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広告主の認知拡大に寄与―クッキーレスにも対応したCriteo動画広告とは[インタビュー]

CRITEO株式会社は2022年5月、高い興味関心を持つユーザーにオープンインターネット上で動画広告を配信できる「Criteo動画広告」の提供を日本で開始した。「リターゲティング」の印象が強い同社だが、認知拡大を目的とし、さらにクッキーレスにも対応した動画広告とはいかなるものなのか。
本サービスの概要や戦略についてCRITEO株式会社 パートナーシップ戦略責任者 池田智幸氏、代理店営業部マネージャー 三薮慶之氏にお話を伺った。

(聞き手:ExchangeWireJAPAN 野下 智之)
(ライター:同 渡辺龍)

 

クッキーレスにも対応した3種類のオーディエンスタイプ

―本サービスの概要を教えてください

池田氏:「Criteo 動画広告」は、ブランド広告主様の認知拡大を目的に、デジタルマーケティング施策をサポートするプロダクトです。Criteo が保有している消費者のコマースデータを基にオーディエンスを選定することで、より興味関心を持つ可能性の高いユーザーに広告を配信することができます。

 

―動画の配信フォーマットはどのようなものがあるのでしょうか?

池田氏:主に3つあり、「インストリームビデオ」、「アウトストリームビデオ」、アプリ面の「縦型ビデオ」です。視聴完了率や視聴完了単価でも非常に良い数値が出ており、平均で視聴完了率は50%から75%、視聴完了単価だと0.2から0.8円ほどになっています。現状このような形で他社に比べても効果が良いと評価をいただいています。

 

―利用できるオーディエンスのタイプはどのようなものがあるのでしょうか

池田氏:まずは「Commerce Audience」になります。ここはCriteoが保有する購買データを基にしたカテゴリーになります。Googleのプロダクトカテゴリーに準拠したものに加え、「ブランド」、「性別」、さらに低、中、高からなる「購入力」といった形でターゲティングすることが可能です。購入者の行動シグナルは120以上あり、アクティブユーザー数も25億という数字になっています。

また、5月の発表時点から新しく加わっている部分として、クッキーレスユーザーへの配信も可能になっています。当社は購買データをもとにユーザーを作っていますが、それらのデータがない場合でも、ユーザーの流入元となったサイトのコンテンツとドメインを解析し、どのような商品を購入しやすいかを分析しています。

次が「Similar Audience」になります。これは広告主のサイトに訪れるユーザーをあらゆる指標から分析し、類似ユーザーを算出した上でターゲティングに活用します。ここもクッキーレス対応が可能となっています。そのユーザーが滞在しているサイト、メディアのコンテンツ等の情報をもとに類似しているユーザーか否かを判別しています。

最後はまだβ版という形ですが「Persona Audience」というものを用意しています。これはライフスタイルやライフイベント、購買行動をもとに、特定のユーザー層のペルソナを作成して、それを活用する形になります。具体的な例としては、「ライフステージ」であれば「若年夫婦」、「オフィス通勤を再開している人」など、「ライフスタイル」だと「ゲーマー」など、16セグメントほど用意しています。ここは必要なニーズに合わせて、順次様々なペルソナセグメントを用意していく形になります。以上3つのオーディエンスをベースにしたものが動画広告のソリューションになります。

 

他媒体では届かなかった層へのリーチが可能

―Criteoではどのくらいの規模にリーチできるのでしょうか

池田氏:グローバルでは25億ユーザーにリーチができ、大量に保有している購買データも使用できます。また、日本についても、パソコンとスマートフォンでリーチがどの程度あるのかを調査したところ、パソコンで2500万人、スマホで6700万人のユーザーへリーチが可能という結果となりました。

 

―他媒体とのリーチの重なりはないのでしょうか

池田氏:その点についても調査をしております。一例として、CriteoとYouTubeでのユーザーの被りを比較すると、両方利用はパソコンではおよそ1200万です。一方、Criteoでのみリーチできるユーザーはおよそ1300万という結果になっています。また、スマホでは両者で被っている部分が5500万、Criteoのみリーチできるユーザーは1100万です。当社を活用することで、現在YouTubeをご利用している広告主様はさらにリーチを広げることができます。

 

 

資料提供:CRITEO株式会社

 

 

―レポートも広告主からの要求が多い部分だと思いますが、どのようなものを提供しているのでしょうか

池田氏:当社の特徴として、フルファネルレポートといった形で提供しています。動画を使った施策では初めのキャンペーンからすぐにコンバージョンに繋がることは多くありません。そこで、その後のロウワーファネルのキャンペーンについても、どこでどういった成果が上がっているかをレポート上でご覧いただけます。初めの動画キャンペーンを起点として、インプレッションがあったユーザーや、クリックはしたもののそこで終わっているユーザーが、後のロウワーファネルのキャンペーンでコンバージョンに至るまでを確認できます。動画キャンペーンが最終的にどのような形で購買に貢献しているのかをフルファネルで把握するのに有用な作りとなっています。

 

 

 

資料提供:CRITEO株式会社

 

 

実施中の施策にCriteoを組み合わせることで認知拡大へ

―本サービスの提案先はどのような業種が中心なのでしょうか

三薮氏:ブランド広告主様がメインですが、弊社とお付き合いのある旅行系のお客様などにも提案をしています。また、VOD系やBtoBなどにもご利用いただいています。その中でも特にハイブランド系のお客様や飲料メーカー、自動車メーカー様などには認知を目的として使っていただくことが非常に多いです。

 

―その場合、どのような提案の仕方が多いのでしょうか

池田氏:既存の動画キャンペーンのリーチを補完するような形が多いです。皆さんYouTube、Facebook、Instagramと各媒体に出稿している中で、それを止めてCriteoに一本化しましょうという話ではありません。これまでの施策は継続しつつ、YouTubeではリーチできない層にCriteoだとリーチができる、といった部分で活用していただく形が多いです。

 

―やはりYouTubeとCriteoという組み合わせが多いのでしょうか

三薮氏:YouTubeはほぼ皆さんが取り組んでいるので、そういった意味で確かにYouTube + Criteoというセットは多いですが、それ一辺倒ではなく業種に依存すると思います。アパレル系だとInstagram、飲料系だとTikTokが入ってくるなど様々な形があります。YouTubeはマストで取り組んでいて、そこにプラスしてTikTok、Twitter、Instagram辺りが組み合わさってくる印象です。

 

―今後はどのようにプロダクトを発展させていく予定でしょうか

池田氏:Criteoが保有しているコマースデータからターゲティング配信ができるという点、動画キャンペーンと購買の紐づきをフルファネルで測定していくという点は引き続き伸ばしていくつもりです。そういった取り組みを元に、この動画広告をリターゲティング以上に比重を高めて販売していければと考えています。また、今後はリテールメディアも1つの鍵になっていきます。リテーラーのファーストパーティーデータを使用しながら、かつリテーラーのメディア上でもプロモーションができるということで、広告主様には積極的に活用していただこうと思っています。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。