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マーケティングツールってそもそも何のために導入するの? |WireColumn

皆様はじめまして。
KAIZEN platform Inc.の共同創業者 兼 CEOを務める須藤と申します。

私は、前職リクルートで沢山のアドテクノロジーを導入してきました。
当然、フェーズ毎に多くの課題や悩みがありましたし、多くの失敗もありました。
その経験から学んだ、クライアントの目線から起きる課題や悩みやジレンマについて、またその乗り越え方の一助になれるように、複数回に分けて「マーケティングツールの賢い使い方」についてお話していこうと思います。

 

 

マーケティングツールの検討が始まる時

マーケティングツールと一言で言っても、DSP、DMP、タグマネジメントからアトリビューションやログ解析、CRM、LPO、EFO、また現在私が提供しているUIのA/Bテストのツールなど、世の中にはさまざまなマーケティングツールがあります。

 

当然理想の導入検討プロセスは、下記のように自社の課題を明らかにした上でマーケティングツールの検討に入るという形だと思います。

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ただ、現実はそんなに甘くありません。

実際は、新しいアドテクなどのマーケティングツールをカンファレンスなどで見て、思わずテンションが上がり、急いで導入検討する。

こんなことも多いと思います。

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決して、これが悪いことだと私自身は思いません。

生き馬の目を抜く程、進化の早い領域ですから、ライバルに差を付けたいと考えると、新しいマーケティングツールが出てきたら、すぐに検討に入りたいのが本音だと思います。

 

その際に、やはり大切なことは、自社の課題について明確化しておくことだと思いますが、その前に、知っておいていただきたい原理原則を第1回ではお伝えしたいと思います。

 

 

マーケティングツールってそもそも何のために導入するの?

前提として、我々は時間とお金を事業成長(売上やユーザー数)に転換しているわけです。

マーケティングツールを導入する目的は、この転換効率を上げるためがほとんどだと思います。

 

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転換効率が上がるということは、同じ時間と同じ費用をかけた際に得られる売上やユーザーが増えるということになります。

おそらく、これがマーケティングツール導入の理想のシナリオだと思います。

 

この転換効率を上げていく上で、いくつかの原理原則を知っていないと

・      ツールは沢山入れたが、どうしていいのかわからない

・      手間ばかり増えて、使いこなせない

・      思ったように売上が伸びない

・      投資回収の目処がたたない

などなど、さまざまな弊害が生まれます。

 

私も過去、多くの落とし穴にハマってきました。

この原理原則をきちんと理解しておくことで、今起きている問題、あるいはこれから起きてくる問題への対応が大きく変わってきます。

 

 

検討を始める前に知っておきたい原理原則

早速、マーケティングツールの導入の前に、知っておきたい原理原則の一つ目です。

 

1顧客獲得コストの原則

ある一定期間(例えば、1週間や1ヶ月など)で獲得したいユーザーや売上を増やそうとすると非効率な施策に手を出さざるを得ないため、費用対効果が悪化していくという法則です。

言い換えますと、広告はいわゆる普通の商品とは異なっていて、たくさん買えば買うほど費用対効果が悪くなるものだということです。

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普通のモノであれば、ボリュームディスカウントが効くので、たくさん買うと安くなるのですが広告はそうはいきません。

最近は、RTBによってバルクでのディスカウントという概念から遠ざかりつつありますので、この原則はさらに顕著になりつつあります。

 

これは、広告に携わっている方は経験則として理解しているのですが、そういう経験をされてきた方が決裁者とは限りません。

その際に、このことを理解いただくのに多くの時間がかかってしまいます。

最初にこのことを理解いただいているといただいていないとでは、この後のステップで致命的なくらい大きな差が開いてきてしまいます。

 

ツール導入のゴールは、Value upかCost downしかない

先ほど時間とお金の転換効率を上げることが、ツール導入の目的になることがほとんどだというお話を前段でさせていただきましたが、二つ目の原理原則はこちらです。

 

