メディアが語るアドテク論-第二回:バナー広告は「見られてナンボ」!? |WireColumn

写真:生崎氏

様々なメディアや場所で日々語られるアドテク。見える風景は立場によってさまざまである。本シリーズでは、メディアから見たアドテク論をお届けする。

難しいテーマについて、メディア視点で分かりやすい言葉で語られており、普段アドテクに直接関わっておられない方にもおススメである。

今回は、バナー広告のビューアビリティーについて。

※本記事は、東洋経済新報社「東洋経済 for BIZ」から転載したものです。

東洋経済新報社でデジタルテクノロジー アーキテクトとして働く生崎(いくざき)です。「東洋経済オンライン」「会社四季報オンライン」のデジタル広告周りで、技術的な実装設計と運用整備を担当し、広告新商品開発にまい進しています。

私からは数回に分け、「ビューアビリティー計測」(視認性計測)についてご紹介します。

デジタル広告といえば、“あのシカクイ”バナー広告を真っ先に思い浮かべる方は多いでしょう。そのバナー広告を取り巻く環境がここ数年で大きく変化しようとしています。最近、デジタル広告業界で話題によく上がるビューアビリティ計測はその大きな変化の一つ。ビューアビリティー計測にはいくつか要素があり、「ビューアブル」「不正トラフィック」「ブランドセーフティー」の3つが主なものです。今回はそのうち「ビューアブル」から。

これまでは「インプレッション数」などでバナー広告掲載を評価

ビューアブルの解説の前に、そもそもバナー広告を出した広告主がどのように成果を判断しているか、を説明しないといけませんね。

いまいまの日本国内で実施しているバナー広告は、バナー広告を表示した回数「インプレッション数」、バナー広告をクリックした回数「クリック数」、クリックした回数を表示回数で割った「CTR」(クリック・スルー・レート)で成果判断しています。……ほかに成果判断基準として「CPC」「CPA」という指標もありますが、ここでは触れません。

ところがこのインプレッション数、実はくせものでして……。特に縦長のページの下のほうにあるバナー広告。技術的に特別対応をしない限り、読み込まれてページ上に存在したら「表示した」としてインプレッション数をカウントするのです。

図1

出典:東洋経済新報社

ページ下方のバナー広告は、画面上に見えなくても、ページ全体の要素とともに、ブラウザー自体には読み込まれれば“インプレッション”したという扱い。最近は「Lazy loading」(遅延読み込み)という技術の登場で、画面上に広告枠が現れるタイミングでバナー広告を読み込めるようになった。東洋経済オンラインでもスマートフォン向けページの一部の広告枠で実施している。

最近テレビCM予算が、東洋経済オンラインを含むデジタルメディアにシフトしてきています。「テレビには視聴率があるのに、バナー広告だと見られているか見られていないかわからないの?」――そのような広告主の声を受け、2014年6月30日、米国の業界団体Media Rating Council(MRC)とInteractive Advertising Bureau (IAB)がバナー広告計測ガイドライン「[PDFファイル]RC Viewable Ad Impression Measurement Guidelines」を策定しました。

なにをもってバナー広告が見られているか。ガイドラインでは次の通り「ビューアブル」を定義しています。広告画像がブラウザーに読み込まれ、その画像の面積の50%以上が1秒以上(動画広告は2秒以上)、画面上でユーザーが見える状態にあること。

「よく見える場所にある」と思いがちな、ページ上部にあるバナー広告。読者がすぐ下方にスクロールしてしまうと、「50%以上の面積、1秒以上」の条件を満たせません。ページ上部にバナー広告を掲載しているからといって、必ずしもビューアブルにならないケースがあるのです。

図2

出典:東洋経済新報社

バナー広告の画像が、面積の50%以上かつ1秒以上、画面で見えていたら「ビューアブル」と扱う。

専用サービスを利用して計測。ビューアブル率60%以上なら及第点

ビューアビリティー計測では専用サービスを利用します。業界内で存在感あるサービスは「ComScore」「Integral Ad Science(IAS)」「MOAT」あたりでしょうか。このほか、東洋経済オンラインのバナー広告配信で使用しているグーグル製の広告サーバー「DFP」(DoubleClick for Publisher)でも、「アクティブ ビュー」(Active View)機能でビューアビリティー計測ができます。東洋経済新報社は「客観性のある計測」という観点から、DFPの計測機能でなく、第三者であるIASを採用して計測しています。

図3

出典:Integral Ad Science

ビューアビリティー計測サービス「IAS」の管理画面。表示されている内容は、東洋経済新報社の企業秘密なのでボカしています。

「ビューアブル」の具体的な数字がないと、イメージがわきませんよね。ビューアブルでバナー広告が表示されている割合を「ビューアブル率」(Viewable Rate)といいます。

ビューアブル率は条件がよい広告枠でも平均で80%前後がせいぜい。平均60%以上であれば、ビューアブル率がよい広告枠といえます。100%近くにならないのは、読者が使っているパソコンやスマートフォンの性能、通信回線の速度の影響を強く受けるからです。

駆け足ながら「ビューアブル」についてのお話でした。次回以降、「不正トラフィック」「ブランドセーフティー」に触れつつ、「東洋経済オンラインとしてのビューアビリティー計測」をお伝えしたいと思います。

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生崎 文彦

東洋経済新報社
ビジネスプロモーション局 メディアデザイン部 デジタルテクノロジー アーキテクト

日本最大級のビジネスニュースサイト「東洋経済オンライン」を運営する東洋経済新報社のデジタルテクノロジー アーキテクト。「Googleアドマネージャー」(旧称「DoubleClick for Publishers」「DoubleClick Ad Exchange」)を軸とした、ディスプレイ広告配信周りの運用設計、コード開発設計を技術的に担当。ヘッダービディングソリューション「PubMatic OpenWrap」「Amazon Transparent Ad Marketplace」、ビューアビリティー計測ソシューション「Integral Ad Science」、CDP「Treasure Data」のGoogleアドマネージャーへのインテグレーションも手掛ける。過去には、他のパブリッシャーでウェブメディアの記事執筆・編集、タイアップ広告サイトの構築を経験。2017年11月より現職。