AI検索でカスタマージャーニーはいかに変化するかーRTB Houseが調査結果を発表[インタビュー]
AI検索が日常化したことで、消費者が探し求める商品に行き着くまでのカスタマージャーニーはどのように変化していくのか。ECマーケターにとって目下最大の関心事となるこのテーマを探るべく、RTB Houseが調査を実施した。その調査結果について、来日した同社幹部に話を聞いた。 (Sponsored by RTB House) AI検索の実態把握は「至上命題」 ―自己紹介をお願いします。 RTB Houseにて、VP, Global Product Commercializationという役職を務めるジェイセン・グレスピーと申します。アドテク及びデータサイエンス関連業務に15年以上にわたり従事してきました。現職においては、広告運用に関連した様々な指標やインサイトを、マーケターの皆様がビジネス上の意思決定に容易に活用できるように支援する役割を務めています。 ―貴社がこの度実施したAI検索実態調査の概要を教えてください。 消費者がAIツールを活用して商品の検索や比較検討を行い、最終的な購買決定に至るまでのプロセスを解明することを目的として、米国、欧州、日本に在住する消費者約2000名を対象としたオンラインアンケート調査を実施しました。 本調査は、グローバルな調査パネルを保有するCint社の協力のもとで行い、不正回答や不適切なデータの混入の防止策も設けました。2026年7月から8月にかけてデータを回収・集計しています。 ―なぜ本調査を実施したのですか。 RTB HouseのDSP(Demand Side Platform)をご利用いただくお客様の中には、Eコマース事業者が多く含まれています。こうした事業者の皆様にとって、現在の関心事となっているのが「消費者は商品検索において、いかにAIツールを活用しているか」という点です。 ChatGPTやGoogleのAI Overviewなどを使い、おすすめのレストランやホテル、あるいは服や家具を検索した経験を今や誰もが持っているのではないでしょうか。この購買行動の変化は今、世界中で同時に起きています。消費者はAIツールを通じて新しいブランドや商品に出会い、購入すべき商品をAIに相談し、さらには複数の商品を組み合わせる「バンドル購入」の提案まで受けるようになっています。 つまりECマーケターにとって、消費者が購買を目的としてどのようにAIツールを使いこなし、それが買い物体験にどう影響を与えているのかを把握することは、まさに至上命題と言えます。本調査は、こうした課題に直面するECマーケターの皆様の意思決定を支援し、次なる戦略のヒントを提供することを目的に実施いたしました。 AI検索は買い物体験を変革する ―AI検索の台頭によって、利用するプラットフォームだけでなく「検索」という行為そのものが変化しているということでしょうか。 皆様も実感されているかと思いますが、従来のキーワード検索に比べ、AI検索ではユーザーがより詳細な条件やコンテキスト(文脈)を入力するようになっています。これにより、消費者は購買プロセスにおいて、より多様な選択肢を手に入れられるようになりました。従来の検索では、検索結果の上位2〜3件のウェブサイトを確認して終わることが一般的でしたが、生成AIはユーザーのニーズに沿った多数の選択肢やウェブサイトを一度に提示してくれるからです。 また情報収集が容易になったことで、消費者が競合商品を比較検討する機会はむしろ増加しています。つまり、AI検索の普及によって、オンラインにおける購買決定プロセスはかえって長期化しているのです。 実際に今回の調査でも、この傾向が明確に裏付けられました。特に若年層でその傾向が顕著であり、「AIツールによって最終的な購買決定に至るまでの時間が長くなった」と回答した割合は、米国ではZ世代の48%、それ以外の地域ではミレニアル世代の35%に達し、それぞれ世代別で最多を記録しています。 なお、同じ質問に対して、日本を含む米国以外の地域から「AIツールによって最終的な購買決定に至るまでの時間が長くなった」と回答した割合は、ミレニアル世代が35%、ベビーブーマー世代が34%、Z世代が33%、X世代が32%でした。米国のような大きな世代間ギャップは見られず、どの世代も横並びの傾向を示しています。 出典:RTB House調査 ―本来は検索を効率化するためのAIツールによって、かえって購買までの時間がかかるようになるというのは興味深い現象ですね。 もちろん、AI検索によって購買プロセスが劇的に短縮される場合も数多く存在します。その代表例が、いわゆる「バンドル購入(まとめ買い)」です。 例えば、日曜大工で自宅の庭にデッキを設置する状況を想像してみてください。AIに対して「手元には丸のこと電動ドリル、ネジが100本ある。50平方メートルのウッドデッキを作るために必要な資材と工具のリストを教えてほしい」といったプロンプトを入力したとします。 するとAIは単一の商品だけでなく、不足している木材や基礎用コンクリート、固定金具、防水塗料などを網羅した「買い物リスト」を一括で提示してくれます。場合によっては合計で数十万〜100万円規模にのぼる購入リストが、一瞬で完成するわけです。今回の調査でも、米国在住者の63%が「AIを活用して買い物リストを作成した経験がある」と回答しています。 従来のキーワード検索では難しかったこうした一括購買のアプローチは、AI検索の普及に伴い、今後急速に一般化していくと考えられます。これに伴い、EC事業者側にもバンドル購入に対応した決済や注文処理の自動化が求められるようになるでしょう。具体的には、ユーザーがAIエージェントに決済権限を与え、一括購入を完結させる仕組みなどが挙げられますが、現時点でここまでの体制を整えられているEC事業者はまだごく一部に留まります。 ―ECマーケターには今後、AI検索への最適化が強く求められるようになりますね。 インターネット黎明期の1995年頃を思い出してみてください。当時はまず「人間にとって使いやすいウェブサイトのデザイン」が求められました。それから10年ほど経ち、GoogleやYahoo!などの検索エンジンが普及すると、今度は「検索エンジンに評価されやすいサイト構造(SEO)」が不可欠となりました。 そして今、時代は「AIエンジンへの最適化」へとシフトしています。AI検索最適化の本質とは、自社の全商品において「分かりやすく明確な情報を提供し、他社との差別化を図ること」に他なりません。AIはロングテールつまりニッチな情報を見つけ出すことを非常に得意としていますが、いくら優れた商品を持っていても、その独自性が言語化されていなければ、AIは価値を認識できないからです。 ―具体的に、ECマーケターはどのような対策を講じるべきでしょうか。 自社ブランドにおける一貫したポジショニングの確立が、これまで以上に重要になります。AIは矛盾する文脈や曖昧な情報を処理するのが非常に不得意だからです。 ルイ・ヴィトンやシャネルといったラグジュアリーブランドは良い手本と言えます。彼らは店舗空間、プロダクト、接客に至るまで徹底して世界観を統一し、ターゲット層を絞り込むことで独自のポジションを築いています。 今後はラグジュアリーブランドに限らず、例えば500円のたこ焼きを販売する場合であっても、自社がどういうブランドで、誰に向けた商品なのかをAIにも正しく伝わるよう言語化して、明確に提示しなければなりません。「グルテンフリー専門のたこ焼き」のように独自性が尖っていれば、AIは特定ニーズの検索結果として拾い出しやすくなります。逆にコモディティ化された特徴のない商品は、競合の中に埋もれてしまうリスクが一層高まります。 ―これまで以上に商品・サービスの差別化が命運を分けるということですね。 おっしゃるとおりです。AIは情報の正誤や物事の特徴を正しく判定しているわけではなく、統計的に次に来る確率が高い単語を繋ぎ合わせて文章を作成しています。 言い換えれば、AI検索は放置すると情報をひたすら平均化してしまう性質を持っているのです。だからこそマーケターは、AIに競合と一緒くたに平均化されるのではなく、平均からはみ出してAIに発見・推奨される存在であり続ける努力が求められるのです。 DSP事業はどう変わるのか ―こうした購買行動の変化を踏まえ、貴社のDSP事業では今後どのような取り組みを強化されていくのでしょうか。 当社はリターゲティング広告の担い手として、今後もリターゲティング機能の精度をさらに強化していきます。AIツールの台頭により、消費者が複数のECサイトを行き来しながら慎重に比較検討する機会が増えている現状において、適切なタイミングで認知・検討を促すリターゲティング施策の必要性と有効性は今まで以上に高まっていくと確信しています。 なお、当社はChatGPTが登場する以前から、一貫してディープラーニング(深層学習)をコア技術として自社エンジンの開発を手掛けてきました。当社が提供するソリューション「Semantic Intelligence」は、LLM(大規模言語モデル)を活用することで、ウェブページ上のテキストや文脈、パブリッシャーが保有するファーストパーティデータ、そしてユーザーの行動履歴を高度に解析・理解し、最適な広告配信に活用しています。 例えば犬用のセーターをECで販売する場合を考えてみてください。愛犬家が集まる情報サイトに広告を掲載するのが王道ですが、仮に「犬に噛まれて負傷した事故」を報じるニュース記事上に広告が表示されてしまっては、成果につながらないばかりかブランドイメージの棄損にもつながりかねません。従来型のキーワードマッチングではこうした文脈の違いを判別することに限界がありましたが、当社のLLM技術を用いれば、記事の文脈まで高精度に識別し、真に価値ある面へ広告を届けることが可能です。 ―消費者が個別サイトを訪問せずAIプラットフォーム上で情報収集を完結するようになると、オープンインターネットを中心に広告在庫を保持する貴社事業にも影響が及ぶのではないでしょうか。 ユーザーがウェブサイトを訪れずに情報を取得する「ゼロクリック検索」の台頭は、パブリッシャーにとって深刻なトラフィック減少という課題をもたらしています。一方で、広告主側にとっては、少なくとも現時点において大きな悪影響は生じていません。AIプラットフォーム上で購買まで完結する機能はまだ一般化しておらず、ユーザーは最終的に各ECサイトへ遷移して買い物をしているからです。 実際、AIプラットフォーム経由の送客は非常に高いコンバージョン効果を示しているものの、現状ではEC全体のトラフィックにおける1%未満にとどまっています。 また、広告在庫への影響という観点でも、現段階でAIによるトラフィック減少の打撃を受けているのは主に一部のニュースサイトや汎用的な情報メディアに限られています。天候情報サイト、各種アプリ、メールサービスなどは依然として堅調であり、オープンインターネット全体の広告在庫が失われたわけではありません。 ただし、将来的には状況が一変する可能性が大いにあります。近い将来、ユーザーがAI上でメールやニュースを閲覧し、AIからECサイトへの大規模な送客が行われ、さらにはAIエージェントがAIプラットフォーム上で購買を全自動で代行する時代が訪れる可能性は大いにあります。その段階に達したとき、巨大なプラットフォームとなったAIサービス群は、間違いなく新たな広告在庫を市場に開放するはずです。 かつてニュースサイトやリテールメディアなどのオンラインサービスが、ユーザー数の拡大に伴い広告ビジネスへと参入していった歴史と同じ構造が繰り返されるでしょう。そして、我々のようなDSP事業者は、そうした新たな広告在庫と接続し続けることで、常にユーザーとブランドを結ぶ最適な接点を提供し続けていきます。
ATS Tokyo 2026割引チケット販売は9月30日まで!
