グローバルビジョンとローカル戦略をつなぐ、フルファネル型マーケティング-Unity 青山 佳那子氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステイクホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第4回は、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の青山 佳那子氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 青山 佳那子氏 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 シニアマーケティング・マネージャー 新卒で入社した企業で、純広告やアドネットワークの営業を担当し、タイ・バンコクにおける駐在事務所の立ち上げにも参画する。その後SSPであるAd Generationの立ち上げメンバーとして約8年間勤務。外資企業に興味を持ち、アドテク業界の先輩から「マーケティングに向いているよ」と後押しを受け、Unityのマーケティング職に転職する。現在は広告ソリューション群であるUnity Growの日本市場向けマーケティングを担当。 【インタビュー対象企業】 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 アメリカに本社を構えるUnityの日本法人。ゲームやインタラクティブな体験の構築と成長のためのプラットフォーム「Unity」の日本国内における販売・サポートを行う。その中のUnity Growでは、モバイルゲームおよびアプリ開発者の収益化、ユーザー獲得、ビジネス拡大を支援する包括的なソリューションを提供。メディエーションや広告ネットワーク、オファーウォール、パブリッシング、オンデバイス広告など、アプリをビジネスとして成功させるためのあらゆる段階をサポートしている。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 APACのマーケティングチームに所属し、海外メンバーと連携しながら、日本におけるマーケティング戦略の策定・実行が業務となります。 私が担当しているのはGrowと呼ばれる、モバイルゲームおよびアプリの成長と収益化を支援するUnityの広告ソリューション群の日本市場におけるマーケティングで、日本国内でのイベント企画、ニュースレターやブログ、営業資料のローカライズやメディア対応、ケーススタディの制作などを行います。 自分で進める楽しさ -アドテク業界内で、日本企業の営業から外資企業のマーケティング職に転職されています。想像と違ったことはありましたか。 マーケティング自体はとても楽しく取り組んでいます。始める前は、マーケティングといえばアウトプットの部分、たとえばイベントや記事といった目に見える成果物を想像していましたが、実際にはそのアウトプットに向けた企画立案や準備といった前段階の業務に多くの時間を使うことが多く、想像以上でした。 また、入社当初は日本市場向けのマーケティング担当が私一人だったため、中国や韓国にいるAPACのメンバーに教えてもらいながら仕事を進めていました。ただ、性格的に自分で裁量を持って物事を決めて進めていくスタイルが合っていると感じているので、国内でのポジションが一人であっても特に辛く感じたことはありませんでした。 -海外メンバーとはどのようにコミュニケーションを取っていますか。 マーケティングチームであるAPACメンバーとは、オンラインで英語でやり取りします。入社して2〜3か月のころは、対面でのコミュニケーションがないこともあり、不安を感じることもありましたが、今ではAPACのメンバーとも気軽に質問し合える関係性を築いています。また、APACだけでなく、アメリカやイスラエルのメンバーと連携して施策を進める機会も多く、共有資料はすべて英語で作成しています。ミーティングも8割ほどは海外のメンバーとのもので、業務全体で英語を使う割合はかなり高いです。 グローバルチームとの共有・同業者とのつながりを大切に -主な顧客層を教えてください。 アプリパブリッシャー、広告主、広告代理店の方々が中心です。Unityというとゲームの印象が強いかと思いますが、Unity Growでは、モバイルゲームおよびアプリの企画・パブリッシングからユーザー獲得、収益化に至るまで、アプリ開発者のライフサイクル全体を支援する多様なソリューションと専門知識を提供しており、非ゲームのお客様にも幅広く活用されています。 -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 Growにおけるイベントの企画・運営に最も時間を割いています。カンファレンス、ワークショップ、ウェビナーなどを定期的に開催しており、年間の戦略立案から実行までを一貫して担当しています。GTM(Go-To-Market)の観点では、グローバルとローカルの双方の期待値を調整し、各施策が日本でのビジネスにインパクトをもたらすよう注力しています。イベントごとに扱うソリューションや目的は異なるため、ローカルのビジネスチームと密に連携しながら効果的な企画を進めています。 イベントの準備は大変なこともありますが、「どうすれば面白いと思ってもらえるか」「どうすれば驚きを提供できるか」と思索する時間は好きです。