【CTRが約2.1倍に改善】AI活用の本質を捉えた独自ソリューション実績のご紹介[インタビュー]
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on 2023年8月08日 in
近年、デジタルマーケティング領域においてもAIの利活用に注目が集まっているが、それらを適切に使いこなせている事業者は多くない。そんな中、広告クリエイティブ制作におけるAI活用が既にスタンダードとなっているのがセプテーニである。
「導入当初は様々な課題に直面した」と語る同社だが、現在では独自の体制とワークフローを組むことで各課題を解消し、クリエイティブ制作において高い成果を出し続けている。
セプテーニが考えるAI活用の本質や課題解決までの道のり、そして今後の可能性について、Septeni Japan株式会社 クリエイティブ本部 データコミュニケーション部 部長 安松 洋介氏に話を伺った。
(聞き手:ExchangeWireJAPAN 渡辺 龍)
(Sponsored by Septeni Japan)
CTRが約2.1倍に改善したOdd-AI Creationの強み
―自己紹介をお願いします
Septeni Japan株式会社の安松と申します。セプテーニ独自のAIソリューションである「Odd-AI Creation」のプロジェクトマネージャーとして、お客様や現場のニーズを機能に反映させる部分を取りまとめています。
―改めてOdd-AI Creationの概要についてお聞かせください
Odd-AI Creationは、セプテーニにおけるクリエイティブ領域のAIソリューションです。これには大きく2つの機能が備わっており、分析機能と効果の事前予測機能があります。大枠としては、まずAIでクリエイティブの好調要因を可視化して(分析機能)、それを基に人がクリエイティブデザインを制作し、完成したクリエイティブに対しCTRの予測値を出す(事前予測機能)という流れです。事前に効果を可視化できるため効果改善確度の高いクリエイティブを制作、配信していける点がメリットになっています。
Odd-AI Creationについての詳細は以下の記事をご覧ください。
―Odd-AI Creationはどの程度活用が進んでいるのでしょうか
Odd-AI Creationは主にGoogleやMeta、X(Twitter)など、ディスプレイ広告の主要媒体だけでも累計で350以上の広告アカウントに対してクリエイティブを提供しています。お客様に関しては人材、不動産、金融、美容など業種を問わず活用いただいており、勝ちクリエイティブの成果の再現を有効に進める手段として、制作プロセスにおいては日常的に活用しています。
―業種を問わず活用しているというお話でしたが、特に向いている業種や商材などはあるのでしょうか
AIの分析・予測の確度といった意味では業種による得意・不得意はありません。ただ、この後の話に繋がるのですが、業種によりクリエイティブのレギュレーションの厳しさに幅があるため、場合によってはAIの分析結果をそのまま踏襲した配信が難しいこともあります。そういった意味で、お客様の商材の特性によって活用度合の濃淡はあります。
―Odd-AI Creationを使った実績をお聞かせください
2つの切り口があり、1つ目が全般的な事例、2つ目が長期にわたって活用いただいているお客様の具体事例になります。
1つ目の全般的な事例ですが、十数の広告アカウントにおいてOdd-AI Creationを活用して制作した複数のクリエイティブと、ディレクターによる従来通りの制作フローでのクリエイティブで成果の比較を行いました。結果として、Odd-AI Creationを用いたクリエイティブはCTRが約2.1倍になり、CPAも約10%の改善に繋がりました。1本あたりの配信金額比較でも、Odd-AI Creationが制作したクリエイティブの平均値の方が25%良い結果が出ており、当初狙いとしていた「早期に勝ちクリエイティブを見つける」という部分は実証できました。Odd-AI Creationで継続的にクリエイティブを供給し続けることで、人だけの視点で進めるよりも明らかに勝ちの効率を高める結果になりました。
2つ目は、継続的にOdd-AI Creationを活用いただくことで、獲得効率を安定させながら、広告アカウントの獲得数を大きく伸ばすことができた事例です。本事例は買取業のお客様で、これまで1年半にわたりOdd-AI Creationでクリエイティブの供給を継続していますが、導入後の半年間で、獲得数が当初と比較して約5倍となり、配信内訳としても過半数がOdd-AI Creationを活用したもので占めました。成功要因としては、Odd-AI Creationで勝ちクリエイティブの再現性が高まり、アカウントの獲得効率が安定化したことです。その結果、配信を強化した場合でも目標CPAをクリアし、獲得数の最大化を実現しました。
課題と向き合う中で構築した制作プロセスと共通認識
―AIの活用促進にあたり課題などはなかったのでしょうか
