CRITEOが、今夏にもモバイルアプリ内のリターゲティング広告の配信をスタート

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(ライター:柏木 恵子)

デジタルパフォーマンス広告に特化したCRITEOは、4月3日に事業戦略説明会を開催した。同社は、PCのブラウザ向けに配信するリターゲティング広告の種類を増やすとともに、モバイル向けリターゲティング広告として、Android、またiOS向けの販売を開始している。今夏からは、モバイルアプリ内にもリターゲティング広告の配信を開始する予定だ。

 

 

 

CRITEOの事業概要

 

CRITEOは、広告主サイト内でのユーザー行動履歴を元に、ユーザーごとに最適化したバナーを動的に生成し各メディアに表示する、パフォーマンス型ディスプレイ広告の世界的なプロバイダーである。フランスのパリで設立後、ヨーロッパ諸国や米国に事業を拡大し、2011年からはアジアパシフィックを重要地域と位置づけている。広告配信先は42の国と地域に及び、パブリッシャーは6500以上、アドバタイザーは5000以上もいる。

 

日本オフィスの設立は2011年1月、さまざまなポータルサイトやニュースサイトにバナー広告を配信するほか、主要なアドエクスチェンジを通じた配信も行っている。特に2012年8月、Yahoo! JAPANと戦略的提携を結んだことで日本国内でのリーチ率を上げた。コムスコア社との共同調査では、日本国内のリーチは89%(89%の人が、月に一度はCRITEOが配信したバナー広告を見ている)で、先行してビジネスを展開したヨーロッパ諸国や米国を上回る数字となっている。

 

図1 主な提携メディアパートナー[図1 主な提携メディアパートナー]

 

CRITEOの広告の特長

 

CRITEOのミッションは、「適切なユーザーに適切なタイミングで適切な広告・情報を見せる」ことで、広告の費用対効果を高めることである。そのため、以下のような特長がある。

 

(1)リターゲティング広告に特化

CRITEOの発行するJavaスクリプトをWebサイトの各ページに埋め込むことで、広告主のサイト内でのユーザーの行動情報がCRITEOに集められる。その情報を元にしたリターゲティング広告に特化している。例えば、以下のような判断をほぼリアルタイムで行う。

 

▼「トップページだけ見て離脱」なら、このユーザーは間違えて来たのかも、バナーを見てもクリックしてくれないだろう、と判断し、そのユーザーにはリターゲティングしない(バナーを表示しない)

▼「同じカテゴリの色違いの商品をいくつか見た」なら、このユーザーは買う意志があるが迷っているらしい、その商品のバナーを見せればクリックして購買まで至る可能性が高いと判断し、リターゲティングしてバナーを表示

 

(2)ユーザーの行動データを元にクリエイティブを動的に最適化

クリエイティブはパーツ化されており、組み合わせて動的に最適化される。例えば、色違いの商品写真を組み合わせて見せる、詳細説明を見せる、クリックさせるなど、さまざまなクリエイティブをどのように組み合わせるかをユーザーの行動履歴から判断し、クリエイティブの最適化が自動的に行われる(ダイナミッククリエイティブオプティマイゼーション)。

 

(3)広告主にはクリック課金(媒体社とはインプレッション契約)

マーケターの仕事は、広告費の費用対効果を上げるために出稿先やクリエイティブの最適化を行うことだ。最近はビッグデータという概念が広まり、データに基づいて最適化を行うことが求められるようになった。ただし、そのためには特殊なスキルが必要で、そのような人材の確保が広告主企業における課題となっている。CRITEOの広告配信を使えば、マーケターがかかりっきりで検討しなくても、ほぼ自動で最適化が行われる。

 

 

2014年の事業戦略と注力分野

 

CRITEOの事業は、これまでPCのWebサイト向けを中心としていた。また、最適化アルゴリズムやシステムの特長から、導入に適しているのは以下のようなサイトだ。

 

・カタログが整備されている

・データベースが豊富である

・レイヤーの概念がある

 

このため、従来はECサイト、旅行などの予約サイト、不動産などの比較サイトといった顧客がメインだった。今後は、顧客ターゲット拡大のために新たな商品を投入する。ひとつは「CRITEO MID FUNNEL」である。休眠顧客へのリーチを目的として、これまで30日だったCookieの寿命を400日まで延長できる。大手ECサイトの季節商品などで有効だろう。もうひとつは「CRITEO SINGLE PERFORMANCE BANNER」で、プロダクト数やカタログ数の少ないサイトでも利用しやすいようにしたものだ。例えば、単品通販でも色やクラスによってクリエイティブの最適化を行うことが可能である。

 

また、スマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスの多様化に対応するため、既にAndroid端末のブラウザ向けに広告配信を行っている。モバイル経由の売上げは世界的に上昇しており、実質売上高に占めるモバイルの割合は2013年の12月時点で10%に到達している。特に日本はフィーチャーフォンの時代から小さな画面でブラウザを立ち上げて購買まで至ることに慣れているため、実質売上高におけるモバイル比率が18%と非常に高い。日本では世界に先駆けてiOSに対応し、Safari向けの広告配信を始めている。

 

 

モバイルアプリ向けリターゲティング配信

 

今年の夏頃から、モバイルアプリ内での広告配信もスタートする予定である。広告主として考えられるのは、ECアプリやゲームアプリなどだ。モバイルアプリは、インストールされたものの、使われなくなるというケースが多い。このため、頻繁に使われているアプリ内にバナーを表示することでリマインドし、再度起動してもらうことが目的だ。ECサイトにおける購買や、ゲーム内の有料アイテム購入を促すといった狙いがある。広告配信先は、GoogleとTwitter傘下のMoPubが既に接続されている。例えば、以下のような流れが考えられる。

 

(1)ユーザーがECアプリを立ち上げ、商品を閲覧し、購入せずにアプリを終了

(2)ユーザーがSNSのアプリを見た時に、閲覧していた商品のバナーを表示

(3)ユーザーがバナーをクリックするとECアプリに誘導

 

図2 モバイルアプリ内パフォーマンス広告[図2 モバイルアプリ内パフォーマンス広告]

 

ブラウザ向けと同様、アプリ向けでもリターゲティング配信を行う。そのためのユーザー行動履歴収集のエンジンとして、2013年7月にAD-X Trackingという英国の企業を買収した。Javaスクリプトを広告主サイトに埋め込んで行動履歴を収集するのと同様に、広告主アプリ内にAD-X Tracking SDXを実装することで実現する。これまで、ユーザーの行動履歴取得がCookieベースだったためにモバイルアプリの広告最適化ができないことがデジタル広告業界の課題だったが、これを解決するものである。

 

また、アプリから他のアプリに飛ぶ場合、必ずアプリのトップを経由するような仕様になっている場合がある。Webサイトの場合は直接商品詳細ページに飛ぶことが一般的で、このような仕様はユーザーの利便性を損ねている。これを解決するため、Webサイトと同様に直接商品ページにリンクを張れる「ディープリンク」をモバイルアプリでも推奨するように働きかけている。

(編集:三橋 ゆか里)

 

 

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大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。