リアルイベントではお客様の生の反応を見ることができるため、大きなやりがいを感じます。 また、アドテク業界は横のつながりが強く、会場では同業他社の方とお話しするのも楽しみの一つです。競合であっても気軽にフィードバックをくれたり、悩みを共有できたりと、心強い存在です。 -業務で注力していることは何ですか。 チームとの日頃の情報共有を大切にしています。私が所属するGrowのマーケティングチームのメンバーは世界各国にいるため、日本チームの現状や課題が見えにくいことがあります。以前、Unity本社のセールス担当者が「Issue(課題)がTrouble(問題)になる前に共有することが重要だ」と話していたのですが、これはグローバルチームで働くうえで特に重要だと感じています。日本チームでうまくいっていることも、いっていないことも含めて、意識的にチームと共有するよう心がけています。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Unityでは、モバイルゲームおよびアプリの開発・ローンチ・スケール・収益化に至るまで、開発者の皆さまがアイデアをビジネスとして成功させるための包括的なソリューションを提供しています。一過性の成功ではなく、長期的にグローバル市場でビジネスとして成功するためのノウハウと実績がありますので、アプリに関するお悩みや課題があれば、ぜひUnityにご相談ください。 https://unity.com/ja/grow
【WeekendWire】アドテク業界のご機嫌姐さんが語る、わたしの1年まるっとドキュメント-〜ご縁とおしゃれとお祭りごと。ぜんぶ、笑って楽しむ主義です〜
週末はちょっと肩の力を抜いて、広告業界のプロフェッショナル達の“オフの顔”に触れるひととき。WeekendWireは、アドテクの話題から少し離れて、皆さんにオフモードで楽しんでいただけるコンテンツです。 記念すべき第一回は、デジタル広告業界でハイキャリアを歩むOguryの新井 博子氏。 彼女のオンオフ交えた一年の日常に迫ります。どのような実生活を送り豊富な人脈を形成し、長年にわたりこの業界をどうサバイブしてきたのか。その秘密がきっと濃縮されています。一人でも彼女のようなキャリアに興味を持つ、業界でキャリアを積まれている方の参考になれば、幸いです。 (聞き手:ExchangeWireJAPAN 編集部 野下 智之) アドテクの世界を、ちょっと横目で、でも本気で見つめながら。 スケジュール帳にはイベント、会食、出張、美容、そして“乾杯”の予定がぎっしり。 気がつけば業界歴もなかなかのベテラン、でも気持ちはいつもフレッシュな“ご機嫌姐さん”。 そんな私の一年を、ぜんぶぜんぶ、まとめてお見せします。 January「寿司と初詣で一年をお清めスタート」 築地で仕入れた新鮮ネタで、元旦は恒例の“家族手巻き寿司パーティー”。おせちより寿司派の姐さん、ってことで今年もおなかも心も満たされる。 仕事始めは、チームで愛宕神社に初詣。もちろん裏参道ルートでスマート参拝。急な階段はノンノン。 夜はアドネットワークの会へ。居酒屋だろうが関係なし、ここが今年の“人脈初め”。 February「クッキーより甘いネットワーキング月間」 クッキーパーティーでは、ゼロ次会でエンジンかけてから本番突入。お酒片手に業界トークで花が咲く。10数年来のお付き合い、元同僚のタケシ(山口武)と再会して懐かしトーク。 DIGIDAY PUBLISHING SUMMITでは、ピュアホワイトのドレスで登場。目立ってなんぼの勝負服で。 ピンク×ブラウンの大人可愛い配色 甘いピンクをブラウンで引き締め、ホワイトスカートで軽やかに。ミニポシェットが遊び心。 カーディガン/allureville スカート/allureville バッグ/LOUIS VUITTON March「わたしたちの春、華やかに咲きます」 3月8日は国際女性デー。アドテク業界の“推し女子”たちが集まる晴代さん主催の「ウーマン・イン・デジタル」。 今日ばかりは、堂々と華やかに。そしてちょっと誇らしげに。 Oguryから徒歩圏のfluctオフィスへ。オンラインより対面重視派な昭和な姐さん。偶然出会った藤井洋太さんと、虎ノ門でワイン乾杯 April「乾杯と美容課金が止まらない春」 Oguryの上陸記念月。アニバーサリーパーティーはチームみんなで“サンテ!”と乾杯。 週末は韓国でOgury20歳年下の同僚Mika-sanと美容課金遠征。肌も心もアップデートして、春を迎える準備はばっちり。 私の韓国滞在レシピ満載の、永久保存版「韓国ガイド」はこちらで大公開! 食べて打って磨いて!とある渡韓日程 ストライプシャツでつくる知的エレガンス ブルーストライプ×黒で品よく。肩掛けコートとLVバッグで大人の余裕をプラス。 ジャケット/NEMIKA シャツ/Liesse パンツ/allureville バッグ/LOUIS VUITTON メガネ/BVLGRI May「同期と広報と、つながりまみれの月」 GW明けたら即、ExchangeWireの媒体説明会で濃密ネットワーキング。名前だけ知っていた青山佳那子さん(Unity)と初対面、で、その日のうちにUnity峯さんとの打ち合わせ実現。UNICORNたいちゃんの感動プレゼンに刺激受け、来年は全マーケーターにおすすめイベントだと確信。 月末にはソフトバンク同期会。30人超で集まって、学生ノリで語り倒す夜も最高の栄養。 