データサイエンティスト集団に聞く、チャットボットとデジタル広告の大いなる可能性 [インタビュー]

チャットボットの普及が進んでいるなかで、今後期待されるのはデジタル広告との連携である。ユーザーとのチャットにより得られるデータの活用には、大きな可能性がある。
チャットボットは、デジタル広告を活用したマーケティングに今後どのような可能性を与えてくれるのだろうか。

自然言語での商品検索や問い合わせ自動応答機能を搭載したチャットボット型の接客ツール「Proactive AI(プロアクティブ エーアイ)」を展開するALBERT(アルベルト)。データサイエンティスト集団の同社はどう見ているのか。同社プロダクト開発部 副部長の武井昭博氏に、チャットボットが今後デジタル広告の進化に果たす役割や可能性について聞いた。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

データサイエンティストが作るチャットボット

― 貴社の事業全体についてお聞かせください。

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武井氏 当社はデータ分析の会社で、創立から13年になります。事業は「アナリティクス・コンサルティング」と「システムソリューション」に分かれており、チャットボットサービスであるProactive AIはシステムソリューションに属します。

アナリティクス・コンサルティングにおいてはデータサイエンティスト80名ほどが、お客様からデータを借り受けて統計学や人工知能を用いてモデリング・分析して結果を提供したり、システムに組み込んだりしています。分析できる人材の育成も行っています。

システムソリューションにおいては、当社の技術を用いて作ったシステムを月額制で提供しています。最近は人工知能を用いたものが増えてきており、チャットボットはそのなかのひとつという位置づけです。

― チャットボットサービス提供開始の背景についてお聞かせください。

武井氏 2016年12月にβ版をリリースし、2017年4月に正式版をリリースして本格稼働し始めました。当社はもともとレコメンドのサービスをやっていて、国内のEC300サイト以上への導入実績があります。その後、ビッグデータの分析や分析モデルを活用したシステム開発を展開しています。研究開発対象のひとつに「自然言語処理」があり、チャットボットのサービスをリリースしたのです。コア技術は当社が独自に開発したものです。

カスタマーサポートとマーケティングの二つの用途

― サービスの特徴をお聞かせください。

武井氏 当社のチャットボットはもともとECサイトでのご利用を想定して作っており、カスタマーサポートに届く問い合わせを自動で行ったり、あるいはECサイトでの商品検索をチャットボットに対して行ってパーソナライズされた結果を返したりするようになっています。つまり、カスタマーサポートとマーケティングの領域、二つのことができるというのが特徴です。

製品名の由来にもなっていますが、プロアクティブサポート機能というものがあり、サイト上のユーザーの行動ログから、バナーポップアップを出して、チャットボットに誘導します。トップページと商品紹介ページを何度も行き来しているようなユーザーに対して、「商品が見つからなくてお困りではありませんか?」というポップアップを表示させて誘導し、商品検索につないでコンバージョン率を高めたり、離脱を防いだりという使い方です。

単純にFAQのページを見ている人に対して、ナビゲーション強化のためにそういったユーザーにポップアップを出して「こういう問い合わせができますよ」ということもできます。

― 導入されているのはどのような企業が多いですか?

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武井氏 チャットボットサービスは気軽に導入できるので、サイト規模を問わず導入していただいております。
問い合わせ対応コスト削減効果を高めるためには、チャットボットが回答できるQAを増やして、回答精度を上げていく運用が大切です。チャットボットの運用をすることで人的対応コストが増えては本末転倒なので、回答精度向上を支援する自動学習機能を備えています。ユーザーへの応答後、質問が解決したかフィードバック(「はい」「いいえ」)を取得しています。そのデータをもとに学習して回答精度を向上します。

チャットボットの回答状況からQA登録や辞書登録内容の改善提案を当社カスタマーサポートから行っており、導入先の担当者様と二人三脚でチャットボットを育成しています。

― 今後のサービスについて考えていらっしゃることはありますか?

武井氏 回答精度の向上に取り組んでいます。また、カスタマーサポート用で現在求められている、有人チャットとチャットボットとを併用することが出来るような機能対応に向けた開発を進め、リリースしました。

ポテンシャルは数百億円規模

-国内のチャットボットの市場規模は、今どのくらいあるのでしょうか?

市場規模はいま数十億円くらいではないでしょうか。今後はカスタマーサポート領域での利用が広がっていくでしょうから、数百億円の規模にはなっていくと予想しています。
マーケティング用途での利用も伸びていくとは思いますが、足元2017年~2018年にかけてのマーケティング業界の興味はデータの可視化やリアルタイム接客でしょうから、2019年以降にチャットボットの活用が広がるのではないかという感覚を持っています。

その精度は従来のデータを凌駕!?チャットボットの大いなる可能性

― デジタル広告との関係性はどのようになっているのでしょうか?

武井氏 たとえばFacebookメッセンジャーの誘導広告はチャットボットの利用を促進するために使われていますが、あくまでチャットボットの入口まで案内しているに過ぎません。今後はユーザーとチャットボットの間に広告をはさみこむような広告配信の仕組みも登場してくるのではないでしょうか。また、チャットボット形式のニュースメディアであれば、ユーザーからのメッセージを解析して、オーディエンスターゲティングするという使い方も考えられます。

そのためには、これまでユーザー属性やオンライン、オフライン行動データを扱ってきたDMPをさらに進化させて、ユーザーとのコミュニケーションデータも蓄積・活用していく必要があります。
もちろん通常の広告配信にコミュニケーションデータを活用することも増えてくると思います。これまでは、サイトのユーザー行動ログを解析した広告配信でしたが、チャットボットに蓄積されているコミュニケーションデータはユーザーの声そのものであり、ダイレクトにユーザーの心理を反映していると思います。それを解析して広告配信に活かせば、これまでよりも精度の高い広告配信ができるのではないかと思います。

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ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長

外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。