自治体と提携、海外進出も 動画マガジン ルトロンの成長戦略 [インタビュー]

株式会社オープンエイトが運営するおでかけ動画マガジン ルトロン。月間4000万リーチ、週次のエンゲージメント率18%(facebook)を超えるメディアに成長。最近では地方自治体との取り組みや海外進出も進めているという。前回に続き、その成長戦略について、代表取締役社長兼 CEO の高松雄康氏にお話をうかがった。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

4000万リーチ、エンゲージメント18%超のメディアに成長

おでかけ動画マガジン ルトロンの直近の実績を教えてください。

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提携媒体が増え、コンテンツをディストリビューションするメディアです。今後もまだまだ増えていきますが、現状ではAll about、SmartNews、LINE News、東京カレンダー、Gunocy、TRILL、アイサイト、それに加え、今動いているのはサンケイリビング、YOMIURI ONLINEなどです。

― 提携した場合のビジネスモデルはどのような形になるのでしょうか?

トラフィック、つまりリンクバックのパターンもあれば、場合によりお金をいただくパターンもあります。

― 広告を入れることは検討されているのですか?

私たちは一次メディアになりたいので、基本はリンクバックのほうがありがたいです。特にFacebookは注力していかなければと思っているので、そこに向けてミットローリーで60秒や90秒にも耐えられる動画を作っていかなければいけないと考えています。これからは少しずつお金もかけてユーザー数を増やしていく予定です。

現在、トラフィックは急成長しており、計測できるFacebook、Instagram、Twitter、YouTube、オウンドメディアの5チャネルで3000万リーチです。また、4月末時点での、のべユーザー数は100万人越えを見込んでいます。春からは月の動画制作本数が300本を超えてくるので、メンバーも増やしていく予定です。

― 1コンテンツあたりの視聴はどうですか?

再生数はお金をかければ増えるのでメディア価値として本質的でないと考えています。僕たちは、週次のエンゲージメントを見ています。以前は15%でしたが、現在は18%です。これは他の動画メディアと比べて現時点ではかなり高い数値です。

最初にほぼ広告を使わず、エンゲージメントの高いユーザーに向けた配信をしてきたので、結果ユーザーがどんどん濃くなってきています。お金を出せば再生回数は増えますが、今後につながりません。エンゲージメントの高いユーザーに対してコンテンツを表示し、コンテンツの内容を見直していけばどんどんファン度があがってきます。そうすると、オーガニックリーチが上がってくるようになり最終的に広告を投下した場合、効率がよくなって、いい循環に入ってきます。

でも、今このやり方が通用しているのはFacebookだけで、TwitterやInstagramはまた違うと思います。それぞれの媒体でいいと思われるコンテンツも異なります。Instagramはこちら側からフォローせずにひたすらコンテンツを配信。私たちのコンテンツを見たいと思ってくれるフォロワーだけを地道に純粋に増やしきました。そうすると、facebookと同様でエンゲージメントが上がります。実際、無理やりフォロワーを増やしているところはエンゲージメントがかなり低いのは分析済みで、メディア価値を考えると数より質を重視したいと考えています。

渋谷区観光協会に引き続き宮崎市と栃木県、自治体との連携を一気に拡大

― ルトロンの新しい提携都市について教えてください。

今回新たに二つの都市と提携しました。まず一つは、渋谷区観光協会との取り組みを横展開する形で、宮崎市と提携し、観光誘致を動画で行っていきます。都内2か所で行う宮崎フェアや、宮崎市空港など数か所に設置されているデジタルサイレージなどに動画を流します。

― 宮崎市との提携のきっかけは?

宮崎市の外部アドバイザーにご紹介頂きました。今、地方自治体は、よりユーザーの気持ちを動かせる取り組みとして、動画を活用した活動に注目しております。私たちのように、宮崎市に閉じない外部の動画メディアと連携することで観光誘致などに活かしたいようです。また、クオリティと価格が決め手になっています。

― 動画の中身はどのようなコンテンツですか?

宮崎市が推したい場所がメインの動画です。青島や女性が魅力的に感じる場所を取り上げています。

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― 動画にはいくつか種類があるのですか?