11月20日(金)にシェラトン都ホテル東京で開催する「ATS Tokyo 2026」。現在販売中のEarly Birdチケットは、9月30日(水)をもって販売終了となります。 10月1日(木)からは通常価格での販売となるため、参加をご検討中の方は、ぜひお早目にお申し込みください。 テクノロジーベンダー向けチケット ¥69,300(9/30まで)→¥99,400(10/1から) 広告主・広告会社・媒体社向けチケット ¥63,600(9/30まで)→¥79,700(10/1から) ATS Tokyoは、広告・マーケティング業界の最前線で活躍するリーダーが一堂に会し、デジタル広告やマーケティングを取り巻く最新のトレンドやテクノロジーについて議論するカンファレンスです。 今年の「ATS Tokyo 2026」は、11月20日(金)にシェラトン都ホテル東京で開催。業界を取り巻く環境が大きく変化するなか、AIやデータ、アドテクノロジーをはじめ、これからの広告・マーケティング市場を考えるさまざまなセッションを予定しています。 【イベント概要】 ■日時:2026年11月20日(金)9:00-19:30(予定) ■場所:シェラトン都ホテル東京 (東京都港区白金台1丁目1-50) ■定員:500名 ■主催:ExchangeWire Ltd.(ExchangeWire.com) 【チケット概要】 テクノロジーベンダー向けEarly Birdチケット:69,300円(税込 、9/30まで) 広告主・広告会社・媒体社向けEarly Birdチケット:63,600円(税込、9/30まで)
インターネット広告業界を、もっと誇れる場所に。-ATS Tokyo 2026、総合司会は林 博史氏、山本 菜月氏、高梨 空美氏の3人体制-
司会とは、読んで字のごとく「会を司る」役割である。台本を読み上げる人ではない。誰に、どのタイミングでマイクを渡すのか。どこで熱を上げ、どこで空気を緩めるのか。一日の温度を決めているのは、しばしば壇上の中央ではなく、その脇に立つ人間だ。 500名が集まるATS Tokyoは、終日シングルトラックである。裏番組はなく、来場者全員が同じ会場で、同じセッションを、同じ順番で聴く。逃げ場がないぶん、会を司る者の力量が、そのまま一日の質になる。 11月20日(金)に開催する ATS Tokyo 2026 は、その大役を三人に託す。3年連続で舞台に立つ日本アドバタイザーズ協会 副事務局長の林 博史氏。2年目となる株式会社Uniiiqueの山本 菜月(やまもと なつき)氏。そして今回が初登板となる、サイバーエージェントの高梨 空美(たかなし そらみ)氏。約500名が集う一日を、この三人が束ねる。 三度、同じ言葉を語るということ -林 博史氏 林氏にとっては、三年連続の総合司会となる。そして語る言葉は、昨年も一昨年も、そして今年も変わらない。 「登壇する方は皆さん前向きです。その姿を見て、自分もこういう仕事をしているのは楽しい、と来場者に思ってもらえたらいい」 「仕事は楽しいものだと思えれば、やることは自分で勝手に見つけていける。誇りを持てば、正しいと思うことをやるようになる。その一歩目のきっかけになればいいんじゃないかな」 語られるのは進行の技術ではなく、会に何を残すか、である。司会を文字どおり「司る」仕事として引き受けている姿勢が、そのまま言葉になっている。 今年の三人体制についても、「3人いて何をするんだろうね、という役割分担はこれから考えないといけない」と笑いながら、「司会も含めて、その空間全体が楽しくなるように頑張ります」と続けた。見ているのは、壇上ではなく会場全体である。 「ワクワクを届ける」から、二年目へ -山本 菜月氏 昨年、山本さんが掲げていたテーマは「マーケティングでワクワクを届ける」だった。広告代理店の法人営業からキャリアを始め、PRやデジタルの領域へ。美容・コスメを中心に数多くの施策を手がけ、昨年はマーケターとして総合司会の舞台に立った。 この1年で、その場はさらに広がっている。現在はタレントマネジメントを手がける仕事に比重を移し、クライアントや代理店に向けたセールスを担当。Z世代を中心に100名規模のタレントが所属する現場で、人と人とを結ぶ仕事に日々向き合う。人を立て、場を回す。司会という役割とは、地続きの日常である。 昨年の記事では「依頼された仕事は基本的に断らない」というスタンスを紹介した。その姿勢は、今年も変わっていない。もっとも今回に限っては「頼まれる前に、もう決まっていた」と本人は笑う。 二年目に向けた準備は、すでに始まっている。「あんなに噛み噛みだったのに、2度目のキャスティングはキャスティングミスではないのか」と昨年の自分を振り返りながら、司会のためのボイストレーニングのレッスンを組み始めた。「去年の反省を生かして、もう少しステップアップした姿をお見せします」。宣言は、行動に裏打ちされている。 領域が変わっても、モットーは変わらない。 「私の代わりはいくらでもいると思っています。そのうえで、私だから一緒に仕事をしたいと思ってもらえるようなコミュニケーションや関係性の構築を、いちばん大事にしている」 昨年、「参加者に不快な空気を与えず、スムーズで心地よい進行を心がけたい」と語った姿勢と、同じ根から出ている言葉だろう。 オープンウェブの価値を、引き上げたい -高梨 空美氏 大阪生まれの大阪育ち。大学では外国語学部でスペイン語を専攻し、留学先もスペインだった。新卒で入社したのはSNSマーケティングを手がけるベンチャーで、テレアポから足で稼ぐ営業まで、泥臭い現場から社会人生活を始めている。 幼なじみの縁をきっかけにサイバーエージェントへ移ってからは、デジタル広告の営業として経験を重ねた。昨年春に担当する領域が変わり、今年3月からはマネージャーとしてチームを支える立場になった。 業界の現状を尋ねると、視線はまっすぐオープンウェブに向かった。 「広告主にとってさまざまな選択肢が広がるなかで、オープンウェブも、その価値をより明確に示していくことが重要だと感じています。媒体社や業界の皆さんと切磋琢磨しながら、ユーザー、広告主、媒体社それぞれにとって価値のある環境をつくっていきたいです」 長く業界を支えてきた人たちと切磋琢磨しながら、良質なコンテンツを生み出す媒体社が、その価値を持続的に高めていける環境に貢献したい 、と語る。 社内外で今よく耳にするキーワードとして挙がったのは、やはりAIだった。クリエイティブ制作、AIエージェント、そしてリテールメディア。「広告に関わるさまざまな領域でAIの活用余地があると感じています。人の判断やクリエイティビティを大切にしながら、AIを適切に取り入れていきたいです」。ATS Tokyoが扱うテーマと、日々の仕事が地続きにある。 司会就任については、率直だ。「こうしたお声がけをいただくのは初めてで、すごく緊張しています。ただ、業界の一員として、外に向けて発信する役割にも挑戦していきたいと思っていたので 、精一杯務めます」。ちなみに打診は上司経由。「この日は空けておいて、大事な仕事が入るから」――それだけで意味を察したという。 500人の一日を、三人が司る ATS Tokyoは、業界の知見と最先端のトレンドが交わる場である。だが、セッションの中身だけで一日が決まるわけではない。誰が場を温め、誰が話を引き出し、誰が一日を締めるのか。会の輪郭は、司会が描く。 今年はそこに、三年目の林氏の一貫した姿勢、二年目の山本氏の準備、そして初登板の高梨氏の新しい視点が重なる。約500名が同じ会場で過ごす一日を、この三人が司る。会が終わったとき、来場者が何を持ち帰るのか。その答えは、すでに三人に託されている。
ターゲティング設定はもう必要ない? 楽天のAI配信は何ができるのか[インタビュー]
オンライン広告は、それまでの広告形態では難しかった「ターゲティング」と「効果測定」を容易に行う環境を実現したことでマーケターに重宝されるようになった。しかし、AI技術の発展により、この状況にも変化が生まれつつある。「AIはターゲティングを超えた」と述べる楽天の田中 利昌 氏に話を聞いた。 (Sponsored by 楽天グループ) 時代はAI配信へと移行しつつある ―あらゆる業界が最新のAI技術を導入しています。貴社の広告事業ではどのようにAIを活用していますか。 現在はアドテク関連だけに限っても様々なテクノロジー企業様がAI技術を活用した新規の広告商品を次々と投入しています。当社の強みは、ユーザーの属性情報と消費行動が一元管理された独自のデータベースである「Rakuten Customer DNA(CDNA)」を使ってAIを組み込んでいることです。 このCDNAを基盤として、広告主様よりコンバージョンデータをお預かりし、広告主様サイト上でコンバージョンしたユーザーが、「楽天エコシステム(経済圏)」ではどのようなオンライン行動をとっているかを分析した上でモデリングを作成し、このモデリングに基づくスコアリングなどを行います。 資料提供:楽天グループ株式会社 この一連のターゲティングを行うソリューションを「未来購買予測」と呼び、楽天の広告アセットとしてご提供しています。 ―「未来購買予測」は通常の広告メニューとは異なるのでしょうか。 当社ではディスプレイ広告や動画広告、DMなどのマーケティングソリューションを集めたプラットフォームである「Rakuten Marketing Platform(RMP)」を運営しています。いずれのソリューションにおいてもノンターゲティング配信または購買履歴など様々なデータに基づき形成するセグメントに応じたターゲティング配信が可能であり、これらの選択肢に加えてさらに広告パフォーマンスを高めることができる「未来購買予測」をご案内しています。 ―つまり「未来購買予測」では「都内在住の30代女性」や「過去1週間以内に酒類を購入した人」といったターゲティング設定を行わないのですね。 当社が蓄積するデータとAI技術の精度は極めて高く、セグメントに基づくターゲティングよりもAIによるターゲティングの広告効果は高いです。オンライン広告市場はその黎明期からターゲティング広告を特徴として成長してきたと思うのですが、もはや時代はAI配信へと移行しつつあると感じています。 AIだけができること ―「航空券を購入した人に渡航先のホテルをレコメンドする」といったコンバージョンデータの活用法は随分と前から定着しているように思います。AIを活用することでその精度がさらに高まるということでしょうか。 巨大なデータベースを活用することで、コンバージョンの直前及び直後のオンライン行動だけではなく、その他様々なデータを抽出し、人間では決して気付くことができないような因子を見出すことを目的としてAIを活用しています。 例えば当社のデータベースでは、10年以上遡って購買履歴を蓄積しています。以前にもご紹介したBOTANIST様の商品は、メイクや他のヘアケア関連製品の購入者が積極的にご利用になっていることまでは自明であったものの、テニスやマリンスポーツ関連商品の購入者が多くいるということまでは十分に把握することは難しかったと思います。 後から振り返るとアウトドアスポーツを楽しんだ結果として髪の傷みを気にするようになったということが漠然とは想像できると思うのですが、ここまで具体的な購買データとの関連性を見出すことができるというのは当社のAIならではと思います。 ―AIを活用すれば「人間では決して気付くことができないような因子を見出す」ことができる一方で、そうした因子を見出すまでの過程が分かりにくくなるのではないでしょうか。 一般論として広告におけるAI関連商品はその仕組みがある意味でブラックボックス化しており、特定の因子を見出すためにどのような分析を行ったかが見えにくい部分は確かにあると思います。 ただし、当社の「未来購買予測」をご利用いただくのは大多数がいわゆるパフォーマンス案件であり、CPAつまりは費用対効果が良ければその過程はあまり問われないことが多いです。 ―広告代理店は広告主に対して説明する必要がありますよね。 AI配信を行うと、広告代理店が予め描いていたユーザー像とは異なるユーザーへと広告が配信される場合はあるかもしれません。