新世代のシゴト観-「まずやってみる」から始まった、マーケティングチーム立ち上げへの挑戦:ジーニー・原本真希氏
アドテク業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性の高い業界用語と向き合いながら、自社のプロダクトやサービスを、顧客をはじめとするさまざまなステークホルダーに分かりやすく伝えていくことが求められる。彼らはどのような価値観を持ち、日々の仕事に向き合っているのか。 アドテク業界の広報・マーケティングを担う人々へのインタビューを通じ、そのリアルに迫る。 第10回は株式会社ジーニーでGENIEE SSPをはじめとするパブリッシャー向けサービスのマーケティングを担当する原本真希(はらもとまき)氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 加納 奈穂) 担当領域は「マーケティングに関わる仕事ほぼ全部」 原本氏はジーニーのサプライサイド事業部に所属し、GENIEE SSPを中心に、パブリッシャー向けプロダクトやサービスのマーケティングを担っている。 担当領域はケーススタディの制作、オフラインイベントやウェビナーの企画・運営、広告運用、LP制作、メール施策、プレスリリースの作成など多岐にわたり、「マーケティングに関わる仕事をほぼ全部」を担当しているという。 また、国内だけでなく、インドや東南アジアのチームとも連携している。クリエイティブ制作を海外のデザイナーに依頼したり、施策の進行や数値を管理したりする機会も増え、英語で行われるミーティングも日常の一部だ。 現在の大きなミッションは、新規開拓を担う営業チームと連携し、ジーニーと新たに接点を持つパブリッシャーを増やすこと。すでに多くのメディア企業と取引がある一方、まだ接点を持てていない企業もある。そうした企業に対しプロダクトの情報をどう届け、知ってもらい、商談につなげていくか。それを考えるのが原本氏の役割である。 マーケ未経験。前例もない。でも全力でやり抜く。 原本氏の仕事内容を見ると、もともとマーケティングを専門に学んできたようにも見えるが、キャリアの出発点は営業だ。2023年に新卒でジーニーへ入社し、パブリッシャー向けサービスを担うサプライサイド事業部での新規営業、既存営業を経験。その後、マーケティングチームの立ち上げを任された。 当時、サプライサイド事業部には専任のマーケティング担当が存在していなかったという。原本氏自身もマーケティングは未経験。「誰も正解が分からない状態だった」と振り返る。 だからこそ「まずやってみること」と「いろいろな人に相談すること」を心がけ、社内の別事業でマーケティングを担うメンバーに話を聞いて回った。自分でも試し、うまくいかなければ次の方法を考える。試行錯誤を重ね、少しずつ自分なりの仕事を形にしていった。 そもそも原本氏には、営業時代から感じていた課題があった。 「自社には良いプロダクトやサービスがあります。でも、ずっとマーケティングをしてこなかったので、まだ利用していないパブリッシャー様から見たジーニーのイメージと、実際に自分たちが提供できる価値にはギャップがある。その差を埋めたかったです」 その思いが未経験の業務への異動を前向きに受け止める理由にもなったという。 BtoBマーケの「定石」が、そのままでは通用しない。 サプライサイド領域のマーケティングには独特の難しさがある。市場が成熟しているうえ、ターゲットとなる企業や担当者の母数も決して大きくないのだ。企業によっては広告マネタイズの担当者が1、2人というケースもあり、一般的なBtoBマーケティングで良しとされる施策を当てはめても、期待した結果にならないことがよくある。 原本氏自身、立ち上げ当初は社内のAIやSaaSなど別事業のマーケターからさまざまなノウハウを聞いた。しかし、「同じようにやっても、サプライサイドで成果を出すのは難しい」と感じる場面が何度もあったという。 感覚だけで施策を進めることはできないため、必要な売上から逆算し、商談を何件つくる必要があるのか、そのためにどの施策で何件の接点を生み出すのか、目標を細かく設定した。 原本氏に課せられたマーケティングの主なKPIは商談数だ。認知を目的とした施策など数値化しづらいものに難しさを感じながらも、上司と議論し、数字に落とし込みながら施策を組み立てていったという。 「面白かった」の声が次の取り組みへ。オフラインイベントで得た手応え これまでのマーケティングとして取り組んできた業務の中で、原本氏には特に印象に残っている2つの施策があるという。 一つは、外部メディアを活用した顧客事例の発信。自社のオウンドメディアだけでは、すでにジーニーを知っている人には届いても、まだ接点のない層までリーチするのが難しい。そこで外部の媒体を通じ、パブリッシャーのマネタイズに課題を持つ人へ情報を届ける取り組みを行ったのだ。 「マーケティングとしての予算を使う取り組みはあまり実施してきませんでした。社内で稟議を申請したり、顧客とメディアの両方と密にコミュニケーションを取ったり、とても良い経験になりました」 もう一つが、他事業者と共同で実施した「サプライパス最適化」をテーマとしたオフラインイベント。パブリッシャー・SSP・DSP、それぞれの視点を交えたトークセッションを企画し、40〜50人ほどが参加したという。 テーマ設定やアジェンダづくりでは、営業時代に身につけたアドテクの知識を生かした。構成案を作り、社内レビューを経て、登壇企業とも調整を進めながら内容を詰めていく。 「参加者の立場や理解度がさまざまな中で、どこまで専門的に踏み込むべきか。ニッチなテーマでやらせてもらいましたが、バランスを取るのが本当に難しかったです」 試行錯誤しながら形にしたイベントでは、業界に精通した参加者から「面白い企画だった」と声をかけられ、その後の取り組みにつながったケースもあるという。 AIに任せる仕事と、人にしかできない仕事 マーケティング未経験から仕事を覚え、業務を作り出してきた原本氏にとって、生成AIは心強い存在だという。たとえば広告キャンペーンを始める際、これまで触ったことのないツールや設定が出てくることもある。そうした場面ではAIに質問し、知識を補いながら実践している。 また、海外チームとの英語ミーティングでも、議事録作成や翻訳の補助に活用している。 「営業をやっていたので自社のプロダクトやアドテクへの理解はありますが、マーケティングの知識はありません。例えば広告出稿するためにコンバージョンタグを埋め込む必要がある。でもGTMを使おうにも触ったことがない。そんな時はAIに聞いて設定について教えてもらったりしています。AIを活用できる時代にマーケティング担当になることができて本当によかったと思います」 一方で、AIに任せることのできない領域もあると原本氏は考えている。それが、「顧客が本当に考えていることや困っていることを、腹を割って話してもらうこと」だ。 表面的な要望だけでなく、その背景にある課題を聞き出し、理解したうえで、適切な形で発信していく。AIに作業の一部を任せることはできても、クライアントニーズを正しく掘り下げていく一連のプロセスは、人が担うべき領域だという。だからこそ、オンラインでの商談が当たり前になった今も、直接顔を合わせて顧客の生の声を聞ける場を大切にしていきたいと考えている。 「顔の見える関係をつくろう」とすること 原本氏に仕事をする上で大切にしていることを聞くと、「なんでもトライしてみる」「好奇心を大切にする」「いろいろな人と話す」という三つの姿勢をあげた。加えて、社内でのコミュニケーションについて重視していることを尋ねると、少し意外な答えが返ってきた。 「顔の見える関係を、部署や国を超えてつくろうと心がけています。」 その意味するところは何か。 「一人では進めることができない仕事がたくさんあります。普段から接点があり、互いを知っている人から頼まれた方が、『一緒にやろう』と思ってもらえますよね。だから会社の懇親会だけでなく、日常的なコミュニケーションも大切にする。海外チームのメンバーとも、仕事の話ばかりではなく、食べ物の話など何気ない会話を交わして、距離を縮めることを意識しています。結果、他部署のマーケ担当者の力を借りられたことでチームの立ち上げに成功しました。海外チームとの連携がスムーズにできたのも、このおかげだと思っています。」 原本氏は営業チームとの週次ミーティングに加え、Slackのチャンネルも自ら確認しているという。自分が渡した商談がその後どうなったのか、現場でいま何が起きているのか。 「情報は吸い上げるというより、自分から取りに行くようにしています」 情報を待つのではなく、自ら取りに行く。その積み重ねが、営業やプロダクト、海外チームとの連携を支えている。 若手でも、やる気があればチャンスが来る 現在の仕事のモチベーションは「若手でも、やる気があればチャンスをもらえる環境」だという。 2023年に新卒でジーニーへ入社し、営業からキャリアをスタートした原本氏。営業を経て、未経験のマーケティングを任され、今では海外チームとのミーティングで施策の進行まで担うようになった。 英語が堪能だったわけではないが、気づけば、海外のメンバーと定期的に会議をし、自ら依頼や指示を出すことが日常になっていたという。 「もともと英語が得意でもないのに、海外メンバーとの連携も任せてもらっています。ジーニー以外の会社なら英語ができなければ担当できないポジションだと思います。そんな貴重な経験をさせてもらってありがたい環境にいるので『全力で頑張ろう』と思っています」 ジーニーには、新卒・中途といった区分にとらわれず、やる気のある人に仕事を任せる文化があるという。 マーケティング未経験からでも、好奇心を持って挑み、周囲に相談しながら前進することで、仕事の幅を広げていける。営業からマーケティングへ、さらに海外チームとの連携へ。任された仕事に向き合うなかで、少しずつ担当領域を広げてきたのだ。 「SSP」の枠を超えた価値を伝えたい 今後、原本氏は「ジーニーが提供できる価値をより正確に伝えていくこと」を目指しているという。 「GENIEE SSPという名称ではありますが、実はパブリッシャーの広告マネタイズを支援する複数のプロダクトやソリューションがあります。にもかかわらずSSPに限定されたイメージが強い。SSPにとどまらず『パブリッシャーの課題を一気通貫で支援できる存在』として知ってもらいたいです」 取材の最後、これからアドテク領域に関わる人へのメッセージを尋ねると、「アドテクについて何も知らないままやってみたら、すごく楽しかった。きっと何かのご縁だと思うので、一緒に頑張って業界を盛り上げていきましょう」と続けた。 専門知識や経験がなくても、知らないことに興味を持ち、一歩踏み出してみる。その先で、自分にも思いがけなかった仕事やキャリアに出会うことがある。 原本氏のストーリーは、広告業界を目指す人だけでなく、これから就職活動をしていく若い世代にも、そんな可能性を感じさせるものだった。
