インプレス×FLUXが仕掛ける、Browsiを活用した新しいビジネス戦略とは[インタビュー]
1992年の創業以来、IT関連を中心にさまざまな専門メディアを展開しているインプレス。 オープンインターネットの厳しい競争環境で、新しいテクノロジーをうまく活用しながらのかじ取りが求められるなか、同社が昨年FLUXの支援を受けて導入したBrowsiの導入効果と今後の期待について、同社デジタルマーケティング室 室長の大薮氏、アドテクの広告運用を担当する山田氏、そして、FLUXのメディアアカウントエグゼクティブ部の下田氏へのインタビューに、お話を伺った。 (Sponsored by FLUX) -自己紹介をお願いいたします。 大薮氏:インプレスでデジタルマーケティング室 室長をしている大薮と申します。 我々インプレスは1992年にアスキーの共同創業者の一人である塚本慶一郎が創業し、現在はIT関連をはじめとする各種専門メディア事業を展開しています。さらにインプレスのグループ会社では多岐に渡り、IT事業以外では、例えば音楽やデザイン、山岳自然のような各種領域に専門特化をしたメディアビジネスも手掛けています。 そのなかで我々は法人営業部門において、プログラマティック広告の運用をはじめとする業務を担っております。営業部門と連携をして、タイアップ記事のPVを増やすなど、アドテクを使って自社の純広告の価値を高める施策や、自社メディアの会員獲得なども行っています。 山田氏:大薮のもとで、アドテクの広告運用をメインに担当しております。そのなかで、FLUXさんとお付き合いをさせていただき、Browsiの導入を直接担当しました。 下田氏:FLUXにてメディアアカウントエグゼクティブ部 でマネージャーを務めております。私の部署では、媒体社様の対面として、Prebid Wrapperの他、Browsiや各種アドテクプロダクトの提供、メディア事業全体のコンサルティングを行っています。私はプレイングマネージャーとして、マネジメントをすると同時に、媒体社のお客様とも直接お仕事をさせていただいております。 ユーザー体験とマネタイズとの難しいバランス -インプレスさんが感じておられる現在のデジタル広告ビジネスの環境と課題について、お聞かせください。 大薮氏:プログラマティック広告の収入は長期間にわたり、単価下落の傾向が続いています。何も対策をしないでおくと、広告収入が下がってしまうという状況が長い期間続いています。 対応策として手を付けやすいのは広告枠を増やすことになるのですが、市場全体でそれをすることで、広告在庫が増えて、広告単価が下落します。そうするとまた広告枠を増やし、その結果読者にも嫌がられてしまう、というようなサイクルに陥っています。 メディアにとっては、マネタイズと読者のユーザー体験とのバランスをどう取るかということについてずっと課題としてあり続けています。 また、クッキーレスに向けて数年前にDMPを導入し、ウェブの閲覧履歴を集めていわゆるオーディエンスターゲティング系のメニューも準備をしましたが、これをプログラマティックで活かしきれていないというのも課題として挙がっています。 ですので、新しいソリューションやトレンドに関する情報収集しながら、出来ることをやっていくというのが現状です。 -元々FLUXさんとインプレスさんは、いつ頃からお取引があったのでしょうか 下田氏:Prebidを導入するときにお取引を開始して以降、かれこれ4年5年ほどのお付き合いとなります。 -FLUXさんがインプレスさんにBrowsiを提案されるに至った背景についておきかせください。FLUXさんからご覧になられたインプレスさんは、どのような課題を持たれていると感じましたか? 下田氏:媒体社が今直面している悩みは色々あります。クッキーレスにまつわる問題もそうですし、最近話として上がりやすいのは、広告収入を得ることだけを目的に作られる、MFAに関する問題です。 インプレスさんに関しては主要な10数媒体でPrebidを導入していただいているのですが、媒体や記事ごとにコンテンツの長さがさまざまであることで、媒体ごとに、ユーザーにとっても、広告収入の観点でも最適な広告枠の配置を効率的に決めることが難しかったというのが特徴です。 極端に長い記事もある一方でとても短い記事もあるため、記事の長さに応じて広告枠を何個設定するのかということを、効率的にコントロールするのが難しいという課題がありました。 そのことがBrowsiの提案をしたということにつながります。Browsiはユーザビリティや、広告主にとっても重要な指標であるviewabilityを考慮し、AIがユーザーをスコアリングして、記事の長さに応じて一人一人に最適な広告枠の位置や数を判断して挿入してくれます。 ユーザー側からすると、ある人と別の人とが同じ記事を見ていても、それぞれの記事内で表示される広告枠の数や位置が異なるという体験をすることになります。 これまでは媒体社が広告枠の位置や数を変更する場合には、媒体社側でエンジニアに一定の作業をしていただく必要がありました。そこでBrowsiを導入いただくことで、弊社側で変更に関する作業をすべて対応することが出来るようになりました。 これにより、広告枠の数や位置の変更や調整にかかるインプレスさん側の工数がほぼなくなりました。 AI時代の新しい広告運用 -なるほど。インプレスさんは、Browsiの導入に当たり、どのような点に期待されたのでしょうか。 大薮氏:導入に向けたテストを昨年(2023年)10月頃より開始し、3段階で検証を進めていきました。