やはり決め手はデータ・楽天が説く古くて新しい郵送DM進化論[インタビュー]
「DM」と言えばSNS上でのやり取りをまずは想起するようになった現代において、楽天の広告は郵送DMという旧来のソリューションを磨き上げてきた。効率化を極めたディスプレイ広告やメルマガ配信といった他のデジタル施策との違いは何か。他の大手広告プラットフォームが積極的に郵送DMに取り組まない背景と併せて探る。 (Sponsored by 楽天グループ) 正確かつ最新の住所データ ―デジタルプラットフォームに位置づけられる貴社がなぜ郵送DMというアナログのサービスに注力しているのでしょうか。 楽天グループの各事業を通じて、楽天会員の消費行動分析データと正確な住所情報を併せ持っているからです。これまで郵送DMサービスの主な担い手はクレジットカードの発行会社様やポイントプログラムを提供するサービス事業者様でしたが、こうした企業が持ち得ないデータを楽天グループは持っています。 さらには「楽天市場」というEC事業を運営しているので、住居が変更される度に住所情報が更新されます。つまり正確かつ最新の住所データから利用規約に基づいて発送することができることが他の広告プラットフォームにはない当社ならではの強みとなっています。 ―架空の住所や古い住所の登録が少ないということですね。 はい。クレジットカード事業やモバイル事業が蓄積する公的証明データが正確性を、「楽天市場」などのEC事業が住所データの最新性を担保しています。その結果として、DMを発送したにも関わらず、きちんと届かなかった割合を示す「未着率」が極めて低いのです。 近年では郵便料金の値上げを受けて、DMの発送費用が増しています。一方で、DMを発送する企業様の目標CPAは変わりません。正確なデータを用いて未着率を可能な限り低下させることがこれまで以上に求められています。 ―確かに自宅の郵便受けに届く紙のハガキや新聞が減った現代において、郵送DMはある種のブルーオーシャンかもしれませんね。 加えて、DMの特性として家族コンバージョンが挙げられます。メールやディスプレイ広告はパーソナル配信に相当します。一方で郵送物は帰宅時に郵便受けから取り出して、居間のテーブルにとりあえず置いておくといったことになりがちなため、家族全員が目にすることが多く、発送件数よりも実際のリーチの広がりが期待できます。DMを手にした家族によるレコメンドも非常に効果的です。 郵送DMはなぜ傍流だったのか ―テレビCMやSNS広告などと比較して、郵送DMにはそれほど多くのマーティング予算が投下されてこなかったように感じます。 正直なところ、郵送DMはマーケティングチャネルの主流ではなかったですよね。これまでは郵送DMを有効に活用できる商材がある程度限定されていたという事情があるかと思います。 というのも、郵送料とデータ利用料を合わせると1件あたり100円以上の費用が発生するからです。単純計算をすると、仮にコンバージョン率が1%であれば、CPAは1万円以上。高単価やLTV型の商品でなければ採算が合わないことになります。 ―どのような商材が郵送DMとの相性が良いのでしょうか。 教育、不動産、自動車などです。まず教育についてですが、塾や通信教育関連の事業者様がマーケティングを行うにあたっては「子どもがいる家庭」というデータだけでは不十分で、「来年4月に小学4年生になる子どもがいる」といった粒度での情報を必要としています。当社は「楽天ママ割」というメンバーシッププログラムへの登録情報や「楽天市場」でのランドセルの購買データなどを通じて、1歳刻みの年齢でお子様がいる家庭を精度高く推測することが可能です。 資料提供:楽天グループ株式会社 不動産については、「楽天カード」を通じて把握した年収帯に基づき富裕層にターゲティングすることも可能です。また、新しい住居を選ぶ際に住み慣れた街であるということに加えて、職場近くであることを重視する方がいると思います。フィンテック事業を通じて勤務地情報も蓄積する当社であれば、勤務地近辺に新設されるマンションを案内するDMを郵送することもできます。 さらに自動車の場合は、「楽天Car車検」のデータに基づき、車の買い替えを行うタイミングでDMを発送できます。 ―逆に言うと、教育、不動産、自動車以外では郵送DMはあまり有効活用されていないのでしょうか。 本来ならば有効活用できるはずなのに、単に「DM担当者がいない」という理由で試していないというケースはかなりあると感じています。 先ほど言及した教育、不動産、自動車関連の企業様の多くは、マーケティング部署にDM担当者を配置しています。それ以外の商材では、デジタル広告に関しては担当を細分化していたとしてもDM担当者の存在は珍しいのではないでしょうか。 勤務先や年収帯データに基づく精緻なターゲティングが可能な当社の郵送DMは、例えば人材サービスにも有効活用し得ると考えていますが、最先端のデジタルマーケティングを駆使している人材サービス企業様でさえ郵送DMについてはノウハウをお持ちでないケースも多く、クリエイティブ制作にまで手が回らないということが往々にしてあります。 ただし、生成AIがこれだけ普及してきたので、クリエイティブ制作に係る課題は解消されつつあるとも思います。 ―教育、不動産、自動車関連企業は自社データに基づく郵送DMを実施しているからこそ担当者がいるのでしょうね。 ただし、各社の会員情報に基づく郵送DMは主に広義のCRMとしてアップセルやクロスセルを行う場合が圧倒的に多いです。 一方で広告が果たすべき主な役割の一つは新規の顧客獲得であり、そのためには非会員つまり外部データを必要とします。会員データと楽天のデータが一部重複する場合は重複部分を除外して配信していただくことが可能です。 ―郵送DMは関東圏全体など一定規模以上のエリアを対象にマーケティング施策を展開する事業者に適しているのでしょうか。一地区だけであれば郵便システムを利用せずに直接投函できてしまいますよね。 DMには、1件あたり100円以上の封入型・郵送型と、ビラ1枚あたり数円程度のポスティング型があります。ポスティング型は圧倒的な低予算で実施できる一方で、年収や職業別のターゲティングができません。 