SSPの役割は「実行」から「意思決定」へーIndex Exchangeが語る「セルサイドデシジョン」とは[インタビュー]
プログラマティック広告における意思決定が、バイサイドからセルサイドへと広がり始めている。クラウドインフラや処理技術の進化を背景に、SSPが取引のより早い段階でデータやシグナルを活用する「セルサイドデシジョン」への注目が高まる。 Index ExchangeのStuart Gregory氏に、その仕組みやメリット、日本市場における可能性について聞いた。 (Sponsored by Index Exchange) ―自己紹介をお願いします。 Index Exchangeでシニアバイヤー・ディベロップメントディレクターを務めるStuart Gregoryです。デジタル広告業界での経験は10年以上になります。 MediaMath Japanでは、ビジネスデベロップメントおよびカスタマーサクセスのバイスプレジデントとして、またGoogle Japanではプロダクトスペシャリストを務めてきました。 Index Exchangeでは、広告業界における代理店との関係構築を担当しており、カスタムパートナーシップの推進、キュレーテッドディールの作成、そしてプラットフォームエンゲージメントを通じて、透明性が高く、価値の高い取引の実現をサポートしています。 広告取引の「意思決定」がセルサイドへ ―近年の広告取引の動向をどう見ていますか。 過去15年間、プログラマティック広告における価値創出の大半は、バイサイドで行われてきました。データアクティベーション、最適化、ブランドセーフティといった要素はすべてDSP 側で担われており、セルサイドは付加価値の低い役割にとどまり、戦略よりもインフラや実行を担う立場に置かれてきたといえます。 その結果、効率の悪さによりコストが増加する、偏ったエコシステムが生まれました。パブリッシャーは、なぜ一部のインプレッションが落札され、他が落札されないのかを把握できず、サプライサイドでのイノベーションも停滞し、市場全体の可能性を狭めていました。 しかし今、クラウドインフラ、並列処理、エッジコンピューティングの進化により、セルサイドでもよりスマートなリアルタイムの決断が可能となり、入札が送られる前に、より広範なインターネット上のシグナルを活用できるようになっています。 こうした技術の進歩は、これまで不可能だったことを、わずかな時間の中で実現します。オークションのより早い段階でサプライサイドにインテリジェンスを適用できるようになったことで、セルサイドにおけるイノベーションの新たな可能性が開かれます。 ―Index Exchangeではセルサイドにおける新しい考え方「セルサイドデシジョン」を提唱されています。説明いただけますか。 セルサイドデシジョンとは、バイサイドで一般的に用いられてきたロジックやターゲティングパラメータ、最適化の手法をセルサイドにも適用するという考え方です。DSPを代替するものではなく、バイヤーは引き続きDSPを介して取引を行います。むしろ、より質の高いシグナルやスケール、精度を取引の早期段階から提供することで、 DSPがより的確な判断を下せるよう支援します。これは、広告エコシステム全体にメリットをもたらします。 ―これまでセルサイドには「キュレーション」という考え方がありました。キュレーションとセルサイドデシジョンの違いは何でしょうか。 キュレーションは以前、懐疑的に見られることが多くありました。マージンを搾取する手段だと思われたり、DSP内で決められた条件に沿って機械的に選定するだけの取引に過ぎないと捉えられることがありました。しかし今では、キュレーションはデータや在庫、インサイトを組み合わせて成果につながるソリューションを作る、戦略的な取り組みとして位置づけられています。 ここで理解していただきたいのは、キュレーションとセルサイドデシジョンは別々のものではなく、サプライサイドのデータやシグナルを活用する代表的な活用方法の一つであることです。セルサイドデシジョンとは、インプレッションに近い、より早い段階でインテリジェンスを適用する、大きな変化そのものを指します。キュレーションは、セルサイドデシジョンを実践する方法の一つにすぎません。 ―広告主や広告代理店がセルサイドデシジョンを活用するメリットは何ですか。 最大のメリットは、セルサイドデシジョンによってインプレッションが発生するタイミングに近い段階でインテリジェンスが適用されるため、最も正確なシグナルを基に判断できることです。 ―パブリッシャー側にはどのようなメリットがありますか。 パブリッシャーにとってのメリットは、可視性とコントロールにあります。これまでは把握できなかった、自社の在庫がどのように扱われているかだけでなく、自社のオーディエンスがどのように評価されているかも把握できるようになります。 そのため、その評価に応じて適切な対応ができるようになります。また、新たなマネタイズの機会も生まれます。プライバシー上の制約により、これまで活用が難しかったファーストパーティデータを、単体のアセットとして販売し、収益化できるようになるのです。 ―実際にセルサイドデシジョンによって成果が改善した例はありますか。 具体的な事例の一つとして、効率性とパフォーマンスを改善した国内大手小売り企業が挙げられます。Index Marketplacesを通じてセルサイドデシジョンを導入した結果、CPMを20%削減しながら、クリック数を620%増加させることに成功しました。 多くの企業と同様に、この企業もこれまでバイサイドの最適化のみを利用しており、どの入札リクエストが質の高いエンゲージメントにつながりやすいかを示す、セルサイドのシグナルを活用できていませんでした。これは、バイサイドだけにとどまらず視野を広げることで、どのような機会が存在するかを示す好例だと言えます。 拡大するSSPの役割、日本市場でも実装へ ―セルサイドでの意思決定により、DSPとSSPの役割は変化するのでしょうか。 これは、誰かの立場に取って代わるものではありません。DSPは引き続き、キャンペーン戦略、最適化、予算配分において重要な役割を担います。セルサイドは、あらゆる入札リクエストを取引の早い段階から最適化し、すべての関係者により高い価値を提供します。とはいえ、セルサイドの役割は確実に拡大しています。 SSPが一部の判断を取引のより早いタイミングで担うことで、DSPはキャンペーン戦略と最適化に注力でき、無駄のないプロセスが実現します。役割の変化というよりは、進化といえます。 ―海外と比較して、日本でのセルサイドデシジョンへの関心はいかがでしょうか。 キュレーションは、この1年で日本の業界で注目を集めるキーワードです。アドレッサビリティやMFAサイトへの懸念、また、確実に適切なオーディエンスにリーチする必要性の高まりと密に関わっています。注目すべきは、これが単なる話題にとどまらず、新たな企業との連携やセルサイドデシジョンを活用した取り組みの実施につながっているという点です。 広告主に対して、安全で適切な在庫を提供するために、自社で配信面を選定したいという広告代理店からのニーズは、日本国内でも強く、Index Exchangeはそうしたニーズに応えるために、Index Marketplacesを提供しています。そのため、日本は遅れているというよりも、グローバル市場としっかり足並みを揃えていると言えるでしょう。 ただ現時点では、セルサイドデシジョンの中でもキュレーションの領域が先行しており、広告代理店やデータプロバイダーがその流れをリードしています。セルサイドデシジョンが持つ本来の可能性をより広く活用していくことが、今後の課題だと考えます。 ―セルサイドデシジョンは新しい考え方といえます。今後どのような形で定着していくと考えられますか。 これは一過性のトレンドではなく、本質的な変化だと捉えています。SSPのインフラや処理能力がようやく今日のデジタルメディア環境の複雑さに追いつき、わずかな時間内でインテリジェンスを適用できるようになりました。 日本のような市場は、今後の展開を示す良い指標だと思います。日本では、キュレーションが単なるバズワードから、わずか1年ほどで実働に移行し、広告代理店やデータプロバイダーがその先陣を切りました。同じパターンが、他の市場でも繰り返されていくと考えています。私の見解では、セルサイドデシジョンが「新しい考え方」であり続ける期間は長くないと思います。ヘッダービディングやリアルタイムビディングがかつてそうであったように、いずれは、プログラマティック取引で当たり前の存在になっていくと考えています。
【11/5 無料オンラインイベント開催】ExchangeWireJAPAN ThoughtLeaders #011 RTB House Japanが解説「どの広告AIも同じに見える時代に、何を見極めるべきか」