2023年に広告のPV単価が大きく下がった時期があり、様々な対策を検討する中で、FLUXさんより前々からご提案いただいたBrowsiの導入を検討し始めたことがきっかけです。 テスト導入において、導入前後を比べると、広告収入は5%から15%ほど上昇し大きな期待を持つことが出来ました。 どこも似たような状況だと思うのですが、出版社系の媒体社は特にエンジニアがあまり多くいないので、エンジニアのリソースをどう確保するかが基本的な問題になっています。私たちの会社には広告専門のエンジニアがいないので、いろんなシステムを見ている人間に広告の仕事を割り込ませることになり非常に難しいのです。 先ほど下田さんからもお話があった通り、導入にあたり当社のエンジニアの工数が増えなかったことも、大きな効果の一つです。 山田氏:導入にあたっては16媒体でテストを行いました。その効果検証が非常に大変だったのですが、すべてFLUXさんにお任せできたのがとても良かったです。 その結果を社内で検討し、数字も良かったので導入に至りました。サポートは非常に手厚く、導入後もチューニングなどのご提案を細かくいただきました。これにより媒体ごとのばらつきもなくなり、大変助かっています。 下田氏:実際のところインプレスさんのパフォーマンスは非常に良いです。トライアルは何段階にも分けて実施しましたが、タイミングも良く、非常に良い結果が出ました。他の媒体社と比べても、同じくらいの広告挿入量で高い効果を発揮しています。 導入後においても、例えば仮にインプレスさんで7月の売り上げが月後半に足りないという話になった場合に、広告枠を一時的に増やすこともできます。今まではエンジニアに依頼して広告枠を追加してもらう必要がありましたが、Browsiを使えば、最短即日で対応が可能になります。具体的には、今まで3つしか入れていなかった広告枠を1週間だけ5つに増やすとか、そのような対応も可能です。こうした小回りの効く使い方ができるのは非常に便利です。 -Browsiは今、業界で普及が進んでいるのでしょうか? 下田氏:業界全体ではかなり進んでいて、私たちのような媒体社向き合いの事業者を通して多くの媒体社に導入されています。当社経由でも数十億PVという レベルで導入が進んでいる状況です。 -FLUXさんから提供される場合のサポートは、他社とどのように差別化されているのですか? 下田氏:チューニングの要素が重要で、そこが差別化のポイントです。日本国内ではFLUX経由の導入実績が最も多いため、多数の運用事例があります。これにより、他社の成功事例を基にした最適なチューニングを提供できます。横展開の元データが多いことが大きなメリットです。 新たなテクノロジーが生み出す、新しいビジネス戦略 -今後のBrowsiの機能やサポートについて、期待されることや改善点があれば教えてください。 大薮氏:今のところパーソナライズされた広告がうまく表示されています。特に大きなクレームもありませんので、今後は純広告と連携してサイトジャック的な手法をパーソナライズに取り入れ、さらに効果的に広告を出す取り組みを進めていけるといいなと思っています。 Browsiにはその機能は既にありますので、これをどう活用していくかがポイントです。既存の機能を活用して、より効果的に広告を展開していきたいと考えています。 今は純広告がなかなか売れなくなってきているので、私たちも差別化が重要です。例えば、スマホの全広告枠をクライアントの広告で埋めるなど、高い効果を実現する方法を考えています。 下田氏:最近、広告主がビューアビリティを重視し始めているという話が多くなってきました。見られていない場所に広告が出ていたという問題がニュースで取り上げられました。 例えば、ある大手人材会社の試算によると、1.5億円の広告費が無駄になったことが明らかになりました。見られていない場所に多くの広告が投下されていたのです。プログラマティック広告やDSPを利用する際、広告主がビューアビリティにキャップをかけることが増えています。例えば、ビューアビリティが70%以上の場所にしか広告を出さないといったことです。Browsiはビューアビリティを予測して広告を出すので、その要望に応えることができます。 最近になり広告主がこの問題に気付いて対処し始めており、今後この動きは加速すると思います。 大薮氏:メディアは基本的に新しい読者を獲得して、その中の一部がファンになり、ファンもいずれはやめていくという繰り返しです。マネタイズしながら、できるだけユーザー体験を損なわないようにしたいと思っています。パーソナライズの部分は今、主にスクロールに基づいていますが、例えば来訪頻度に応じて表示させる広告の量を調整するといったテストをして、うまく根付くようにしたいですね。 実際のところ、それができている媒体はほとんどないと思います。流入経路で分けるとか、ABテストで試すとか、そういうことが可能です。例えば、Yahoo!から来たユーザーにはこうする、Xから来たユーザーにはこうするというテストを行うことができます。 下田氏:おっしゃる通りですね。BrowsiはABテストも可能なので、いろいろな方法で効果を測定できます。そういった知見が溜まってくると、メディア全体の戦略にも役立てることが可能となります。 私からも今後の展望について少しお話しさせていただければと思います。メディアビジネスにおいては、ユーザビリティをどう担保して、かつマネタイズをするかの両立が大きな課題です。BrowsiやPrebid 、その他のプロダクトを活用しながら、ユーザビリティを確保しつつ最適な販売方法を突き詰めていきたいと考えています。 私たちは国内で最もBrowsiの導入実績が多く、本国とも密な協力関係にあり、提案や要望出しも随時しております。 インプレスさんからもご要望があれば、私たちにお伝えいただければBrowsiと連携をとりよりよい取り組みが出来るようにしていきたいと思っております。 大薮氏:引き続き、一緒に取り組んでまいりましょう。