June「曇り空?いいえ、わたしは晴れガール」 梅雨なんて関係ない。私の周りはいつも快晴。わがボスOguryカンマネの松本亮さん、今年もカンヌライオンズへ。これで3年連続。世界中の業界リーダーとアンサンブルで、最新の知見とネットワークを日本に還元。 30日はヒロシの誕生日。”オープンインターネットの貴公子”テツローと”これが天野流”のコータ、”ヒロシの仕事請負人、しごでき君のマモル※と十兵衛で今年もお祝い。その後スナック支えあいに移動したらアドテク仲間が居合わせて、大誕生日会に発展。心あたたまる笑顔の時間。 ※マモル:古澤守(Globalive(Pivot)、Leave it to me所属)。支えあいの代表を支えていることもあってか、言動が実年齢や見た目よりも、随分と大人びているように見える。(編集部) サマージレ×トートで洗練カジュアル ライトグレーのジレに白を合わせ爽やかに。ベージュLVトートでリッチ感UP。 ジレ/SACRA(NEMIKA) パンツ/SACRA(NEMIKA) カットソー/allureville バッグ/LOUIS VUITTON July「ドレスと爆買いとレインボーと」 某出版社さまの感謝の会でドレスアップ。業界の縁に改めて感謝。 プライドウィークにはレインボープライドで多様性に拍手。そして、セールでは“爆買いモード”発動、私のMariott Bonvoyカードが火を吹く。貯まったポイントはどうするかって?韓国美容課金の際の、ホテル代に還元するのが姐・さ・ん・流。 韓国ドラマの会も主催するオンニ※。あのアタラのゴーさん(杉原剛さん)とは、アドテクネタを一切語らず。 剛さんが繰り出す胸キュン恋ドラネタに対し、オンニは真逆の復讐シリアスサスペンスドラマトークで対抗。Digiday イベントで知り合ったGeniee原本真希ちゃんは、20代目線で参戦。 ※韓国語で姐さんという意味 剛さんは胸キュン、私はドロドロ。韓ドラ好みプロット図 Ads.txtで困ったら、アドテク業界元祖”父”の、宮一良彦さん(現、株式会社PIER1)に駆け込む日常。相談場所はまさに、”支えあい”。スナックだけどワインもあって、Cloudy bayを飲みながら、業界課題に取り組む生真面目 姐さん。 August「夏のイベントは全方位スマイルで」 今年は広告主とパブリッシャーが未来を語る、「Open Internet Revival」にジョイン。 プライベートは夫と息子の誕生日、20年ぶりの運転再開を兼ねてMINI JCWで長野の星野リゾート「界」へ。MINI購入の際は、ヤマショーさんから素敵なアドバイスもたくさんいただき、感謝感謝。 我Oguryは、フレンチ・カンパニー。なので、7月中旬〜8月末は“ヨーロピアン・サマー”でバカンスモード。グローバルメンバーは、日々の忙しさを癒やす月。 September「引越しと生誕祭と神輿でアップデート」 今年はOguryの恵比寿オフィス移転準備で大忙しだけど、お披露目はしっかり華やかに。 自分の誕生日はもちろん生誕祭で盛大に。奥沢の大蛇神輿と韓国美容課金で心身を整える。フォーエム綿本さんも同じタイミングで渡韓すると聞いていて、合流できるか画策中。(彼はきっと仕事かな。私は美容。) グリーンバッグで差し色上級者 ブラウン×黒のシックコーデにGUCCIグリーンを一点投入。旬と華を添える上級テク。 ジャケット/martinique ワンピース/BRAHMIN ベルト/GUCCI シューズ/NEBLONIE バッグ/¡GUCCI October「アドテックで業界の勢いを感じ、夜の社交で秋を彩る」 アドテックは“静かに品定め”がわたしのスタイル。ブース配置から業界の力関係をじっくり観察。会場近くにはFLUXさんのブランニュー・オフィス。平田さん、Oguryを今後ともよろしくね♡ 夜は「レッツゴーナイト」でシャンパン片手にきゃぴっとご挨拶。イベントは30分前入りが勝負。 今年はあのDMEXCOがシンガポールで初開催!在住の元mediamath同僚の山内優子(Moloco所属)に会いに行きがてら、DMEXCOにも参加しようかやめとくか。。 November「アドテク事業者のお楽しみ、ATS Tokyo2025公式は挨拶ダッシュ、非公式は夜まで全力」 今年も11/21(金)にJAAの林 博史氏が司会する、「ATS Tokyo2025」が開催。ここでは通路側の神席から挨拶ダッシュ。 ランチは秒で済ませたら、あとはネットワーキングに全力投球。必須装備は両手フリーのクロスボディバッグと、ネックホルダー裏に忍ばせた名刺たち。夜はATS“非公式”のアフターパーティーで恵比寿まで大移動し、3次会まで完走予定。 ホワイト×チュールで華やぎリラックス 白ジャケットで上品に、黒チュールスカートで軽やかに。旅仲間のLouis Vuittonトランクが存在感。 ジャケット/allureville スカート/allureville シューズ/TORY BURCH スーツケース/LOUIS VUITTON December「乾杯ラッシュと築地場外市場にダッシュ、そして年越し」 サンクスギビングを過ぎたら、いよいよホリデーモード突入。 最後の業界ビックイベントのAWA、忘年会にクリスマスパーティー、毎晩ドレスとシャンパン三昧。そして年末恒例・築地の早朝買い出し。お正月用の海鮮丼ネタを5時発でゲット。 この12ヶ月、ご機嫌で駆け抜ける新井 博子のアドテクライフ。翌年も、翌々年も、変わらず笑って乾杯しましょ。
