イギリスにおけるデジタル広告費、二桁成長の見通し

デジタル広告業界団体IAB UKがコンサルティング企業Oliver Wymanと共同で発表した「2025年上半期デジタル広告費報告書」（Digital Adspend HY 2025）によると、イギリスにおけるデジタル広告費は2025年・2026年ともに前年比10％の増加が見込まれている。2025年上半期のデジタル広告収益は187億ポンド（約3兆7026億円）に達し、検索（83億ポンド／約1兆6414億円）、デジタル動画（43億ポンド／約8514億円）、ディスプレイ広告（29億ポンド／約5742億円）が主導した。また、小売メディアは15億ポンド（約2970億円）と急増している。その他のフォーマットとして、ゲーム（6億2000万ポンド／約1227億6000万円）、デジタル屋外広告（4億9000万ポンド／約970億2000万円）、オンライン掲示板広告（4億5000万ポンド／約891億円）、デジタル音声広告（1億6000万ポンド／約316億8000万円）が小規模な割合を占め、モバイル広告が総支出の71％を占めた。

デジタル広告費は2026年までに450億ポンド（約8兆9100億円）に達すると予測されている。IAB UKのCEOであるJon Mew氏は、プログラマティック取引・AIに加え、新たなフォーマットである小売メディア・音声の拡大により、業界は「成熟の新たな段階」に入っていると述べた。

※1ポンド（GBP）＝198円（JPY）での換算

アリババ、マルチモーダルAI「Qwen3-Omni」を発表

中国・電子商取引大手アリババは、新たなマルチモーダルAIモデル「Qwen3-Omni」を発表し、高度なAIシステムの国際競争はより一層激化している。同モデルは、OpenAIの「GPT-4o」やGoogleの「Nano Banana」に匹敵する性能を持っており、テキスト・音声・画像・動画を処理し、テキストと音声の両方で応答することができる。開発者によると、Qwen3-Omniの2つのバリアント（どのような型のデータにも適応するデータ型）は、音声・画像・動画理解のテストにおいてOpenAI「GPT-4o」とGoogle「Gemini-2.5-Flash（Nano Banana）」を上回ったという。

Qwen3-Omniは119のテキスト言語と19の音声言語での入力をサポートし、英語、中国語、フランス語、日本語を含む10言語での音声出力に対応する。アリババによると、マルチモーダルかつ多言語対応機能はカメラ、マイク、スピーカーを備えたハードウェアに適しており、視覚や音声入力を認識して音声で応答することができるとのこと。

アリババ・クラウド部門Qwenチームの研究者Lin Junyang氏は「今年、我々音声チームは、事前学習・事後学習どちらにも対応する大規模な音声データセットを構築することに尽力してきた。すべてを統合して、Qwen3-Omniを作り上げた」と述べている。

eBay、Tiseを買収へ

アメリカ・EC企業eBayは、プラットフォームの近代化と若年層ユーザーの取り込みを目的として、ノルウェー発の中古品売買マーケットプレイス型アプリTiseを買収する。9月22日（月）に発表されたこの取引の詳細な条件は公表されていない。

Tiseは、出品者のフォロー、出品への「いいね」やコメント、パーソナライズされたレコメンド機能など、コミュニティ主導の機能を提供しており、eBayはこれらがC2C（consumer-to-consumer：消費者間取引）体験を強化するとしている。eBayは2022年に、自社の投資部門eBay Venturesを通じて初めてTiseに出資していた。

eBayグローバルマーケットサクセス及びC2C担当VP兼GMであるOliver Klinck氏は、同社のプレスリリースにおいて「Tiseがもつトレンドに合った在庫、忠実なコミュニティ、ソーシャルファーストのアプローチが合わさることで、eBayのC2C体験を強化し、次世代のファン層とより深くつながることができるだろう」と述べている。

原典： ExchangeWire.com

ABOUT 角田 知香

ExchangeWireJAPAN 編集担当。イギリス・キングストン大学院にて音楽学の分野で修士号を取得。学校・自治体文化講座等にてアート講座講師として活動後、2024年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。