ゲームの復調、ファイナンスの躍進、Eコマースの安定成長の裏側にある変化とは―Adjustと日本のアプリ市場を読み解く
大手モバイル計測パートナー事業者である Adjust社が、日本国内のアプリ市場動向を映し出す様々なデータを詰め込んだホワイトペーパーを発表した。アプリマーケターたちは、このホワイトペーパーから何を読み取り、そして今後のマーケティングにいかに生かすべきなのか。同社ゼネラルマネージャーの佐々直紀氏に話を聞いた。 (Sponsored by Adjust) ゲームアプリ市場が復調の兆し ―日本国内のアプリ市場動向を示した共同ホワイトペーパー「モバイルアプリトレンド2024:日本版」を発表するに至った経緯をお聞かせください。 Adjustでは、日本のアプリ市場関係者の方々に対して様々な目的で活用し得るベンチマークやインサイトをご提供したいとの思いから、当社がクライアント企業様やパートナー企業様とのシステム連携を通じて取得した様々なデータに基づく独自の調査レポートを毎年発表しています。 今年は、アプリ広告主様に対してアトリビューション計測を始めとするデータ提供を行うAdjustと、アプリストアの追跡などを得意とするSensor Towerが、互いのデータを持ち寄り、日本市場の俯瞰的かつ包括的な市場動向を示すレポートを作成しました。 当社からは、2022年1月〜2024年3月に取得したデータを対象に、当社が計測する上位3,000のアプリ及びすべてのアプリの合計データを組み合わせた結果などをお示ししています。なお、本レポートに関する私の発言は、AdjustとSensor Tower社の両データに加えて、当社の社員やお取引先などから伺ったお話などを踏まえてはいるものの個人的な見解も含まれている点についてはご承知おきください。 ―日本のアプリ市場の全体的な傾向をお聞かせください。 日本市場全体としては、2023年の日本のアプリインストール数は昨対比で1%減となったものの、2024年初めには再び増加傾向を示しています。一方でアプリ内支出額となると2022年1月以降は全体的にはやや下降気味です。 ただし、データをより細かく見ると、目覚ましい成長を遂げているジャンルや指標がいくつもあります。とりわけこれまでアプリ市場を牽引してきたゲームアプリの復調やファイナンスアプリの急成長は好材料と言えるでしょう。 ―ゲームアプリ市場は近年やや停滞気味と言われてきました。 日本のゲームアプリのインストール数は2022年初頭から減少傾向にあったのですが、2024年第1四半期は、2023年第4四半期と比較して18%増加しました。ゲームアプリのダウンロード数ランキングを見ると、「ぽちゃガチョ!」「キノコ伝説:勇者と魔法のランプ」を始めとして中国製アプリが上位を占めており、こうした海外発の新規タイトルが日本市場で人気を集めていることが分かります。 資料:モバイルアプリトレンド2024:日本版 ―一方でゲームアプリ消費支出額ランキングを見ると、「モンスターストライク」や「ウマ娘 プリティーダービー」など日本製のロングタイトルが並んでいて、あまり代わり映えがない印象があります。 ランキングだけを目にすると確かにお馴染みのタイトルばかりという印象を受けるかもしれませんが、実態としては大きな変化が起こりつつあります。それはゲームのマルチプラットフォーム化です。既にゲーマーの約半数がモバイル、コンソール、PCといった複数の端末上でゲームをプレイしています。将来的には例えば自宅ではPCで集中的にプレイした後で、電車での移動時間内に経験値稼ぎなどの続きをするといったゲームが台頭するのではないでしょうか。 つまりゲーム企業は、これら複数の端末をまたいだユーザージャーニーを理解する必要があるのです。例えば、モバイルではコンバージョンに至らない可能性が高いユーザーでも、PCやコンソールではその可能性が高くなるかもしれません。この動きに応じて、創業当初からアプリ計測を主力事業としてきた当社も、今ではPCやコンソール計測にも注力するようになりました。 ―ゲームアプリの継続率については昨年からほぼ変化がありませんでした。 2023年におけるゲームアプリの1日目の継続率は28%で7日目は14%、そして2023年第1四半期は1日目が27%で7日目が13%なので、数値として見るとそれぞれわずか1%減少したに過ぎません。 しかしながら、ほんのわずか1%減少しただけで、LTV全体に対して大きな悪影響を与える場合があります。リターゲティング施策やリエンゲージメント施策を通じて休眠復帰を促す必要性が高まっていることが示唆されます。 ―ユーザー情報の取得を制限することになったApp Tracking Transparency(ATT)がリターゲティングやリエンゲージメント施策の足枷になっているのではないですか。 実は日本全体でのオプトイン率は、前年比23%から24%に増加しており、とりわけモバイルゲームは徐々に増加して2024年第1四半期には30%に達しています。ユーザーが自身に関するデータ利用に理解を持つようになったのかもしれませんし、またアプリ企業も試行錯誤を重ねた上でユーザーからの同意を得るための知見を蓄積してきた結果の表れである可能性もあります。 