×

パブリッシャープログラマティックモデルについて

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

11月3日、ATS NewYorkにて、3名の業界ソートリーダーが、パブリッシャーがいかにGoogleやFacebookに対抗していくかプライベートマーケットプレイスの台頭、そして、いかにユーザーに無料オンラインコンテンツの価値とそこで広告が担う役割を確実に理解してもらうのかというテーマでディスカッションがなされた。

パネルの司会進行はExchangeWireのCEOであるCiaran O’Kaneが担当した。
パネリストは以下の3名。

– Romain Job氏、SmartAdServer、米国・ジェネラルマネージャー

– Jana Meron氏、Business Insider、プログラム及びデータ戦略部VP

– John Snyder氏、Grapeshot、CEO

Jana-Meron-Business-Insider-HeadshotJana Meron氏 (写真右) が冒頭、現在のオンラインパブリッシャーが直面する課題を説明、そして以下のように述べた:

「これは大きな課題であり、そこで私たちが行っているのは、クロスデバイスでユニークなファーストパーティとセカンドパーティのオーディエンスを創出することです。誰もがオンラインサービスに登録することはないため、デバイスIDと同じスケールを獲得することは出来ませんが、モバイル上でユニークなオーディエンスをターゲティングすることができます。データは制限されてしまいますが、すべて(デバイスIDの考え方と)同じ範疇に含まれます。私達はだれが何を購入したかを把握することが出来、それをキーワード・ターゲティングと連携させることが出来ます」。

モバイルを買う人はいない、彼らはFacebookを買うのである

モバイルの話題について、あるパブリッシャーは、Facebookが唯一の実在するプレイヤーである可能性が強いという。

John-Snyder-Grapeshot-Pic-e1412936757967Grapeshot PicSnyderのJohn Snyder氏 (写真左) が主張した: 「Facebookは、独自のログインとたいへん多くのオーディエンスを抱えています; 彼らはオーディエンスをカスタマイズして、(顧客に)販売しています。パブリッシャーはこれにどのようにして対抗できるでしょうか?オーディエンスをプロファイリングして、オンライン全体から彼らを探し出すことです。正確性が鍵となります」。ブランドからの支出について、一流パブリッシャーを代表してSnyder氏は話を続け、プレミアムパブリッシャー側のコンテクストは優れており、その為、パフォーマスの理解に至る優れたフィードバックのループが出来上がっていると述べた。

この話を受けて、Meron氏は続けた。 「対抗するための武器はコンテクストです。『パブリッシャーがGoogleやFacebookにどうやって対抗するか』の話をするときに、リンゴとリンゴを比べることはないでしょう?パブリッシャーにはコンテクストがあり、またそこには友人の子供の写真を見ていないオーディエンスがいます。言い換えると、まさしくメッセージを受け取るという考え方のオーディエンスです」。Meron氏はATSの来場者に対して、Google、Facebookならびにパブリッシャーとの差別化をするよう促し、こう発言した。「これを競争と思ってはいけません。全く異なるオーディエンスの購入だと考えるべきです。」

米国と英国の比較について

Romain Job氏, SmartAdServer, HeadshotSmart AdServerのRomain Job氏 (写真左) は来場者に対してこう述べた。 「米国の市場は英国よりも、状況が厳しいです。 少数の大手モバイル広告企業による寡占化が進んでいます。他のベンダーで働いていて成功している人たちの多くも、既に疲れきっています。立ちはだかる壁はとても高いのです。」と述べ、こう続けた。「EUでは、モバイルアプリのブランディングが成功しており、また私たちは収益の大部分をプログラマティク関連により得ております。当社では特定のアプリ内コンテンツにおいて、そこに需要がある多くのプライベート・マーケットプレイス取引を行っています。米国では大部分のパブリッシャーがトラフィックを収益化する手段を持ち合わせておらず、アプリでの収益化を諦めました。米国では全てがモバイルウェブです。」

プライベート・マーケットプレイス: 一流の取引、それとも、リソースの一流の浪費?