ThoughtLeadersは、ExchangeWireJAPAN編集部と、業界に影響力のある専門家によるキートピックスに関するプレゼンテーション、Q&Aトークやパネルディスカッションなどをお届けする、無料で参加できるバーチャルミニライブイベントです。 第11回は「どの広告AIも同じに見える時代に、何を見極めるべきか」をテーマとして、11月5日(木)17時より開催いたします。 今回のゲストは、独自開発したディープラーニング(深層学習)AIアルゴリズムを活用するデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を運営するRTB House Japan カントリーマネージャーの奥内 鉄治 氏です。 機械学習全盛の時代となった現在、ほぼすべての広告配信プラットフォームがデータとAIを最大限に活用した配信最適化を行っています。オンライン広告業界全体で配信精度や効率が高まる一方、各プラットフォームが搭載するAIエンジンの性能や仕組みの違いが見えにくくなっているのも事実です。 「AI搭載」が当たり前となったオンライン広告市場で、プラットフォームの違いをどう見極めるべきか。本セミナーでは、AI全般そして深層学習が担う入札判断と商品・クリエイティブ選択の実態をひも解きます。さらにはAIの性能を成果につなげるためのデータ整備と評価設計、リターゲティングの再定義、マーケターが担うべき役割についての議論を展開。あわせて、Cookieレスをめぐる議論を振り返り、現在のオンライン広告の配信環境を整理します。 セミナーの主な論点 ・広告配信における「深層学習」と「一般的な機械学習」の違い ・広告AIを最大限に生かすためのデータとは ・AI全盛時代においてマーケターに求められる役割と工夫 【開催概要】 ■日時 11月5日(木)17:00~17:50ごろ ■開催方法 ZOOMにて開催 ※URLは、お申し込みをいただいたのち、開催日当日14時までにお送りします。 ■費用 無料 ■プログラム 17:00-イントロダクション 17:05-「RTB House Japanからのプレゼンテーション」 17:35-登壇者とExchangeWireJAPAN 編集部とQ&Aトーク 17:50ごろ-終了 ■スピーカー RTB House Japan株式会社 奥内 鉄治 氏 ■モデレーター ExchangeWire JAPAN 編集部 角田 知香 ■お申込み締め切り 11月4日(水)10時 ■本イベントの対象となる方 ・自社データを活用した新たな広告運用をご検討中のマーケター・広告担当者様 ・従来のやり方に限界を感じ、新たな配信手法を模索されている広告代理店様 ・深層学習を活用した最新のアドテクに興味のある業界関係者様 ■ウェビナー視聴方法 ・お申込みページに必要事項をご記入ください。 ・申込後、メールにてご案内しますリンクからご覧ください。 ・メールアドレスに誤りがある場合、メールが届かない可能性がございますのでご注意ください。 ・お申込者様にお送りするURLは、お申込みいただいた方のみがご視聴できる限定URLです。 ・第三者への共有や公開はご遠慮いただきますようお願いいたします。 (※注)主催者が、登壇企業と競合性が高いとみなした法人・個人の方からのお申し込みにつきましては、お断りすることがございます。恐れ入りますが、予めご了承ください。 ■注意事項 本イベントに登録されたお客様の個人データは、本イベントの適切な運営管理や情報提供及び各社のマーケティング活動に関する情報の連絡などを目的として、主催社である株式会社デジタルインファクト及びRTB House Japan株式会社が利用します。個人情報の削除をご要望される場合は、以下までご連絡ください。 E-mail: info@digitalinfact.com 株式会社デジタルインファクト プライバシーポリシーはこちら RTB House プライバシーポリシーはこちら (※注)主催者が、登壇企業と競合性が高いとみなした法人・個人の方からのお申し込みにつきましては、お断りすることがございます。恐れ入りますが、予めご了承ください。
SeenThis Japan、デジタル広告の「ブランドセーフティ」と 「無効トラフィック対策」の2分野でJICDAQ認証を取得
SeenThis Japan株式会社(本社:東京都港区、マネージングディレクター:今村 幸彦、以下 SeenThis Japan)は、2026年10月1日付にて、一般社団法人デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)が運営する品質認証制度において、「ブランドセーフティ」および「無効トラフィック対策」の2分野で品質認証事業者としての認証を取得した。 SeenThis Japanは、「オープンウェブにおける動画広告のパートナー」として、独自のアダプティブストリーミング技術により、ユーザーの通信環境に応じて動画を最適化することで、これまでは静止画向けと考えられてきたディスプレイ広告枠に動画クリエイティブを配信することを可能にしている。 広告主、そして代理店にとって、透明性が高く安全な広告取引環境を提供することが今後の健全なデジタル広告市場の成長のためには不可欠であると考えから、JICDAQ認証の取得に至った。これからもデジタル広告の品質向上を目指した取り組みを積極的に推進していく。 ■ JICDAQとは デジタル広告市場の拡大に伴い、広告が意図しない不適切な媒体に掲載されることによるブランド毀損リスクや、アドフラウドをはじめとする無効トラフィックによる広告費の詐取は、広告主・パブリッシャー双方にとって大きな課題となっています。こうした中、JICDAQは公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(JAA)、一般社団法人日本広告業協会(JAAA)、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の広告関連3団体を母体として2021年3月に設立され、デジタル広告に関わる事業者の業務プロセスを審査し、一定の基準を満たした事業者を「品質認証事業者」として認証する制度を運営しています。 ■ SeenThis とは オープンウェブ上には、まだ十分に活用されていない膨大な広告ポテンシャルが存在しています。 多くの広告主が大手主要プラットフォームでのリーチを追い求める一方で、ユーザーはプレミアムパブリッシャーやその他様々なコンテンツ上で多くのオンライン時間を過ごしています。 しかし、これまでオープンウェブ上での動画広告は、その力を十分に発揮できていませんでした。 SeenThisは、こうした状況に変革を起こします。 SeenThis はみなさまの動画広告パートナーとして、オープンウェブでも確かな成果が出ることを証明し、パブリッシャーの収益性を維持しながら、コスト効率の高い動画広告によって、より多くのアテンションと卓越した成果を実現します。2017年の創業以来、SeenThisは50カ国以上・5,000を超えるブランドに対し、数十億回規模のストリーミング配信を提供してきました。 ブランドには、オーディエンスがいるすべての場所でリーチする権利があり、パブリッシャーには、持続可能な収益を得る権利があり、そしてインターネットは、オープンであり続けるべきである、と考えています。 会社名:SeenThis Japan株式会社 マネージングディレクター:今村 幸彦 所在地:東京都港区麻布十番2-20-7 URL:https://seenthis.co/ja/ LinkedIn : https://jp.linkedin.com/company/seen-this-japan 本件に関するお問い合わせ先:info@seenthis.jp
進化するアドテク業界 ――「最良のパートナー」に求められるもの
日進月歩するアドテクノロジー業界が、再び大きな節目を迎えています。 ユーザーの過去の行動データに基づくターゲティングから、ユーザーの「今、この瞬間」の関心やニーズを捉えるターゲティングへ。 広告主にとって、こうしたテクノロジーの進化をどう活用するかは、「最良のアドテクパートナー」を選ぶ上でも、ますます重要なテーマになっています。 (Sponsored by GumGum Japan) 「今、この瞬間」のニーズを捉える 例えば、一日の仕事を終え、疲れを癒そうとあるバーに立ち寄ったとしましょう。そこは以前にも数回訪れたことのある店。バーテンダーは短いやり取りを交わした後、注文を聞くのではなく、あなたのその時の気分にぴったり合いそうなカクテルをさりげなく提案します。ひと口飲んでみると、まさに今の自分が欲していた味だった――。そんな体験は、とても心地良いものです。 優れたバーテンダーは、客の表情や仕草、来店した時間帯、そしてなぜそのバーを選んだのかといった、その瞬間に発せられているさまざまな「シグナル」を感じ取ります。以前来店したことのある客だからといって、過去に注文した飲み物を機械的に勧めるわけではありません。過去の履歴だけでなく、「今、この人は何を求めているのか」を読み取り、判断する。だからこそ、その時々のニーズに、より正確に応えることができるのです。 デジタル広告の世界でも今、同じような考え方が形になりつつあります。ここでいう「マインドセット」とは、単なる興味・関心ではなく、その人が今この瞬間、何に関心を向け、何を求めている状態なのかということです。同じ人であっても、朝と夜、仕事中と休日では、気分や関心、求めるものは変わります。過去に何を見たかという履歴だけでは、そうした「今」の状態までは捉えきれません。そこで、その時々に発せられているさまざまなシグナルから、現在の関心やニーズをより深く理解しようとするのが、GumGumの「マインドセット」という考え方です。 では、なぜ今「マインドセット」なのでしょうか。その背景を理解するために、これまでアドテクノロジーがどのように進化してきたのか、少し振り返ってみましょう。 DSPからコンテクスチュアルへ―アドテクの進化 デジタル広告業界における大きなイノベーションの一つが、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)の登場でした。それまでオープンウェブ上で細分化されていた広告取引は、DSPによって統合・集約され、最適化された広告を瞬時に大量配信できるようになりました。断片化されていたオープンウェブを横断してユーザーにリーチし、広告配信を大幅に効率化したという点で、非常に大きな進歩でした。リーマンショック後に開発・導入されたこの技術は、日本市場でも2010年代初めから広まり、現在も業界の中核的な役割を担っています。その後、Cookieなどを活用し、ユーザーが過去にどのようなウェブサイトを閲覧したのかといった行動データから、興味・関心を把握する手法が発展していきます。 