この転換効率を上げるということを先ほどのカーブに当てはめると、下記の2つのどちらかになります。

 

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① 売上を上げて、獲得単価(CPA)を上げる

② CVRを上げたり、入札価格を抑えることで、獲得効率を良くする(=CPAを下げる)

 

このどちらかしか、単位時間あたりの事業成長への転換効率を良くすることにはつながりません。

 

つまり、ツールを導入する目的は、

① Value up(=売上を上げる)

② Cost down(=コストを下げる)

のどちらか2択しかありえないということになります。

 

このどちらの目的をゴールにセットするか?を明確にしていくことで、よりツール導入の効果を得やすくなります。

もちろん可視化ツールや分析ツールなど、どちらにも分類しづらいツールがあることも事実ですが、それでもなおこの2つに導入目的を設定することをオススメします。

 

可視化して、売上を上げたいのか?

分析して、コストを下げたいのか?

どちらをゴールとして得たいのか?をきちんと設定しておくことで、ツール導入の際の投資決裁、導入後のステップや進め方、投資回収の精度が大きく変わってきます。

 

マーケティングツール導入には、直接コストと間接コストがかかる

三つ目の原理原則です。

これも至極当たり前なのですが、マーケティングツールを導入するにはツールの利用料だけではなく、ツールを運用していくためにかかる間接的な付帯コストが存在します。

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例えばイニシャルでかかる費用として、ツール導入にコンサルティング費用が必要なケースもありますし、設定費用や初期費用などさまざま存在します。

忘れてしまいがちなのは、外部にかかる費用だけではありません。

 

タグの導入が必要であれば、タグ導入にかかる内部コスト。

ツールの使い方を学ぶ内部コスト。

 

そして、実際の運用が始まってからも、運用するためのコスト、レポーティングするためのコスト・・・

実際のところ、想像以上に間接コストは大きいものです。

間接コストは、ツールの直接コストの約2~10倍くらいかかるというのが私の実感値です。

 

この間接コストもかかるということを念頭に、ツールを導入していかなければいけません。

マーケティングツールの最大ポテンシャルを発揮するには、想像以上の運用者の手間をかけないといけないということは、よくあることです。

 

設定を細かくすることで、パフォーマンスを上げることが出来る。

ただ、設定を細かく行う程の運用体制をつくれていないので、そのツールのポテンシャルを発揮できない。

シンプルな使い方をするのであれば、もっと安価なツールで良かった、なんてケースもざらに見受けられます。

いかに、トータルなマーケティングの運用フローの中で、Value upを実現するのか?Cost downを実現するのか?という考え方がマーケティングツールの導入検討の前に持っておきたい三つ目の観点となります。

 

最後におさらいしておきたいと思います。

「1顧客獲得コストの原則」からマーケティングコストを増やしても、リニアに売上やユーザーは増えて行かないという構図が発生します。

そこで、マーケティングツールそのものの検討が始まります。

 

その際に、「ツール導入のゴールは、Value upかCost downしかない」の原則に従って、どちらの目的で導入するのか?を明確にしておく必要があります。

 

最後に、「マーケティングツール導入には、直接コストと間接コストがかかる」ので我々はきちんと間接コストも見据えて、いかに投資に対して最大リターンを得ていくのか?というシナリオが必要になります。

 

次回は、自社に合うツールの選定方法について、もう少し具体的にお話していきたいと考えています。

 

 

ABOUT 須藤 憲司

須藤 憲司

KAIZEN platform Inc. Co-founder & CEO 2003年リクルート入社。マーケティング局、事業開発室を経て、2009年アドテクノロジーを活用しビジネス展開するアドオプティマイゼーション推進室へ。 2011年より室長を担当。最新アドテクの導入を4年間リード。 2013年6月末退職し、シリコンバレーでKAIZEN platform Inc.を創業。 驚くほど簡単にA/Bテストができる WEB サービスの Growth Platform 「planBCD」を提供。https://planb.cd/