ネイティブならびにプライベート・マーケットプレイス (PMP) の話題に移り、Job氏が発言した。「お話している通りのことが起きています。直近の数ヶ月のみで、私達のサプライサイドのプラットフォーム (SSP) の収益の大部分はPMPsから得られるものになっており、プレミアムプログラマティックがまさに今起こりつつあります。SSPをアドサーバーにネイティブ統合することにより、コンテンツをプログラマティックで利用することが可能になります」。

Snyder氏はPMPの落とし穴について語った。「多くの取引が開始されますが、すべてが取引されるわけではありません。パブリッシャーは予測した収益が得られないことを好みません。どの取引が機能しているかを把握するという恐ろしいワークフローがあります。多くの人間の時間が浪費されており、PMPはプログラマティックではなく、非常に時間のかかるものなのです」。

それに対しJob氏は今後のソリューションを語った: 「プログラマティックスタックは直接1つのアドサーバーの中に統合される必要があります。テクノロジーの統合は困難で、時折機能しないことがありますが、アドサーバー内にネイティブに構築することにより、PMP取引がより簡単になります」。

PMPに関する議論をMeron氏は次のように総括した。 「それは単なる自動化されたワークフローにすぎません。それには管理が必要であり、それはプログラマティックが保証するような自動化ではありません。PMPはオークションであり、広告主が知っておくべきオークションの力学があります。確かに有効な方法ではありますが、オークションなのです。」

ユーザーはオンラインコンテンツの価値について理解していない

アドブロックが人々に意見をはっきり述べる手段を与え、オンライン広告業界にたいして「あなた方は間違っている」と述べている。ユーザーは、アドブロックを導入することで、広告が自分には機能していないという、明確なメッセージを送ることができる。

Meron氏は 「ユーザーはトレードオフというものを理解していません。コンテンツには費用がかかり、ユーザーはそれを無料で得られるようにしてきました。ほとんどの(メディアの)人たちは、ユーザーエクスペリエンスについて考えなかったことで、ユーザーに『これ以上広告は欲しくない。』といわせてしまうようになりました。その結果、ユーザーエクスペリエンスにプライドを持つパブリッシャーが問題を抱えてしまっているのです」と述べた。

Meron氏は、モバイルがユーザーにより多くの選択肢を与えることに成功しているとコメントした。「モバイルの成功が、ユーザーの選択肢を減らしている。広告という殻を破った能力を発揮することこそが、モバイルを良いものにすることになるでしょう。」

Snyder氏はオンライン広告業界自身が生み出した問題への取り組み方について話した。「毎年同じ広告フォーマットを見ていると、一定量の広告ブラインドネスがあります。それが理由で人々が離れていくのかもしれません。そこにコンテンツマーケティングの重要なポイントがあると考えられます。ブランドストーリーは、スポンサーシップ領域のみならず、エディトリアルにおいても広告を織り込むことが必要です。ペイドコンテンツとエディトリアルとの融合により広告の機能不全を克服することができるでしょう。」

Job氏は別の側面からの見方を紹介した。 「アドブロックについて語る場合、一定の理由でユーザーエクスペリエンスに言及されますが、人々はトラッキングされたくないがためにアドブロックを使用しています。トラッキングされることを望まないユーザーを、プロファイリングすることを避けるためできることは何かを考えながら、関連性の高い広告を引き続き行う必要があります。」

ユーザーによる管理

Meron氏が自身の広告業務の為にオンラインプロフィールを管理した際の経験について語った。彼女は夫へのプレゼントをオンラインで購入し、その後、男性向けの広告にターゲティングされることを学んだ。引越の際は、引っ越したことを広告主に知らせるためクッキーを有効にして住所を更新した。この例が示す通り、方法を知っていれば、利用者がシステムを自由に使う選択肢は残されているのだが、問題はそれを知っている人がとても少ないことである。

Snyder氏が検索連動型広告との比較について述べた。 「検索連動型広告では、検索結果のトップに広告があります。広告は自分の望みを提示しているので、より関連性の高いものになります。プロファイリングとは、ユーザーが望むものを把握するということです。消費者は、自分がディスプレイ上において欲しいものを伝えるのにどの程度関与すべきなのでしょうか?」

タグ

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長

外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。