広告取引の透明性が業界を変える 〜「ads.txtを整理して収益が10%伸びた」インタースペースの成功事例から見る、広告取引健全化の未来〜
近年、広告業界における「透明性」への関心は急速に高まっている。ブランドセーフティ、アドフラウド対策、取引の正当性確保は、広告主・代理店・パブリッシャーすべてにとって避けて通れないテーマだ。今回、実際にパブリッシャーとしてads.txtとsupply chain(schain)の整理に取り組み、収益向上という成果を上げた株式会社インタースペースの清家悠氏と、業界の透明性向上に取り組む株式会社PIER1代表取締役の宮一良彦氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 長野 雅俊) 対談者プロフィール - 清家悠氏:株式会社インタースペース メディア&ソリューション事業部 編集第一グループ リーダー 転職エージェント、ポイントサイト営業を経て、2018年からニフティにてWEBメディアのプログラマティック広告マネタイズを担当。2024年よりインタースペースに参画し、「ママスタ」「saita」「ヨガジャーナルオンライン」などのWEBメディアで、プログラマティック広告やファーストパーティデータのマネタイズを担当。 - 宮一良彦氏:株式会社PIER1 代表取締役 Introductory Member, IAB Tech Lab Project Fellow, JIAA ソフトウェアエンジニアリング、インターネット広告とプライバシーについての深い経験を持つ。近年は、オープンインターネットの透明性にフォーカスし、サービスの開発や啓発活動を行う。 透明性はなぜ必要なのか ―まず業界全体で透明性を高めることの意義について、宮一さんからお聞かせください。 宮一氏:総務省が公表した「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」でも謳われていることですが、広告主には「透明性のある在庫できちんとした責任を持った取引をしましょう」ということが求められています。その実現には、セルサイド・バイサイドともに透明性を確保する方向性で動いていく必要があります。 アドフラウド対策ツールなども重要ですが、ads.txtという非常にシンプルながら、パブリッシャーにとって力になるものもあります。 ―パブリッシャーサイドのメリットは具体的にどういうものでしょう? 宮一氏:どんな広告が出ているかをある程度コントロールできることです。一般的なSSPではクリエイティブ審査やカテゴリーブロック機能もありますが、どうしても対症療法的になります。 それより「どこに在庫を売るのか」を最初からはっきりさせて、ads.txtできちんとコントロールした方が効率的です。何でもいいから受け入れて後で綺麗にするより、綺麗な状態でより良くしていく方がいいですよね。 ads.txtとsellers.jsonの仕組み ―そもそもads.txtやsellers.jsonとは何でしょう? 宮一氏:簡単に言うと、ads.txtは「自分の在庫を誰に売るか」が書いてある資料です。商流を定義しているんです。例えば、「私の在庫はGoogleのAd Exchangeを使っている、このアカウントの人に買ってもらってもいいですよ」ということを記載します。 sellers.jsonは逆に、Googleのような広告サービス側が「どのアカウントで誰が売買をしているか」を示すものです。この二つを組み合わせることで、パブリッシャーの在庫が誰に買われているのかが明確になります。 ―でも現実には、パブリッシャーは事業者から言われるがままに追加していることも多いと聞きましたが、実際はどうなんでしょう? 宮一氏:そうです。ads.txtは、コンピュータが処理しやすい形で書いてあるので、パッと見では分からない。ads.txtとsellers.jsonの両方を組み合わせて読み解く必要があるので、パブリッシャーにとっては「ただの記号」にしか見えません。代理店やサービス提供者から「追加してください」と言われると、追加するしかないという状態になってしまいます。 広告主にとってのメリット ―広告主サイドのメリットは? 宮一氏:まず、どういう経路で買われているかをはっきりさせることができます。supply chainを組み合わせることで、買おうとしているインプレッションがどういう商流で流れてきたかが分かります。 その時の選択肢として、すべての経路が明らかになっている在庫だけを買うという設定ができます。また、途中の経路に何社の事業者が関わっているかも重要で、中間事業者が多いと広告主の投入した広告費のうち、中間事業者への手数料が多くなります。 理想的には、広告主がパブリッシャーに広告配信代金を全額支払うものだと思います。システムが介在するので手数料は必要ですが、多段になるほど効率が悪くなります。 もう一つは、透明性がない在庫を買ってしまうと、自分の広告の周りにどんな広告が出るかコントロールできません。せっかく自社ブランドを守るために良いクリエイティブを作っても、隣に何が出るか分からないのはリスクです。 ―なるほど。パブリッシャーがしっかり管理しているかどうかが、一つの指標になるということですね。 宮一氏:そうです。例えば最近、料理サイトにそぐわない広告が出た事例もありましたが、誰が買っているか分からない状態だとそういうリスクがあります。