いずれにしても、ユーザーのオンライン行動分析に資するデータを参照した上でオプトイン戦略を構築することが非常に重要です。 広告チャネルの選択と集中が進行か ―ゲームアプリ市場の復調はアプリ広告市場にはどのような影響をもたらし得るでしょうか。 ユーザーがよりゲームアプリを楽しむようになれば、当然ながらマネタイズ機会が増えるので広告予算が増え、さらにはアプリ間の競争もいっそう激しくなるのでより積極的な広告投資が行われるようになります。 実際に有料広告によるユーザー獲得の割合が増加しており、2023年から2024年第1四半期にかけて、平均するとゲームアプリ企業は自然流入の2倍強を広告経由で獲得しています。とりわけ広告経由率が高いハイパーカジュアルゲームは自然流入の5.69倍を広告経由で獲得しており、また戦略ゲームは2024年に昨対比で広告経由率が2倍以上となりました。 資料:モバイルアプリトレンド2024:日本版 ちなみにATTによってユーザー情報の取得が制限されつつあるiOSにおいてもゲームアプリ企業が積極的な広告投資を行ったことで、インストール数の半数以上をiOSが確保していることも注目すべき動向だと思います。 ―2024年以降は多くのアドネットワーク事業者も広告費増加の恩恵を受けられるのでしょうか。 必ずしもそうとは言えないかもしれません。というのも、ゲームアプリあたりのネットワークパートナー数はやや減少しているからです。広告経由のインストール数は増加していることを考慮すると、広告キャンペーンの規模が縮小されたわけではなく、いわゆる広告チャネルの「選択と集中」が進行している可能性があります。 「選択と集中」のあり方はアプリごとによって異なるので一概には言えませんが、全体的な傾向として安定した実績を持つ大手プラットフォーマーに寄りがちであるという印象は否めません。ただし、コネクテッドテレビなどの新規媒体を含めた様々なチャネルへ出稿することで取得できるデータを活用ないし精査することによって最適化を図ることができるというのが当社の考えです。広告主様がなぜネットワークパートナー数を絞りつつあるのかについてはもう少し深堀りする必要があるでしょう。 ファイナンスやEコマースも成長領域 ―ゲーム以外で注目すべきジャンルはありますか。 日本国内ではファイナンスアプリが目覚ましい成長を遂げています。2022年から2023年にかけてインストール数は27%増加、セッション数も22%増加し、この増加傾向は2024年に入ってからも継続中です。中でも「楽天ペイ」や「PayPay」といった決済アプリが、インストール数の75%、セッション数の76%を占めています。日本国内の法規制への適用などを理由として、このカテゴリでは日本産アプリが独占していることも特徴的です。加えてバンキングアプリの利用も急増しており、過去1年間でアプリを運営する地方銀行様から当社へのお引き合いが増えたと実感しています。 さらに消費支出額も過去数年間で大幅に増加しました。これに伴い、日本でのファイナンスアプリのLTVは、グローバルと米国のベンチマークの両方を大きく上回っています。 ―楽天ペイやPayPayは2024年第1四半期の全カテゴリにおけるダウンロード数ランキングでも上位に入っていますね。 はい。TikTokやThreadsといった大手SNSとこれらのファイナンスアプリがほぼ肩を並べている状況です。なお、全体のダウンロード数ランキングの2位はマツキヨココカラ公式アプリでした。これは株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ココカラファインが経営統合したことに伴い、アプリも統合したことを受けての結果であると考えられますが、Eコマースアプリ市場全体としても安定した成長を遂げています。 とりわけ「dポイントクラブ」に代表されるお得情報アプリのインストール数はEコマースのサブカテゴリーの中で最もインストール数が増加しました。お得情報アプリでは、Androidがインストール数とセッション数の両方で82%を占めていることにも注目すべきです。 なお、Eコマースアプリではアプリ滞在時間は年々短くなってきています。できるだけ長い時間にわたりプレイしてもらうことが重要となるゲームアプリなどとは異なり、Eコマースアプリではデザインとユーザー体験が改善された結果であると受け止めて良いでしょう。実際にアプリ滞在時間が短いほどコンバージョン率が高く、購入が完了していると考えられます。 ―アプリマーケターは本レポートをいかに活用し得るのでしょうか。 既に見てきたように、アプリのジャンルやそれに応じたユーザーグループなどによって、注目すべき指標と目指すべき目標は大きく異なります。全体的な業界動向やベンチマークの把握を目的として本レポートを参照いただけたらありがたいです。 日本は世界有数のモバイルアプリ市場であり、既に様々な広告チャネルとメディアミックスが用意されています。あとはこれらをいかに使いこなすかです。データプライバシーのフレームワークや規制にしっかり対応し、日々変化していくユーザーの興味や関心や期待に対応すべく、粒度の高いデータを効率的に活用していくことでこれら様々な手段を有効活用していくことができるようになると思います。Adjustは、そのお手伝いをするために今後もテクノロジーとサービスの向上を図っていきたいと考えています。 「モバイルアプリトレンド2024:日本版 アプリパフォーマンスのベンチマークとインサイト」のダウンロードはこちら
世界基準の広告評価指標『アテンション指標』の有効性と日本国内事例紹介
