーザーを想定し、字幕スーパーをつけて音声なしでも内容が伝わるように編集をするなどをしているものもあります。

一方で、株式会社MANTAN(旧称毎日新聞デジタル)さんが運営する毎日キレイなどのメディアについては、先方の動画コンテンツに当社の広告を配信するというような取り組み方もしています。

アウトストリームではなく、インストリームの理由

― 貴社ではなぜ動画広告の中でもインストリームに注力されるのでしょうか。

インリードに関しては、一度見たことがあるTVCMなどで使われたクリエイティブであれば、恐らくユーザーは、完全視聴することなく即スクロールしてしまいます。
また、アウトストリームについては、ユーザーがコンテンツを見ているときに動画が動いていたら、わずらわしいと思うでしょう。ユーザビリティーの観点から、課題があると思っております。

YouTubeの場合には、ユーザーはサイトに動画を見に来ているわけであり、自分が見ようとしている動画に広告が入ると邪魔されたように感じてしまいます。

一方で、読み物のコンテンツを見に来てそこにたまたま動画があったとします。例えば、ヘアアレンジの情報を得るためにユーザーが見に来たサイトに髪の毛の乾かし方に関する動画があったとき、それを再生して広告が入っていたとしても、ユーザーはあまり邪魔に感じないであろうというのが私たちの仮説です。ですので、女性系というテーマで、ユーザーの視聴態度に沿った、邪魔に思われないような内容のインストリーム動画広告を提供していきたいと考えております。

― 貴社が提供される動画広告は、既存の他の動画広告商品と比べても、ユーザビリティーの観点で親和性が高いということですね?

とある商品のECサイトで試験的に製品使用を解説する動画コンテンツと広告を配信してみました。売上の減少もなく、またユーザーの滞在時間も多少伸びました。配信しはじめて数カ月経ちますが、クレームも1件も来ていません。
このような実証実験を経ているので、媒体社様にも安心して導入いただくことが出来ます。

― 広告の配信は、RTBに限定されないのでしょうか。

一部外資系の広告主様の場合には、DSPを使いRTBで買い付け戴くケースも出て来るかもしれませんが、多くの場合は手動取引になります。

一般的に、DSPを使ってRTB配信をすることがPMPであるための条件であるように言われていますが、実際のところ明確な定義はなく、PMPは、RTB取引である必要はないと思っています。

Open RTBによる広告取引は、どこに広告が配信されるのかが分からないという買い手側の不安が払しょくしきれなかったことが懸念事項でした。当社のPMPはクライアント様にとっては安心して出稿出来、そして媒体社様にとっては単価を高く提供できるというところがメリットとなります。

1億ストリーム数を視野にビジネスを拡大

― 今後の展開としてどのようなことを考えておられますか?

写真3

女性系でまだまだ入っていない媒体も沢山あるので、年内にはストリーム数は億単位まで拡大していきたいです。

新しい動画広告フォーマットの商品化も進めております。インターネットならではのインタラクティブな環境で、色々なユーザー体験が出来るような動画広告を提供していくというところに力を注いでいきたいと考えています。

タグ

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長

外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。