ただユーザー像というのは常に新たな発見とともに更新され得るものです。また当社であれば、楽天インサイトなどの機能を通じて想定外のユーザーに対してアンケートを実施することでなぜ購買に至ったかを広告代理店企業様と一緒に探ることができます。 ―「未来購買予測」と相性の良い商材は何ですか。 分析項目が多岐にわたる高単価な長期検討商材が適していると思います。例えば不動産の場合、成約日を0日とすると、その1000日前つまり約3年前に、キッズ、ベビー、マタニティ、そして100日前つまり数カ月前からインテリア系の商品を買い始めるユーザーが多くいます。家族が増えて、新しい生活環境を整えようとしている様子がつぶさにわかりますよね。こうした人々に適切なタイミングで不動産広告を配信すれば成約率の増加が期待できます。 資料提供:楽天グループ株式会社 また教育商材のようなLTV型の事業との相性も良いです。2000日前つまり約5年前に抱っこ紐を買って、小学校への入学のタイミングで教育サービスの利用を開始するユーザーが数多くいらっしゃいます。AIを使って、こうした一連の流れをつぶさに把握することで適切なタイミングで広告を配信することが可能になるのです。 資料提供:楽天グループ株式会社 AI発展の道筋とは ―このような分析を行うには、AI技術の発展に加えて、それこそ10年単位で蓄積した膨大なデータが必要になりますね。 データがあればあるほど、様々な共通因子を導き出す確率が上がるので、AIの精度はさらに高まります。当社が蓄積するデータを増やすためには、広告事業だけに留まらず「楽天エコシステム(経済圏)」全体を発展させることが重要です。データが増えてAIの分析精度が高まり、広告主の皆様のマーケティングがさらに効率化されるという好循環が既に生まれています。 また現状では「楽天市場」の購買データなどが起点にはなっていますが、今後「楽天ポイントカード」を提供する店舗サービス企業様とのPOSデータ連携を通じデータは増強されていく予定です。 ―AI機能自体は今後どのように発展させていく見込みですか。 AIはあくまで何かを成し遂げようとするときの手段です。結局のところ、当社に求められているのは広告パフォーマンスなので、あらゆる手段を駆使して広告パフォーマンスを高めていきたいと思います。 一方で、パフォーマンス案件だけでなく認知向上やブランディング施策を実施する広告主様に対しても、とりわけ分析業務においてAI機能をご提供することを検討しています。 先ほども申し上げた通り、AIは人間が気付くことができない商品・サービスのターゲットや利用状況を見つけるのが得意です。広告配信前の仮説づくりやユーザー分析に活用できるAI機能を整備することで、ブランディング施策を行う広告主様のご支援がもっとできるようになりたいと思います。
SeenThis・電通デジタル・The Trade Desk対談:品質が高く効率的な動画広告体験を再定義 - リッチクリエイティブ動画が導く新たな可能性[インタビュー]
ブランディング戦略の要として活用されている動画広告は質の高い視聴体験と高いブランド効果が期待できる。一方、生活者のメディア接触が多様化する中、より幅広い生活者との接点を築くには、複数のタッチポイントを横断したコミュニケーションを設計し、効率的にリーチを広げる視点も欠かせない。本稿では、その選択肢の一つとして注目される「リッチクリエイティブ動画」を軸に、テクノロジー企業2社と広告代理店が、動画広告における質と効率性への打ち手と、具体的な活用事例について議論した。 (Sponsored by SeenThis Japan) 動画広告のプランニングを広告体験とインクリメンタルから考える ― 自己紹介をお願いします。 飯嶋氏:SeenThis Japan株式会社(以下、SeenThis)の営業責任者を務める飯嶋攝子(いいじませつこ)と申します。当社は「オープンウェブにおける動画広告パートナー」として、消費者の動画広告体験を高めるため、従来は静止画が中心だったディスプレイ枠に、動画広告を配信する技術を提供しています。また、キャンペーンの目的に応じたリッチクリエイティブの制作も支援しており、DSPとの連携により動画広告の視聴体験の向上や認知拡大、成果向上を実現しています。 藤澤氏:株式会社電通デジタル(以下、電通デジタル)でアカウントプランナーを務める藤澤千里(ふじさわちさと)です。主に外資系広告主のコミュニケーションおよびメディア設計を担当しています。その中で、広告効果の高いインクリメンタルリーチを増やす認知キャンペーンを取り組んでおり、SeenThisとは日本法人の設立当初からさまざまな取り組みをご一緒しています。 服部氏:The Trade Desk Japan株式会社(以下、TTD)の服部和磨(はっとりかずま)です。TTDは、広告主や広告代理店向けに、透明性と効率性を重視した広告配信プラットフォームを提供しています。私はストラテジックプランナーとして、広告主のマーケティング課題に合わせ、広告戦略の立案や、広告チャネルを横断したキャンペーン設計、インサイトの提供を支援しています。 ― 近年、生活者のメディア接触が多様化する中、動画広告の現状と課題、今後のプランニングに必要な視点について、それぞれの立場からお聞かせください。 藤澤氏:認知目的の動画広告を実施する際に、主には動画やSNSなど利用者が多いプラットフォームから予算を当てはめていくことが多いように感じます。しかし、生活者のメディア習慣や接触が多様化した中で、利用者の多いプラットフォームだけを選択することに課題を感じる部分もあります。 株式会社電通デジタル 藤澤千里氏 そこで私自身、よりチャネルを横断して広告アプローチを設計していくことや、動画広告自体の体験も多面的に行うこと、加えて、その中でも効率的にインクリメンタルリーチを増やすことでブランドと生活者の新しい出会いを増やすことを意識してプランニングを行うようになってきています。 服部氏:先ほど藤澤さんがおっしゃったようにデジタル広告投資は一部のプラットフォームに集中する傾向があり、生活者の実際のメディア接触との間にはギャップも見られます。広告主がUGCやSNSも重要な広告接点と捉えていることは深く理解しています。その上で、我々としては、より多様なチャネルを通して生活者へブランドメッセージを届け、広告コミュニケーションを設計し、さらには、チャネルを横断してデータを捉え、得られた知見を次の施策に生かすことも重要だと考えています。 飯嶋氏:SeenThisとしては、生活者の関心に沿ったコンテンツ環境でブランドメッセージを届けることが重要だと考えています。しかし、現状は「オープンウェブ」と呼ばれるニュースやファッションなどの数多くの多岐に渡るメディアが保有する広告枠の可能性が十分に認識されておらず、まだまだ活用の余地があると考えております。オープンウェブ、中でもSeenThisではディスプレイ枠の活用を再定義しており、インクリメンタルが望めるリーチ機会も多く、ブランドと生活者の新たな接点を生み出せる領域だと考えています。 藤澤氏:主要なディスプレイネットワークが提供する従来型のディスプレイ広告は、低CPCでウェブサイトへ誘導する、いわゆるダイレクトよりのイメージで語られることが多いです。一方、SeenThisが提供するようなリッチクリエイティブ動画を活用できると、生活者へ新たな広告体験を与え、ブランドメッセージを深く伝えることに役立つことに繋がります。現状は、その配信面や活用方法はまだ十分に知られていないため、より理解が広がれば、広告目的に応じて、より柔軟なプランニングや広告配信が可能になると思います。 服部氏:TTDでは、オーバーザトップ(OTT)/コネクテッドテレビ、オーディオ、屋外広告(DOOH)、ディスプレイなど、複数チャネルを横断的に配信・管理・評価できる広告プラットフォームを提供しています。広告体験を設計する上では、それぞれのチャネルの役割や特性を踏まえ、生活者がどの接点でブランドと出会うかを考えながら、横断的に広告を配信することが重要です。その中で、ディスプレイ枠も重要なチャネルの一つです。SeenThisのような1インプレッションの価値を高めるパートナーと共にリッチクリエイティブ動画を魅力的に伝えられることは、生活者とのより豊かな接点を生み出せます。 ― 「リッチクリエイティブ動画」とは実際にどのような広告なのでしょうか。 飯嶋氏:動画素材は他の動画広告と同じものを利用しますが、リッチクリエイティブでは動画広告と静止画を組み合わせたり、ギミックを追加するなど、インタラクティブな要素を加えることで、既存の動画素材を活かしながら表現の幅を広げることができる広告です。また、動画の周囲に企業ロゴや商品情報を継続的に表示することで、ブランドやメッセージをより明確に伝えることも可能です。既存の動画素材を元に表現の幅を広げ、ブランド想起や生活者のアクションにつながる接点を設計できる点が特徴です。 SeenThisクリエイティブ画像例 ハイブリッド カルーセル (上記はイメージです。SeenThis のクリエイティブ詳細はこちらをご覧ください) ― 表現力に加えて、配信やコストの面ではどのような特徴がありますか。 飯嶋氏:一般的な動画広告は、各プラットフォームが提供する動画広告枠に配信されます。一方、SeenThisでは、オープンウェブ上に広がるディスプレイ広告枠も動画の配信機会として活用できます。配信可能な広告在庫が広がることで、動画の表現力を生かしながら、リーチ規模とコスト効率を両立しやすくなります。 服部氏:質の高い動画広告を活用されたい一方で、コスト面も重視される広告主も多くいらっしゃいます。SeenThisのリッチクリエイティブ動画をTTDを通じて配信・最適化することで、幅広い配信面を活用しつつ、効率的にリーチを拡大することができます。 ―リッチクリエイティブ広告フォーマットを提供する事業者が複数ある中で、SeenThisならではの強みはどのような点にありますか。 飯嶋氏:リッチクリエイティブは以前から活用されている広告フォーマットですが、表現を豊かにするほどデータ容量が大きくなり、通信環境によっては読み込みに時間がかかる場合があります。 SeenThisは独自の「アダプティブストリーミング技術」により、通信環境に応じて動画データを最適に配信します。これにより、ページの動作やコンテンツの閲覧を妨げにくく、生活者のメディア体験を保ちながら、動画広告を素早く滑らかに表示できます。こうした仕組みを通じて、ビューアビリティ、再生率、視聴完了率などの向上を支援します。 SeenThis Japan株式会社 飯嶋攝子氏 また、SeenThis では、専任のクリエイティブ制作チームがおり、クライアントから提供いただく素材を活用して、キャンペーンの目的、KPIに最適なクリエイティブをご提案しています。配信技術と質の高いクリエイティブの両面から、キャンペーン成果の向上を支援できる点がSeenThisの特徴です。 リッチクリエイティブ動画を掛け合わせ、広告接点を拡張 ―3社が共同して取り組んだというキャンペーン概要をお聞かせください。 藤澤氏:担当する広告主様から、認知系のキャンペーンのご依頼を継続的に受けており、1年目は大手動画広告プラットフォーム、2年目にオーディオ広告を追加、そして3年目となる今年からディスプレイ枠を活用したリッチクリエイティブ動画を新たに組み込みました。 その広告主様では、市場が大きく拡大するOTTをはじめとするプレミアムな動画媒体への出稿を強化しながら、同時に、より幅広い生活者との接点をつくっていきたいというニーズがありました。そこで、特定のチャネルに置き換えるのではなく、それぞれのメディアの強みを生かしながら、キャンペーン全体としてリーチと広告体験を広げていくことを考えました。 その中で、既存の動画広告を補完し、新たな接点を加える選択肢として、オープンウェブの幅広い配信面を活用できるSeenThisのリッチクリエイティブ動画をご提案し、採用いただきました。 服部氏:今回は幅広い生活者を対象としていたため、TTDを経由してSeenThisを含む複数のチャネルを横断して配信し、継続的にブランドメッセージを届けつつ、チャネルを横断して広告効果を評価できる設計としました。