しかし、過去の行動が、必ずしも「今」のマインドセットを表しているとは限りません。ユーザーの興味や関心は、気分や環境、時間帯などによって大きく変化します。先ほどのバーテンダーの例で言えば、「以前このカクテルを飲んだから、今回も同じものを求めているだろう」と判断するのではなく、その日の客の様子を見て、「今夜は別のものを勧めよう」と考えるのと同じです。 また、2018年に欧州でGDPR(一般データ保護規則)が施行されるなど、プライバシー保護をめぐる環境が変化する中で、改めて注目を集めたのがコンテクスチュアルターゲティングでした。これは、ユーザーが今閲覧しているウェブサイトやコンテンツをリアルタイムで把握し、その内容に関連する広告を自動的に選択・配信する技術です。コンテクスチュアルターゲティング自体は2000年代初頭から存在していましたが、プライバシー保護への意識が高まる中で再び脚光を浴び、デジタル広告の大きな進化の一つとなりました。 ユーザー理解を変える「マインドセット」 そして今、コンテクスチュアルターゲティングをさらに発展させ、ユーザーの「今」の状態をより深く捉えようとするのが、GumGumのマインドセット・テクノロジーです。その中核となるのが、Mindset Graph(マインドセット・グラフ)です。 Mindset Graphは、さまざまなシグナルを分析し、その瞬間に人々がどのようなことに関心を持ち、何を求めているのかを理解するためのインテリジェンス基盤です。つまり、「過去に何を見た人なのか」だけを見るのではなく、「今、どのようなマインドセットにあるのか」を捉えるための土台となるものです。 そして、このMindset Graphのインテリジェンスを、マーケターが実際の広告キャンペーンに活用するためのプラットフォームがMindset Portal(マインドセット・ポータル)です。Mindset Portalには、AIを活用した機能であるMindset Agent(マインドセット・エージェント)が搭載されています。 Mindset Agentは、キャンペーンの目的やメッセージを読み解き、Mindset Graphのインテリジェンスと掛け合わせることで、そのキャンペーンと親和性の高いマインドセットや広告掲載環境を提案します。さらに、そこで得られたインサイトをプランニングだけで終わらせず、DSPと連携することで、実際の広告配信までつなげることができます。 整理すると、Mindset Graphが「今」を理解するためのインテリジェンスの基盤となり、そのインテリジェンスをマーケターが活用するための場がMindset Portalです。そしてPortal内のMindset Agentが、キャンペーンに合ったマインドセットや配信環境の発見から、実際の広告配信までをサポートします。 「過去に何を見た人なのか」だけではなく、「今、この人は何を考え、何を求めているのか」。広告の送り手がユーザーをより深く、正確に理解し、その理解を実際の広告配信までつなげていく。それが、アドテクノロジーの進化における次のステップだと私たちは考えています。 最新技術を、既存の広告運用へ 一方で、ここで重要なのは、マインドセットがDSPに取って代わる技術ではないという点です。マインドセットのインテリジェンスをDSPと組み合わせることで、既存の広告配信の仕組みをさらに進化させる。その点にこそ、大きな価値があります。 Mindset Portalは、最初のDSPパートナーとしてThe Trade Deskとの連携を進めています。これによりマーケターは、Mindset Agentを通じてキャンペーンに適したマインドセットや配信環境を見つけるだけでなく、そのインテリジェンスをThe Trade Desk上の広告配信にもつなげることができます。 つまり、新たなインサイトを得るための「分析ツール」が一つ増えるのではありません。ユーザーの「今」を理解し、それを広告戦略に落とし込み、実際に届けるところまでを一つの流れにつなげる。新しいテクノロジーを導入するために広告運用の仕組みそのものを一から変えるのではなく、既存のDSPのワークフローとつなぎながら活用できることも、マーケターにとって大きなメリットと言えるでしょう。 「最良のパートナー」をどう選ぶか アドテクパートナーを選ぶ際、最新のテクノロジーを理解し、それをいかに実際の広告運用や成果につなげられるかは、常に重要な判断軸です。ユーザーの過去の行動を追うターゲティングから、「今、この瞬間」を捉えるターゲティングへ。テクノロジーの進化によって、広告主がユーザーを理解する方法そのものが変わりつつあります。だからこそ、これからのパートナー選びでは、単に「誰に広告を届けられるか」だけでなく、「その人が今、どのようなマインドセットにあるのかをどこまで理解し、その理解を実際の広告配信につなげられるか」という視点も、重要になってくるのではないでしょうか。 (文:セルビー健三) コラム執筆者 セルビー健三 GumGum Japan, Managing Director AOL、Teads、GumGumなど国内外のアドテク企業で、日本市場の立ち上げと事業拡大に従事。TeadsではHead of Salesとして成長を牽引し、退任時には同社を国内リッチメディア広告市場を代表するプレイヤーの一社へと成長させた。 現在はGumGum JapanのManaging Directorとして、日本における事業戦略と成長を統括。グローバルのテクノロジーやプロダクトを日本市場に適応させるだけでなく、日本独自のニーズを起点とした事業・プロダクト展開にも注力している。マーケティングテクノロジーアワード2025ではAPAC初となる受賞を実現したほか、CTV向け広告フォーマット「In-Video」の展開など、日本市場からGumGumの新たな可能性を広げている。 近年は、ブランディング広告を認知や好意形成にとどめず、来店や購買といった事業成果までつなげ、その価値を可視化する取り組みにも注力。テクノロジーとクリエイティブを掛け合わせながら、ブランド広告がビジネス成長に果たす役割を日本市場で広げていくことを目指している。
AI検索でカスタマージャーニーはいかに変化するかーRTB Houseが調査結果を発表[インタビュー]
AI検索が日常化したことで、消費者が探し求める商品に行き着くまでのカスタマージャーニーはどのように変化していくのか。ECマーケターにとって目下最大の関心事となるこのテーマを探るべく、RTB Houseが調査を実施した。その調査結果について、来日した同社幹部に話を聞いた。 (Sponsored by RTB House) AI検索の実態把握は「至上命題」 ―自己紹介をお願いします。 RTB Houseにて、VP, Global Product Commercializationという役職を務めるジェイセン・グレスピーと申します。アドテク及びデータサイエンス関連業務に15年以上にわたり従事してきました。現職においては、広告運用に関連した様々な指標やインサイトを、マーケターの皆様がビジネス上の意思決定に容易に活用できるように支援する役割を務めています。 ―貴社がこの度実施したAI検索実態調査の概要を教えてください。 消費者がAIツールを活用して商品の検索や比較検討を行い、最終的な購買決定に至るまでのプロセスを解明することを目的として、米国、欧州、日本に在住する消費者約2000名を対象としたオンラインアンケート調査を実施しました。 本調査は、グローバルな調査パネルを保有するCint社の協力のもとで行い、不正回答や不適切なデータの混入の防止策も設けました。2026年7月から8月にかけてデータを回収・集計しています。 ―なぜ本調査を実施したのですか。 RTB HouseのDSP(Demand Side Platform)をご利用いただくお客様の中には、Eコマース事業者が多く含まれています。こうした事業者の皆様にとって、現在の関心事となっているのが「消費者は商品検索において、いかにAIツールを活用しているか」という点です。 ChatGPTやGoogleのAI Overviewなどを使い、おすすめのレストランやホテル、あるいは服や家具を検索した経験を今や誰もが持っているのではないでしょうか。この購買行動の変化は今、世界中で同時に起きています。消費者はAIツールを通じて新しいブランドや商品に出会い、購入すべき商品をAIに相談し、さらには複数の商品を組み合わせる「バンドル購入」の提案まで受けるようになっています。 つまりECマーケターにとって、消費者が購買を目的としてどのようにAIツールを使いこなし、それが買い物体験にどう影響を与えているのかを把握することは、まさに至上命題と言えます。本調査は、こうした課題に直面するECマーケターの皆様の意思決定を支援し、次なる戦略のヒントを提供することを目的に実施いたしました。 AI検索は買い物体験を変革する ―AI検索の台頭によって、利用するプラットフォームだけでなく「検索」という行為そのものが変化しているということでしょうか。 皆様も実感されているかと思いますが、従来のキーワード検索に比べ、AI検索ではユーザーがより詳細な条件やコンテキスト(文脈)を入力するようになっています。これにより、消費者は購買プロセスにおいて、より多様な選択肢を手に入れられるようになりました。従来の検索では、検索結果の上位2〜3件のウェブサイトを確認して終わることが一般的でしたが、生成AIはユーザーのニーズに沿った多数の選択肢やウェブサイトを一度に提示してくれるからです。 また情報収集が容易になったことで、消費者が競合商品を比較検討する機会はむしろ増加しています。つまり、AI検索の普及によって、オンラインにおける購買決定プロセスはかえって長期化しているのです。 実際に今回の調査でも、この傾向が明確に裏付けられました。特に若年層でその傾向が顕著であり、「AIツールによって最終的な購買決定に至るまでの時間が長くなった」と回答した割合は、米国ではZ世代の48%、それ以外の地域ではミレニアル世代の35%に達し、それぞれ世代別で最多を記録しています。 なお、同じ質問に対して、日本を含む米国以外の地域から「AIツールによって最終的な購買決定に至るまでの時間が長くなった」と回答した割合は、ミレニアル世代が35%、ベビーブーマー世代が34%、Z世代が33%、X世代が32%でした。