価値のある媒体に関連のあるブランドが広告を出すのは本来とても価値があるはずなのに、隣にそぐわない広告が出てきたらどうなのか、ということです。 パブリッシャーとして清家さんが感じていた課題 ―清家さんは、パブリッシャーとしてどういう課題感を持っていらっしゃったんですか? 清家氏:私が在籍しているインタースペースでは、「ママスタ」「saita」「ヨガジャーナルオンライン」などのWebメディアを運用しています。中でもママ向けメディアの「ママスタセレクト」は月間8億PV超のトラフィックが集まります。 広告施策を担当する中で一番強く課題としてあったのは、クリエイティブの品質管理をする際に、「どこでブロックしたらいいか分からない」「どこ経由で流れているか分からない」ということです。調査が非常に難しいケースが多くて、それがsupply chainやads.txt、sellers.jsonとどう繋がっているかの理解が正直言うとできていませんでした。 パブリッシャーからすると、業界全体で広告単価や収益が年々下がってきているのは感じていて、打開策はないのかと考えていました。そこで広告主からどういう風に広告が流れているのかを整理していくうちに、これだけのプレイヤーが間に入っているという構造が見えてきて、ads.txtやsupply chainに目を向けた方がいいのではないかと今年になって思い至るようになりました。 ―きっかけは何だったんですか? 清家氏:宮一さんを含め、ads.txtを整理することのメリットをSNSで発信されている方を見る機会が増えてきました。いろんな方がシェアされているのが私のタイムラインに流れてきて、重要性やメリットが徐々に理解できてきました。また、ブランド系の広告案件を取り扱う広告事業者と契約しようとした際に「今のようなads.txtを整理できてない状況だと、契約できない」と言われたことも大きかったです。 ―それまでは「事業者は多ければ多いほど良い」という考えだったんですね? 清家氏:そうです。多くの事業者から入札してもらった方がオークションプレッシャーがかかって、結果的に得られる収益が高くなるだろうという理解でした。実際に接続しているSSPの担当者との会話でも、そういった前提で話が成り立っていたので、新しく接続する時に「これを全部載せてください」と依頼が来て、「これが全部必要なんだな」と思ってそのまま載せていました。 ですがDSPから見ると様々なSSPを経由して同じ在庫に接続しているという実態が見えてきました。 可視化による衝撃と社内説得 ―具体的にどんなステップで改善に取り組んだんですか? 清家氏:まずads.txtの構造から説明を受けて理解していきました。それからads.txtを評価するWebツールを使って、現在の状況を可視化しました。 そういったことができたのは、SSPの担当者の一人がads.txtに詳しく、「これを正しくしていくことでパブリッシャーの収益が上がりますよ」という提案をしてくれたことも大きかったです。恵まれていましたね。 ―可視化したら、どんな状況だったんですか? 清家氏:サイトのads.txtデータを樹形図にできるツールがあったんですが、それで見てみたら非常に混沌としていました。何層にも階層が重なって、文字も見えないような線でぐちゃぐちゃになっている図ができあがって、「この状態で正しく評価を受けて、適正な価格で買われているのか」と客観的に疑問に思いました。 ―社内の反応はどうでしたか?ads.txtを整理するということの意義を説明し、理解を得ることは難しくなかったですか? 清家氏:樹形図があるおかげで非常に理解が早かったです。「こんなことになってるのか」と。正直、ちゃんと自社で管理してるし、ちゃんとやってると思っていたけど、こうなってたんだという驚きが、私を含めて現場メンバーや部門長にもありました。 チーム全体で「これは対策を打たなければいけない」という強い危機感を持ちましたね。 ―使ったツールはどういうものですか? 清家氏:三つほど使いました。まず宮一さんが出されている「AdsTxt Manager」、それから海外の「ads.txt validator」というサイト、そして先ほどお話しした樹形図を作れる「well-known」というサイトです。これらで現状確認とエラーチェックができました。 精査作業の実際 ―いざ綺麗にしようとなった時、まず何をしたんですか? 清家氏:載っているads.txtを一覧化することから始めました。スプレッドシートで、どの事業者から依頼があったかという情報をまとめました。そもそもどこからもらったads.txtであるかを示すログを取っていなかったので、過去は分からない状態からのスタートでした。 一旦載っているものをまとめて、改めて最新で載せて欲しいものを各取引先の事業者に聞いた上で精査していきました。 ―何が正解で、どうすれば良くなったと分かるのかは理解できていたんですか? 清家氏:それはやりながら覚えていきました。最初に提案いただいたSSPの方に壁打ちに付き合っていただいたり、AIと壁打ちしてみたり、IABのドキュメントを読んでみたりしました。 まず、ads.txtにはダイレクトとリセラーという取引関係性を示す文言があるんですが、それが正しくなっているかから始めました。実際に直接取引がないはずなのに、ダイレクトで載っているads.txtがたくさんあったんです。 