また、データ活用の文脈では、広告主様のファーストパーティデータを活用し、広告クリエイティブと広告配信データの効果検証なども行いました。 ―キャンペーンの配信結果をお聞かせください。 藤澤氏:配信結果を見ると、各チャネルがそれぞれ異なる役割を果たしていることが確認できました。SeenThisは、オープンウェブの幅広い配信面を活用することで、効率的なリーチ獲得と高いコスト効率を示しました。 SeenThis を基準とした場合のCPM単価比較 一方で、OTTや音声広告もそれぞれの接触環境や広告体験を生かし、ブランド効果の面で良好な結果が確認されました。加えて、SeenThis単体でも非接触者と比較して広告認知のブランドリフトが確認され、クリエイティブによっては特に高い効果が見られるなど、ブランド効果への貢献も確認できました。 ブランドリフト調査 – 広告認知 服部氏:また、OTTのみに接触した層と、SeenThisとOTTの両方に接触した層を比較したところ、両方に接触した層で、より高いブランドリフトが確認されました。この結果から、SeenThisとOTTは二者択一ではなく、組み合わせることで相互に効果を補完し、ブランド効果をさらに高められる可能性があると考えています。 複数チャネル接触によるブランド認知効果 ―SeenThis の運用サポートについてはどう評価していますか。 藤澤氏:SeenThisには、キャンペーンの目的に合わせて、遊び心を取り入れた多様なクリエイティブをご提案いただきました。制作まで一貫して支援いただけるため、運用負担を抑えながら、新しい表現に挑戦できた点を高く評価しています。 服部氏:施策の目的や概要を共有すると、短期間で具体的なクリエイティブに落とし込んでいただけます。企画意図を的確に捉え、リッチクリエイティブとして形にする提案力とスピードは、SeenThisの大きな強みだと感じていますし、会社としてホスピタリティの高さを感じています。 いつもの広告配信に新たな選択肢を追加 ― 今回の取り組みについて広告主はどのように評価していますか。 藤澤氏:配信結果にご満足いただいたほか、新たなチャネルへチャレンジしていくことの具体的な重要性を理解いただく機会にもなりました。データ活用への関心も高まり、現在ではキャンペーンの設計段階から、チャネルの組み合わせや活用方法について意見交換する機会が増えています。 今回の3社共同の取り組みでは、SeenThisとTTDの強みを生かし、幅広い生活者に質の高いクリエイティブを効率的に届けることができました。プレミアム動画とその他の動画広告を二者択一で捉えるのではなく、それぞれの役割や強みを生かして組み合わせることが重要です。SeenThisは、コスト効率とブランド効果の両立を支援する選択肢の一つとして、まずは既存キャンペーンの一部に組み込み、効果を検証いただくのがよいと思います。 服部氏:前年度の実績を生かして広告配信を継続することは重要ですが、生活者のメディア接触は常に変化しています。定期的に配信結果を見直し、複数のチャネルを横断して成果を捉えることで、それぞれの役割や生活者の反応をより具体的に把握できます。こうした分析結果やインサイトを、次のキャンペーン設計や配信改善につなげることが重要です。 The Trade Desk 服部和磨氏 飯嶋氏:新しい媒体を試すことで、特に広告代理店の業務負担が増えることは理解しています。当社はTTDの配信技術と提携することで広告主・広告代理店の追加負担を相当程度に軽減しているので、ぜひお気軽にご利用いただけたらと思います。またTTDとの提携を通じて、視聴完了率といった動画自体のデータに留まらず、その他の統合的なデータを活用することで仮説検証が行えることも利点となっています。 服部氏:SeenThisとTTDのデータを掛け合わせることで、エンゲージメントしたオーディエンスの反応や接触状況に応じて、クリエイティブや配信設計を最適化することなどができます。また、広告主様が持つファーストパーティデータやTTDの広告ログデータと掛け合わせれば、ユーザー属性ごとの傾向を見出すこともできます。 TTDは現在、エージェントAIの活用を推進しており、2026年8月には、TTDのKokaiプラットフォームの大幅なアップグレード「ZUMA」の一環として「Koa Agents」を発表しました。また、広告代理店や広告主が自社のエージェントAIシステムをKoa Agentsに接続できる「Open Agentic Kit」も今後導入する予定です。これにより、広告代理店や広告主が利用する幅広いテクノロジーエコシステム全体で、ワークフローをよりシームレスにつなげることが可能になります。今後はこうした取り組みを通じて、複数のチャネルから得られる豊富なデータやインサイトをキャンペーン改善により迅速に活用できる環境の構築にも取り組んでいきます。 ― では最後に、飯嶋さんから読者へメッセージをお願いします。 飯嶋氏:SeenThis Japan設立からまもなく2年を迎えようとしています。しかしながら、まだまだ当社と当社のケイパビリティをご存じない方は多くいらっしゃると思うので、より多くの広告主様にご興味を持っていただきたいです。当社のテクノロジーを使えば、動画広告に関する指標はほぼ確実に改善します。限りある広告予算を少しでも効率よくご活用いただき、オープンウェブ上の1インプレッションの価値を上げるための手段としてぜひご活用いただけたと思います。 SeenThis Japan株式会社 オープンウェブ上には、まだ十分に活用されていない膨大な広告ポテンシャルが存在しています。多くの広告主が大手主要プラットフォームでのリーチを追い求める一方で、ユーザーはプレミアムパブリッシャーやその他様々なコンテンツ上で多くのオンライン時間を過ごしています。しかし、これまでオープンウェブ上での動画広告は、その力を十分に発揮できていませんでした。SeenThisは、こうした状況に変革を起こします。SeenThis はみなさまの動画広告パートナーとして、オープンウェブでも確かな成果が出ることを証明し、パブリッシャーの収益性を維持しながら、コスト効率の高い動画広告によって、より多くのアテンションと卓越した成果を実現します。2017年の創業以来、SeenThisは50カ国以上・5,000を超えるブランドに対し、数十億回規模のストリーミング配信を提供してきました。ブランドには、オーディエンスがいるすべての場所でリーチする権利があり、パブリッシャーには、持続可能な収益を得る権利があり、そしてインターネットは、オープンであり続けるべきである、と考えています。 ・会社名:SeenThis Japan株式会社 ・マネージングディレクター:今村 幸彦 ・所在地:東京都港区麻布十番2-20-7 ・URL:https://seenthis.co/ja/ ・LinkedIn : https://jp.linkedin.com/company/seen-this-japan ・お問い合わせ:info@seenthis.jp
メディアの内側から、業界を支える側へ ― Taboola安藤氏が語る、AI時代のパブリッシャー再成長戦略[インタビュー]
パブリッシャーを取り巻く環境は近年大きく変化し、これまでの成功モデルが通用しにくくなる中で、メディア企業には新たな戦略が求められている。2026年Taboolaへ入社し、パブリッシャー戦略推進部長に就任した安藤 雄二氏は、約20年にわたりメディア業界の変化を最前線で見続けてきた。パブリッシャー、出版社、デジタルメディアなどで培った多様な経験をもとに、業界の現状と展望について聞いた。 (Sponsored by Taboola) ―自己紹介をお願いします。 Taboola Japan パブリッシャー戦略推進部長の安藤 雄二と申します。 AOL Japan日本法人のカントリー・マネージャー、Verizon Mediaの日本法人メディア事業の統括、朝日新聞出版でDXIP戦略本部長と社長補佐役の兼任など、これまで約20年、メディア業界で仕事をしてきました。今回縁があって入社したTaboola Japanでは、メディア側に携わってきた経験を活かして、クライアントとなるパブリッシャー企業との連携を推進していく役割を担います。 もともと私はデジタル業界の第一世代ではありませんが、インターネット広告が発展していく過程や、メディア企業が変化していく様子を現場で経験してきました。新しい技術が登場すると、既存のビジネスモデルも変わり、新たなチャンスも生まれます。そうした変化そのものに面白さを感じながら仕事を続けてきました。 ―長く携わってきた「メディア側」から「メディアを支援する側」に場を移されました。 Taboolaに入社を決めた理由の一つは、これまで培ってきた経験をより広い範囲で活かしたいと思ったこと、そしてそれを推進するためのテクノロジーを持っている会社であると思ったからです。 前職ではメディア企業の「内側」で事業改革やデジタル活用を進めてきました。その中で、自分がメディア側で培ってきた知見を、パブリッシャーの「外側」から活かすことで、業界全体と向き合うことができるのでは、と考えるようになりました。パブリッシャー側がテクノロジーやプロダクトを活用する手助けをし、メディア業界の発展に貢献したいと思っています。 Taboolaは広告収益の最適化だけではなく、コンテンツレコメンデーションやユーザーエンゲージメントの向上など、パブリッシャーが抱えるさまざまな課題に向き合うためのテクノロジーを持っています。長年メディア側で仕事をしてきたからこそ、パブリッシャーが求める理想やこだわり、一方でビジネスサイドでの葛藤などは大いに理解できます。自分なりの切り口で支援していきたいですね。 広告依存ではなく、メディアブランドの価値が収益を作る ―約20年、オンライン広告販売の成長とともにパブリッシャーの変化を見てこられました。その歴史をどのように振り返りますか。 私はアメリカの専門メディアから業界に入りました。雑誌や新聞といった紙媒体の勢いがあった時代に比べると、私が入った頃はバナー広告が売れていて、記事タイアップといったものがでてきていました。その後、アドネットワークが登場し、さらにプログラマティック広告へと進化していったことで、広告の売り方も大きく変わりました。 ただ、パブリッシャーの視点から見ると、プログラマティック広告だけで十分な収益を確保することは簡単ではなく、デジタル広告プラットフォーム側は景気がよくなっていく一方で、その進化に対応できるメディアは多くありません。特に専門メディアはコンテンツ制作コストが高く、広告収益だけでは事業が成立しにくい構造があります。 その結果、多くのメディアが広告以外の収益源を模索するようになりました。サブスクリプション、イベント、コミュニティ運営、リサーチ事業など、多角的な収益モデルへの挑戦が進んでいます。 私自身、イベント事業に長く携わってきましたが、そこで実感したのは「メディアブランドの価値」です。広告だけでは差別化が難しくなっても、長年積み上げた信頼やブランドがあれば、人を集めたり、新たな事業を立ち上げたりすることができます。かつて携わったイベントでは、チケットを購入してくれる参加者が集まり、スポンサー企業や登壇者からも高い評価をいただきました。それを実現できたのは、イベント単体ではなく、その背景にあるメディアブランドへの信頼があったからだと思います。 メディアが積み上げてきた歴史や信頼があることで、取材対象者が取材を受けてくれるか、ということにもつながってきます。 メディア企業にとって本当に重要なのは、ブランドそのものなのではないかと思います。長い時間をかけて築き上げてきた信頼や専門性こそが、これからの事業成長の源泉になるのではないでしょうか。 AI時代に問われる、パブリッシャーの変革力 ―収益源が多様化する中で、パブリッシャーの現状と課題を教えてください。 収益環境の厳しさはもちろんですが、それ以上に重要なのはマインドセットの変革だと思っています。 もちろん現状に対して多くの方が危機感は持っています。ただ、その危機感が組織全体で共有され、本当の意味で「自分事」になっているかというと、そうではないケースも少なくありません。 