米国のような大きな世代間ギャップは見られず、どの世代も横並びの傾向を示しています。 出典:RTB House調査 ―本来は検索を効率化するためのAIツールによって、かえって購買までの時間がかかるようになるというのは興味深い現象ですね。 もちろん、AI検索によって購買プロセスが劇的に短縮される場合も数多く存在します。その代表例が、いわゆる「バンドル購入(まとめ買い)」です。 例えば、日曜大工で自宅の庭にデッキを設置する状況を想像してみてください。AIに対して「手元には丸のこと電動ドリル、ネジが100本ある。50平方メートルのウッドデッキを作るために必要な資材と工具のリストを教えてほしい」といったプロンプトを入力したとします。 するとAIは単一の商品だけでなく、不足している木材や基礎用コンクリート、固定金具、防水塗料などを網羅した「買い物リスト」を一括で提示してくれます。場合によっては合計で数十万〜100万円規模にのぼる購入リストが、一瞬で完成するわけです。今回の調査でも、米国在住者の63%が「AIを活用して買い物リストを作成した経験がある」と回答しています。 従来のキーワード検索では難しかったこうした一括購買のアプローチは、AI検索の普及に伴い、今後急速に一般化していくと考えられます。これに伴い、EC事業者側にもバンドル購入に対応した決済や注文処理の自動化が求められるようになるでしょう。具体的には、ユーザーがAIエージェントに決済権限を与え、一括購入を完結させる仕組みなどが挙げられますが、現時点でここまでの体制を整えられているEC事業者はまだごく一部に留まります。 ―ECマーケターには今後、AI検索への最適化が強く求められるようになりますね。 インターネット黎明期の1995年頃を思い出してみてください。当時はまず「人間にとって使いやすいウェブサイトのデザイン」が求められました。それから10年ほど経ち、GoogleやYahoo!などの検索エンジンが普及すると、今度は「検索エンジンに評価されやすいサイト構造(SEO)」が不可欠となりました。 そして今、時代は「AIエンジンへの最適化」へとシフトしています。AI検索最適化の本質とは、自社の全商品において「分かりやすく明確な情報を提供し、他社との差別化を図ること」に他なりません。AIはロングテールつまりニッチな情報を見つけ出すことを非常に得意としていますが、いくら優れた商品を持っていても、その独自性が言語化されていなければ、AIは価値を認識できないからです。 ―具体的に、ECマーケターはどのような対策を講じるべきでしょうか。 自社ブランドにおける一貫したポジショニングの確立が、これまで以上に重要になります。AIは矛盾する文脈や曖昧な情報を処理するのが非常に不得意だからです。 ルイ・ヴィトンやシャネルといったラグジュアリーブランドは良い手本と言えます。彼らは店舗空間、プロダクト、接客に至るまで徹底して世界観を統一し、ターゲット層を絞り込むことで独自のポジションを築いています。 今後はラグジュアリーブランドに限らず、例えば500円のたこ焼きを販売する場合であっても、自社がどういうブランドで、誰に向けた商品なのかをAIにも正しく伝わるよう言語化して、明確に提示しなければなりません。「グルテンフリー専門のたこ焼き」のように独自性が尖っていれば、AIは特定ニーズの検索結果として拾い出しやすくなります。逆にコモディティ化された特徴のない商品は、競合の中に埋もれてしまうリスクが一層高まります。 ―これまで以上に商品・サービスの差別化が命運を分けるということですね。 おっしゃるとおりです。AIは情報の正誤や物事の特徴を正しく判定しているわけではなく、統計的に次に来る確率が高い単語を繋ぎ合わせて文章を作成しています。 言い換えれば、AI検索は放置すると情報をひたすら平均化してしまう性質を持っているのです。だからこそマーケターは、AIに競合と一緒くたに平均化されるのではなく、平均からはみ出してAIに発見・推奨される存在であり続ける努力が求められるのです。 DSP事業はどう変わるのか ―こうした購買行動の変化を踏まえ、貴社のDSP事業では今後どのような取り組みを強化されていくのでしょうか。 当社はリターゲティング広告の担い手として、今後もリターゲティング機能の精度をさらに強化していきます。AIツールの台頭により、消費者が複数のECサイトを行き来しながら慎重に比較検討する機会が増えている現状において、適切なタイミングで認知・検討を促すリターゲティング施策の必要性と有効性は今まで以上に高まっていくと確信しています。 なお、当社はChatGPTが登場する以前から、一貫してディープラーニング(深層学習)をコア技術として自社エンジンの開発を手掛けてきました。当社が提供するソリューション「Semantic Intelligence」は、LLM(大規模言語モデル)を活用することで、ウェブページ上のテキストや文脈、パブリッシャーが保有するファーストパーティデータ、そしてユーザーの行動履歴を高度に解析・理解し、最適な広告配信に活用しています。 例えば犬用のセーターをECで販売する場合を考えてみてください。愛犬家が集まる情報サイトに広告を掲載するのが王道ですが、仮に「犬に噛まれて負傷した事故」を報じるニュース記事上に広告が表示されてしまっては、成果につながらないばかりかブランドイメージの棄損にもつながりかねません。従来型のキーワードマッチングではこうした文脈の違いを判別することに限界がありましたが、当社のLLM技術を用いれば、記事の文脈まで高精度に識別し、真に価値ある面へ広告を届けることが可能です。 ―消費者が個別サイトを訪問せずAIプラットフォーム上で情報収集を完結するようになると、オープンインターネットを中心に広告在庫を保持する貴社事業にも影響が及ぶのではないでしょうか。 ユーザーがウェブサイトを訪れずに情報を取得する「ゼロクリック検索」の台頭は、パブリッシャーにとって深刻なトラフィック減少という課題をもたらしています。一方で、広告主側にとっては、少なくとも現時点において大きな悪影響は生じていません。AIプラットフォーム上で購買まで完結する機能はまだ一般化しておらず、ユーザーは最終的に各ECサイトへ遷移して買い物をしているからです。 実際、AIプラットフォーム経由の送客は非常に高いコンバージョン効果を示しているものの、現状ではEC全体のトラフィックにおける1%未満にとどまっています。 また、広告在庫への影響という観点でも、現段階でAIによるトラフィック減少の打撃を受けているのは主に一部のニュースサイトや汎用的な情報メディアに限られています。天候情報サイト、各種アプリ、メールサービスなどは依然として堅調であり、オープンインターネット全体の広告在庫が失われたわけではありません。 ただし、将来的には状況が一変する可能性が大いにあります。近い将来、ユーザーがAI上でメールやニュースを閲覧し、AIからECサイトへの大規模な送客が行われ、さらにはAIエージェントがAIプラットフォーム上で購買を全自動で代行する時代が訪れる可能性は大いにあります。その段階に達したとき、巨大なプラットフォームとなったAIサービス群は、間違いなく新たな広告在庫を市場に開放するはずです。 かつてニュースサイトやリテールメディアなどのオンラインサービスが、ユーザー数の拡大に伴い広告ビジネスへと参入していった歴史と同じ構造が繰り返されるでしょう。そして、我々のようなDSP事業者は、そうした新たな広告在庫と接続し続けることで、常にユーザーとブランドを結ぶ最適な接点を提供し続けていきます。
インターネット広告業界を、もっと誇れる場所に。-ATS Tokyo 2026、総合司会は林 博史氏、山本 菜月氏、高梨 空美氏の3人体制-
司会とは、読んで字のごとく「会を司る」役割である。台本を読み上げる人ではない。誰に、どのタイミングでマイクを渡すのか。どこで熱を上げ、どこで空気を緩めるのか。一日の温度を決めているのは、しばしば壇上の中央ではなく、その脇に立つ人間だ。 500名が集まるATS Tokyoは、終日シングルトラックである。裏番組はなく、来場者全員が同じ会場で、同じセッションを、同じ順番で聴く。逃げ場がないぶん、会を司る者の力量が、そのまま一日の質になる。 11月20日(金)に開催する ATS Tokyo 2026 は、その大役を三人に託す。3年連続で舞台に立つ日本アドバタイザーズ協会 副事務局長の林 博史氏。2年目となる株式会社Uniiiqueの山本 菜月(やまもと なつき)氏。そして今回が初登板となる、サイバーエージェントの高梨 空美(たかなし そらみ)氏。約500名が集う一日を、この三人が束ねる。 三度、同じ言葉を語るということ -林 博史氏 林氏にとっては、三年連続の総合司会となる。そして語る言葉は、昨年も一昨年も、そして今年も変わらない。 「登壇する方は皆さん前向きです。その姿を見て、自分もこういう仕事をしているのは楽しい、と来場者に思ってもらえたらいい」 「仕事は楽しいものだと思えれば、やることは自分で勝手に見つけていける。誇りを持てば、正しいと思うことをやるようになる。その一歩目のきっかけになればいいんじゃないかな」 語られるのは進行の技術ではなく、会に何を残すか、である。司会を文字どおり「司る」仕事として引き受けている姿勢が、そのまま言葉になっている。 今年の三人体制についても、「3人いて何をするんだろうね、という役割分担はこれから考えないといけない」と笑いながら、「司会も含めて、その空間全体が楽しくなるように頑張ります」と続けた。見ているのは、壇上ではなく会場全体である。 「ワクワクを届ける」から、二年目へ -山本 菜月氏 昨年、山本さんが掲げていたテーマは「マーケティングでワクワクを届ける」だった。広告代理店の法人営業からキャリアを始め、PRやデジタルの領域へ。美容・コスメを中心に数多くの施策を手がけ、昨年はマーケターとして総合司会の舞台に立った。 この1年で、その場はさらに広がっている。現在はタレントマネジメントを手がける仕事に比重を移し、クライアントや代理店に向けたセールスを担当。Z世代を中心に100名規模のタレントが所属する現場で、人と人とを結ぶ仕事に日々向き合う。