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セプテーニが語るAmazonの魅力と本質-第二回:「Amazonでの理想的なプロモーションを実現する”SHIPモデル”とは?」

日本国内においては、ECプロモーションという領域はまだまだ発展途上な点も多く、多くの広告主が理想的なプロモーション手法を模索している状況が見て取れます。
そんな中、いち早く「広告メディア」としての存在感を強め始めたAmazonに注目が集まるにつれ、Amazon自身が提供するさまざまな広告商品について、クライアントからご相談をいただくケースが増えています。

『セプテーニが語るAmazonの魅力と本質』と題した本連載の二回目となる今回は、具体的に活用されている広告商品の一例をご紹介しつつ、現段階における「Amazonへの広告施策」の理想的な在り方について考えていきたいと思います。

Amazonも、実店舗と同じ枠組みで捉える

まず、「Amazonへの広告施策」は、大きく分けて2つの観点を含むことを忘れてはいけません。それは、Amazon「外」で行うプロモーションと、Amazon「内」で行うプロモーションです。オフラインにおける来店・販売においても、実店舗外で行う施策(ex.マス広告、交通広告、チラシなど)と、実店舗内で行う施策(ex. POPや特設コーナーなど)がありますが、Amazonを筆頭としたECサイト全般でも同様の枠組みが当てはまります。

そして、Amazonにおいて、この「外」と「内」のプロモーションの役割を果たす商品が、セルフサービス版AAP(Amazon Advertising Platform、以下AAP)、AMS(=Amazon Marketing Services、以下AMS)です。

それぞれ、Amazon上で商品の販売を行う広告主にとって、どんな目的を持った広告商品かを端的に表現するならば、以下のようになります。

【AAP】

Amazon内外のさまざまな場所にいるユーザーに、自社商品を直接手に取ってもらう(≒Amazon内の自社商品関連ページへ訪問してもらう)ための広告

【AMS】

Amazon内で、自社商品がより多くの、より価値ある「棚」(≒Amazon内のページ)に置かれるための広告

図1

※出典元:Septeni Japan株式会社

各メニューの具体的な仕様に関して、本記事内では最低限の解説に留めますが、それぞれ全く異なる特長を有していることにポイントがあります。

積極的な活用が進むAAP・AMS

まず前提として、AAP及びAMSは、Amazon内での販売に対する広告効果計測の機能を備えています。そのため、Amazonでの販売を目的とした、「投資対効果の見える化」が可能であるという点で、多くの広告主から注目を集めています。

AAPの特長は、膨大な数のAmazonユーザーに対して、多様な切り口でターゲティングを行い、オンライン上でさまざまな広告を表示できることです。特に、Amazon上での購買活動を基にしたターゲティング機能については、ECならではのデータ活用・データ取得の手段として、マーケティング施策に採用されるメーカー様が増加しています。

次に、AMSは、Amazon上でユーザーが商品検索をしたキーワード、また閲覧している商品に連動し、リアルタイムに広告が掲載されるメニューです。AAPと比較すると、広告の掲載がAmazon内のみに限定されている反面、Amazon内(検索結果ページや商品ページ)での露出機会、つまり自社商品が置かれる「棚」をAmazon内で効率的に増やしていけることが特長になります。

以上の通り、AAPとAMSは、いずれもAmazonが提供する広告ではありながら、それぞれの広告掲載場所、ターゲティング手法、そして広告フォーマットや入札方法に至るまで、仕様が大きく異なる別々の広告メニューです。
そのため、前述のような「誘導」なのか「棚取り」なのかなど、明確な目的意識を持った上で、それぞれの活用是非を検討する必要があります。言うまでもなく、採用する広告施策の内容が変われば、その評価手法自体も見直さなければいけません。

このような観点から、当社では『SHIP(シップ)モデル by Septeni』という独自のアプローチ方法を提唱し、クライアントが常に理想的なAmazonへの広告施策を選択・実現できるようサポートを行っています。

『SHIPモデル』を用いた最適なプロモーションの可視化

まず、SHIPモデルにおいては、「カテゴリ」と「商品」の2つの目線を持つことが出発点となります。
「カテゴリ」とは、言わば一つの「棚」のことであり、そもそも対象とする「棚」に対して、どれくらい多くの人が訪れているのか?ということを考えます。

次に「商品」の目線では、一つの「棚」に並んだ多くの商品の中で、宣伝したい商品が手に取られるための競争力をどのくらい有しているか?を考えることになります。

このような整理から、Amazonで販売されている商品やブランドを大きく4段階に選別していき、それぞれに即した適切なマーケティング手法を採用していくのが、このSHIPモデルの考え方となります。

図2

※出典元:Septeni Japan株式会社

例えばAmazon内で相対的に検索・閲覧されることの少ないカテゴリや商品ページにどれだけ広告を出しても、その効果は限定的になります。これは実店舗にたとえると、そもそも殆ど人が訪れていない棚の中で、どれだけ趣向を凝らしたPOPや販促活動を展開しても効果が薄いことに似ています。

このような場合は、商品を置く棚を変える(=AMSにおいて、別ページへの広告掲載を狙う)、または棚に来てもらうこと無く、商品を直接手に取ってもらう(=AAPで、オンライン上からダイレクトに商品ページへ誘導する)ことが、一つのアプローチとして考えられます。

もう一つの例として、Amazon上で非常に人気のある商品カテゴリであっても、広告掲載の難易度が高いケースというのは多く存在します。同じく実店舗で例を挙げるとすると、書店の棚において、常に自社商品を平積みで販売できるとは限らないことと同様です。同じ棚にどのような競合商品があるか把握し、それらと比較した際の商品競争力も秤にかけながら、適切な広告展開を考えていく必要があります。

当社では、このSHIPモデルに基づいて、各商品やブランドに対するプロモーション方針から実際の採用メニュー、評価手法などを検討し、より本質的な施策展開に向けたプランニングと実行を日々行っています。

図3

※出典元:Septeni Japan株式会社

次回は本連載の最終回として、当社のクライアントである広告主企業との対談形式で、Amazonに対する取り組みについてお伝えしていきます。

ABOUT 玉石 和正

玉石 和正

Septeni Japan 株式会社
ブランド広告本部 コミュニケーション戦略部 マネージャー
2011年、セプテーニ入社。入社以来、オウンドメディア活用(SEO・アクセス解析)から広告クリエイティブの最適化、各種デジタル広告のアルゴリズム研究などに従事。2016年~2017年には、複数の業務インフラの開発・導入プロジェクトを管掌する。2017年10月、ブランド広告本部の立ち上げに参画し、デジタルにおける認知・販促キャンペーンの戦略設計を行う傍ら、Amazonにおけるマーケティング専門チームを発足し、広告運用ツールなどの商品開発・推進責任者を務める。