歴史の長いメディア企業では、従来の成功体験があるからこそ変化が難しくなることがあり、「これまでうまくいっていたやり方」が強いほど、新しいことへの挑戦には抵抗が生まれます。だからこそ、経営層だけではなく現場も含めて、変化を前提とした組織づくりが必要になっているのではないでしょうか。 デジタルメディアでは、AIオーバービューの登場により検索流入からトラフィックが取れなくなっており、メディアは新しいマネタイズの方法を考えなければなりません。トラフィックの流入量が大きく変わる中で、Taboolaではほかの流通経路の確保やユーザーのエンゲージメントを上げるための取組を進めています。「内側」の変革とともに、「外側」にある最新テクノロジーを取り入れてテコ入れをするというように、構造そのものを横断的に変えようとする人材も必要だと思います。 ―これまで外資と日本企業の両方でメディアに携わってこられました。海外と比較して日本のパブリッシャー特有の特徴はありますか。 外資と日本企業の大きな違いの一つは、新しい取り組みに対する意思決定のスピードです。外資系企業の場合、まず試してみて、うまくいかなければ修正・撤退するという考え方が比較的浸透しています。 一方、日本企業は関係者との調整を重視する傾向があります。そのため意思決定に時間がかかることもありますが、その分、組織としての一体感や再現性のある運営は得意です。 また、日本のパブリッシャーにはチームとして成果を出す文化があります。編集、営業、制作などが協力しながら一つの価値をつくる力は、日本企業の強みだと思います。 どちらが良い悪いではなく、それぞれに強みがあります。自社の強みを活かしつつ、どうやって収益を上げるか、記事作り以外でもビジネス開発していくマインドを育てることが大切だと感じます。 ―AI時代にパブリッシャーが事業を発展させるには、何が必要だと考えますか。 検索流入中心の時代は大きな転換点を迎える中で、素早く他社・他国の情報を察知できるか、ということが必要だと思います。 例えばアメリカのTaboolaでは、メディア自身に生成AIエンジンを組み込む仕組み(Deeper Dive)を展開しており、日本でも今後展開される予定です。こういった最新情報やテクノロジーをうまく使い、どうやって自分たちの強みを活かしてビジネスを展開していくかがキーになってくるのではないでしょうか。 もちろんSEOやAI最適化への取り組みは重要ですが、それだけで十分とは言えません。今後は「訪問者をいかにファン化するか」が非常に重要になります。 高品質なコンテンツ作りは前提として、そのうえでユーザーが何度も訪れたくなる仕組みや、エンゲージメントを高める体験設計が必要になります。コミュニティ、イベント、サブスクリプション、オンラインサロンなどが考えられます。リソースを使って試すためにも、経営層が先陣を切って行うか、そういった役回りの人を社内に配置するか、社外に頼るか、やり方はあると思います。 ―最後に今後の展望を教えてください。 テクノロジーを通じてパブリッシャーの課題を「外側」から解決していきたいと考えています。「内側」だけでは解決しきれない課題に、Taboolaのプロダクトを使って向き合うことはもちろん、ネットワーク作りなどあらゆる方面から向き合っていきたいです。 多くのパブリッシャーは共通の課題を抱えていますが、実践的な知見が共有される場は決して多くありません。Taboolaは数百社のパートナー企業と接点があるので、そのネットワークを活かし、情報交換や交流の機会を作り、業界のハブ的な存在になることができればよいなと思います。 メディア側で培った経験と、Taboolaが持つテクノロジーや知見を掛け合わせながら、業界の発展に貢献していきたいです。
Amazon Ads、Prime Videoの新広告フォーマットを発表ほか|ExchangeWire Japan YouTube第10回
ExchangeWire Japan編集部は9月14日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の第10回をYouTubeで公開した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、継続シリーズでお届けする。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】Amazon Ads、Prime Videoの新広告フォーマットを発表ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第10回となる今回の動画では、Amazon AdsによるPrime Videoを中心とした新広告フォーマットの発表を中心に取り上げている。 Amazon Adsは9月1日、東京でメディアラウンドテーブルを開催し、Amazon Ads Japanカントリーマネージャーのステファン・グルニエ氏が、Prime Videoを中心とした広告戦略と最新の広告フォーマットを発表した。新たに紹介されたのは、Prime Videoのストリーミングコンテンツ視聴中にリモコン操作で商品をカートに追加したり、詳しい情報を受け取ったりできる「インタラクティブ動画広告」で、すでに日本での提供を開始している。さらに、位置情報を活用して近隣店舗への来店を促す「ロケーションベースのインタラクティブ動画広告」と、ストリーミングコンテンツを一時停止した際に表示される「ポーズ広告」を、2026年第4四半期に日本でローンチする予定だ。Amazon Adsは、視聴から商品への関心、購買や来店までをシームレスにつなぐ広告体験の強化を進めていくとしている。 このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 ソニー・ピクチャーズ テレビジョン:PS5向け無料広告付き配信サービス「Live TV on PS5」を米国で開始 ■URL:https://www.sonypictures.com/corp/press_releases/2026/0831?utm_source=chatgpt.com オトナル:ポッドキャストアドネットワークの配信可能な音声広告枠が月間2億を突破 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000035509.html サイバー・バズ:講談社ViVi事業部と共同運営するSNSメディア「MYPE」が開設1周年、累計再生回数2億回を突破 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000159.000013256.html Meta:若者の安全をめぐり、米29州と最大180億ドルで和解 ■URL:https://techcrunch.com/2026/08/26/meta-settles-for-18-billion-in-lawsuit-brought-by-29-states-over-social-media-harms-to-children/ ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanをご覧いただきたい。
Intent IQのIDソリューションはいかに機能するのか――CTOがひも解く独自技術の仕組み[インタビュー]
「プライバシー保護」と「ユーザー識別」という一見すると相矛盾した概念をいかに両立させるかはデジタル広告市場関係者にとって永遠の課題であろう。CEOへのインタビュー取材に続き、Intent IQがこの課題にいかに対応しているかについて、同社CTOに話を聞いた。 (Sponsored by Intent IQ) ユーザーを知らずに識別する仕組み ―自己紹介をお願いします。 イシャイ氏:Intent IQの最高技術責任者(CTO)を務めるドロール・ベン・イシャイです。第1号社員として参画して以来、当社の技術開発部門を管掌し、プライバシーを重視した拡張性の高いIDソリューションの開発に取り組んでいます。 シュブ氏:事業開発担当上級副社長のタミル・シュブです。 ―貴社が提供するIDソリューションの特徴を教えてください。 イシャイ氏:当社の分散型ID技術は非常に高い精度を持っています。複数のファーストパーティIDをクラスタリングすることによって、単一ユーザーのプロファイルを93%以上の精度で構成することが可能です。 また実装と統合が容易であり、同時に最高水準のプライバシーを維持しています。IDレス環境下で事業を営むパブリッシャーがIDソリューションを必要としていることは明らかですが、現行のインフラに容易に統合でき、また各市場固有のプライバシー関連法規制に則っていなければ実際に利用することができません。 さらに様々なID情報に対応したIDブリッジング製品となっていることも大きな特徴です。他の多くのIDソリューションは自社IDのみを取り扱っているのとは対照的に、当社は現在60種類以上の異なるIDに対応しています。 ―いわゆるIDレス環境下において、パブリッシャーはユーザーをどの程度まで識別できているのでしょうか。 イシャイ氏:単一のデバイスに限定したとしても、ユーザーは複数のブラウザをインストールし、各サイトと各アプリがそれぞれ固有のIDを発行し、また市場占有率の高いiOSは究極的なIDレスであるため、パブリッシャーがユーザーを識別することは相当に難しくなっています。 しかもユーザーは勤め先のデスクトップPC、CTV、その他の家庭用機器など複数の端末を使いこなしています。Intent IQのようなソリューションがなければ、広告主は異なる端末、ブラウザ、アプリのユーザーをそれぞれ別人と見なすような一元的なコミュニケーションしかとることができない状況です。 ―貴社のユーザー識別技術の仕組みを教えてください。 イシャイ氏:コンサート会場に行って、クロークに上着やカバンを預ける場面を思い浮かべてください。その時にあなたは荷物番号を受け取りますが、名前を名乗る必要はないですよね。当社でも同様にユーザーごとに異なる番号ないし識別子を割り振ることでプライバシーを最大限に尊重しながらユーザーを識別しています。 そして、機械学習やグラフ理論を駆使して、それぞれの識別子をグループ化し、端末、ユーザー、そして世帯ごとに紐づけます。つまり大量の信号をまとめあげることで、異なるID同士を接続し、ユーザーの氏名や素性を知らずとも、各ユーザーのプロファイルを構成することを可能にしています。 推定データを決定論的データで答え合わせ ―ユーザー識別の精度を高めるためにどのような工夫をしているのでしょうか。 イシャイ氏:一定規模のオンライン広告枠を自ら買い付けた上で自社ソリューションの推定結果の審査を日々行いながら、推定データを決定論的に確定させています。 例えばユーザーがアプリ内広告をクリックするとSafariが開きますよね。その際に広告の入札者は、推定データとしてよく使われるIPアドレスやユーザーエージェントなどと一緒に、決定論的デバイスIDを取得します。そしてここからが重要なのですが、取得した決定論的デバイスIDは一旦脇に置いておき、その他の推定データのみを当社のAPIに送信してユーザー識別をした後で、決定論的デバイスIDで答え合わせをするのです。 このような方式で毎日400万サンプルをテストして、そのうち380万サンプルで正答を得ることができれば精度は95%前後になるというわけです。 ―貴社ソリューションを実装後、パブリッシャーはどのような変化を期待できますか。 イシャイ氏:多くの場合、フィルレートが大きく向上します。例えば一つのページに8つの広告枠を設けていたとしても、下部枠はほとんど埋まらないという場合に、この空枠が埋まるようになります。 また広告の買い手が求めるオーディエンスとの一致率が高まるのでCPMが増加します。さらに関連性の高い広告が表示されるようになるので、ユーザーのエンゲージメント率が高まり、パブリッシャーに対するDSPのスコアリングが向上するでしょう。 ―ユーザーのプライバシーはどのように保護していますか。 