また昨今ではタワーマンションの建設が進み、共同玄関に管理人を配置したり、オートロックをかけたりして、投函目的で建物内部に入ることに制限を設けた建築設計が広がりつつあります。そのような場所には郵送型の方がDMを確実に届けることが可能です。 郵送DMの発展形とは ―自宅の住所に届く郵送DMでは、ターゲティングをされる消費者のプライバシー保護の必要性がさらに高まるのではないでしょうか。 郵送DMを受け取った方が不快な気持ちを抱かぬように様々な配慮が必要だと思います。まず大前提として、当社の郵送DMサービスはあくまでも「楽天グループが楽天会員様向けに送付」するものであり、同サービスを利用してマーケティングを行う外部事業者様に楽天会員情報を受け渡すことは絶対にありません。 また当然のことながら受取人に対してはオプトアウトできることを明示し、受け取った郵送DMの内容またはサービス自体を不快に思われた方がいれば速やかに配信先から除外いたします。 さらに当社では「楽天ポイント」という日本最大級のインセンティブツールを持っております。こちらを郵送DMと組み合わせる事で広告を能動的に受け取ってもらえるような環境の整備を行い、DMに対する価値観自体を変えていきたいと思っています。 ―郵送DMという比較的歴史のある手法にもまだまだ発展の余地はあるということですね。 加えて当社は、実際の商品の送付、つまりサンプリング封入サービスを提供しています。仕組みはDMと全く一緒で、送る内容がメッセージのみかサンプル商品まで付いているかの違いだけです。暑い日に路上で飲料水のサンプルを受け取るとうれしいですよね。サンプル商品であればありがたみを覚えるという人は多いはずなので、サンプリング封入サービスを含めて満足感を得られるようなユーザー体験を設計していきたいです。 ―貴社としては郵送DM及びサンプリング封入サービスを今後どのように発展させていく予定ですか。 当社では現在、「楽天エコシステム(経済圏)」で蓄積したデータに加えて、「楽天ポイント」を提供する店舗サービス企業様とのPOSデータ連携の取り組みを拡大中です。今後はオフライン購買データに基づくサンプリング封入の拡大を進めています。 具体的には、競合メーカーの商品を購入した消費者に対して自社の新商品のサンプルを送付してブランドスイッチを促すことができます。また、商品の送付だけでなく、ブランドリフト調査を含むアンケート調査を実施することで、その後の継続的な購買につながっているか検証できるのが当社の強みです。低単価商品であったとしても、LTVを指標としてマーケティングを行うメーカー企業様に対してこうした統合的なサービスを提供していきたいです。
The Trade Desk、セブン‐イレブンの購買データをDSPに連携ほか|ExchangeWire Japan YouTube第3回
ExchangeWire Japan編集部は7月24日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の第3回をYouTubeで公開した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、継続シリーズでお届けする。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】The Trade Desk、セブン‐イレブンの購買データをDSPに連携ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第3回となる今回の動画では、The Trade Deskとセブン‐イレブン・ジャパンの戦略的連携による購買データ活用を中心に取り上げている。 The Trade Deskは7月14日、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとの戦略的な連携により、広告主が同社のプラットフォームを通じてセブン‐イレブン・ジャパンの購買データをデジタル広告のチャネルでプログラマティックに活用できるようになると発表した。広告主は、およそ2,800万人にのぼるセブン‐イレブンアプリ会員の購買データをもとに構築されたオーディエンスセグメントにアクセスでき、OTT、CTV、オーディオ、ディスプレイなど、オープンインターネット上の幅広いチャネルで広告配信に活用できる。セグメントは最大1年間の購買履歴(ID-POSデータ)をもとに選ばれ、精緻なターゲティングと複数チャネルを横断したリーチが可能になる。同社は、日本のリテールメディア市場を大きく前進させる連携になるとしている。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000035203.html このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 楽天:日本テレビと連携し、消費行動分析データを活用したテレビCMソリューション「RMP-TV Ads」を提供開始 ■プレスリリース:https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2026/0713_01.html ファミマTV:電通の統合メディアプランニング支援ツール「クロスメディア・プランナー」とのデータ連携を開始 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000097469.html 三菱地所コミュニティ:居住者と企業をつなぐマーケティングプラットフォームを本格展開 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000186710.html ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanをご覧いただきたい。
成果が求められる時代、独立した広告効果測定の重要性はこれまで以上に高まっている
