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先週のアドテクシーン: CCCと博報堂DYMP、データ活用したマーケティングサービスで提携、LINE、ニュース事業における5つの新たな取り組みを発表

先週のアドテクシーン 画像

 

(ライター:Livit Tokyo 中井千尋)

広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

【新サービス・新機能】

電通とヤフー、デジタルサイネージにコンテンツを提供する実証実験を開始

電通とヤフーは、都営大江戸線・六本木駅ホーム上のデジタルサイネージ「六本木ホームビジョン」にてデジタルサイネージへのシーズナルコンテンツの配信テストを開始した。3月14日から3月20日までの7日間、天気や人気のツイートなどを状況に応じて配信する。あらかじめコンテンツを制作して、事前に入稿作業を行わないと放映することができないというデジタルサイネージの従来の課題を解決し、即時性のあるコンテンツの自動放映を可能にした。

CCCと博報堂DYメディアパートナーズ、メディア・SNSデータと購買データを組み合わせたマーケティングサービスを提供開始

博報堂DYメディアパートナーズは、CCCが有する5,700万人超の購買データと、テレビやSNSなどのメディア接触データ等を掛けあわせたマーケティングデータサービスの提供を開始した。実証実験では、消費財の複数カテゴリとキャンペーンにおいてメディア接触状況と購買傾向の分析結果を反映したターゲティングを実施。結果、コンバージョン・購買効果では最大6倍、CTRでは最大3倍といった効果をあげることに成功した。

サイバーエージェント、動画広告クリエイティブの大量生成を実現するプラットフォーム「TAIRYO」を提供開始

サイバーエージェントは、シーエー・アドバンスとモノクラムと提携して動画クリエイティブの大量生成プラットフォームの提供を開始した。動画広告でのA/Bテストなどの高まる需要に対応する。3月末までに300社の導入を目指し、月間3,000本の動画広告クリエイティブ提供を見込む。2016年内には、DMPのオーディエンスデータと人工知能を連動することで、クリエイティブの自動生成・自動配信を実現するサービスも提供予定。

エクスペリアンとEyeotaが提携、日本向け「Mosaic Digital」を提供開始

エクスペリアンとEyeotaは提携し、「Mosaic Digital」の国内提供を開始する。この提携により、日本の広告主や広告代理店はネット広告の出稿時にオーディエンスセグメンテーション設定を利用することができるようになる。日本の世帯や消費者を、デモグラフィックデータや社会経済的に類似するユニークなMosaicグループに分類する。

コマースリンクとMomentum、国内初となるアダルト商品を除外する電子書籍向け全広告配信サービスを開始

コマースリンクは、データフィードサービス「DFO」にMomentumが持つアドベリフィケーション機能を掛け合わせることで、国内では初となるアダルト商品を除外する電子書籍販売向けサービス「AFop」の提供を開始した。データフィードサービスは閲覧履歴から広告を自動生成するため、アダルト広告が意図せぬサイトで表示されるという難点を克服するものになる。

マクロミル、少量のWeb広告配信でも効果検証が可能になるWeb広告の配信実験調査サービスを開始

マクロミルは、同社が提供する「AccessMill」とGMOリサーチが提供するリサーチパネル「CPAT」を連携させ、広告接触者のターゲティング精度を高めることで少量の広告配信で十分な効果検証を行える実験調査サービスの提供を開始した。マクロミルは今後、AccessMillとGMOリサーチが展開する「ASIA Cloud Panel」を海外でも連携させることで、より価値のあるデータ活用の実現を目指す。

ファンコミュニケーションズ、獲得ユーザーの課金に応じて成果報酬が1年間発生し続けるCPS(継続課金型報酬)広告を提供開始

ファンコミュニケーションズは、これまでの獲得型の成果報酬とは異なる、獲得したユーザーの課金に応じて成果報酬が受け取れるCPS(継続課金型報酬)の提供を国内で初めて開始した。ユーザーのアプリ利用が一巡する中で高まる、すでにアプリをインストールしているユーザーに対して利用促進や課金訴求などを行うリエンゲージメントの需要に対応する。

LINE、ニュース事業における5つの新たな取り組みを発表

LINEは、ニュース事業のさらなる強化を発表した。パーソナライズ配信機能「FOR YOU」や「友だち限定記事」機能の追加、LINEのタイムラインの上部におけるNEWS欄の新たな設置、LINE NEWSへの地方紙・ブロック紙17紙の参画、そして分析ツールの強化による参画メディアへのユーザー満足度のフィードバックを発表。Facebook、Google、Appleの活発な動きを意識しているともいえる。

感情ターゲティングSSPのUnruly、動画広告のダッシュボードを提供開始

閲覧者の感情を予測し動画広告をターゲティング配信するSSPであるUnrulyは、感情を分析するためのダッシュボードの提供を開始した。どのような感情を抱いているユーザーが含有されているかなどがひと目でわかる仕様になっている。

サイバーエージェント、アマナイメージズとインフィード広告特化型SSPにおいて事業提携

サイバーエージェントのアドテクスタジオは、画像サービスのアマナイメージズと提携し、パブリッシャーに対し数十万点にも及ぶ高品質画像を無償提供を開始する。増加を続けるニュースメディアやキュレーションメディアといったWebサイト・スマートフォンアプリにおいて、記事内容のオリジナリティとともにイメージ画像の質が重要視されていることに着目した動き。

【提携・買収】

トランスコスモス、グランドデザインとの資本・業務提携を強化

トランスコスモスは、購買・来店コンバージョン型スマートフォンオムニチャネルプラットフォーム「Gotcha!mall」を提供しているグランドデザイン社と資本・業務提携を強化した。オンライン広告やチラシ等による誘導策の購買効果が明確ではないという小売店の課題を解決する「購買コンバージョン」モデルで、クーポン利用ログやPOSレジとの連動により、費用対効果が明確な店頭購買促進を可能とする。拡大するオムニチャネル領域を強化することが狙い。

デジタルインテリジェンスがティービジョンインサイツ社と資本業務提携、テレビCMの視聴質測定によるTV出稿プランニング・CMクリエイティブ最適化コンサルティングサービスを強化

デジタルインテリジェンスは、テレビの視聴質測定サービスの米国ティービジョンインサイツ(TVI社)と資本業務提携し、テレビCMの視聴質測定データによるテレビCM出稿およびテレビCMクリエイティブを最適化するコンサルティングサービスを本格的に開始する。(PDFアイコンPDF) TVI社によるテレビ視聴質測定は、赤外線センサーやデプスセンサーを利用し視聴者を個別に認識するというもの。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。