イシャイ氏:当社は、ユーザーがウェブサイトを訪れた際に表示されるCookie取得の同意管理ポップアップで選択した内容をコード化したTCFトークンを米国のパブリッシャーからPrebidの入札環境で自動収集する機能を実装しています。またグローバル市場においては、データ取得時に同意管理プラットフォーム(CMP)ベンダーが宣言した個人データの用途を実際にユーザーが送信した情報と照合し、一致した場合のみそのデータを広告配信に活用しています。たとえユーザー本人からの承諾を得たとしても、DSPやSSPの承認が得られなければデータは同期しません。 ―「グローバル市場においては」と仰いましたが、日本市場では事情が異なるのでしょうか。 イシャイ氏:GDPRとは異なる法制度を持つ日本市場では、プライバシー対応の実務運用にも違いがあります。欧州ではCMPを通じた明示的な同意管理が重視される一方、日本ではパブリッシャー側がプライバシーポリシーや通知を通じてユーザーへの説明責任を担い、オプトアウト手段を提供する形が一般的です。 そのため、日本市場ではパブリッシャー側が、ユーザーへの通知やプライバシーポリシー上の開示、オプトアウト導線の整備などを行っていただくことを必ずお願いしています。 当社としても、各市場の法規制や業界ガイドラインに準拠しながら、パブリッシャーが適切なプライバシー対応を行えるよう設計しています。また、ユーザーがデータ利用を希望しない場合には、オプトアウトできる仕組みを提供しています。 いずれにせよ、当社は世界中のあらゆる同意取得方式に対応し、同意が得られない場合は広告配信にはユーザー情報を一切使用しません。 ―パブリッシャーは貴社ソリューションをどのように実装するのですか。 イシャイ氏:最も簡単なのがPrebidで、Prebidのチェックボックスをオンにし、当社から提供された認証情報を設定するだけで即座に当社ソリューションの利用を開始できます。またパブリッシャーが当社ソリューションをカスタマイズして利用したい場合は独自のJavaScriptやSDKを統合していただくことになります。またSSPのような大規模な事業者向けには、最も堅牢なAPI経由のサーバーサイド統合をご案内しています。 ―貴社ソリューションと他のIDソリューションを組み合せて使うこともできますか。 イシャイ氏:パブリッシャーがすでに他のソリューションを持っている場合、当社のIDが追加で配置されることになります。つまり、他のIDを上書きすることはありません。複数の異なるIDをまとめ上げることができるというのが当社技術の特徴となっています。 シュブ氏:オンライン広告の技術標準を策定するInteractive Advertising Bureau(IAB)が定めたルールに則り、パラメータを通じてIntent IQのIDであることを明示しているので、SSPまたはDSPは利用の有無を選択できる環境が整備されています。 イシャイ氏:なお、この機能はOpen RTBのバージョン2.6でサポートされています。 ―日本のパブリッシャーとはどのように関係構築を行っていきたいと考えていますか。 イシャイ氏:当社のソリューションはフランス、英国、スペイン、ドイツ、米国、カナダ、そして日本など世界中で導入されており、その配信規模は現時点で1カ月あたり1200億インプレッション、今年末までには2000億インプレッションに達する見込みです。 中には10年以上にわたり当社ソリューションをご利用いただいているパブリッシャーがいます。信頼と安定性が重視される日本市場においても、パブリッシャーの皆様と長期にわたるパートナーシップを構築することができたらと願っています。 シュブ氏:そこで当社は日本市場への投資を本格化することを決定し、半年前には東京にデータセンターを開設したばかりです。 イシャイ氏:東京にデータセンターを開設したことで、日本のユーザーのブラウザがIntent IQのIDをキャッシュしてデータセンターと往復する際にかかる時間を90%削減することができました。広告リクエストという極めて限定的なプロセスの中のさらにごく一部を改善するために当社が大きな投資を行っているという事実が、当社の覚悟を物語っているかと思います。 これからも日本市場への投資を続けながら、パブリッシャーの皆様が抱える課題に取り組んでいきます。
デモCM制作のハードルをAIで下げる――TBSラジオ「デモCMジェネレーター」に見る音声広告の現在地【インタビュー】
ワイヤレスイヤホンの普及や「ながら聴取」の広がりを背景に、ラジオやPodcastを活用した音声広告への関心が高まっている。株式会社TBSラジオは2026年6月23日、企業名や商品名を入力するだけで、AIが20秒の音声デモCMを生成する新機能「デモCMジェネレーター」の提供を開始した。 同機能は、音声広告の出稿経験がない企業や広告代理店に広告の仕上がりを短時間で体験してもらい、制作・出稿の最初のハードルを下げることを目的としている。 本稿では、同機能の開発背景と仕組み、デジタル音声広告市場の現在地、今後の展望について、同社 総合戦略局 デジタル戦略部長 原田 俊亮 氏(左)とデジタル戦略部 門田 歩 氏(右)に話を伺った。 (聞き手:ExchangeWireJAPAN 町田 貢輝) 営業現場の「作りたいけれど作れない」から生まれたツール TBSラジオは2025年4月、月間再生数3,500万回超(*1)のTBS Podcastや、radikoアド、YouTube広告収入など、デジタル領域の収益拡大を担う専門部署としてデジタル戦略部を新設した。同部でインサイドセールスにも携わるのが、部長の原田俊亮氏と、営業企画を担当する門田歩氏である。 「デモCMジェネレーター」の発端は、社内向けのツールだったと原田氏は明かす。同社では20人弱の営業担当者がクライアントへの提案を担っており、「デモCMを作りたい」という要望が寄せられる一方で、CM制作に充てられる人的リソースは限られ、完成までに時間を要していた。 そこで、営業担当者が手元で20秒、40秒、掛け合いなど、複数パターンのデモCMを簡易に作成できる仕組みとして開発したのが始まりだったという。 また、セールス情報サイト「TBSラジオプロモーションガイド」に寄せられる広告主・広告会社からの問い合わせの多くが「音声素材を持っていない」「作ったことがない」という内容だった。そこで、まずはツールを幅広く体験してもらうことがリード獲得につながると判断し、外部向けに公開した。 門田氏は「最初のきっかけは、問い合わせが増えている一方で、実際に音声広告を出稿するまでにはハードルがあると感じたことです。デモCMを通じてそのハードルを下げ、さらに問い合わせにつなげたいと考えました」と狙いを語る。 原田氏は、デジタル系の広告代理店には「動画の制作ノウハウはあっても、音声はどう作ればよいのか分からない」という声が多いと話す。そのため、「デモCMジェネレーター」を活用してもらい、音声広告を検討する初期段階で悩む時間を減らすことも、大きな狙いだと説明する。 デモCMジェネレーターのHP画面 (*1)出典:TBSラジオプロモーションガイド公開情報(tbsrsales.jp)より 企業名を入れるだけで20秒のデモCMが完成 「デモCMジェネレーター」の使い方はシンプルだ。TBSラジオが運営する広告主・広告代理店向けの会員制ビジネスサイト「TBSラジオプロモーションガイド」に設けられた「デモCMジェネレーター」の生成画面で、企業名や商品名を入力し、ナレーションのトーンとBGMの雰囲気を選択して生成ボタンを押すと、約1分で20秒のデモCM音源が完成する。 生成画面はログインせずに操作できるが、生成音源を確認するには無料の会員登録が必要となる。デモCM素材は、月間20本まで無償で作成できる。 技術的には、コピーを生成するAIと、それを音声化するAIなど、複数のAIを裏側で組み合わせているという。企業名を入力するだけでも、生成AIがその企業や商品について調べたうえで、コピーの叩き台を作成する点が特徴だ。 取材当日、原田氏らはExchangeWire Japanを題材にデモCMを実演し、媒体名を入力しただけで、その特色を踏まえたナレーション原稿が短時間で仕上がる様子を見せた。 生成された音源には、他媒体での無断転用を防ぐための音声透かしが施されている。 原田氏によれば、これは無断利用そのものへの対策というよりも、使用しているBGMの権利処理上の理由が大きいという。TBSラジオが運営する媒体で使用する分については権利処理が済んでいる一方、他媒体で使用すると別途費用が発生するため、転用を防ぐ加工を施しているそうだ。 また、あくまで「デモ」と位置づけているのは、AIが生成する音声に、細かな発音やイントネーションの不自然さが残る場合があるためである。実際に広告として出稿する際には、改めて社内の広告審査(考査)を行い、必要に応じて発音やイントネーション、トーンを調整することができる。 広告主とTBSラジオの双方が内容に問題ないと判断した場合は、「デモCMジェネレーター」で生成した素材を、そのまま出稿用の広告素材として使用できることもあるという。 ExchangeWire Japanの文言だけで「デモCMジェネレーター」が作成した20秒デモCM 公開直後から反響大、想定外の使われ方も 提供開始から間もないものの、TBSラジオプロモーションガイドへの登録者は増加しており、デモCMをきっかけとした商談も始まっているという。当初は広告代理店による利用を主に想定していたが、実際には広告主が直接試すケースも多く、原田氏にとって想定外の反響だった。 さらに意外だったのが、生成AIに慣れたユーザーによる使い方だ。企業名を入力する欄に、あらかじめ用意した詳細な広告コピーをそのまま入力し、事実上のプロンプトとして活用するユーザーもいるという。 原田氏は「自分たちで作った広告コピーを、そのままビジネス用に使っているようだ」と明かしつつ、「TBSラジオへの直接的なメリットにはならないかもしれないが、そうした形で頻繁にサイトを訪れてもらえること自体は良いことだと捉えている」と話す。 デモCM制作にかかる期間の短縮効果も大きい。従来は、営業担当者がCM制作担当者と打ち合わせを行い、広告コピーを用意したうえで、ナレーターやスタジオを手配して収録する必要があったため、少なくとも数日、長ければ1週間程度を要していた。それが「デモCMジェネレーター」の活用により、約1分で広告のイメージを確認できるようになったという。 このように、「デモCMジェネレーター」は、広告主や広告代理店が音声広告の具体的なイメージを短時間でつかみ、出稿を検討するきっかけをつくる役割を担っている。その背景には、Podcastを中心に音声広告への関心が高まっていることがある。 3STEPで簡単に音声デモCMを作ることができる 高まるPodcastへの関心と、音声広告ならではの強み 音声広告市場の現状について、原田氏はPodcastへの関心が高まっていると説明する。 背景の一つが、ワイヤレスイヤホンの普及である。移動中や家事中など、ほかのことをしながら音声コンテンツに触れる機会が増え、これまでメディアとの接触が難しかった場面にも音声が入り込めるようになった。 広告主や広告代理店からの問い合わせも増えており、Podcastで何ができるのかを具体的に検討する動きが広がっている。Spotifyなどの存在も、音声広告の認知拡大を後押ししていると見る。 音声広告ならではの価値について門田氏は、スキップされにくい点を挙げる。Podcastにはスキップ機能があるものの、音声広告はそもそもスキップしようと思われにくく、広告への嫌悪感も抱かれにくいと説明する。 また、話者への愛着からファンコミュニティが形成されやすい点も音声メディアならではの特性である。自社のファンを増やし、繰り返し商品を購入してもらいたいと考える企業から、「Podcastをどのように活用すればよいか」という相談も増えているという。 TBS PodcastのHP画面(https://www.tbsradio.jp/podcast/)。 