広告機能をインハウス化する企業が増える中、CMOにはブランド認知を目的とした施策であっても、ROIを裏付ける成果を示すことがこれまで以上に求められています。 (Sponsored by Ogury) 市場の変化に対応するためには、エージェンシーはメディアエコシステム全体を俯瞰する視点と、長期的な戦略立案力という本来の強みに注力する必要があります。そして、競争が激化する現在においては、あらゆるチャネル・プラットフォームを横断した効果測定とアトリビューションを通じて、その価値を示すことが重要です。 予算が厳しくなると、あらゆるマーケティング施策がパフォーマンスの視点で評価される 広告投資全体は増加傾向にある一方、長引くインフレの影響により、マーケティング予算には大きな制約がかかっています。CMOは限られた予算の中で、コスト上昇や競争激化への対応を迫られています。そのため、すべての投資に対して具体的なビジネス成果を示すことが求められています。 この流れにより、ブランド認知とパフォーマンスマーケティングの境界は曖昧になっています。これまで認知向上を重視してきたブランドも、現在では測定可能なミドルファネル・ローワーファネルのKPIへと軸足を移しています。 現在のマーケターは、チャネル起点ではなく成果起点でメディア戦略を設計するようになっています。認知から比較検討、購買まで幅広くチャネルを組み合わせるのではなく、成果につながるかどうかを基準にチャネルを選択するケースが増えています。しかし、そのような運用には高度な横断的管理が必要であり、多くの企業が自社だけで実現することは容易ではありません。 成果最適化は、分断化が進むメディア環境という現実に直面している 成果に基づいて投資を最適化したいというマーケターの考え方は、複雑化・分断化した現在のメディア環境と必ずしも一致しません。消費者は朝にCTVで広告を目にし、通勤中にDOOHへ接触し、昼休みにSNSで再び広告を見た後、リテールメディア経由で購入に至るなど、購買行動は複数チャネルを横断しています。 成果を起点に評価するためには、どのチャネルが購買に最も寄与したのかを把握する必要があります。しかし、各プラットフォームが異なる測定手法を採用しており、自社の強みが強調される設計になっているため、公平な比較は容易ではありません。 IDソリューションは分断された接点をつなぐことを目的に発展してきました。しかし10年以上が経過した現在でも、クロスデバイスで十分な精度を維持しながらアトリビューションを実現できる単一IDは存在しておらず、多くのシグナルロスが課題となっています。 プラットフォーム依存の効果測定が抱えるリスク 日本市場では、広告によるクリックやオンラインコンバージョンだけでは成果を十分に評価できません。小売、自動車、金融、通信、家電など、多くの業界で購買プロセスには実店舗への来店が含まれるため、広告接触と実際の行動を結び付ける測定手法が求められています。 来店計測(Footfall Measurement)は、ブランド施策と成果指標をつなぐ新たな指標として注目されています。位置情報シグナルを統計的に分析することで、広告接触者が非接触者よりも来店しやすかったかを把握でき、認知指標と売上成果の間を埋める独立した効果指標として活用できます。 オムニチャネル施策を運用するエージェンシーにとって、来店計測は重要な検証手法の一つです。チャネル横断で一貫した比較が可能になり、最初の接触チャネルに関係なく、ブランド認知への投資が実際の消費者行動につながっているかを評価できます。 持続的な成果最適化には、エージェンシーのチャネル横断型インテリジェンスが不可欠 エージェンシーの強みは、リアルタイムで最適化可能なデジタル指標と、Marketing MixModeling(MMM)のような長期的な分析を組み合わせられる点にあります。これにより、数か月単位でチャネル投資とブランドKPIの関係を評価し、特定チャネルに偏ることなくメディア投資全体の価値を検証できます。 MMMは高度な専門知識と多くのリソースを必要とするため、自社で構築できる企業は限られています。そのため、複数のクライアントに提供できるエージェンシーが活用することが合理的です。ブランドはエージェンシーと協業することで、MMMという信頼できる分析基盤を活用しながら、成果につながるチャネル構成を継続的に検証・改善できます。 近年の大手広告グループによるテクノロジー投資が示すように、エージェンシーはデータクリーンルームの活用も進めています。これにより、元データを共有することなく、ブランドとメディア双方のデータを安全に分析し、新たなインサイトを導き出すことが可能になります。 エージェンシーがクライアントにチャネル横断の視点を提供するもう一つの方法が、「AudienceFirst Measurement(オーディエンス起点の効果測定)」です。断片化したIDシグナルだけに依存するのではなく、ターゲットとなるペルソナがどのようにメディアへ接触し、その接触がどのような成果につながったのかを評価します。 このアプローチは、独立した成果ベースの効果測定と組み合わせることでさらに価値を発揮します。広告接触を来店、購買行動、その他のビジネス成果と結び付けることで、チャネル横断でキャンペーン全体の効果をより正確に把握できます。「どのプラットフォームが成果を主張するか」ではなく、「ターゲットオーディエンスが最終的に意味のある行動を起こしたか」という本質的な視点で評価できるようになります。 コラム執筆者 松本 亮 Ogury Japan, Country Manager L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。
データ・ワン、購買データ付広告ID数が6,000万IDを突破ほか|ExchangeWire Japan YouTube第2回