初めから活用が順風満帆に進んだわけではなく、これまで大きく3つの課題に突き当たりました。それが「制作プロセスの整備」、「制作クオリティのコントロール」、「AI活用ルールの共通認識化」です。
まず制作プロセスの部分に関してですが、Odd-AI Creationは従来と全く異なる考え方やプロセスで進めていくことになるので、既存のワークフローを調整するだけでは、スピーディに必要な物量を担保することが難しくなってしまったというのが失敗経験の1つです。
―現在では制作プロセスの課題は解決しているのでしょうか
AIの分析結果を制作から配信までいち早く届けるにはスムーズなデリバリーフローの構築が重要だと認識し、現在ではOdd-AI Creationに特化したワークフローと体制を整備しています。それによって、導入案件に対してはディレクターがほぼ手をかけなくとも、AIの分析結果を反映したクリエイティブをお客様に届けられる体制が作られており、制作プロセスの課題は乗り越えました。ディレクターは、それらの手間が軽減されたので、本来やるべきお客様の課題の深掘りなどに専念できています。
―2つ目の「制作クオリティのコントロール」についてお聞かせください
お客様ごとにクリエイティブにおいて細かいレギュレーションが異なるので、全てをAIに任せてしまうと、レギュレーションに即さなかったときにそのまま配信できないといったことが往々にしてあります。特に金融や人材業界などは法令遵守の観点で厳しい傾向がありますし、レギュレーション違反はお客様の社会的な信用問題にも関わります。
―その辺りも人が介在することで課題解消に繋がってくるのでしょうか
おっしゃる通り、全てをAI任せにするのではなく、適切に人が介入することでお客様ごとのカスタマイズが可能になります。当社ではこの問題をクリアする仕組みとワークフローを構築しており、AIの分析結果とお客様のレギュレーション遵守の両立を実現しています。
―3つ目の「AI活用ルールの共通認識化」についてお聞かせください
この点は個人的に最も重要だと思っています。仮にレギュレーションをクリアして、一定の水準を担保しているクリエイティブに対しても、お客様から「ここをもう少しシュッとさせて欲しい」、「ここは赤じゃなくて青の方が良いのではないか」といった、クリエイティブを見た人自身の感覚による修正依頼をいただくことが多々あります。これに対しては、AIの分析結果を最大限尊重し、レギュレーションを遵守した一定水準が担保されたクリエイティブについてはスピード感の方を重視する、などの共通認識を担当ディレクターやお客様の間ですり合わせることが、スムーズにAI活用を促進する上で重要な点だと考えています。
―社内にも広告主にも、そういった概念を広めていくのは骨が折れる部分だと思いますが…
時間はかかりますが、「AI活用によってきちんと実績が出ている」ということを伝えていくことができれば、この方向性は正しいという認識も広がっていくはずです。AIを尊重してトライする、実績が出る、それを認めてワークフローを定常化していくという、今はこの流れの過渡期だと思います。AIに対する向き合い方の統一化については、お客様にも丁寧にご説明しつつ地道にやっていきたいです。
BGM、LP、ChatGPTと多方面での展開を見据えるセプテーニのAI戦略
―今後、新たな機能提供などは控えているのでしょうか
直近では2023年4月に「Odd-AI Sound」という、動画のCTR向上に寄与するBGMを自動生成するソリューションをリリースしました。また、今後も更なる活用促進と機能アップデートを予定しており、年内を目標にLP領域に関する開発を社内で進めています。
さらに、世間を賑わせているGenerative AI(生成系AI)の活用についても検討を進めており、ChatGPTや様々な画像生成AIの実用化に向けたテストを行っています。
―改めてセプテーニではAI活用を包括的に進めているという印象です
最近では各広告代理店で独自のツールを用意しており、広告クリエイティブのAI活用は今後当たり前になっていくものだと捉えています。ただ、「活用が当たり前になる」ということと「本当に活用できているか」には大きな溝があります。当社では3、4年前からAI領域に取り組んでおり、AI活用の体制を組織として構築した上で既に多くの実績が出ているという点が強みの1つとなっています。今後は、より付加価値がある機能提供や取り組みに軸足を移しつつ、AIの新しい可能性を切り開いていきたいと考えています。
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Odd-AI Creationサービス概要資料
ABOUT 渡辺 龍
ExchangeWireJAPAN 編集担当 立教大学社会学部現代文化学科卒業。大学卒業後は物流企業にて海外拠点と連携し、顧客の輸出入サポート業務全般に従事。 その後、2021年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告市場調査などを担当している。