SpotifyやAmazon Music、radiko等で聴取可能だ 進化する音声広告の効果測定 デジタル化やアドテクノロジーの進展について、原田氏は、Podcast広告が長年抱えてきた「データが戻ってこない」という課題が、ようやく解消されつつあると説明する。 複数のプラットフォームに配信されるPodcastは、DSP側が必要とするユーザーデータを得にくく、プログラマティック化が難しいとされてきた。 TBSラジオでは取材時点で複数のDSP(*2)との接続テストを開始しており、統合マーケティング施策の一環として運用できる仕組みが間もなく整う見込みという。DSP経由であれば、TVerやYouTubeなど、他のデジタル広告と同様の効果測定が可能になる。 DSP経由以外の直接販売についても、海外の効果測定技術の導入を進めている。 原田氏は、米国で広く利用されているPodcast効果測定ツール「Podscribe」を、国内ではおそらく初めて本格稼働させる予定だと説明する。これにより、精度が向上したIPアドレスの分析とユーザーエージェントの情報を組み合わせ、これまで把握が難しかった広告接触後の行動データを計測できるようになる。 また、純広告では、広告を聴いた人が広告主のサイトを訪れたかを計測する仕組みを2026年初めから導入している。TBSラジオは、広告メニューに応じて複数の測定手段を整備し、Podcast広告の効果を可視化する取り組みを進めている。 音声広告市場の拡大に向けて デジタル音声広告市場が抱える課題として、原田氏は二つを挙げる。 一つ目は、プレイヤーの少なさだ。 YouTubeなどと比べて収益化の手段が限られているため、新たなプレイヤーが参入しにくく、市場も拡大しにくい。そのため、TBSラジオは、まず音声広告市場そのものを拡大することが重要だと捉えている。 二つ目は、出稿プロセスの複雑さである。 SNS広告などは管理画面上で出稿まで完結できる一方、音声広告では、制作や審査、入稿などの各工程に多くの人が関わっている。TBSラジオは、将来的に広告枠の購入やカード決済までオンラインで完結できる仕組みを目指し、出稿プロセスを簡素化していく考えだ。 市場の拡大に向け、TBSラジオはリスナー層とコンテンツの幅を広げる取り組みも進めている。radikoでは40〜50代の男性がリスナーの中心である一方、Podcastでは20〜30代や女性のリスナーが多いという。こうした違いを踏まえ、ラジオでは届きにくかった若年層を意識したキャスティングや番組企画を増やしている。 また、近年広がりを見せるビデオPodcastへの対応も強化していく。原田氏は、話し手の間合いや番組の構成、企画の組み立て方など、コンテンツを面白くするために放送で培ってきた制作ノウハウが、TBSラジオの強みだと説明する。TBSラジオは、こうした番組制作の知見に加え、TBSグループ内のテレビ局やBS局が持つ映像制作の知見も生かしながら、ビデオPodcastに取り組む方針だ。 ターゲティングとDSP接続を拡大 今後の展望として原田氏は、2026年秋にもTBS Podcastの広告在庫で、年齢や性別などの属性に基づくデモグラフィックターゲティングを初めて商品化する計画を明かした。あわせて、番組やエピソードで扱われている話題に応じて広告を配信するコンテキストターゲティングも投入する予定だという。 また、DSPとの接続により、Podcastの広告在庫をデジタル広告在庫として扱える環境も整いつつある。原田氏は「自社メディアだけでも1億インプレッション程度の規模がある」としたうえで、主要なDSPとの接続を、今後も進めていく考えを示した。 門田氏は、「デモCMジェネレーター」を音声広告に関心を持ってもらう入り口として活用し、広告主や広告代理店からの問い合わせをさらに増やしたいと話す。ラジオ広告を知っていても出稿した経験がない企業や広告代理店は多いが、配信方法や効果測定、音源制作について説明すると「思っていたよりも活用しやすい」と受け止められることが多いという。 最後に原田氏は、主要DSPとの接続によって、これまで広告主や広告代理店がアクセスしにくかったPodcastの広告在庫も活用しやすくなるとして、「ぜひ活用していただきたい」と期待を寄せた。 「デモCMジェネレーター」で音声広告を検討する入り口を広げるとともに、ターゲティングや配信、効果測定の環境を整備する。TBSラジオは、制作から配信、効果測定までの各段階にある障壁を下げることで、音声広告の活用拡大を目指している。
「日本のリワード型UAはまだ発展途上」-リワード特化型プラットフォームのAlmediaが日本市場に参入[インタビュー]
広告を見る代わりに、ユーザーがゲーム内の報酬をもらうことができる「リワード広告」がゲームアプリ業界を席巻してから久しい。と思いきや、リワード広告にはまだまだ発展の余地が残されていると喝破するのが独自のリワード特化型プラットフォームを運営するベルリン発のAlmedia社だ。2026年に本格的な日本市場進出を果たしたばかりの同社の日本市場責任者に話を聞いた。 (Sponsored by Almedia) リワードUAプラットフォームを展開 ―自己紹介をお願いします。 Almediaで日本市場を担当している坂倉浩司と申します。日本は、AlmediaにとってAPACにおける重要な戦略市場の一つで、現在、日本の広告主や業界パートナーとの連携を積極的に拡大しています。 ―貴社の事業紹介をお願いします。 Almediaは、リワードプラットフォームを展開しています。主力サービスの「Freecash」では、ユーザーがゲームやアプリ、さまざまなデジタルオファーを利用し、所定のアクションを達成することで報酬を獲得できます。 広告主にとっては、広告効果を明確に把握しながら、エンゲージメントの高いユーザーを効率的に獲得し、長期的なユーザー価値の向上につなげることができます。 ユーザーには明確なリワードを、広告主には測定可能な成果を提供できる。この双方にメリットのある仕組みが、リワード型UAがグローバルで拡大している理由の一つだと考えています。 資料提供:Almedia社 ―2026年1月に参入した日本市場における取組みの進捗をお聞かせください。 日本は、ユーザーのエンゲージメントが非常に高く、広告主のマーケティングに対する知見も深い、世界でも重要なモバイルゲーム・アプリ市場の一つです。特に近年は、広告主がより効率的で、かつ成果を明確に計測できる成長チャネルを求める傾向が強まっており、日本市場には大きな成長余地があると考えています。 一方で、日本におけるリワード型UAは、他のグローバル市場と比較するとまだ発展途上の段階です。だからこそ、その仕組みや価値を正しく理解していただくことで、市場そのものをさらに拡大できる可能性があると見ています。 Almediaにとって、日本はAPAC展開における重要な戦略市場です。今後も日本の広告主や業界パートナーとの連携を深めながら、短期的な事業拡大だけではなく、長期的なパートナーシップを築いていきたいと考えています。 ―2026年8月現在、日本市場ユーザーがリワードを得ることができるゲームを教えてください。 Freecashで提供しているオファーは随時更新されており、ユーザーが利用できるゲームタイトルは、時期や市場によって異なります。 日本では現在、グローバルおよび日本のパブリッシャーが提供する、カジュアル、パズル、ストラテジー、RPG、シミュレーションなど、幅広いジャンルのモバイルゲームを通じてリワードを獲得できます。 また、日本でのパートナーシップ拡大に伴い、国内コンテンツの拡充にも取り組んでいます。日本のユーザーには、より多様で質の高いゲームとの出会いを提供すると同時に、パブリッシャーにはリワード型UAのモデルを通じて、エンゲージメントの高いユーザーとの接点を提供していきたいと考えています。 私たちが重視しているのは、特定のタイトルを数多く掲載することではなく、それぞれのユーザーに適したゲームを届けることです。こうしたマッチングの精度を高めることが、ユーザーと広告主の双方に長期的な価値を生み出すと考えています。 独自の最適化の仕組み ―ユーザーの行動データに応じて、提供するリワードの種類や内容をどのように最適化するのでしょうか。 最適化とは、単にリワードを提供することではありません。重要なのは、「適切なユーザーに、適切なリワードを、適切なタイミングで届けること」だと考えています。 例えば、新しいストラテジーゲームに興味を持つ2人のユーザーがいるとします。従来のリワード施策では、それぞれの興味や行動傾向にかかわらず、同じタスクに対して同じリワードが提示されるケースが一般的です。 一方、Freecashでは、よりパーソナライズされたアプローチが可能です。例えば、長期型のゲームオファーを継続的に達成し、ストラテジーゲームを深くプレイする傾向があるユーザーには、数日間のゲーム進行に応じて、より高いリワードを獲得できるオファーを提示できます。一方、カジュアルゲームや短時間のプレイを好むユーザーには、より参加しやすく、その行動傾向に適したリワード設計のオファーを提示します。 目的は、単純にリワードの金額を最大化することではありません。ユーザー、オファー、そして広告主のキャンペーン目標を、いかに最適にマッチングするかが重要です。 ユーザーがFreecashを利用する中で、オファーの選択傾向や達成率、インストール後の行動といったエンゲージメントシグナルをもとに、最適化モデルも継続的に学習していきます。これにより、ユーザーにはより関連性の高いオファーを提案でき、広告主にとっても長期的な価値につながる可能性の高いユーザーへ、より効果的にリーチできるようになります。 最終的には、このパーソナライゼーションによって、ユーザーは自分に合ったオファーを見つけやすくなり、広告主はよりエンゲージメントの高いユーザーを獲得できる。双方にとってより良い成果につながる仕組みだと考えています。 ―オファーウォール広告機能を提供する事業者は既に一定数存在します。貴社はこれらの事業者とはどのように差別化していますか。 ここ数年で市場は大きく変化しています。現在、広告主が求めているのは、単なる新しいオファーウォールではなく、持続的な成長と、明確に計測できるビジネス成果です。そこにAlmediaの大きな違いがあると考えています。 第一に、私たちが重視しているのは、単なるインセンティブによるインストール獲得ではなく、リワード型UAです。インストール数だけを追うのではなく、獲得したユーザーがその後も継続して利用し、エンゲージメントを深め、長期的な価値につながることを目指しています。そのため、継続率やROAS、LTVといった指標を重視しています。 第二に、パーソナライゼーションと最適化に積極的に投資しています。ユーザーの行動データや機械学習を活用し、一人ひとりに関連性の高いオファーをマッチングすることで、ユーザー体験を高めながら、広告主のキャンペーン成果の向上につなげています。 第三に、Almediaの事業領域は、すでにユーザー獲得だけにとどまりません。Freecashによるユーザー獲得に加え、ゲーム内の収益化を支援するLinkを展開しています。これにより、ユーザー獲得からエンゲージメント、収益化まで、パートナー企業の成長を幅広く支援できる体制を構築しています。 そして、私たちは単なるトラフィックの提供元ではなく、長期的なグロースパートナーでありたいと考えています。広告主と密に連携しながら、キャンペーンを継続的に改善し、新しい施策を検証し、データと明確な成果に基づいた持続的な成長を支援しています。 今の市場に必要なのは、単にオファーウォールの選択肢を増やすことではないと思います。競争が激しくなる中で、広告主がより効率的かつ持続的に成長できるよう支援するパートナーが必要です。Almediaは、まさにその役割を担っていきたいと考えています。 ―従来の外部アプリ枠への広告配信ではなく、Freecashという独自のプラットフォーム上に多種多様なゲームのリワードを集めるという手法は、多くの利点とともに、競合ゲームと並列され、また自社ゲームの利用データが競合社に使われてしまうというリスクを抱えているのではないでしょうか。 もっともなご懸念だと思いますし、実際にパートナー企業ともよく議論するポイントです。 