ExchangeWire Japan編集部は7月16日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の第2回をYouTubeで公開した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、継続シリーズでお届けする。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】データ・ワン、購買データ付広告ID数が6,000万IDを突破ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第2回となる今回の動画では、データ・ワンが発表した購買データ付広告ID数の6,000万ID突破を中心に取り上げている。 同社は7月3日、小売事業者から預かる購買データ付広告ID数が2026年6月に6,000万IDを突破し、広告主の支援実績も累計1,000ブランドを超えたと発表した。コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど複数の業態にわたる小売事業者とのデータ連携を進めており、全国2万5千店を超える実店舗の購買データと、NTTドコモの顧客属性データを組み合わせて広告配信を行っている。今後は生活消費財にとどまらず、幅広い商材の広告主へと支援を広げていく考えだ。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000085872.html このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 アドインテ:「リテールメディアサミット2026」を11月11日・12日の2日間、東京・新宿で開催 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000239.000007452.html アドウェイズ:「ChatGPT Ads」をはじめとする生成AI向け広告の支援体制を確立 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000282.000033008.html Hakuhodo DY ONE:博報堂と共同で、統合ソリューション「Agentic Commerce ONE」を始動 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000140732.html ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanをご覧いただきたい。
楽天が語るデータ全盛時代にマーケターにとって本当に必要なデータ[インタビュー]
社会のデジタル化が進展したことで多種多様なデータを取得できるようになった結果として、ありとあらゆる広告配信関連事業者が「独自のデータ」を掲げるようになってきた。データを容易に取得そして交換できる仕組みが整備されている現代において本当に「独自のデータ」などあるのか。前回のインタビューに続き、同社のアド&メディアカンパニー マーケティングパートナー事業 ディレクター 田中 利昌 氏に見解を聞いた。 (Sponsored by 楽天グループ) 楽天会員に基づくデータの用途とは ―貴社が蓄積する特徴的なデータを教えてください。 様々なデータを取り扱っていますが、主には国内月間利用者数が約4600万人の楽天会員のデータやオンラインとオフラインの購買データに加えて、検索ログデータ、楽天グループ内の接触データ、GEOデータなどがあります。 また少しユニークなデータとしては、楽天インサイトというグループ内のインターネット調査会社がユーザーパネルを抱えており、大規模調査データなども活用できたりします。 資料提供:楽天グループ株式会社 ―楽天の会員データはマーケティング用途でどのように活用し得るのでしょうか。 検索などからの類推ではなく、事実に基づいた情報を紐づけた楽天IDを通じて、オンライン・オフライン双方で一気通貫の施策の実施と効果の可視化を実現できることが最大の特徴です。 また性別、年齢、職種、未既婚、ペットの有無、居住形態といったいわゆるデモグラ情報とともに、「楽天市場」などをご利用いただいているユーザーの住所データも蓄積しています。この住所データに基づき、例えば化粧品ブランドAの購入者に対して、ブランドBのサンプリングを郵送で送付することなどが可能です。 オフラインの購買データを横断的に整備 ―購買情報について、オンラインでは楽天市場を通じて豊富なデータを蓄積しているとは思いますが、オフラインではどのようにデータを取得しているのですか。 まずは「楽天カード」や「楽天ペイ」といったフィンテック事業を通じて「どのお店でいくらを支払ったか」というデータを取得しています。 さらに深い情報としては、「楽天ポイントカード」と提携する店舗サービス企業様とのPOSデータ連携の取り組みを拡大中です。 資料提供:楽天グループ株式会社 なお、日本市場におけるPOSデータ連携の取り組みは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアの領域で先行的に進んできましたが、当社では今後、「楽天ポイントカード」の提携先である家電量販店様や百貨店様といった高価格帯の商材を扱う小売事業者様とのPOSデータ連携を通じて一層の差別化を図る予定です。 ―オフラインの購買データはどのようにマーケティングに活用できるのですか。 「楽天カード」の決済情報に基づき、例えばラグジュアリーブランドの店舗での購入者様といったセグメントを作ることが可能です。または全国のファミリーレストランの定期的な利用者を抽出することでファミリー層などのセグメントを作ることができます。 POSデータとなると、JANコードと呼ばれるいわゆる商品のバーコード情報を通じて同一商品でもサイズ違いといった粒度で購買情報を取得できます。つまり広告配信のターゲティングだけでなく、効果測定にも有用です。 従来の来店計測というと、広告を閲覧したユーザーのスマートフォンにダウンロードしたアプリと店舗に設置したビーコンを通信させるといったやや冗長な設計になる傾向があったと思うのですが、楽天IDを活用すれば、楽天ポイントの付与時に容易に来店計測ができます。 ―広告主が提供する商品やサービスによって楽天のデータの利用法は大きく異なるのでしょうか。 メーカー企業様の場合は、ベンチマークとする競合商品の購入者をピンポイントでターゲティングする際にご活用いただくことが多いです。また「楽天Car車検」では、車検が切れそうなユーザーに向けて自動車広告を配信している自動車企業様がいらっしゃいます。 