宮一氏:補足すると、ads.txtとsellers.jsonは組み合わせて初めて一つの情報になる設計なんです。それぞれ半分の情報しかない状態なので、ads.txtにダイレクトと書いてあるけど、sellers.jsonにはそのダイレクトに相当する記載がないという矛盾があったりします。 整理する段階として、まずその整合性が取れている状態にするということと、その先でどれを選べば収益性が上がるかという戦略の話の二つに分かれます。清家さんがトライアンドエラーをしながら段階的に進められたのは正しいアプローチだと思います。 広告事業者とのコミュニケーション ―広告事業者とのコミュニケーションはスムーズでしたか? 清家氏:もちろん詳しい方、会話がスムーズにできた方もいらっしゃるんですが……。担当者によって理解度に差があり、現時点では優先度はそれほど高くない印象でした。ただ、そうした差がある中でも、私がこの取り組みをする目的や何をしたいかをお伝えした上で、長い期間取り組みにお付き合いいただいたところが多かったです。 中には「これを消すことによる収益低下のリスク」を非常に強く言われたこともありますし、「それをやるより、こういうことをやった方がいいですよ」という全く違う提案をいただいたりもしました。「透明性を上げて、サイト全体の評価を上げる取り組み」として説明しても、「そんな効果ないですよ」というニュアンスで全く別の軸の話をされることもありました。 ―なるほど、広告事業者側の理解度や対応にもかなり差があったのですね。今回は詳しい担当者の方がサポートしてくれたそうですが、その方の存在は大きかったですか? 清家氏:非常にありがたかったです。本当に幸運だったと思います。 劇的な成果 ―実際にads.txtを整理した結果はどうでしたか? 清家氏:大きなアップデートをして、まだ2ヶ月弱で検証期間としては短いですが、前後20日間程度の期間でads.txt整理したサイトと整理していないサイト(その他の施策を同時期に行った2サイト)で比較してみました。 結果として、時期的にどちらのサイトも収益は上がったんですが、前後比較するとads.txt整理したサイトの方が、さらに10%収益が伸びていたという結果が出ました。 ―10%は大きいですね! 社内の反応は? 清家氏:純粋に喜んでくれる人が多かったです。規模としては非常に大きかったと思いますし、特に弊社では大きいサイトで実施したので、10%のパーセンテージで出る金額もある程度インパクトがありました。 また整理前は約4,700行あったため、先ほどお伝えしたようなads.txtが整理できていないことを理由に直契約をやんわりお断りされていた事業者があったのですが、140行程度まで精査したことで直契約での取り組みが始まり、担当者さんにも非常に喜んでいただけました。 ―運用面での変化はありましたか? 清家氏:最近、ふさわしくないクリエイティブの対処がしやすくなった感覚があります。 また、各事業者から新しくads.txt追加してくださいという依頼をもらった時に、精査したときと同じやり方で、「これは意味がない」という判断が数分で終わるようになったので、今後継続的に綺麗にし続けるノウハウができました。 今後の展望 ―今後はどういうことをやりたいですか? 清家氏:一番は広告枠を減らして、リッチなフォーマットや価値が高い、収益性の高い広告枠に厳選していくことです。それをした上で、広告主から出稿いただいた時にパフォーマンスをちゃんと返せるような、価値がある広告に品質を上げていきたいです。 ユーザーからは広告に関するネガティブな声を多数いただいてます。収益性のために広告を増やすアプローチには限度があります。 むしろ減らして、ユーザーからすると見やすくて、出る広告もユーザーが「こんな商品あったんだ、買ってみたいな」と本当にシンプルに広告効果があるようなものにしていきたいです。 ―収益が減るかもしれないリスクを取る勇気が必要ですが、今回の結果で社内の理解は得られやすくなりましたか? 清家氏:そうですね。非常に難しい挑戦ですが部内の賛同を得られやすくなり、コンテンツを作っている編集部からも非常に好意的で、「当然広告ない方が嬉しいけど、なきゃいけないという狭間でやってきているので、この方向性で取り組みをどんどん進めて欲しい」という声を以前よりもいただくようになりました。 業界全体への示唆 ―宮一さん、今回の清家さんの事例をどう見られますか? 宮一氏:清家さんが気づかれて動いたというところが一番大きいですね。最初の状態からいきなり何かやれと言われても大変だったと思います。会社の中の理解があったり、清家さんも何とかした方がいいなと思ったり、部署の人たちもそういうふうに思ってくれたのが成功要因です。 いろんな意見があったというのは、オプション選択の難しさです。商流をコントロールするという話をしていたのに、「そんなことするより、いい枠1個作ってどんどん儲ければいいじゃない」みたいな話になると、目的がずれてしまいます。 清家さんが良かったのは、「今は何の話をしているのか」をきちんと意識されながら取り組まれたことです。ある程度コントローラブルな状態になったので、改めていろんなアドバイスをしてくれた方と話をして、「ここまでクリーンな状態にできたので、この間おっしゃってたような施策をどうやればいいですか」という話ができるようになったと思います。 ―今後、こういう活動をどう広げていきたいですか? 宮一氏:効果が事前に予測できないという難しさがあります。外注でやろうと思っても、予算感もない。