欧州や欧米では、すでに重要視されつつある広告評価指標『アテンション指標』。『アテンション指標』とは「ユーザーが広告を閲覧した秒数」を計測したもので、デジタル広告に対してユーザーがどれだけの関心が示されたかを把握するための指標です。『アテンション指標』はGumGum配信だけでなく、YouTubeやTikTok等の他メディアでも横断的な計測が可能となっています。直近では、私たちのお客様からも前向きなコメントを多数お寄せいただいており、日本国内でも『アテンション指標』が広がりつつあることを実感しています。(Sponsored by GumGum Japan) 本記事では、新しいデジタル広告指標『アテンションタイム』は、ブランドに対して「前向きな態度変容」や「利用意向の向上」に有効な指標ということが日本国内の過去150キャンペーン以上の分析結果で解明されてきましたので、2つの事例を交えてご紹介します。 『アテンション指標』を活用する条件として以下のようなリッチクリエイティブを活用するのは必須条件と考えています。 ※GumGum クリエイティブ事例 効果① 「認知度」「購入意向」に効果的 弊社が運用した過去1年間の全てのキャンペーンを分析すると、アテンションタイムの長さが広告接触者の態度変容と相関関係があることが分かりました。さらにアテンションタイムの平均2.4秒以上で運用最適化できれば「認知度」「購入意向度」がリフトする傾向であることも分かっています。 次に、クリエイティブフォーマットによってアテンションタイムは差があり、「一般的な静止画広告」や「記事の途中に表示される静止画バナー」にはユーザーがほとんど注目していないことが分かっています。つまりこれらは”ほとんど見られていない質の低いインプレッション”であり、広告インプレッションの無駄打ちとされます。 効果② 消費財から自動車まで幅広い業種で活用できる 消費財から自動車まで活用事例は多岐に渡り、得意業種は偏っておらず、幅広い業種で『アテンション指標』の効果をブランドの皆さまは実感されています。 まず一つ目の事例Aはスナック商材です。 活用目的としては「若年層への認知と商品特徴理解を深めたい」という内容で、『アテンション指標』を運用上のKPIとしてGumGumでキャンペーンを実施しました。 訴求商材の魅力を直感的にインパクトのあるリッチクリエイティブで表現し、日常的なシーンに関わるコンテクストやスポーツ関連コンテクストでターゲティングを設計。運用結果として平均アテンションタイム 2.6秒で着地し、以下のアウトプットをお客様へ提供できました。 認知度・購入意向において前向きな態度変容に成功 ブランドが推していきたい商品特徴についてターゲット層の理解促進を実現 ターゲットAさんのコメント: ”「パリッ」した歯ごたえのある食感をアニメーションでリアルに表現した広告のインパクトが残っていた。実際にスーパーで棚に並んでいるのを見かけて、つい買ってしまいました。” 次にエアコン商材の事例Bについてご紹介します。 事例Bのファインディングスとして、アテンション指標で運用することで、ブランドが伝えたいメッセージや特徴がターゲット層へより一層伝わるということです。 訴求商材を購入する際の重視するポイントとして、クリエイティブ内で表現している内容が特にリフトアップしていました。要因として最適化のポイントをクリックではなく、『アテンション指標』にすることで、クリエイティブ内で表現している商品特徴の理解促進に繋がったと分析しています。 実際の購入時にこの訴求項目がトリガーとなり、当該メーカー商品が購入想起されやすくなるでしょう。また、アテンションタイムが高かったカテゴリーでは”お家で過ごす”モーメント記事で長いアテンションタイムを獲得。この2つの結果からベストなモーメントを捉え、ユーザーの心理を自然に動かすことができたと言えます。 『アテンション指標』を活用することで、付加価値の高いインプレッションを実現 日本市場における従来のデジタルマーケティングは、ユーザーの能動的なアクション(クリックやコンバージョン)が”効果的な指標”として評価され、短期的なマーケティングを中心にデジタルマーケティングは普及されてきました。一方で、2023年より世界の先進国では広告バナーに注目する時間を数値化した『アテンション指標』が効果的で本質的な評価指標として急速に拡大しています。従来の指標に加え、『アテンション指標』を広告評価指標として加えることで、インプレッションの価値を最大限に引き上げることで、ブランドのパーパスを表現できます。 「アテンション指標」を活用することで、生活者にとってベストな広告体験をデザインし、ブランドにとって競合他社と差別化できるマーケティングを実現できると信じています。 次回の後編はブランドのご担当者をお招きして、アテンション指標の活用事例をインタビュー形式でご紹介します。後編も乞うご期待ください! 2024年の 3rd Party Cookie の完全廃止に備えて、データ活用が進み、より本質的な広告投資が評価される時代になれば良いと願っています。 コラム執筆者 伊藤ゆかり コンテクスチュアルエキスパート 新潟県出身。データ分析担当。スポーツメーカーの海外営業を経て、2021年からGumGumで延べ500キャンペーン以上のコンテクスチュアルデータを分析。さらにブランドリフト調査データの分析・考察を通して『アテンション指標』の有効性を検証中。
生成AI、MFA、アテンション指標などがキーワードに―DoubleVerifyが最新のインサイトレポート調査結果解説セミナーを開催
