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Teads、自動車購入における世界各国の消費者動向調査結果を発表

Teadsのグローバルレポートにより、自動車業界における消費者動向やトレンド、購入までのタイムライン、車の好みなどの詳細が明らかとなった。

Teadsは「自動車業界における世界消費者調査」を発表した。本調査は世界主要17ヶ国の消費者に対して、自動車購入者の購入に至る動機、検討項目、その他トレンドに関する設問をアンケート形式で調査し、まとめたものである。以下が、調査結果の概要となる。

 

低下するブランドロイヤリティと他ブランド乗り換え寛容度の高まり:

本調査によると、世界的に消費者のブランドロイヤリティは低下傾向にあり、82%の消費者が次の自動車購入時に、現保有車とは異なるブランドへの乗り換えに対して前向きであることが明らかになった。
日本においても72%の消費者が他ブランドへの乗り換えに対して前向きであると回答している一方で、25%の日本の自動車購入意向者は、現在所有しているのと同じブランドのみを検討していると回答し、各国よりもブランドロイヤリティを重要視していることがわかる。
このような状況下において、自動車ブランドはより短期間で顧客の関心を獲得し、消費者との関係を構築しやすくなる一方で、激化する競争に適応するためには、従来のマーケティング戦略を再評価することが重要だと今回の研究で明らかとなった。

 

迅速な決定に対する積極的なアウトリーチの必要性:
グローバルでは、42%の消費者が自動車購入の検討から特定の車種やモデルを選定するまでの期間を2週間程度と回答しており、消費者の情報探索活動が短期化していることを示唆している。したがって、自動車ブランドは早い段階で消費者にアプローチし、一貫性のあるカスタマージャーニーでのエンゲージメントを保持することが不可欠であると言える。
一方、日本では他の国々と比較して購入までの情報探索時間が長い傾向が見られる。これは、「安全性」「信頼性」「価格」といった多くの要素が車種やモデルの選択において重視されているため、消費者の情報探索活動が長引いていると考えられる。

 

環境に配慮したEV車(電気自動車)とハイブリッド車の需要の増加:
現在、サステナブルモビリティは重要な購買要因の一つとして浮上しており、世界的には42%の消費者がガソリン車ではなく、ハイブリッド車やEV車のみを検討している。特に、イタリアとスペインではハイブリッドオプションに注目が集まっており、フランスとシンガポールではEV車とハイブリッド車の浸透が最も早いとされている。一方で、メキシコ、ブラジル、アメリカではガソリン車に対する依存度が高いため、各国によって傾向が異なることが挙げられる。
日本においては、43%の消費者がハイブリッド車やEV車の購入を検討していると回答し、他の国々よりもサステナビリティへの関心が高いことが明らかとなっている。

 

自動車販売と顧客体験のデジタル化:
近年、製品に関する情報探索方法としてインターネットを利用する消費者が増加している。43%の消費者が「オンラインで得た情報がこれまで以上に重要である」と回答しており、自動車購入者の約半数は、ブランドや車種などの情報探索をオンラインで行っていることが明らかとなっている。自動車ブランドはオンライン上の存在感を確保し、ユーザーフレンドリーかつ有益な顧客体験をデジタルショールームにて実現することが必須となる。

 

信頼性のある情報とオンライン広告の力:
購入を検討する上でオンライン上の情報は数多く存在しますが、その中でも依然として自動車購入者は自動車ブランドのウェブサイトからの情報を重視している。特に若い世代やEV車の購入検討者は、実際にオンライン広告を見て製品を購入する人の割合は81%に上り、オンライン広告の影響が顕著であることが明らかになった。日本においても、65%の消費者がオンライン広告接触後のブランド検討意欲が高まっている。オンライン広告とテレビ広告を組み合わせたオムニチャネル・マーケティング・キャンペーンの有効性が明確に示されている。

 

ブランディングの必須条件:
消費者の行動は単純化され、意思決定までのプロセスが短縮されていることを考慮すると、自動車ブランドのマーケターにとって、潜在的な購入検討層に対して常にブランドの存在を意識させ、関係を強化することが重要である。ブランドは、絞り込まれた少数の選択肢の中でも顧客や見込み客との関係性を継続的に構築し、消費者が製品やサービスについて情報を収集する過程で一貫性のある顧客体験を提供することが必要だ。

 

KIA アメリカのマーケティング担当 VPのRussell Wager(ラッセル・ウェイジャー)氏は、次のように述べている。
「消費者は、サステナビリティが何を意味するのか、そしてなぜ重要なのかを理解しようと模索しており、消費者を教育するのは自動車メーカーの責務だと考えています。私たちは、この使命をグローバル戦略の一環として考えており、新しいEV車を含む最新技術を駆使しK4などの新型ガソリン車も発表しています。顧客に選択肢を提供することで、KIAは市場の変化に対応し、多様な消費者の要望に応える戦略を展開しています。」

 

Fordのチーフ・フューチャリストのJen Brace(ジェン・ブレース)氏は、次のように述べている。
「EV車に関して、消費者の興味関心が高まっているものの、購入検討者はすでにEV車を所有している友人、家族、知人といった信頼できる情報源からの意見や経験談も重視しています。消費者は、身近な人の体験をもとに、EV車への乗り換えに踏み切れるかどうかを判断しているのです。また充電に対する不安もEV車普及の大きな障壁となっています。」

 

Teadsのグローバル・クライアント・パートナーシップ担当 VPのHenner Blömer(ヘナー・ブロマー)は、次のように述べている。
「自動車販売業界の大きな変革に直面しています。これまでのやり方に満足していては敗者になりかねません。現代の自動車購入者の新たな購買ダイナミクスを理解することで、自動車メーカーやディーラーは、その進化するニーズや好みに対応するための戦略を最適化することができます。」

ABOUT 加納 奈穂

加納 奈穂

ExchangeWireJAPAN 編集担当
武蔵野美術大学卒業後、出版社に入社。WEBサイトや広告の運営に従事。その後コスメ情報サイトのコンテンツマネージャーを経て出版社での通販事業において販売促進業務を担当する。通販会社にてSNS運用に携わったのち、2022年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。現職に至る。