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その広告費、しっかりと見られる広告に投資できていますか!?-ABEMAが語る動画広告業界の課題[インタビュー]

コロナ禍でも成長を続ける動画広告市場。市場が大きくなると同時に、様々な課題も見えてきている。特に業界関係者の声として共通するのは、「どのように評価するか」ということ。

動画広告の効果について業界でもトップクラスの件数の案件を調査してきたという、AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト小島 功 氏に、動画広告の評価に関する課題について、お話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

動画広告の効果

動画広告の効果については、日々調査をする中で、本質的な投資ができていないのではないかと感じるデータに触れることがよくあります。

一例を挙げると、広告配信の対象が顕在層なのか、低関心層も含めているのかでは効果が大きく異なる結果になるというものです。

 

私は、現状の広告業界では動画広告の扱われ方が、データドリブンになり過ぎていると感じています。ここでいうデータドリブンとは、例えば効果が単にCPIやCPAで評価されてしまうという意味合いです。これらの指標の最適化に傾倒するがゆえに、配信先が、「もともと効果が出やすい層」にターゲティングされてしまう傾向になりがちです。

そうなると、比較的効果が出にくい低関心層へのアプローチが軽視されてしまいます。

これはここ最近広告業界全体でみられるようになってきた傾向です。

プライバシー保護に対する声が高まりつつある中では、このような表面的な効率を求めたターゲティングをし続けていくと、ユーザーから広告が受け入れられにくくなってしまうと思います。

広告主が広告を出稿する際に、指標上効果が出やすいユーザーを求めることにより、媒体側もそれを受けてそのようなユーザーに絞って配信する傾向がありますが、そればかり続けていくと先細りしてしまいます。

広告は、表面上の指標に表れてこないユーザーを含め、どのようなユーザーに対しても効果を出すことが出来るというのが理想です。

顕在層に対する広告効果のみならず低関心層にもアプローチをし、これらの層に対する影響力も含めて、媒体評価をしていくことが大切だと感じています。

 

 

本当に効果に寄与したリーチは?

他にも本質的な投資を実現するにあたって、課題を感じるデータがあります。それは、ある事例で検証したメディアA、メディアBにおいて、一見メディアAの方がメディアBに比べてブランドリフト効果が高くても、実は同時に出稿していたテレビCMなどによる重複接触を除外した真の単独効果を見てみるとメディアBの方が効果が高かったという事例です。

これは、他のメディアのリーチによる影響を大きく受けているにも関わらず、レポート上ではその前後でリーチしたメディアに対し高い評価をしてしまう可能性があるということです。

ユーザーが態度変容や購買行動に至るまでにはさまざまな広告に接触しているケースがほとんどであり、本当に効果に寄与したリーチはどれなのかを慎重に見極める必要があります。

 

 

見られていないimpに流れる広告費

先日行った調査では、動画広告の視聴完了をしたユーザーのブランドリフト値が視聴完了をしていないユーザーよりも大幅に高くなる結果になりました。

リーチ単価の安い媒体が優先して選定されることが多いですが、レポート上のリーチ単価は安くとも、広告が少ししか見られていない分もコストに含まれてしまっているものが沢山あるとすると、実際には最終的に求めていた効果に対してのコスト効率は悪くなってしまいます。

リーチ単価が重要で、実際にその広告が見られたか見られていないかはそこまで気にしていないという方もいらっしゃいます。しかし、本質的な投資を実現するためには、単にリーチしただけではなく、視聴完了率など「しっかり見られているかどうか」を測る指標を評価することも重要だと考えています。

 

 

広告の本質的な投資の実現に向けて

iOSがアップデートされ、IDFAの利用が今後制限されるといわれています。そうすると、データで補足することが出来るユーザー数が減り、機会損失が起こり、広告効果が減衰してしまうのではないか。業界ではそのような懸念の声も聞かれます。

ですがこれは逆に、今までそこに頼りすぎて、表向きの指標を重視し効率だけを追求してきたということを見直す良い機会ではないかと思っています。データに頼るところはありつつも、先ほどお話した、顕在層や関心の高い層だけをすくい取って評価をして満足をしていないか、リーチしたユーザーはしっかりと広告を見ているのかなどといったセルフチェックをして、動画広告の本質的な効果を見極めるという発想や行動に、業界全体が転換していくことが出来ればいいのではないかと考えています。

 

広告主の本質的な投資を支援していくには、しっかりと見られる広告を作らなければなりません。ABEMAは、できるだけユーザーが「見せられている」と感じてしまうようなことをなくすような広告フォーマットを実現するため、コンテンツ視聴を邪魔しない表示タイミングや見せ方等の取り組みを続けており、その効果分析も恐らく業界でトップクラスの数を実施していると自負しております。この結果を今後の新たな商品開発にも活かしてまいります。

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。