はい、あります。例えばデジタルサイネージに流れる動画はよりプロモーション色を強く出して作って、ソーシャルで流すものと分けています。他では、このような取り組みはやっていません。デジタルサイネージの場合は凝視してみることがないと思うので、より大げさに一瞬でも伝わるようにしています。また、キャッチコピーがないと入ってこないと思うので、ただきれいな風景が流れているだけでなく、どこの動画なのかを明確に伝えています。
デジタルのほうは、共感をよびやすいようにプッシュし過ぎず、ルトロンならではの世界感の中でつくるようにしています。また、これは詳細のリンクにとべるようにしています。おおもとの素材は一本ですが、沢山のコンテンツをもつことで、自社でキュレーションができるような仕組みになっています。

― 動画制作の期間はどれくらいですか?

撮影が2日、編集が1日から2日です。制作期間が早いのが僕たちの強みです。笑

― 栃木県との提携についてもその経緯からお聞かせください

栃木県の場合は、プロモーションを担当するJR東日本企画と栃木県のプロジェクト担当部門の方からご連絡を頂きました。先方はレベルの高い動画の必要性を認識されて、結果問い合わせをいただきました。そこから一気に話が進み、取り組みが決まりました。
先駆けとして、15秒の動画を山手線のトレインチャンネルで流す取り組みを行いました。ルトロンのオウンドメディアにもコンテンツをストックできるよう、特設ページを設け、11コンテンツを配信しています。
今後もルトロンを通して、継続的なブランド力向上をしていく取り組みを行っていきます。

― ちなみに地方自治体と提携すると、何が変わってくるのでしょうか?

定常的に公認コンテンツとしてメディアにストックされることで、その地域に興味ある、ないに関わらず、多くのユーザーの目に触れる機会を創出し続けることができる。これは、地方自治体と組んだことで実現されました。また、地方自治体からしても地方をPRした動画コンテンツは財産になります。ルトロンの成長戦略としても、新たなビジネススキームが構築できると考えています。

― 収益は製作費ですか?

はい、地方自治体との取り組みに関しては、収益は取材・制作費です。

― 今後は別のところに横展開していくことはありますか?

今後新たな都市との取り組みも考えています。
新たな展開としては、ブランドとの取り組みを行います。まだ名前は言えないですが。販促支援を動画でサポートします。まさに地方自治体との事例の横展開です。

― 旅行会社に刺さりそうなお取り組みの内容ですね。

旅行会社さんとはやっと話ができつつあってこれから色々仕込みたいと考えています。

さらに海外展開として、今年4月に台湾に進出します。台湾の言葉に翻訳して、台湾版のルトロンを日本に来る観光客向けに展開していきます。これはエキサイトさんとの共同事業です。エキサイトさんはすでにJapaholic(ジャパホリック)というユーザー数が80万ほどのメディアをもっています。まず3月にJapaholicの中で、ルトロンのコンテンツを連携させ、4月から月100本動画を配信するルトロン台湾を立ち上げます。内容は日本語のルトロンと基本同じで翻訳をして横展開をしていきます。これはこれでまた地方自治体の方と何かご一緒できればと考えています。
またルトロンとして今年4月からTBSの番組スポンサーをします。4月から9月の半年間です。TBSと共同の取り組みとして一緒にやっていきます。

ユーザー参加型のアプリリリース、台湾の次は英語圏を目指す

また、同じタイミングでアプリもリリースします。その中でユーザー投稿も開始します。ユーザー投稿系とインフルエンサーを軸にしたコンテンツ作りもInstagramを中心にやっていきます。ルトロンで取り上げているおでかけスポットに特派員としていってもらって、動画でリアルに伝えてもらい、レポートを投稿していただきます。
まずは有名なインフルエンサーの方に参画していただき、その次のタイミングでユーザー投稿も含めて両軸でやっていきます。

― 海外展開については台湾の先はあるのでしょうか?

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台湾の次は英語が前提になっている国に進出したいです。シンガポールやインドネシア、オーストラリアを目指したい。インドネシアもビジネスをしている方は、英語をしっかり話していると思います。中国についてはやりたいが、いかに難しいかをよくわかっています。Facebookも使えないですしね。やるとすると、どこか中国の企業と組んでやるのではないかと思います。

― 今後の多岐に渡る展開が楽しみですね。ありがとうございました。

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ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長

外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。