デジタルメディア測定、データおよび分析における先進的なソフトウェアプラットフォーム企業のDoubleVerifyは、6月27日、最新版の調査レポート「2024 グローバルインサイトレポート(以下GIR)」の調査結果の解説を行うウェビナーを開催した。 (Sponsored by DoubleVerify Japan) DoubleVerifyは、世界中の市場ごとの詳細な分析レポートをまとめたGIRを毎年発表しており、今回で8回目の発表となる。本レポートでは、100の市場における1兆インプレッション以上のデータから、メディアの品質とパフォーマンスのトレンドを検証している。 AI技術の功罪 DoubleVerify Japan株式会社の代表取締役及び日本法人代表を務める武田隆氏は、生成AI技術の発展に伴い、詐欺スキームがさらに巧妙化していくことが懸念されていると報告。こうした詐欺スキームの中には、ウィルスのように変容を繰り返しながら影響力を拡大させていくものが含まれると警鐘を鳴らした。 一方でAI活用の利点についても言及。同社が2023年に買収したScibids社開発の予測型AIを活用することでメディアコストを効率的に削減し、広告費1ドルあたりの収益率が4倍に増加した事例を紹介した。加えて、メディアバイヤーはデジタルメディアのキャンペーンの最適化のために全体の24%に相当する時間を費やしていると指摘した上で、予測型AIを活用することでこうした時間を大幅に削減することが可能であるとの展望を示した。 MFAとアテンション指標 続いて武田氏は、広告を掲載し収益を得ることのみを目的として作られた低品質なサイトを意味するMade for Advertisement(MFA)に関する動向を語った。同社の調査によると、MFAインプレッション量は前年比19%増。アドフラウドには相当せず、ビューアビリティ水準を満たすことが多いため、これまでMFAを定義し、対策を取ることが難しかった。 しかしながら、広告がどのような画面上でどのように閲覧または視聴再生されたかを計測する「エクスポージャー(露出)」やユーザーがスワイプやクリックなどを通じていかに反応したかを測る「エンゲージメント」といった要素を含むアテンション指標を適用すると、MFAでの数値がDoubleVerifyのベンチマークに対して非常に低い傾向にあることが分かる。さらにアテンション指標は、ブランド認知度や売上増加といった多様なKPIに対する中間指標としても機能することから、マーケターの関心も高く、今後は日本市場においてますます普及していくことが見込まれている。 ブランドスータビリティ(適合性)と二酸化炭素排出量 欧州各地での総選挙や米国の大統領選挙さらに日本では東京都知事選挙など、2024年は世界各地で政治的なイベントに大きな注目が集まることが予想されている。武田氏は、政治ニュースなどが活発に報じられるようになると、ブランドスータビリティ(適合性)の違反率が高まる傾向にあると指摘。こうした違反事例に対して何も対策を取らなければ、10億インプレッションあたり29万4000ドル(約4600万円)に相当する広告費が無駄となる可能性があるという。 またDoubleVerifyでは、サステナビリティの観点から、Scope3社の技術を用いてオンライン広告における二酸化炭素排出量を測定。DoubleVerifyが配信管理を行っているキャンペーンでは、そうでない場合と比較して排出量が21%少なかった報告した。 政治ニュースなど氾濫する情報の中でのブランド適合性 GIRの調査結果を踏まえ、セミナーの後半では、DoubleVerify Japan ビジネス開発部長 八木拓也氏による進行の下で、パネルディスカッションが開催された。 議論の最初のテーマとなったメディア品質について、三井住友カード株式会社 マーケティングユニット(東京)の中村啓夢氏は、キャッシュレス業界を牽引していく立場としてブランドのイメージを毀損せずに広告効果を最大化する取り組みに注力していると発言。広告代理店任せにせずに、複数のパートナー企業と話し合って対策を講じていると述べた。 株式会社Hakuyodo DY ONE プラットフォームビジネス本部 プラットフォームソリューション局 ソリューション推進部部長 秋吉哲也氏は、各種のポリシー遵守や除外設定機能及び同社独自の除外プレイスメントリストの活用に加えて、DoubleVerifyを始めとする高度なアドベリフィケーションツールの利用を広告主に対して推奨していると報告。さらには社内の勉強会を通じて、メディア品質を高めていくための知見を深めていると伝えた。 LINEヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 経営企画・事業開発統括本部 トラスト&セーフティ本部 本部長 一条裕仁氏は、自社メディアに加えて提携するメディアの品質の担保を重視していると説明。自社の努力だけに留まらず、24時間にわたり絶え間なく稼働する外部ツールの有効活用を訴えた。 次にブランド適合性について、中村氏は、政治的な局面ではとりわけX(旧Twitter)やYouTubeといったソーシャルで不適切な配信面が増えやすいとの危機感を覚えつつも、コンテンツの生成スピードに負けない取り組みが重要であるとコメント。また、政治関連の話題を排除しながら、攻めと守りの両立が重要と語った。 秋吉氏は、ブランド毀損を回避するためには、DoubleVerifyなどの除外プレイスメントリストの整備や、予約型のPMPの有効活用さらにはキーワード除外といった対策を行っていると報告。