不動産投資などの富裕層向けの商材となると、年収データの重要度がぐんと高まります。当社は「楽天カード」の会員データから年収データも蓄積しています。「富裕層向けに広告を配信したい」といったやや漠然としたご要望に対しても、正確かつ最新の年収データに基づき「年収1500万円以上」といった具体的なユーザーセグメントに落とし込むことができるのです。 溢れる「購買データ」の内実 ―今やあらゆるオンライン広告関連事業者が独自のデータを掲げています。貴社保有のデータにはどれほどの独自性があると思いますか。 データ事業者やデータプラットフォームはたくさん存在していますが、保有しているデータの量だけでなく質がそれぞれかなり異なります。まず広く認知されている店舗チェーンでも関東など一部の地域のみの展開でデータ量は限定的な場合があります。また購買データと一口に言っても、類推データもあれば実購買データもあります。さらにオンラインとオフライン、同じ商品でもスーパーマーケットとコンビニエンスストアではデータが分断されています。 こうした分断されたデータを楽天IDを通じて統合管理できるというのは当社の強みであり、また求められている役割の一つであると理解しています。 ―購買データは希少であるがゆえに、マーケティングにおける利用規模は限定されてしまうのではないでしょうか。 既に申し上げた通り、当社は楽天市場などを通じて国内最大規模のオンライン購買データを持っているだけでなく、オフラインの購買データも豊富に蓄積しています。それでもさらに広告配信規模を拡大したいというのであれば、これも当社の強みである非常に精度の高いAIを使って類似拡張配信することで十分な効果を得ることができます。 つまりバーコード情報に基づき特定商品の購入者限定で広告配信を開始し、広告効果の伸びが落ち着いてきたら類似拡張配信に切り替えることで広告配信規模を確保しつつ広告効果を高めることができるはずです。 おかげさまで、楽天経済圏の成長とともに取得データとAIの学習データが増えることで広告プロダクトがさらに高度化していくという好循環を作り出すことができました。楽天グループの広告サービスは今、急速なスピードで発展しています。
IDレス環境におけるパブリッシャーの収益向上を実現する―Intent IQ主催「Intent IQ VIP NIGHT」[イベントレポート]
2026年5月、IDソリューションをグローバルに展開するIntent IQは、パブリッシャーを招いた招待イベント「Intent IQ VIP NIGHT」を東京・渋谷にて開催した。サードパーティCookieをはじめとするシグナルが制限されるエコシステムにおいて、いかに正確なユーザー理解を維持し、パブリッシャーの価値を正当に評価させるかについて、来日した経営陣がプレゼンテーションを行った。後半には株式会社Leave it to me代表・池田寛氏、かわらのLab合同会社代表・瓦野晋治氏によるパネルディスカッションが行われ、メディア価値の再定義について議論が交わされた。 (Sponsored by Intent IQ) アイデンティティ戦略と安全性重視のアプローチ 冒頭、挨拶を行ったIntent IQ会長のロイ・シュケディ氏は、日本のパートナー企業への感謝と、長期的なパートナーシップ構築への意気込みを語った。Intent IQは約30年にわたる同社の歴史の中で、エコシステムの進化に適応し続ける技術開発を行っている。シュケディ氏は日本を「品質・精度・パフォーマンスを重視する市場」であるとし、そういった市場に参入できることを誇りに思うと述べた。日本市場が求める高い水準を満たした絶対的な正確性を持つ基盤を構築するために、研究とデータドリブンなアプローチに多大な投資を積み重ねているとのこと。 アイデンティティが複雑化する中で、正確性という基礎に常に立ち返ることが、パートナー企業からの信頼と強い絆につながるとし、参加したパブリッシャーに感謝の意を伝えるとともに、今後のさらなる協力を仰いだ。 続いて登壇した事業開発担当上級副社長のタミル・シュブ氏は、Intent IQのソリューションとアプローチについてプレゼンテーションを行った。 同社が日本市場に進出を果たして2年となる。展開するアイデンティティ戦略は、パブリッシャーが最大の利益を生み出すことを主眼としている。 Intent IQが提供する技術の中核は、Cookieなどの識別子が利用できないIDレスインベントリーに対して効果を発揮できる独自のIDソリューションである。IDに依存せずにSSPとDSPの識別子をリアルタイムで照合する。 さらにパブリッシャーが柔軟に選ぶことができるよう以下のような統合方法をサポートしている。 ・Prebid: 業界標準の環境にシームレスに組み込むことが可能。 ・JavaScript: サイト側での柔軟な制御を実現。 ・サーバーサイド統合: ブラウザ側の負荷を軽減し、パフォーマンスを最適化する。 管理画面で提供される機能では、IDレスブラウザ間のギャップがリアルタイムで補完される。すべてのパートナーに対して、A/Bテストや最適化、サプライパス最適化(SPO)インサイトが提供されることで、技術的な裏付けを持って運用を改善できる環境を整えている。プライバシー保護については、EU一般データ保護規則(GDPR)・カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)・グローバルプライバシープラットフォーム(GPP)といった国際基準に準拠済みとなる。 日本市場におけるインフラ投資とケーススタディ 日本市場に特化した取り組みとして、シュブ氏は約6カ月前に東京に「リアルタイム識別のためのローカルデータセンター」を開設したことを報告した。ここではIDスイッチボードにより、SSP/DSPパートナー間のデータギャップが補完され、初回コール時のレイテンシーが大幅に改善される。ローカルでのデータ処理により、日本におけるプライバシー・ファーストを尊重する姿勢を見せている。 具体的な数値がいくつか示された事例の発表では、連携している国内パブリッシャーにおいて、CPMとフィルレートともに増加しており、トータルで20%前後の収益向上が確認されているとのこと。