Unruly、ナショクラ90%以上への導入に向けて日本で動画広告感情分析ツールを提供開始
動画広告配信プラットフォームのUnrulyが11日、動画広告のソーシャルメディア上でのユーザーリアクションを予測するアルゴリズム“ShareRank™”の日本での提供を開始すると公表した。(PDF)
ShareRank™は同社を最も特徴づけるプロダクトとも言え、広告主が動画広告の配信前に、配信後のソーシャルメディアでの拡散率を予測することが出来る独自の評価アルゴリズム。ソーシャルメディアは、主にFacebook、YouTube、Twitter、Google+などを対象にしているが、それ以外も対応は可能であるとのことだ。
このアルゴリズムは、同社のUnruly Analytics™によりトラッキングした5000ブランドの、150億のデータポイント、動画広告シェアとその要因研究に関する世界的な研究者との連携、ユーザーの動画に対する感情反応や動画シェアのモチベーションに関するパネル調査などにより形成されている。
広告主はShareRank™を活用することで、あらかじめエンゲージメントを高める動画広告の配信戦略立案が可能になる。このプロダクトは2013年1月に既に米国、英国で提供を開始しているが、今回同社はこのアルゴリズムを日本市場用に開発した。
なお、同サービスは広告配信サービスとは独立して単独でも利用可能であり、Unrulyが提携している他のDSPと連携させた利用も可能である。販売は、広告代理店・メディアレップを通して行われる。
今回のリリースに当たり同社は日本のユーザー動向について、以下の分析結果を合わせて公表した。
- 日本国内において、過去12ヶ月間に企業がウェブ上にアップした動画数は前年比57.1%の増加 (出典: Unruly Analytics)
- 日本国内においては、動画広告掲載後にシェアされる速度が、世界に比べてやや遅い。日本では、シェア総数の30.3%が掲載開始から3日間に集中するが、これは世界の平均40.2%よりも低い。日数の経過と共に、1日当たりのシェア数は低下するが、この低下は日本では、世界に比べて緩やかに起こる。
- 日本では、“温かみ”を感じさせる動画が最もシェアされている。続いて、”インスバイアされる、”嬉しい”と感じさせる動画がシェアされている。対する英国と米国では、”嬉しい”、”愉快”が上位の心理要素である。
- 日本の視聴者が動画をシェアする最大の理由は、”他の人の意見を聞いてみたいから”。英国と米国では、”製品やサービスを勧めたいから”、ドイツでは”会話を始めるのに相応しいから”が上位である。
2006年設立の同社は英国ロンドンを本拠地とし、世界で社員数約200名、15の拠点を持つ動画配信プラットフォーム。日本での拠点開設による市場本格参入は今年10月であり、元Facebook執行役員の香川晴代氏がカントリーマネージャーに就任した。
同社はAPAC地域では、シンガポール、シドニー、ソウルでも拠点を展開している。
2015年9月には米国大手メディア企業NewsCorpの傘下に入った。
DSP、SSP、アナリティクスツールプロダクトも持ち、大手広告主向け、パブリッシャー向けの双方にソリューションを提供している。フォーマットは、In-Article、 In-Feed、 In-Stream、 In-Pageなど、世の中に出回っている主流の動画広告フォーマットほぼすべてに対応。同社のソリューションは、日本企業ではトヨタやパナソニックなどが既に導入している。
Unrulyのサービスは、世界でAdAgeが選ぶ広告主100社の90%が使用実績があるとのことであり、香川氏によると「日本においてもナショナルクライアントの90%以上への導入を目指す。」とのとことだ。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。