人を立て、場を回す。司会という役割とは、地続きの日常である。 昨年の記事では「依頼された仕事は基本的に断らない」というスタンスを紹介した。その姿勢は、今年も変わっていない。もっとも今回に限っては「頼まれる前に、もう決まっていた」と本人は笑う。 二年目に向けた準備は、すでに始まっている。「あんなに噛み噛みだったのに、2度目のキャスティングはキャスティングミスではないのか」と昨年の自分を振り返りながら、司会のためのボイストレーニングのレッスンを組み始めた。「去年の反省を生かして、もう少しステップアップした姿をお見せします」。宣言は、行動に裏打ちされている。 領域が変わっても、モットーは変わらない。 「私の代わりはいくらでもいると思っています。そのうえで、私だから一緒に仕事をしたいと思ってもらえるようなコミュニケーションや関係性の構築を、いちばん大事にしている」 昨年、「参加者に不快な空気を与えず、スムーズで心地よい進行を心がけたい」と語った姿勢と、同じ根から出ている言葉だろう。 オープンウェブの価値を、引き上げたい -高梨 空美氏 大阪生まれの大阪育ち。大学では外国語学部でスペイン語を専攻し、留学先もスペインだった。新卒で入社したのはSNSマーケティングを手がけるベンチャーで、テレアポから足で稼ぐ営業まで、泥臭い現場から社会人生活を始めている。 幼なじみの縁をきっかけにサイバーエージェントへ移ってからは、デジタル広告の営業として経験を重ねた。昨年春に担当する領域が変わり、今年3月からはマネージャーとしてチームを支える立場になった。 業界の現状を尋ねると、視線はまっすぐオープンウェブに向かった。 「広告主にとってさまざまな選択肢が広がるなかで、オープンウェブも、その価値をより明確に示していくことが重要だと感じています。媒体社や業界の皆さんと切磋琢磨しながら、ユーザー、広告主、媒体社それぞれにとって価値のある環境をつくっていきたいです」 長く業界を支えてきた人たちと切磋琢磨しながら、良質なコンテンツを生み出す媒体社が、その価値を持続的に高めていける環境に貢献したい 、と語る。 社内外で今よく耳にするキーワードとして挙がったのは、やはりAIだった。クリエイティブ制作、AIエージェント、そしてリテールメディア。「広告に関わるさまざまな領域でAIの活用余地があると感じています。人の判断やクリエイティビティを大切にしながら、AIを適切に取り入れていきたいです」。ATS Tokyoが扱うテーマと、日々の仕事が地続きにある。 司会就任については、率直だ。「こうしたお声がけをいただくのは初めてで、すごく緊張しています。ただ、業界の一員として、外に向けて発信する役割にも挑戦していきたいと思っていたので 、精一杯務めます」。ちなみに打診は上司経由。「この日は空けておいて、大事な仕事が入るから」――それだけで意味を察したという。 500人の一日を、三人が司る ATS Tokyoは、業界の知見と最先端のトレンドが交わる場である。だが、セッションの中身だけで一日が決まるわけではない。誰が場を温め、誰が話を引き出し、誰が一日を締めるのか。会の輪郭は、司会が描く。 今年はそこに、三年目の林氏の一貫した姿勢、二年目の山本氏の準備、そして初登板の高梨氏の新しい視点が重なる。約500名が同じ会場で過ごす一日を、この三人が司る。会が終わったとき、来場者が何を持ち帰るのか。その答えは、すでに三人に託されている。
IAB、2026年の米国広告費成長率予測を12.3%に上方修正ほか|ExchangeWire Japan YouTube第11回
ExchangeWire Japan編集部は9月25日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の第11回をYouTubeで公開した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、継続シリーズでお届けする。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】IAB、2026年の米国広告費成長率予測を12.3%に上方修正ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第11回となる今回の動画では、IABによる2026年米国広告費成長率予測の上方修正を中心に取り上げている。 米国のデジタル広告業界団体IABは、2026年の米国広告費成長率予測を、1月時点の9.5%から2.8ポイント引き上げ、前年比12.3%に上方修正した。ブランドや広告会社で広告投資の意思決定に関わる200人以上への調査に基づくもので、冬季五輪やFIFAワールドカップなど大型イベントの影響で上半期が想定以上に好調だったことに加え、景気への懸念が和らいだことが背景にあるという。また調査では、AIが消費者の情報発見や選択の仕方を変えつつあるなか、広告主が新規顧客の獲得とブランド価値の向上を重視する傾向も示された。 ■元記事URL:https://www.iab.com/news/iab-raises-2026-u-s-ad-spend-forecast/ このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 radiko・ロイヤリティマーケティング:「radiko audio Ad」でPonta購買データを活用した広告配信を開始、購買効果の分析も可能に ■URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000910.000004376.html Teads:北米マネージングディレクターにアレックス・アンダーウッド氏、クライアントソリューション&戦略プロダクト担当SVPにアレナ・モリス氏を任命 ■URL:https://www.globenewswire.com/news-release/2026/09/15/3362001/0/en/teads-strengthens-leadership-team-with-two-senior-appointments.html サイバーエージェント次世代生活研究所:「若者の生成AI利用実態調査」第1回を発表、日常利用率は高校生が83.3%で最多 ■URL:https://www.cyberagent-adagency.com/news/1038/ フェズ:「Urumo Ads」でTVer広告のCTV配信における購買検証機能を提供開始、テレビ画面での広告接触が店舗購買に与えた効果を可視化 ■URL:https://fez-inc.jp/news/release/260924 ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanをご覧いただきたい。
ターゲティング設定はもう必要ない? 楽天のAI配信は何ができるのか[インタビュー]
オンライン広告は、それまでの広告形態では難しかった「ターゲティング」と「効果測定」を容易に行う環境を実現したことでマーケターに重宝されるようになった。しかし、AI技術の発展により、この状況にも変化が生まれつつある。「AIはターゲティングを超えた」と述べる楽天の田中 利昌 氏に話を聞いた。 (Sponsored by 楽天グループ) 時代はAI配信へと移行しつつある ―あらゆる業界が最新のAI技術を導入しています。貴社の広告事業ではどのようにAIを活用していますか。 現在はアドテク関連だけに限っても様々なテクノロジー企業様がAI技術を活用した新規の広告商品を次々と投入しています。当社の強みは、ユーザーの属性情報と消費行動が一元管理された独自のデータベースである「Rakuten Customer DNA(CDNA)」を使ってAIを組み込んでいることです。 このCDNAを基盤として、広告主様よりコンバージョンデータをお預かりし、広告主様サイト上でコンバージョンしたユーザーが、「楽天エコシステム(経済圏)」ではどのようなオンライン行動をとっているかを分析した上でモデリングを作成し、このモデリングに基づくスコアリングなどを行います。 資料提供:楽天グループ株式会社 この一連のターゲティングを行うソリューションを「未来購買予測」と呼び、楽天の広告アセットとしてご提供しています。 ―「未来購買予測」は通常の広告メニューとは異なるのでしょうか。 当社ではディスプレイ広告や動画広告、DMなどのマーケティングソリューションを集めたプラットフォームである「Rakuten Marketing Platform(RMP)」を運営しています。いずれのソリューションにおいてもノンターゲティング配信または購買履歴など様々なデータに基づき形成するセグメントに応じたターゲティング配信が可能であり、これらの選択肢に加えてさらに広告パフォーマンスを高めることができる「未来購買予測」をご案内しています。 ―つまり「未来購買予測」では「都内在住の30代女性」や「過去1週間以内に酒類を購入した人」といったターゲティング設定を行わないのですね。 当社が蓄積するデータとAI技術の精度は極めて高く、セグメントに基づくターゲティングよりもAIによるターゲティングの広告効果は高いです。オンライン広告市場はその黎明期からターゲティング広告を特徴として成長してきたと思うのですが、もはや時代はAI配信へと移行しつつあると感じています。 AIだけができること ―「航空券を購入した人に渡航先のホテルをレコメンドする」といったコンバージョンデータの活用法は随分と前から定着しているように思います。AIを活用することでその精度がさらに高まるということでしょうか。 巨大なデータベースを活用することで、コンバージョンの直前及び直後のオンライン行動だけではなく、その他様々なデータを抽出し、人間では決して気付くことができないような因子を見出すことを目的としてAIを活用しています。 例えば当社のデータベースでは、10年以上遡って購買履歴を蓄積しています。以前にもご紹介したBOTANIST様の商品は、メイクや他のヘアケア関連製品の購入者が積極的にご利用になっていることまでは自明であったものの、テニスやマリンスポーツ関連商品の購入者が多くいるということまでは十分に把握することは難しかったと思います。 