特に、iPhoneユーザーの比率が極めて高い日本市場において、Safari環境などのシグナルが制限されたインベントリーをいかに有効活用できるかは、パブリッシャーの収益を左右する大きな要因となる。Intent IQはこうしたiOS環境においても高いパフォーマンスを発揮し、広告主とパブリッシャー双方の成功を支援している。 最後に、シュブ氏はユーザー識別がますます複雑化する時代において、「正確性、信頼、強固なパートナーシップ、そして長期的コミットメント」という基本に立ち返ることが重要であると強調した。今後日本市場においてこれらの基本を念頭に、パブリッシャーと共に成長していく意欲を示し、プレゼンテーションを締めくくった。 トラフィックを捨てて関係性を取りにいけるのか? 最後のパネルディスカッションには、株式会社Leave it to me代表・池田寛氏、かわらのLab合同会社代表・瓦野晋治氏の両氏が登壇。「“トラフィック”を捨てて“関係性”を取りにいけるのか?」というテーマで、デジタルメディアが直面する課題について真っ向から向きあった。 デジタルメディアの構造的な課題は「トラフィック依存モデルの限界」である。瓦野氏は、記事の掲載や配信によってページビューを獲得し運用型ディスプレイ広告で収益を上げるという従来モデルが終わりつつあるという現状を総括する。その背景として挙げられたのが、AIによる検索体験の激変であり、AI検索結果上で情報が完結する「ゼロクリック化」が進み、ユーザーが個別のウェブサイトへ訪問する機会が減少している。 また、Google DiscoverやYahoo!ニュース、SNSなどのプラットフォーム経由の流入に依存してきたメディアにとっては、プラットフォームの判断やアルゴリズムの変化ひとつでトラフィックが左右され続けている。加えて、ページビューと連動して収益になるディスプレイ広告の収益性も好調とはいえないため、「トラフィックと収益性の減少が同時に起こり、ダブルで危機に直面している」と指摘された。 コミュニケーション再設計と“依存しない”戦略へのシフト 後半では、ユーザーとの関係性の再構築が重要なテーマとして議論された。現在、ユーザーの可処分時間は動画、SNS、ゲームなどに大きくシフトし、ニュース記事を能動的に読む習慣は減っている。読者がサイトを訪れる理由をどのように作るのか。 その解決策として示されたのが、読者とのコミュニケーションの再設計である。単なる情報提供にとどまらず、読者との接点そのものをサービスとして設計し、継続的な関係性を築くことである。コミュニティという形に限定されずとも、「便利」「楽しい」「ないと困る」といった価値を提供することで、ユーザーの生活のインフラとして入り込むことが重要だと指摘された。 また、プラットフォームとの向き合い方も重要な点となった。これまで多くのメディアは外部プラットフォームに強く依存してきたが、その関係性は健全とは言えない。今後は「依存する」のではなく「利用する」という意識のもと、アルゴリズムに振り回されない自社主導の自立したビジネス設計を持ち、自社の価値を維持しながら外部プラットフォームをハブとして活用する関わり方が重要だと瓦野氏は述べる。売上が減るメディアも存在する中で、早く手を打つこと、小さくてもチャレンジを積み重ねることが重要であり、現場レベルではなく組織全体で取り組む課題であると強調した。 ディスカッションの締めくくりで、池田氏は「正解は存在しない」という前提のもと、各社で試行錯誤を続けようと参加者に呼びかけた。メディアの価値が問い直され、収益性と各メディアの特性を活かした新モデルを模索する段階に入っていることを痛感させられる、意義深いディスカッションとなった。 ディナー後のアフターパーティーでは、パブリッシャーを中心とする参加者たちがIntent IQメンバーや参加者同士で交流を深め、温かい空気の中でイベントは締めくくられた。Intent IQは昨年に続き2026年ATS Tokyoのスポンサー企業としての参加を予定しており、同社のさらなる日本展開に注目が集まる。
ATS Tokyo 2026チケット、最安価格で販売中
日本のプログラマティック・マーケティング及び広告業界のトレンドと、日本と海外における将来的な市場動向を取り上げるAd Trading Summit(ATS) Tokyo 2026(11月20日金曜日開催)のチケット販売を開始しております。 7月31日までのお申し込みで、チケットが最も割引(約50%OFF)になるSuper Early Birdチケットをご用意しております。 ぜひ早めのご購入をご検討ください。 イベント当日は、アドテクノロジー及びデジタルマーケティングの最新動向について議論を行う10以上のセッションを開催します。また、国内外のエグゼクティブクラスの業界関係者が一堂に会す場でのネットワーキングの機会を設けており、新しいビジネス機会を得る場としてもご活用いただけます。 今年は、元アタラ株式会社代表取締役CEOで現在APTI(Advertisers and Publishers Transparency Initiative)共同代表を務める杉原 剛氏をコンテンツアドバイザーに招聘し、AIの普及により変化が加速するマーケットトレンドをより的確にキャッチアップするコンテンツの開発に注力します。 その他最新のセッション及び登壇者情報などについては、詳細が定まり次第、イベントサイトなどを通じて発表いたします。続報をお待ちください。 イベント概要 ■日時:2026年11月20日(金)9:00-19:30(予定) ■場所:シェラトン都ホテル東京 (東京都港区白金台1丁目1-50) ■定員:500名 ■主催:ExchangeWire Ltd.(ExchangeWire.com) チケット概要 テクノロジーベンダー向けSuper Early Birdチケット:50,900円(税込 、7/31まで) 広告主・広告会社・媒体社向けSuper Early Birdチケット:42,000円(税込、7/31まで)
ExchangeWire Japan、デジタル広告業界ニュースのYouTube配信を開始