まず前提として、Freecashは広告主同士が互いのキャンペーンデータを閲覧できるようなオープンなマーケットプレイスではありません。キャンペーンのパフォーマンスやターゲティング、ファーストパーティデータは厳格に管理されており、各広告主が確認できるのは自社のレポートやインサイトに限られます。 一方、ユーザーがFreecash上で複数のゲームを発見できることは事実ですが、私たちはむしろそれをメリットだと捉えています。Freecashのユーザーは、新しいゲームや体験を見つけることを目的の一つとしてプラットフォームを利用しているため、広告主にとっては、新しいコンテンツへの関心が高いユーザーと接点を持てる環境になっています。 また、すべてのユーザーに同じオファーを一律に表示しているわけではありません。ユーザーの行動や嗜好、キャンペーンの目的などをもとに、レコメンドや最適化を行い、関連性の高いオファーを優先的に提示しています。そのため、単純に競合タイトル同士が「露出を奪い合う」というよりも、それぞれのゲームと相性の良いユーザーをいかにマッチングするかが重要になります。 私たちが目指しているのは、単純に露出量を最大化することではなく、成果を最大化することです。あるユーザーと特定のゲームとの相性が高ければ、そのゲームを適切に届けることが、ユーザー体験の向上だけでなく、広告主にとっての長期的なパフォーマンスにもつながります。 実際、広告主がより重視しているのは、競合タイトルが同じプラットフォームに掲載されているかどうかよりも、新規かつ質の高いユーザーを獲得し、測定可能な成果につなげられるかどうかです。キャンペーンとして明確なビジネス成果を生み出せる限り、複数のタイトルが同じエコシステムに存在すること自体が、成長の障壁になるとは考えていません。 ―「インストール後の様々なイベントを達成できたときに初めて報酬を与える」というFreecashの手法は、ROAS最大化に適している一方で、「報酬を与えなくてもゲームのルールを把握した時点で既に固定化していたユーザー」に過剰にリワードを与えかねないというリスクを抱えているのではないでしょうか。 非常に重要なご指摘だと思います。私たちもキャンペーンを設計する際に、常に注意しているポイントです。 まず、リワード型UAは、すべてのユーザーに一律に報酬を与えることを目的としたものではありません。重要なのは、もともと自然に発生していた行動に対して報酬を支払うのではなく、リワードによって新たな行動を促し、インクリメンタルな価値を生み出すことです。 そのため、広告主ごとのビジネス目標に合わせて、ユーザーの継続利用やゲーム内での進行など、価値のあるマイルストーンを設定します。パートナー企業と一緒に、どのアクションが実際に追加的な価値につながるのかを見極め、それに合わせてリワード設計を行います。さらに、実際のパフォーマンスデータを継続的に分析しながら、キャンペーンを改善していきます。 いわゆる「Whale」と呼ばれる高課金ユーザーへのカニバリゼーションについても、現時点では大きな影響は見られていません。もともと課金意欲の高いユーザーは、ゲームそのものを楽しみ、そこに価値を感じているからこそ課金します。リワードによってゲームへのエンゲージメントが深まったり、特定のマイルストーンへの到達が早まったりすることはありますが、ユーザー本来の課金動機そのものを置き換えるものではないと考えています。 むしろ、リワードを活用することで、オンボーディングや初期のエンゲージメントを促し、ユーザーがゲームの魅力を理解して継続的にプレイするきっかけを作ることができます。その後の長期的な継続利用を左右するのは、最終的にはリワードではなく、ゲームそのものの体験です。 私たちが最終的に重視しているのは、リワードの金額や配布量ではなく、ROAS、継続率、LTVといった実際のビジネス成果です。リワード設計が追加的な価値を生み出していなければ、データをもとに見直していきます。目的はリワードを最大化することではなく、広告主の持続的な成長を最大化することです。 資料提供:Almedia社 日本市場固有の課題への対応 ―現在、日本の大手ゲーム事業者の多くがIAPとIAAのハイブリッドモデルを採用しています。各社がIAPとIAAの収益比率のバランスを取ることなどを慎重に検討していると思いますが、Freecashの自動最適化機能はこうした各社固有の方針にどのように対応し得るのでしょうか。 私たちのプラットフォームの強みの一つは、すべての広告主に同じ最適化を行う「ワンサイズ・フィッツ・オール」のアプローチではないことです。パブリッシャーごとに事業目標やマネタイズ戦略、KPIは異なるため、私たちの役割はそれらを置き換えることではなく、各社の目標に沿って最適化することだと考えています。 IAPとIAAを組み合わせたハイブリッドモデルの場合も、まずパートナー企業と「何を成果とするのか」を明確にします。課金転換率や長期的なLTVを重視する企業もあれば、広告収益やエンゲージメントを重視する企業、あるいはその両方のバランスを求める企業もあります。私たちは、それぞれの優先順位に合わせて最適化の方針を設計します。 そのため、単一の指標だけを見るのではなく、継続率、ROAS、インストール後のエンゲージメント、課金行動、広告収益など、複数のパフォーマンスシグナルを総合的に分析し、それぞれのビジネスモデルにおいて長期的な価値を生み出すユーザーの獲得を支援しています。 こうした柔軟性は、マネタイズ領域にも広がっています。例えば、LinkはIAA型ゲーム向けに設計されたソリューションで、ユーザーの継続的なプレイにリワードを提供することで、新たな収益機会を生み出します。開発負荷も最小限に抑えられるため、ゲームの基本的なエコノミーを大きく変更することなく、既存のマネタイズ戦略に組み込むことができます。 私たちは、すべてのゲームに共通する「理想的なIAPとIAAの比率」があるとは考えていません。ゲームごとにユーザー構成や収益モデル、目指す成果は異なります。だからこそ、各パートナーの戦略を尊重しながら、テクノロジー、データ、最適化の仕組みを提供し、長期的なビジネス成果を最大化することが私たちの役割だと考えています。 ―貴社独自のソリューションである「Gaming Budget」の概要についてお聞かせください。国ごとの予算配分と報酬設計を自動化する機能を提供するとのことですが、自動化を通じて「最も費用対効果が高い国」に予算が集中してしまい、新規市場開拓を難しくしてしまうリスクがあるのではないでしょうか。 Gaming Budgetの基本的な考え方は、マーケター自身がキャンペーンの方向性をコントロールしながら、日々の運用をより効率化することです。 複数の国でリワード型UAキャンペーンを展開する場合、国ごとの予算配分やリワード設計、パフォーマンスのモニタリングと調整を継続的に行う必要があります。展開する市場が増えるほど、こうした運用負荷も大きくなります。 Gaming Budgetでは、キャンペーンの目標やパフォーマンスシグナルをもとに、各市場への予算配分やリワード設計の最適化を自動化することで、こうした日々の運用負荷を軽減します。これにより、マーケターは細かな調整作業に費やす時間を減らし、成長戦略や新たな施策の検討など、より重要な業務に集中できるようになります。 ただし、自動化によって単純に「最もコストの低い国」に予算が集中するわけではありません。コスト効率は重要な要素の一つですが、それだけで判断するものではなく、広告主が設定したビジネス目標に沿って最適化を行います。 例えば、日本やその他の戦略市場への展開を優先したい場合には、その方針をキャンペーン戦略に反映できます。つまり、自動化はマーケターの戦略を上書きするものではなく、その戦略をより効率的に実行するための仕組みです。 私たちはGaming Budgetを、マーケターの意思決定を代替するものではなく、生産性を高めるためのツールと捉えています。日々の反復的な運用業務を減らすことで、成長戦略やクリエイティブの検証、新市場の開拓など、より付加価値の高い業務に時間を使えるようにすることが、この機能の大きな目的です。 ―日本市場固有の課題をどのように認識していますか。 日本は世界でも非常に成熟度の高いモバイル市場の一つです。だからこそ、大きな可能性がある一方で、参入の難易度も高い市場だと感じています。 私が特に日本市場ならではだと感じるのは、テクノロジーそのものよりも、新しいパートナーやUAチャネルに対する考え方です。日本のパブリッシャーは非常に長期的な視点で導入を判断します。単に「新しいから」「海外で成果が出ているから」という理由だけではなく、自社のビジネスに本当に適しているのか、データで成果を検証できるのか、そして長期的に信頼できるパートナーなのかを慎重に見極めます。 また、ユーザーの質に対する意識が非常に高いことも日本市場の特徴です。単純なインストール数だけではなく、獲得したユーザーが継続して利用するのか、収益につながるのか、そして長期的な事業成長に貢献するのかまで重視されています。そのため、日本のお客様との商談では、ユーザー品質や透明性、計測といったテーマについて、より深く議論することが多いですね。 一方、日本には世界トップクラスのゲームやアプリが数多くあり、ユーザーの期待値も非常に高い市場です。日本で成功するためには、単にプロダクトを日本語化するだけでは十分ではありません。市場を深く理解し、現地で信頼関係を築き、実際の成果を継続的に示していくことが重要です。 私たちは、こうした日本市場の特性を参入障壁ではなく、むしろ大きな機会だと捉えています。Almediaがグローバルで重視してきた透明性、成果、そして長期的なパートナーシップという考え方は、日本市場とも非常に親和性が高いからです。 だからこそ、日本でのローカル体制を整え、日本のパブリッシャーと直接向き合いながら、それぞれの成長目標に合った支援を進めています。日本市場で長期的に成功するために重要なのは、単に市場へ参入することではなく、成果を積み重ねることで信頼を得ていくことだと考えています。 資料提供:Almedia社 ―今後の貴社事業の展開の見込みについてお聞かせください。 日本市場ではまだ本格展開を始めたばかりですので、単に規模を追うのではなく、長期的な成長につながる強固な基盤を築くことを優先しています。 この約6か月間で、デイリーアクティブユーザー数は6倍以上、デイリー売上は8倍以上に成長し、日本のゲーム会社やアプリ事業者とのパートナーシップも着実に広がっています。こうした初期の成果からも、日本市場の長期的な可能性に大きな手応えを感じています。 今後は、大きく3つの領域に注力していきます。 第一に、日本のゲーム会社や広告主とのパートナーシップをさらに拡大していきます。日本では、リワード型UAにはまだ大きな成長余地があると考えています。データや具体的な活用方法、そして今後公開していく日本市場での成功事例を通じて、その価値をより広く理解していただけるよう取り組んでいきます。 第二に、プロダクトへの投資を継続していきます。Freecashに加え、少ない開発負荷で継続率やLTVの向上、新たな収益機会の創出を支援する「Link」など、プロダクトポートフォリオを拡充しています。ユーザー獲得だけでなく、エンゲージメント、マネタイズまで、パートナー企業の成長をより幅広く支援していくことが目標です。 そして第三に、日本でのローカル体制をさらに強化していきます。日本は特に信頼関係を重視する市場です。お客様の近くでビジネスや課題を深く理解し、日本市場に合ったサポートを提供することが、長期的な成功には欠かせないと考えています。 私たちが目指しているのは、日本で単なるリワードプラットフォームの一つになることではありません。日本のゲーム会社やアプリ事業者が、国内はもちろん、グローバルでも成長していくために、「ロマンとソロバンの両立」ができる長期的なグロースパートナーになるための取組を続けたいと思います 。 Almediaについての詳細はこちら
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