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KPIはCPIからROASへ、伸びるリエンゲージメント広告市場

先週、GMOインターネットグループのアドテク子会社GMO Techは、成果報酬型のアプリ向けDSPの提供を 開始した。

このサービスは、「ゲームをはじめとするアプリのプロモーションに最適な、成果報酬型のアプリ向けDSP」(同社リリース)とのことだが、オーディエンスデータを活用した配信や、過去にアプリをインストールしたユーザーの再利用を促すリエンゲージメント機能を訴求している。

図:エンゲージメントの高い ユーザーへの配信

出典:GMO TECH

2016年に本格的に立ち上がったリエンゲージメント市場には、サイバーエージェントのDynalystやソネット・メディアネットワークスのLogicad、をはじめ、大手事業者が参入。
海外からもAppLovinLiftOffなどがこの領域をカバーしている。
また同じく先週、DynalystとAppLovinは本格的な在庫連携を発表するなどの取り組みも進んでいる。

CyberZが2016年に出した予測によると、2017年のリエンゲージメント広告市場規模は135億円で、今年200億円規模になるとのことだが、今の業界動向からするとこの予測を上回りそうな勢いである。

図:リエンゲージメントディスプレイ広告 市場規模予測 2015年-2020年

アプリプロモーションといえば、2010年代前半に大手ゲームアプリによるアプリインストールを獲得する市場が勃興、日本のスマートフォン広告市場のスタートダッシュの原動となった。ブースト(アプリストアでのランキング上げ)を目的とするリワード広告の需要が高まり、多数のリワード広告サービスが現れてそこに多くの広告予算が投下されたが、後にAppleやGoogleなどのアプリプラットフォームの規制により市場は縮小の途をたどった。「アプリストアでのランキング上げを目的にしたリワード広告の需要は2016年にほぼなくなった(業界関係者)」ともいわれている。

アプリビジネスはインストールされただけでは始まらない。アプリプロモーションにおける最適化指標は、CPIからROASへと多様化が進んでおり、この領域は今年要注目である。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。