後から振り返るとアウトドアスポーツを楽しんだ結果として髪の傷みを気にするようになったということが漠然とは想像できると思うのですが、ここまで具体的な購買データとの関連性を見出すことができるというのは当社のAIならではと思います。 ―AIを活用すれば「人間では決して気付くことができないような因子を見出す」ことができる一方で、そうした因子を見出すまでの過程が分かりにくくなるのではないでしょうか。 一般論として広告におけるAI関連商品はその仕組みがある意味でブラックボックス化しており、特定の因子を見出すためにどのような分析を行ったかが見えにくい部分は確かにあると思います。 ただし、当社の「未来購買予測」をご利用いただくのは大多数がいわゆるパフォーマンス案件であり、CPAつまりは費用対効果が良ければその過程はあまり問われないことが多いです。 ―広告代理店は広告主に対して説明する必要がありますよね。 AI配信を行うと、広告代理店が予め描いていたユーザー像とは異なるユーザーへと広告が配信される場合はあるかもしれません。ただユーザー像というのは常に新たな発見とともに更新され得るものです。また当社であれば、楽天インサイトなどの機能を通じて想定外のユーザーに対してアンケートを実施することでなぜ購買に至ったかを広告代理店企業様と一緒に探ることができます。 ―「未来購買予測」と相性の良い商材は何ですか。 分析項目が多岐にわたる高単価な長期検討商材が適していると思います。例えば不動産の場合、成約日を0日とすると、その1000日前つまり約3年前に、キッズ、ベビー、マタニティ、そして100日前つまり数カ月前からインテリア系の商品を買い始めるユーザーが多くいます。家族が増えて、新しい生活環境を整えようとしている様子がつぶさにわかりますよね。こうした人々に適切なタイミングで不動産広告を配信すれば成約率の増加が期待できます。 資料提供:楽天グループ株式会社 また教育商材のようなLTV型の事業との相性も良いです。2000日前つまり約5年前に抱っこ紐を買って、小学校への入学のタイミングで教育サービスの利用を開始するユーザーが数多くいらっしゃいます。AIを使って、こうした一連の流れをつぶさに把握することで適切なタイミングで広告を配信することが可能になるのです。 資料提供:楽天グループ株式会社 AI発展の道筋とは ―このような分析を行うには、AI技術の発展に加えて、それこそ10年単位で蓄積した膨大なデータが必要になりますね。 データがあればあるほど、様々な共通因子を導き出す確率が上がるので、AIの精度はさらに高まります。当社が蓄積するデータを増やすためには、広告事業だけに留まらず「楽天エコシステム(経済圏)」全体を発展させることが重要です。データが増えてAIの分析精度が高まり、広告主の皆様のマーケティングがさらに効率化されるという好循環が既に生まれています。 また現状では「楽天市場」の購買データなどが起点にはなっていますが、今後「楽天ポイントカード」を提供する店舗サービス企業様とのPOSデータ連携を通じデータは増強されていく予定です。 ―AI機能自体は今後どのように発展させていく見込みですか。 AIはあくまで何かを成し遂げようとするときの手段です。結局のところ、当社に求められているのは広告パフォーマンスなので、あらゆる手段を駆使して広告パフォーマンスを高めていきたいと思います。 一方で、パフォーマンス案件だけでなく認知向上やブランディング施策を実施する広告主様に対しても、とりわけ分析業務においてAI機能をご提供することを検討しています。 先ほども申し上げた通り、AIは人間が気付くことができない商品・サービスのターゲットや利用状況を見つけるのが得意です。広告配信前の仮説づくりやユーザー分析に活用できるAI機能を整備することで、ブランディング施策を行う広告主様のご支援がもっとできるようになりたいと思います。
SeenThis・電通デジタル・The Trade Desk対談:品質が高く効率的な動画広告体験を再定義 - リッチクリエイティブ動画が導く新たな可能性[インタビュー]
ブランディング戦略の要として活用されている動画広告は質の高い視聴体験と高いブランド効果が期待できる。一方、生活者のメディア接触が多様化する中、より幅広い生活者との接点を築くには、複数のタッチポイントを横断したコミュニケーションを設計し、効率的にリーチを広げる視点も欠かせない。本稿では、その選択肢の一つとして注目される「リッチクリエイティブ動画」を軸に、テクノロジー企業2社と広告代理店が、動画広告における質と効率性への打ち手と、具体的な活用事例について議論した。 (Sponsored by SeenThis Japan) 動画広告のプランニングを広告体験とインクリメンタルから考える ― 自己紹介をお願いします。 飯嶋氏:SeenThis Japan株式会社(以下、SeenThis)の営業責任者を務める飯嶋攝子(いいじませつこ)と申します。当社は「オープンウェブにおける動画広告パートナー」として、消費者の動画広告体験を高めるため、従来は静止画が中心だったディスプレイ枠に、動画広告を配信する技術を提供しています。また、キャンペーンの目的に応じたリッチクリエイティブの制作も支援しており、DSPとの連携により動画広告の視聴体験の向上や認知拡大、成果向上を実現しています。 藤澤氏:株式会社電通デジタル(以下、電通デジタル)でアカウントプランナーを務める藤澤千里(ふじさわちさと)です。主に外資系広告主のコミュニケーションおよびメディア設計を担当しています。その中で、広告効果の高いインクリメンタルリーチを増やす認知キャンペーンを取り組んでおり、SeenThisとは日本法人の設立当初からさまざまな取り組みをご一緒しています。 服部氏:The Trade Desk Japan株式会社(以下、TTD)の服部和磨(はっとりかずま)です。TTDは、広告主や広告代理店向けに、透明性と効率性を重視した広告配信プラットフォームを提供しています。私はストラテジックプランナーとして、広告主のマーケティング課題に合わせ、広告戦略の立案や、広告チャネルを横断したキャンペーン設計、インサイトの提供を支援しています。 ― 近年、生活者のメディア接触が多様化する中、動画広告の現状と課題、今後のプランニングに必要な視点について、それぞれの立場からお聞かせください。 藤澤氏:認知目的の動画広告を実施する際に、主には動画やSNSなど利用者が多いプラットフォームから予算を当てはめていくことが多いように感じます。しかし、生活者のメディア習慣や接触が多様化した中で、利用者の多いプラットフォームだけを選択することに課題を感じる部分もあります。 株式会社電通デジタル 藤澤千里氏 そこで私自身、よりチャネルを横断して広告アプローチを設計していくことや、動画広告自体の体験も多面的に行うこと、加えて、その中でも効率的にインクリメンタルリーチを増やすことでブランドと生活者の新しい出会いを増やすことを意識してプランニングを行うようになってきています。 服部氏:先ほど藤澤さんがおっしゃったようにデジタル広告投資は一部のプラットフォームに集中する傾向があり、生活者の実際のメディア接触との間にはギャップも見られます。広告主がUGCやSNSも重要な広告接点と捉えていることは深く理解しています。その上で、我々としては、より多様なチャネルを通して生活者へブランドメッセージを届け、広告コミュニケーションを設計し、さらには、チャネルを横断してデータを捉え、得られた知見を次の施策に生かすことも重要だと考えています。 飯嶋氏:SeenThisとしては、生活者の関心に沿ったコンテンツ環境でブランドメッセージを届けることが重要だと考えています。しかし、現状は「オープンウェブ」と呼ばれるニュースやファッションなどの数多くの多岐に渡るメディアが保有する広告枠の可能性が十分に認識されておらず、まだまだ活用の余地があると考えております。オープンウェブ、中でもSeenThisではディスプレイ枠の活用を再定義しており、インクリメンタルが望めるリーチ機会も多く、ブランドと生活者の新たな接点を生み出せる領域だと考えています。 藤澤氏:主要なディスプレイネットワークが提供する従来型のディスプレイ広告は、低CPCでウェブサイトへ誘導する、いわゆるダイレクトよりのイメージで語られることが多いです。一方、SeenThisが提供するようなリッチクリエイティブ動画を活用できると、生活者へ新たな広告体験を与え、ブランドメッセージを深く伝えることに役立つことに繋がります。現状は、その配信面や活用方法はまだ十分に知られていないため、より理解が広がれば、広告目的に応じて、より柔軟なプランニングや広告配信が可能になると思います。 服部氏:TTDでは、オーバーザトップ(OTT)/コネクテッドテレビ、オーディオ、屋外広告(DOOH)、ディスプレイなど、複数チャネルを横断的に配信・管理・評価できる広告プラットフォームを提供しています。広告体験を設計する上では、それぞれのチャネルの役割や特性を踏まえ、生活者がどの接点でブランドと出会うかを考えながら、横断的に広告を配信することが重要です。その中で、ディスプレイ枠も重要なチャネルの一つです。SeenThisのような1インプレッションの価値を高めるパートナーと共にリッチクリエイティブ動画を魅力的に伝えられることは、生活者とのより豊かな接点を生み出せます。 ― 「リッチクリエイティブ動画」とは実際にどのような広告なのでしょうか。 飯嶋氏:動画素材は他の動画広告と同じものを利用しますが、リッチクリエイティブでは動画広告と静止画を組み合わせたり、ギミックを追加するなど、インタラクティブな要素を加えることで、既存の動画素材を活かしながら表現の幅を広げることができる広告です。また、動画の周囲に企業ロゴや商品情報を継続的に表示することで、ブランドやメッセージをより明確に伝えることも可能です。既存の動画素材を元に表現の幅を広げ、ブランド想起や生活者のアクションにつながる接点を設計できる点が特徴です。 SeenThisクリエイティブ画像例 ハイブリッド カルーセル (上記はイメージです。SeenThis のクリエイティブ詳細はこちらをご覧ください) ― 表現力に加えて、配信やコストの面ではどのような特徴がありますか。 