さらに一条氏は、「死活問題」であるブランドセーフティはプラットフォームまたは媒体側で責任をもって管理し、広告主ごとに考え方が異なるブランドスータビリティ(適合性)はDoubleVerifyなどの広告配信側で管理するのが得策との考え方を示した。 MFAについては、中村氏がカスタマーファーストの理念を追求するためにもユーザーから邪魔と受け取られるような配信面への広告表示は避けるべきであるとの考えを提示。秋吉氏は、MFAは入札戦略の最適化に向けての機械学習や広告効果計測にも悪影響を与えかねないとした上で、現状ではDoubleVerifyなどMFA排除に対応したツールの導入が最も有効な打ち手であると述べた。さらに一条氏は審査時には問題のなかった提携媒体がリニューアルなどを経てMFA化してしまう場合があると指摘。継続的なパトロールが必要であると伝えた。 日本市場ではまだそれほど馴染みがない概念である広告配信におけるサステナビリティについても、秋吉氏は最近では広告主に対するオリエンテーションの機会などで関連の取り組みに関する説明を求められることが増えたと報告。またアテンション指標については、一条氏が注目はしていたものの指標化が難しい概念であると考えていたがゆえにDoubleVerifyの先進的な取り組みを評価するとの見解を述べると、秋吉氏はブランドリフトとの相関性をリアルタイムで計測できることから大きな期待が集まっていると話した。 さらに生成AIについて中村氏は「Scibidsなどの自動最適化機能を有効活用することで、人間はインサイトの深堀りなどにもっと多くの時間を割けるようになる」との将来像を提示。秋吉氏は「アテンション指標がアッパーファネル施策だけではなくローワーファネルとの相関も強い」と指摘し、一条氏は「AIによる脅威にはAIで対抗」と述べた上で、AIが生成する不適切なコンテンツや広告をAI機能を活用することでブロックしたいとの考えを伝えた。
ECのように動画広告を申し込み―ポータルサイト「テレ東広告」ではじまる新たな広告購入体験一 [インタビュー]
株式会社テレビ東京と株式会社テレビ東京コミュニケーションズは、動画広告をオンラインで簡単に申し込むことができるサービスを、テレビ東京グループの広告ポータルサイト「テレ東広告」上で開始した。本サイトを通じて、広告出稿が初めてという企業や担当者であっても、複雑なステップを介さずに簡単に広告出稿を始めることが可能となっている。テレ東広告のコンセプトや狙い、現在のテレビCM市場について話を聞いた。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 柏海) ※インタビュー出席者の名前・所属等は次のとおり。 (写真左)岸義治氏:株式会社テレビ東京コミュニケーションズ コーポレートオフィサー (写真中)今田智仁氏:テレビ東京コミュニケーションズ デジタルマーケティン部長 兼 テレビ東京 (写真右)桑原佑介氏:株式会社テレビ東京 マーケティング局 マーケティングセンター 開局60周年を迎えたテレビ東京 ―自己紹介をお願いします。 岸氏:テレビ東京コミュニケーションズにてマーケティング・開発の統括をしており、テレ東広告についても立ち上げから全体のプロダクト開発に従事してきました。また、テレ東の動画配信サービスではAVOD・SVODの双方を担当しています。 今田氏:テレビ東京コミュニケーションズにてデジタルマーケティング部の部長をしております。テレ東広告のローンチにあたっては、認知拡大をはじめとしたプロモーションなどのマーケティング全般を担当しています。 桑原氏:テレビ東京のマーケティングセンターにて、放送配信周りの広告事業はじめ法人を対象としたマーケティングを担当しています。また、テレ東広告ではマーケティング全体を担当しています。 ―「テレビ東京」は2024年4月に開局60周年を迎えました。改めて、今のテレビ東京についてのご紹介をお願いします。 25年ぶりにブランドマークを刷新 桑原氏:系列局含めると全国7割の世帯をカバーし、配信を通じては全国・世界に向けたコンテンツの発信をしています。 また、開局60周年にあたっては「ちょっといい明日のために。」をタグライン(キャッチコピー)にリブランディングも進め、ブランドマークも刷新いたしました。 ―テレビ番組やテレビCM枠については、どのような特徴があるのでしょうか。 桑原氏:テレ東はアニメや「ワールドビジネスサテライト(WBS)」、「ガイアの夜明け」といった経済番組、また乳幼児向けの子ども番組「シナぷしゅ」など、特定層を対象とした番組を多く放送しているのは特徴の一つですね。 今田氏:これらの特定層を対象とした番組を複数取り扱っていることを生かして、配信では「経済番組パッケージ」など、テレビ東京としての強みが発揮できる番組をひとまとめにした広告パッケージ商品の販売もしています。地上波では経済番組のパッケージを組むことは難しいので。 例えば、TVer上の経済番組に広告をご出稿いただくことで、富裕層やビジネスマン層に対しての効率的なリーチが可能となります。他にも様々なターゲットに即した最適な「のみ取り」限定パッケージのプランをご提案することが可能です。 「テレ東広告」で営業担当者を介さずワンストップで取引 ―2024年2月に、動画広告をオンラインで簡単に申し込むことができるサービスを広告ポータルサイト上で立ち上げた。その背景・狙いは。 https://ads.tv-tokyo.co.jp/pages/lp 岸氏:テレビ広告の営業における人的リソースを鑑みると、対面での取引には限界があります。