清家さんのような方の背中をちょっと押してあげればいいのかなと思います。 ただ、私が直接「ads.txtを直します」とやっても、清家さんがやられたような納得感は得られないし、組織の中での一体感もない。「よくわからない人が適当にやったら10%上がった」みたいな話になっちゃうと意味がありません。 パブリッシャーの広告枠ですし、パブリッシャーがより良い広告主に広告を出してもらい、その広告も含めて消費者にサイトの体験をしてほしいということだと思います。パブリッシャーが主体的に動けるような活動のやり方を工夫しながら、清家さんのような方を少しずつ増やしていくアプローチができると一番いいと思います。 業界全体の健全化に向けて ー最後に、広告業界全体の健全化に向けてのお考えをお聞かせください。 宮一氏:広告主の立場から考えると、お金の流れの起点として商売が成り立っています。広告主が危惧しているのは、アドフラウドじゃないけれども、自分たちの広告費が本当に見て欲しい人たちに使われていないんじゃないかということだと思います。 それに対する解決策として、アドベリフィケーションのような有料ツールサービスを使うことで担保できるという話がありますが、それ以外に、綺麗なサプライチェーンを作っているパブリッシャーに広告を出せばいいんじゃないかという考え方もあるのです。 ある広告主の方に伺ったら、自分の広告が出るサイトを実際にアクセスして操作して見るということもやっているそうです。一消費者としてどんなメディアなのかを見ているんです。 そういう意味ではそこがうまくかみ合っていなかったのであれば、ads.txtなどの取り組みでsupply chainが綺麗なところは評価の一つになるんじゃないでしょうか。広告主も「そういうところに出したいな。他にもいいところはありませんか?」という形になると、だんだん話が広がっていくと思います。 そういう場があれば、清家さんたちのような形で「僕たちはこうしてますよ」と言うことによって、相互の関係性ができてくる。ここに一つの解決策があるということが、 今まであまり可視化されていなかったので、それが可視化されてくるんじゃないかと思います。 ―広告主が「綺麗なところだけに出して欲しい」と一言言うだけでも業界は変わりますかね? 宮一氏:広告主が全てをやるわけじゃなく、お付き合いのある代理店や広告会社と一緒に取り組みをされているわけですから、そういう方々の中にこうした指標を見ることができる人たちがいれば、「こことここは透明性がありますね、いい関係がありますね」という提案がもらえると思います。 皆さんの取り組みを組み合わせていけば、より良くなるんじゃないかと思います。 まとめ 今回の対談では、ads.txtとsupply chainの整理が単なる技術的な作業ではなく、業界全体の信頼回復と収益改善につながる重要な取り組みであることが明確になった。 清家さんの事例は、パブリッシャーが主体的に透明性を高めることで、具体的な成果を得られることを実証している。10%の収益向上という数字は、この取り組みの価値を物語っていた。 一方で、この取り組みには専門知識とサポート体制が不可欠であり、業界全体でノウハウを共有し、支援体制を整えていく必要があると感じた。 広告業界の健全化に向けた活動は、パブリッシャー、広告主、代理店すべてにとってメリットがある取り組みだ。透明性を「面倒な義務」から「収益と信頼を守る武器」に変える視点を持ち、清家さんのような取り組みが業界全体に広がることを期待したい。
ATSTokyo 2025で、「ワクワク」を届ける-山本 菜月氏が総合司会に決定-
11月21日(金)に開催予定の ATSTokyo 2025 では、総合司会に新しい風が吹き込まれる。日本アドバタイザーズ協会 副事務局長 林 博史氏とともに、舞台を進行するのは、広告・マーケティング業界でキャリアを積んできた山本 菜月(やまもと なつき)さん(写真:上)だ。 彼女のテーマは一貫して**「マーケティングでワクワクを届ける」**。その言葉は単なるキャッチフレーズではなく、これまでのキャリアや日々の活動に深く根付いている。 大学を卒業後、総合職として広告代理店に入社した山本さんは、法人営業で経験を積み、提案力や調整力を磨いた。その後、PRやデジタル領域を手がける企業に転じ、美容・コスメ分野を中心に多様なマーケティング施策を担当。商品やサービスの魅力を引き出す提案やプロジェクトを数多く手がけてきた。現在は韓国系SaaS企業のマーケターとして、SEO施策、オウンドメディア運営、コンテンツ制作などを幅広く担当。限られたリソースの中でも効果を最大化する戦略性と実行力に定評があると聞く。 山本さんの魅力は、専門性や経験にとどまらない。自分の知らないことに積極的に触れ、新しい出会いを通じて人脈を広げていくフットワークの軽さ、そして「依頼された仕事は基本的に断らない」という柔軟なスタンスが、多くの人から信頼を集めてきた。広告業界やエンタメ業界のイベントにも積極的に参加し、そこで築かれたつながりから、新しい仕事やコラボレーションが生まれることも少なくない。本人も「人から頼まれると、どうしても応えたくなる」と笑う。そんな人懐っこさと誠実さが、周囲を惹きつける。 今回の司会就任について山本さんは、「参加者に不快な空気を与えず、スムーズで心地よい進行を心がけたい」と語る。派手な演出よりも、来場者や登壇者が安心して集中できる空気づくりを重視し、常に謙虚な姿勢で役割に臨むという。その真摯な姿勢は、司会という立場を超えて、イベント全体の雰囲気を穏やかで温かいものにしてくれるだろう。 ATSTokyoは、業界の知見と最先端のトレンドが交わる場。今年は林氏の安定感ある進行に加え、山本さんの柔らかな人柄と「マーケティングでワクワクを届ける」という信念が交わり、会場には新しい空気が広がるはずだ。イベント後、参加者が「楽しかった」と笑顔で帰る――そんな光景づくりに、きっと一役買ってくれるであろう。 写真左: 林氏、写真右: 山本氏