ExchangeWire Japan編集部は7月8日、デジタル広告業界の主要ニュースを映像と音声で伝える動画の配信をYouTubeで開始した。 目と耳でニュースに触れられる新しい形式として、今回を第1回とする継続シリーズでお届けする予定だ。 ■Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ExchangeWireJapan ▼【ニュース】LINEヤフー広告サービス品質の透明性レポートを公開ほか:ExchangeWire Japan(ExchangeWire Japan公式YouTubeチャンネル) 第1回となる今回の動画では、 LINEヤフーが公開した「広告サービス品質に関する透明性レポート 2025年度版」を中心に取り上げている。 同レポートによると、Yahoo!広告では2025年度に約2億件の広告素材を非承認としており、非承認理由として最も多かったのは「最上級表示・ナンバーワン表示」であった。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001731.000129774.html このほか、動画では以下のニュースを紹介している。 SMN:AI技術「SENZAI」と過去20年分のテレビCMメタデータを掛け合わせ、広告クリエイティブを生成する新サービスを開始。 ■プレスリリース:https://www.so-netmedia.jp/topics/press-release-20260624/ 電通デジタル:OpenAIがChatGPT上で展開する広告の日本導入に向け、国内ローンチパートナーとしてパイロット運用を開始。 ■プレスリリース:https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2026-0618-000330 UNICORN:AWSの「AWS RTB Fabric」を活用した広告配信を、国内DSP事業者として初めて開始。 ■プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000280.000033008.html ぜひ目と耳でも、ExchangeWire Japanご覧いただきたい。
広告プラットフォームの風雲児・楽天が切り開く独自の広告サービスとは[インタビュー]
国内ECモールの草分けである楽天市場に加えて、携帯キャリア、デジタルバンク、ポイントプログラム、旅行予約サイトなど今や70以上のサービスを展開する楽天グループ。これらの実業を束ねるグループ企業だからこそ成し得る広告サービスとは何か。同質化が進行するオンライン広告業界で独自路線を打ち出す同社のアド&メディアカンパニー マーケティングパートナー事業 ディレクター 田中 利昌 氏に話を聞いた。 (Sponsored by 楽天グループ) 楽天市場の広告≠楽天の広告サービス ―自己紹介をお願いします。 楽天グループ株式会社の中にあるアド&メディアカンパニーという社内カンパニーにおいて、マーケティングパートナー事業のディレクターを務める田中利昌と申します。博報堂DYホールディングスとの合弁会社である楽天データソリューションズ株式会社と大型ファッションイベント「GirlsAward」を運営する株式会社Awardとの合弁会社MIHA株式会社の代表取締役社長を兼務しています。 ―事業紹介をお願いします。 私が所属するアド&メディアカンパニーは、「楽天エコシステム(経済圏)」の膨大なデータと多様なメディアを活用し、広告主様・広告代理店様に対してマーケティングソリューションを提供しています。 楽天と聞くと「楽天市場」の印象が強いと思いますが、「楽天市場」や「楽天トラベル」をはじめとするEC関連サービスの国内EC流通総額が6.3兆円、また楽天モバイルの契約数が1000万回線を突破するなど、楽天エコシステムは急速に拡大を続けています。ユーザーの消費行動分析データを蓄積した上で、「プロダクト」「AI」「データ」「ポイント」という4つの特徴を掛け合わせたマーケティング支援のご提案をさせていただいています。 資料提供:楽天グループ株式会社 ―「楽天市場」内に表示される検索連動型広告が主な広告商品となるのでしょうか。 「楽天市場」内の店舗や商品ページへのリンクを促す広告商品は、「楽天市場」の出店店舗様に対して提供させていただいているものですが、私が所属するアド&メディアカンパニーでは、お客様サイト及びサービスの認知から販促までのプロモーションのお手伝いをさせていただいています。相対する担当者様のご所属は広告宣伝部やマーケティング部署などの方であり、各社様のEC事業部などが管轄する「楽天市場」などの広告とは予算の立て方、担当部署、目的が全く異なります。 ―それではアド&メディアカンパニーが提供する広告サービスはどのような広告主がどのような目的で活用しているのですか。 およそ7割は獲得目的、 残りの3割が宣伝・認知目的です。獲得領域では、教育、エステ、不動産、金融業界を始めとして多種多様な業種の広告主様がいらっしゃいます。宣伝目的となるとメーカー企業様が圧倒的に多くなり、中でも自動車、食品、家電などの分野で積極的にご利用いただいています。 セグメント設定はもはや不要? ―広告の配信面はどこになるのですか。 楽天グループ内の各オンラインメディアはもちろん、他の主要な大手広告プラットフォームに加えて、楽天が蓄積する会員情報や消費行動分析データを活用したDM、メール広告、ポイントプログラムを通じたプロモーションなどがあります。 宣伝目的では、やはり楽天独自の消費行動分析データを活用した上で、YouTube、TVer、ABEMAなどの動画配信プラットフォームに広告配信を行うことも多いです。 ―最近ではAI活用を掲げるテック事業者が非常に多いと思いますが、貴社のAI技術の特徴は何ですか。 当社が蓄積する消費行動分析データとAIを掛け合わせた「未来購買予測」と呼ばれる機能を通じてコンバージョン最適を図ることができる点が最大の特徴になります。例えば学習教材のコンバージョン発生日をゼロとした場合、消費者はその2000日前ないし約6年前にマタニティ商品を買い出して、そこからベビー用品、キッズ用品と消費パターンが推移していく様子をつぶさに把握そして予測することができます。 