そこでお取引の新たな接点を生み出すために、広告ポータルサイトを通じたオンライン窓口を立ち上げることになりました。 購入が可能となる広告商品は、民放公式テレビ配信サービス「TVer」や、テレビ東京公式動画配信サービス「ネットもテレ東」(*)で流れる広告枠となります。 *テレビ東京の人気番組動画が放送後にPC・スマートフォン・タブレットで無料視聴できるサイト これらの広告を対象として、番組検索、出稿プラン検討、見積もり、広告審査、申し込みまでをオンラインで、広告営業担当者を介することなく、ワンストップで取引を完了することが可能です。 約10万円から出稿ができるオンライン限定のパッケージもご用意しているので、まずは広告を試しに出していただき、出稿の結果も見ていただいたうえで、末永いお付き合いに繋げられることを期待しています。 ―本サービスで取り扱っている商品・動画広告の特徴について教えてください。 今田氏:配信先は「TVer」および「ネットもテレ東」といったAVODの動画配信サービスが対象となりますが、大きくは3つの特徴があると考えています。 1つはテレビCMとの違いとなりますが、ブロードではなく、ターゲティング設定をしたうえで、クリック誘導なども可能なのはデジタル広告の強みだと考えています。効果測定も細かい数値でお出し出来ますが、テレビCMを買い付けするようでありながらも、デジタル広告のメリットを享受することが可能となっています。 2つ目はSNS広告との違いとして、取り扱っているコンテンツは全て、テレビの良質なコンテンツ由来となっています。ブランドセーフティにも優れていながら、広告もスキップが出来ない設計(ノンスキッパブル)となっていますので、視聴完了率が非常に高くなっています。 3つ目は経済番組をはじめとして「シナぷしゅ」などの子供向け番組やアニメなど、番組という視聴者の嗜好がわかりやすい要素でターゲティングができるという点です。 ―実際に、本サービスを利用されたユーザーからの反応はいかがでしょうか。 岸氏:会員登録をいただいたユーザーの多くは過去にお付き合いのなかった方でしたので、そこは当初の見込み通り、タッチポイントを増やすことに成功したのではないかと思います。 また、サイトは24時間稼働しているので、ユーザーが広告出稿を検討する気持ちが高まったタイミングを逃すことなく、広告を受け付けることも出来たのではないでしょうか。 一方で、会員登録をいただいた全ての方が、必ずしもご出稿につながったわけではないので、今後はそのようなユーザーをご出稿まで導くための伴走支援や交通整理も課題として見えてきました。今後はより使いやすいサービスへと、改修がしていければと思います。 ―「中期的には地上波CMについても、オンライン取引を検討していきます」とリリースでは書かれていますが、こちらを実施するにあたっては、どのような課題・検討が必要であると想定されていますか。 今田氏:本サービスを通じて意識していたのは、いわゆる大手企業や既存取引のあるお客様ではなく、過去にお取引がなかった、CM出稿など考えたことがないといった広告主との接点づくりになります。そのうえで、動画広告を通じて新しいお客さまにテレビ東京の広告商品を使っていただきたい狙いはありながらも、広告会社等を通じた既存の商流取引をリプレイスしていきたい意図はありません。 桑原氏:想定しうる課題としては例えば、新しい商流が生まれることによるお申し込みのダブルブッキングなどが考えられます。地上波CMのオンライン取引については、既存の商流を壊すことなく、新しい取引方法の確立が可能か否か、引き続き整理・検討を進めていきたいと思います。 テレビCMやテレビ番組の強さと価値とは ―テレビCM市場の市況感については、どのように捉えていますか。 桑原氏:スマートフォンやSNSなど、テレビおよびテレビCMのライバルが増えている現状もあり、必ずしも順風満帆ではないと捉えています。 その一方で、テレビの媒体としての視認性や安全性(ブランドセーフティ)、広告枠としてのCPMの安さなど、強みはたくさんあります。また、運用型テレビCMに代表される購入方法や商流の変化により、テレビCMの価値が再定義され、動画広告との相乗効果を生む事例も出てきました。 テレビCMやテレビ番組のコンテンツの優位性には引き続き大きな価値があると考えているので、今までテレビに広告を出稿する選択肢がなかった方におかれては、今回のテレ東広告をはじめ、テレビが提供するコンテンツの広告枠を通じた効果を、まずは実感していただくきっかけや接点を作っていければと思います。 ―貴社の今後のサービス展望などがございましたらお聞かせください。 今田氏:テレビもスマホも、それぞれで広告商品としての強みや弱みはあると考えていますが、その広告商品が買いやすい仕組みや環境を整備していくことで、興味を持っていただいたタイミングを逃さず、しっかりと検討や購入が可能な状況は作りあげていきたいと思います。また、そうすることにより、自社のサービスやコンテンツが選ばれる機会も増やせるのではなかと考えています。 岸氏:「広告主に取って何がメリットになるか」または「何を提供することが求められているか」をしっかりと見極めたうえで、ご提案をしなければならないのは大前提となります。 それがテレビCMなのかデジタル広告なのか、または媒体がスマホなのかCTVなのか、多種多様な組み合わせはありますが、我々のサービスを通じて、広告主のリーチや課題を解決するようなご提案を今後も続けていきたいと思います。
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