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DMEXCO 2022 レポート:関係者から聞いた今年の重要テーマとトピックス

ドイツ、ケルンのDMEXCOカンファレンスが3年ぶりに復活し、再びアドテク、メディア、マーケティングのビッグネームたちに、ケルンメッセの扉が開かれた。

しかし、参加者はこのイベントをどのように受け止めたのだろうか?主な話題は何だったのだろう?また、久々の大規模な対面交流はどのような雰囲気だったのか?DMEXCO 2022に参加した人々から直接話を聞いた。

 

参加者の感想:

「テクノロジー、デジタル、メディアなど、さまざまな分野の人たちに囲まれることは、私にとっては常にモチベーションとインスピレーションの源泉です。そして何より、帰国後に、今後の変化に組織を対応させ、創造的なアイデアを生み出すための、具体的で実践的な知見を得ることができました」
R/GA メディアおよびコネクション担当グローバルSVP、エリー・バンフォード氏

 

 

「今年のDMEXCOに参加できて良かったと思っています。理由はいくつもあります。まず、最も明確な理由は、世界中の仲間や顧客と再会できたことです。私たちはここで販促活動だけをしているわけではありません。このカンファレンスで交わされる議論は、関心や目標がよく似た人々とつながる貴重な機会でもあるのです。

「成功のためには、業界全体が消費者心理に配慮し、広告主やパブリッシャーはプライバシーを優先する必要があります。その上で、それを広告エコシステムの一部として受け入れ、収益を上げ、成長できるように後押ししなければなりません。DMEXCOは業界に、このようなことを議論する機会を与えてくれます。この場所で学び、貢献できたことに興奮しています」
パーミューティブ EMEA担当カスタマーサクセスマネージャー、モニカ・ゲオルギエバ氏

 

 

「長く待たされましたが、対面型のDMEXCOに再び参加できて良かったと思います。特に重要だと感じた課題は、ストリーミングプラットフォームがCTVに費やしている労力に比して、実際に得ているプログラマティック収益が小さいということです。

「技術的な課題が導入のプロセスを遅らせていることや、バイヤーとセラーの間に知識の格差があることなど、原因はいくつもあると思います。1年後に、この状況がどれくらい改善しているかは興味深いところです」
ナノ・インタラクティブ パートナーシップ担当VP、マシュー・ベック氏

 

 

「今年のDMEXCOは、デジタルマーケティングの有力企業群とならんで、オーディオに特化した企業も数多く参加していて、とても元気でした。データと音声の広告技術の進歩、そして、このユニークなメディアがもたらす固有の課題や機会に、話題は集中していました。

「興味深いことに、オーディオ広告のプロダクトに注力するアドテクやデータの有力企業が増えています。DMEXCOはこれまでの振り返りと長期的な計画を議論するための絶好の機会なのです」
オクターブ・オーディオ 売上担当ディレクター、チャーリー・ブルックス氏

 

 

「3年ぶりにDMEXCOに参加し、ようやく普通の生活に戻ろうとしているのだと強く実感しました。今年のカンファレンスは、大きな展示会に少しずつ順応し直すための過渡期のように感じました。カンファレンス自体は以前ほど大きな規模ではありませんでしたが、それがそれほど悪いことだとは思いません。何年も自宅で仕事をしていたため、これ以上大きな規模だと圧倒されていたかもしれません。ただし、ドイツの大手放送局やメディアグループ、メタやティックトックなどの大手ソーシャルプラットフォームが不在だったのが少し気になりました。

環境や社会への影響、そして、それに対する行動の必要性を、強く意識する変化が間違いなく起きています。例えば、ネスレでメディアおよびパートナーシップ担当のグローバル責任者を務めるティナ・ブーシュラー氏は、広告主としてカーボンフットプリントの測定と最適化をどのように実行しているかを力説していました」
ティーズ 調査およびインサイト担当SVP、キャロリン・ユゴネン氏

 

 

「私自身は今回初めてケルンに行きましたが、過去に参加したことのある同僚やクライアント、パートナーなどは、今年は、例年よりはるかに規模が小さく、ドイツ国内企業向けのセッションが大幅に増えたと言っていました。来年もそうなるのか、興味深いところです。

「当然ながら、Cookieなき未来がもたらす影響については、引き続き多くの議論が行われていました。現在のところ、広告主は可能な限りファーストパーティデータを活用し、それが無理なときは、コンテクスチュアル広告に頼るつもりのようです。