具体的事例としては、ヘアケア商品を販売するBOTANIST様にこの未来購買予測をご利用いただきました。同社商品の購入前にメイク道具や他のヘアケア製品を購入する消費者が多くいるというのはある程度想像がつくのですが、AIがこれらの商品に加えて一年以内に日焼け止めやテニスまたはマリンスポーツ関連商品が多く購入されていたことを突き止めて、広告配信の最適化を行いました。 恐らく髪のダメージが気になりだしたタイミングでヘアケア商品を購入した人が多くいたのでしょう。ターゲティングを行っていない場合との比較は当然ながら、「ヘアケア・スタイリング購買者」だけに対してターゲティングする場合と比較しても、未来購買予測のCVRは圧倒的に良かったです。 資料提供:楽天グループ株式会社 もはや「特定のセグメントをつくってターゲティングを行う」という従来の手法ではなく、AIによるターゲティングが今後は主流となっていく未来を感じさせるような事例でした。 マーケターの悲願を叶えるために ―「楽天ポイント」も独自の取り組みですね。 楽天ではこれまで、「楽天ポイント」を累計5兆ポイント以上発行しています。広告だけではなく、SNSのフォロワー増やアプリの休眠復帰などのCRM目的でもご活用いただいております。 ―サードパーティCookie規制などが強化されたことを受けて購買データへの評価が高まっているとの実感はありますか。 正直に申し上げると、サードパーティCookieの代替手段として購買データの活用を検討されている事業者様はそれほど多くないように感じます。それよりも、オムニチャンネル展開を行う事業者様がオンラインとオフラインを越境ないし統合してターゲティングや効果測定を行いたいという課題の解決手段として当社ソリューションをご評価いただいていることが多いです。 ―今後はどのような事業展開を図っていく予定ですか。 世の中にはマーケティングに活用できる購買データを提供されている事業者様が数多くいらっしゃいますが、いずれもオンラインのみまたはオフラインのみのデータを取り扱われている場合が非常に多いと思います。一方で当社が強みとしており、今後さらに強化していこうとしているのがオンオフ統合です。 日本のEC化率は1割程度と言われており、見方を変えれば9割はオフライン購入なのですが、例えばコンタクトレンズは今やEC購入の方が高くなっているという調査結果もあります。オンラインとオフラインのどちらかに販売チャネルの重心を置くということが今後ますます難しくなっていくはずです。マーケターの皆様にとっての悲願であるオンオフ統合でのマーケティング施策を実施できる環境を整備することが当社の使命であると思っています。
ビッグデータからカルチュラル・キャピタルへ:なぜブランドエクイティがAI時代における最も強力なシグナルとなり得るのか
10年前、個人データはデジタル広告において最も価値のある資産の一つでした。AIパーソナルアシスタントやエージェントが普及するこれからの世界では、その価値は商品レビューやニュースの見出し、あるいは話題を生むスーパーボウル広告へと移る可能性があります。 (Sponsored by Ogury) AIの大規模言語モデル(LLM)やエージェントが商品発見や選択において重要な役割を担う中、これらに影響を与えるシグナルは個人の行動データから、共有された文化的文脈へと移行しています。 AIボットが購買プロセスの最終段階、あるいは初期選定を担う状況では、その推薦を形作るシグナルは、メディア報道、レビュー、クリエイティブキャンペーン、インフルエンサーの支持、そしてコミュニティやクリエイタープラットフォーム上の公開された会話から生まれるようになります。言い換えれば、AI時代においてブランドエクイティは機械可読なシグナルとなり、マーケティング投資や決定論的データ・個人データへの依存のあり方を再定義していきます。 「すべてを収集する」発想の終焉 これまでデジタルマーケティングは、「より多くのデータ(特に決定論的データ)を収集するほど広告効果が高まる」という前提のもとで展開されてきました。しかし、そのモデルは限界に達しています。社会的な要請やプライバシー規制により、企業は収集するデータとその活用方法をより慎重に選ぶ必要に迫られています。同時に、チャットボットやAIアシスタントの普及により、影響力が生まれる場所そのものも変化しています。 AIが「シグナル」の定義を書き換える 大規模言語モデルは、ニュース、レビュー、ソーシャル上の会話、動画などの公開情報を取り込む「文化的アグリゲーター」として機能します。その結果、ブランドが文化や公共の会話の中で十分な存在感を持たなければ、AIによる推薦に表示される可能性は低くなります。 クリエイティビティがシグナルを生み出す 文化の一部となるためには、ブランドは創造性を発揮する必要があります。調査によると、クリエイティビティはキャンペーン成果の約半分を占めるとされています。クリエイティブなキャンペーンや公共の会話は、推薦を形成する重要なインプットとなります。 エージェント時代の到来 AIエージェントは中間プロセスの排除をさらに加速させる可能性があります。消費者は意思決定を自動化されたアシスタントに委ねるようになるかもしれません。ブランドが消費者と直接接点を持つ機会は減少していくでしょう。 マーケティングの原点へ ブランドは依然として、オーディエンスを理解し、信頼を獲得し、共感を生むアイデアを創出する必要があります。最も価値のあるデータは、もはや消費者から収集するものではないかもしれません。 それはブランド自身が生み出すカルチュラル・キャピタルなのです。 コラム執筆者 松本 亮 Ogury Japan, Country Manager L’Oréal、BMW、Johnson&Johnsonなどでブランドマーケティングやカスタマーマーケティングに従事。2014年からCriteoでアジア太平洋担当のマーケティング・マネージャーとして事業拡大に貢献したのち、GumGumの日本ローンチを担当し、クッキーレス広告市場の創出と拡大をけん引した。2022年4月より現職。
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