飯嶋氏:一般的な動画広告は、各プラットフォームが提供する動画広告枠に配信されます。一方、SeenThisでは、オープンウェブ上に広がるディスプレイ広告枠も動画の配信機会として活用できます。配信可能な広告在庫が広がることで、動画の表現力を生かしながら、リーチ規模とコスト効率を両立しやすくなります。 服部氏:質の高い動画広告を活用されたい一方で、コスト面も重視される広告主も多くいらっしゃいます。SeenThisのリッチクリエイティブ動画をTTDを通じて配信・最適化することで、幅広い配信面を活用しつつ、効率的にリーチを拡大することができます。 ―リッチクリエイティブ広告フォーマットを提供する事業者が複数ある中で、SeenThisならではの強みはどのような点にありますか。 飯嶋氏:リッチクリエイティブは以前から活用されている広告フォーマットですが、表現を豊かにするほどデータ容量が大きくなり、通信環境によっては読み込みに時間がかかる場合があります。 SeenThisは独自の「アダプティブストリーミング技術」により、通信環境に応じて動画データを最適に配信します。これにより、ページの動作やコンテンツの閲覧を妨げにくく、生活者のメディア体験を保ちながら、動画広告を素早く滑らかに表示できます。こうした仕組みを通じて、ビューアビリティ、再生率、視聴完了率などの向上を支援します。 SeenThis Japan株式会社 飯嶋攝子氏 また、SeenThis では、専任のクリエイティブ制作チームがおり、クライアントから提供いただく素材を活用して、キャンペーンの目的、KPIに最適なクリエイティブをご提案しています。配信技術と質の高いクリエイティブの両面から、キャンペーン成果の向上を支援できる点がSeenThisの特徴です。 リッチクリエイティブ動画を掛け合わせ、広告接点を拡張 ―3社が共同して取り組んだというキャンペーン概要をお聞かせください。 藤澤氏:担当する広告主様から、認知系のキャンペーンのご依頼を継続的に受けており、1年目は大手動画広告プラットフォーム、2年目にオーディオ広告を追加、そして3年目となる今年からディスプレイ枠を活用したリッチクリエイティブ動画を新たに組み込みました。 その広告主様では、市場が大きく拡大するOTTをはじめとするプレミアムな動画媒体への出稿を強化しながら、同時に、より幅広い生活者との接点をつくっていきたいというニーズがありました。そこで、特定のチャネルに置き換えるのではなく、それぞれのメディアの強みを生かしながら、キャンペーン全体としてリーチと広告体験を広げていくことを考えました。 その中で、既存の動画広告を補完し、新たな接点を加える選択肢として、オープンウェブの幅広い配信面を活用できるSeenThisのリッチクリエイティブ動画をご提案し、採用いただきました。 服部氏:今回は幅広い生活者を対象としていたため、TTDを経由してSeenThisを含む複数のチャネルを横断して配信し、継続的にブランドメッセージを届けつつ、チャネルを横断して広告効果を評価できる設計としました。また、データ活用の文脈では、広告主様のファーストパーティデータを活用し、広告クリエイティブと広告配信データの効果検証なども行いました。 ―キャンペーンの配信結果をお聞かせください。 藤澤氏:配信結果を見ると、各チャネルがそれぞれ異なる役割を果たしていることが確認できました。SeenThisは、オープンウェブの幅広い配信面を活用することで、効率的なリーチ獲得と高いコスト効率を示しました。 SeenThis を基準とした場合のCPM単価比較 一方で、OTTや音声広告もそれぞれの接触環境や広告体験を生かし、ブランド効果の面で良好な結果が確認されました。加えて、SeenThis単体でも非接触者と比較して広告認知のブランドリフトが確認され、クリエイティブによっては特に高い効果が見られるなど、ブランド効果への貢献も確認できました。 ブランドリフト調査 – 広告認知 服部氏:また、OTTのみに接触した層と、SeenThisとOTTの両方に接触した層を比較したところ、両方に接触した層で、より高いブランドリフトが確認されました。この結果から、SeenThisとOTTは二者択一ではなく、組み合わせることで相互に効果を補完し、ブランド効果をさらに高められる可能性があると考えています。 複数チャネル接触によるブランド認知効果 ―SeenThis の運用サポートについてはどう評価していますか。 藤澤氏:SeenThisには、キャンペーンの目的に合わせて、遊び心を取り入れた多様なクリエイティブをご提案いただきました。制作まで一貫して支援いただけるため、運用負担を抑えながら、新しい表現に挑戦できた点を高く評価しています。 服部氏:施策の目的や概要を共有すると、短期間で具体的なクリエイティブに落とし込んでいただけます。企画意図を的確に捉え、リッチクリエイティブとして形にする提案力とスピードは、SeenThisの大きな強みだと感じていますし、会社としてホスピタリティの高さを感じています。 いつもの広告配信に新たな選択肢を追加 ― 今回の取り組みについて広告主はどのように評価していますか。 藤澤氏:配信結果にご満足いただいたほか、新たなチャネルへチャレンジしていくことの具体的な重要性を理解いただく機会にもなりました。データ活用への関心も高まり、現在ではキャンペーンの設計段階から、チャネルの組み合わせや活用方法について意見交換する機会が増えています。 今回の3社共同の取り組みでは、SeenThisとTTDの強みを生かし、幅広い生活者に質の高いクリエイティブを効率的に届けることができました。プレミアム動画とその他の動画広告を二者択一で捉えるのではなく、それぞれの役割や強みを生かして組み合わせることが重要です。SeenThisは、コスト効率とブランド効果の両立を支援する選択肢の一つとして、まずは既存キャンペーンの一部に組み込み、効果を検証いただくのがよいと思います。 服部氏:前年度の実績を生かして広告配信を継続することは重要ですが、生活者のメディア接触は常に変化しています。定期的に配信結果を見直し、複数のチャネルを横断して成果を捉えることで、それぞれの役割や生活者の反応をより具体的に把握できます。こうした分析結果やインサイトを、次のキャンペーン設計や配信改善につなげることが重要です。 The Trade Desk 服部和磨氏 飯嶋氏:新しい媒体を試すことで、特に広告代理店の業務負担が増えることは理解しています。当社はTTDの配信技術と提携することで広告主・広告代理店の追加負担を相当程度に軽減しているので、ぜひお気軽にご利用いただけたらと思います。またTTDとの提携を通じて、視聴完了率といった動画自体のデータに留まらず、その他の統合的なデータを活用することで仮説検証が行えることも利点となっています。 服部氏:SeenThisとTTDのデータを掛け合わせることで、エンゲージメントしたオーディエンスの反応や接触状況に応じて、クリエイティブや配信設計を最適化することなどができます。また、広告主様が持つファーストパーティデータやTTDの広告ログデータと掛け合わせれば、ユーザー属性ごとの傾向を見出すこともできます。 TTDは現在、エージェントAIの活用を推進しており、2026年8月には、TTDのKokaiプラットフォームの大幅なアップグレード「ZUMA」の一環として「Koa Agents」を発表しました。また、広告代理店や広告主が自社のエージェントAIシステムをKoa Agentsに接続できる「Open Agentic Kit」も今後導入する予定です。これにより、広告代理店や広告主が利用する幅広いテクノロジーエコシステム全体で、ワークフローをよりシームレスにつなげることが可能になります。今後はこうした取り組みを通じて、複数のチャネルから得られる豊富なデータやインサイトをキャンペーン改善により迅速に活用できる環境の構築にも取り組んでいきます。 ― では最後に、飯嶋さんから読者へメッセージをお願いします。 飯嶋氏:SeenThis Japan設立からまもなく2年を迎えようとしています。しかしながら、まだまだ当社と当社のケイパビリティをご存じない方は多くいらっしゃると思うので、より多くの広告主様にご興味を持っていただきたいです。当社のテクノロジーを使えば、動画広告に関する指標はほぼ確実に改善します。限りある広告予算を少しでも効率よくご活用いただき、オープンウェブ上の1インプレッションの価値を上げるための手段としてぜひご活用いただけたと思います。 SeenThis Japan株式会社 オープンウェブ上には、まだ十分に活用されていない膨大な広告ポテンシャルが存在しています。多くの広告主が大手主要プラットフォームでのリーチを追い求める一方で、ユーザーはプレミアムパブリッシャーやその他様々なコンテンツ上で多くのオンライン時間を過ごしています。しかし、これまでオープンウェブ上での動画広告は、その力を十分に発揮できていませんでした。SeenThisは、こうした状況に変革を起こします。SeenThis はみなさまの動画広告パートナーとして、オープンウェブでも確かな成果が出ることを証明し、パブリッシャーの収益性を維持しながら、コスト効率の高い動画広告によって、より多くのアテンションと卓越した成果を実現します。2017年の創業以来、SeenThisは50カ国以上・5,000を超えるブランドに対し、数十億回規模のストリーミング配信を提供してきました。ブランドには、オーディエンスがいるすべての場所でリーチする権利があり、パブリッシャーには、持続可能な収益を得る権利があり、そしてインターネットは、オープンであり続けるべきである、と考えています。 ・会社名:SeenThis Japan株式会社 ・マネージングディレクター:今村 幸彦 ・所在地:東京都港区麻布十番2-20-7 ・URL:https://seenthis.co/ja/ ・LinkedIn : https://jp.linkedin.com/company/seen-this-japan ・お問い合わせ:info@seenthis.jp
- Latest news
ニュースレター(WireSync)に登録
ExchangeWire Japanの最新情報を毎週まとめてお届けします