「オーディオの場合は、デジタルオーディオがもともとCookieに全く依存していなかった事を考えると、広告手法に大きな変化が生じる可能性は低いでしょう。ただし、コンテクスチュアル広告が他のチャネルで普及し、広告主が今より注目するようになれば、自然な成り行きとして、デジタルオーディオのコンテクストにも関心が集まるはずです」
ア・ミリオン・アズ シニアマーケティングマネージャー、ハリー・ウィリアムズ氏

 

 

「今年の最重要テーマはプライバシーでした。また、Cookieやインフレなど、アドテクのエコシステムに影響を与える他の変化も起きています。そうしたなか、業界の大物たちが一堂に会し、これらの課題の対応に革命を起こす新技術を体験していました。パブリッシャーから広告主、コンテンツクリエイターまで、すべての関係者に役立つイメージストリーミング技術は、こうした革新的技術の一つであり、ブランドセーフティを遵守しつつ、透明性の高いサプライチェーンを構築することで、イメージ業界にとってより倫理的なエコシステムを実現します」
スマートフレーム グローバルマーケティングディレクター、アンディー・アシュレイ氏

 

 

「3年ぶりのDMEXCOで多くの顔なじみと再会できたことは素晴らしい体験でした。例年より静かなイベントでしたが、そのなかで交わされる会話は、これまで以上に価値あるものでした。現在の金融危機の影響か、特にエージェンシーの減少が目立ちましたが、それでも、イノベーションを推進したり、提携協議をしたりするために、アドテク事業者のもとには常に人だかりができていました。ブランドや技術会社と話をすると、経済の先行き不透明感を受けて、広告投資に対して全般的に慎重になっていることがわかりました。しかし、最終的には、より良いものをつくりたいのだという意欲が見られました。すべての関係者に説明責任と透明性を持たせ、広告をより良いものにし、1ドルも無駄にしないという動きが続いているのです。アドテクプロバイダーはパフォーマンスを改善し、無駄を最小化し、ブランドの購買意欲を高める方法を示さなければなりません。そしてその上で、これらすべてがサステナビリティを考慮して実現されることが理想です!

「今は大規模な支出削減を行うときではありません。良いときも悪いときも存在感を維持するブランドは、消費者の意識の中にとどまり続け、長い目で見ればこれが優位に働く可能性は高いでしょう。ブランドは予算を削減するのではなく、チャネルを賢く選択して、支出を最適化するとともに、広告プレースメントについての透明性を要求し、それらを適正にコントロールする方法をこそ検討すべきです」
ゼファー EMEA担当SVP、エマ・レイシー氏

 

 

「アドテクの世界で働くには、今が最高の時期であることがDMEXCOで明らかになりました。業界やビジネスのリーダーが一堂に会し、ソリューションを未来に対応させる方法や、Web3、IoTといった進化中の領域に、技術をアジャストさせる方法について話し合っていました。中でも、デジタルオーディオが大きな役割を果たすことは明白であり、広告支出が最も急増しているチャネルとして、その可能性には大きな関心が寄せられていました」
アドトノス 共同創業者兼CEO、マイケル・マーシニク氏

 

 

「今年のDMEXCOも参加者が多く、業界のリーダーたちと出会い、交流する良い機会になりました。当然ながら、グーグルがサードパーティCookieの廃止を延期したことは大きな話題になっていました。

「特に、Cookieなき世界におけるフリークエンシーキャップや広告測定ソリューションなど、さまざまな新しいテーマについて詳しく聞けたのは素晴らしい経験でした。実際に、ビューアビリティやVCR(動画再生完了率)など、ブランディングキャンペーンの主要パラメータをどのように測定するかについて、測定技術プロバイダーとミーティングを重ねました」
RTBハウス グローバルインベントリーパートナーシップ・ディレクター、アンジェイ・スルコント氏

 

「DMEXCOは今回も、EMEAのパブリッシャー界の旧知のメンバーと再会する絶好の機会になりました。メタバースやWeb 3.0の盛り上がりと並び、アイデンティティが引き続き主要なテーマとなっていました。

この春、同意管理プラットフォーム(CMP)の同じレイヤーに、『すべて許可』と『すべて拒否』のボタンを表示するようICOが勧告したことを受け、一部のパブリッシャーはサインインの効力が低下することを懸念していました。そのため、私が交わした会話の多くは、ユーザーと価値交換の関係を築き、最適化する方法を、パブリッシャーに紹介することで占められました」
ライブランプ 英国パブリッシャー開発担当ディレクター、ノラ・シュワブ氏

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2019年にCCIとVOYAGE GROUPの経営統合により設立。インターネット広告領域において自社プラットフォームを中心に幅広く事業を展開。電通グループとの協業によりテレビCMのデジタル化など新しい領域にも積極的に事業領域を拡大している。