グローバルビジョンとローカル戦略をつなぐ、フルファネル型マーケティング-Unity 青山 佳那子氏
デジタル広告業界で働く広報・マーケティング担当者は、専門性が高く難解な業界用語と向き合いながら、形として見えにくい自社プロダクトやサービスを、日々顧客をはじめとする様々なステイクホルダーに、ストーリー性をもって分かりやすく伝え、自社のブランド価値を高めていくことが求められる。 そんなミッションをもつ広報・マーケティング担当者は日々何を考え、どんなことに向き合っているのだろうか。デジタル広告業界の広報・マーケティングのプロフェッショナルにインタビューを行い、彼らのリアルに迫る。第4回は、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社の青山 佳那子氏にお話を伺った。 (聞き手:ExchangeWire JAPAN 角田 知香) 【インタビュー対象者】 青山 佳那子氏 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 シニアマーケティング・マネージャー 新卒で入社した企業で、純広告やアドネットワークの営業を担当し、タイ・バンコクにおける駐在事務所の立ち上げにも参画する。その後SSPであるAd Generationの立ち上げメンバーとして約8年間勤務。外資企業に興味を持ち、アドテク業界の先輩から「マーケティングに向いているよ」と後押しを受け、Unityのマーケティング職に転職する。現在は広告ソリューション群であるUnity Growの日本市場向けマーケティングを担当。 【インタビュー対象企業】 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社 アメリカに本社を構えるUnityの日本法人。ゲームやインタラクティブな体験の構築と成長のためのプラットフォーム「Unity」の日本国内における販売・サポートを行う。その中のUnity Growでは、モバイルゲームおよびアプリ開発者の収益化、ユーザー獲得、ビジネス拡大を支援する包括的なソリューションを提供。メディエーションや広告ネットワーク、オファーウォール、パブリッシング、オンデバイス広告など、アプリをビジネスとして成功させるためのあらゆる段階をサポートしている。 -現在ご担当されている業務領域を教えてください。 APACのマーケティングチームに所属し、海外メンバーと連携しながら、日本におけるマーケティング戦略の策定・実行が業務となります。 私が担当しているのはGrowと呼ばれる、モバイルゲームおよびアプリの成長と収益化を支援するUnityの広告ソリューション群の日本市場におけるマーケティングで、日本国内でのイベント企画、ニュースレターやブログ、営業資料のローカライズやメディア対応、ケーススタディの制作などを行います。 自分で進める楽しさ -アドテク業界内で、日本企業の営業から外資企業のマーケティング職に転職されています。想像と違ったことはありましたか。 マーケティング自体はとても楽しく取り組んでいます。始める前は、マーケティングといえばアウトプットの部分、たとえばイベントや記事といった目に見える成果物を想像していましたが、実際にはそのアウトプットに向けた企画立案や準備といった前段階の業務に多くの時間を使うことが多く、想像以上でした。 また、入社当初は日本市場向けのマーケティング担当が私一人だったため、中国や韓国にいるAPACのメンバーに教えてもらいながら仕事を進めていました。ただ、性格的に自分で裁量を持って物事を決めて進めていくスタイルが合っていると感じているので、国内でのポジションが一人であっても特に辛く感じたことはありませんでした。 -海外メンバーとはどのようにコミュニケーションを取っていますか。 マーケティングチームであるAPACメンバーとは、オンラインで英語でやり取りします。入社して2〜3か月のころは、対面でのコミュニケーションがないこともあり、不安を感じることもありましたが、今ではAPACのメンバーとも気軽に質問し合える関係性を築いています。また、APACだけでなく、アメリカやイスラエルのメンバーと連携して施策を進める機会も多く、共有資料はすべて英語で作成しています。ミーティングも8割ほどは海外のメンバーとのもので、業務全体で英語を使う割合はかなり高いです。 グローバルチームとの共有・同業者とのつながりを大切に -主な顧客層を教えてください。 アプリパブリッシャー、広告主、広告代理店の方々が中心です。Unityというとゲームの印象が強いかと思いますが、Unity Growでは、モバイルゲームおよびアプリの企画・パブリッシングからユーザー獲得、収益化に至るまで、アプリ開発者のライフサイクル全体を支援する多様なソリューションと専門知識を提供しており、非ゲームのお客様にも幅広く活用されています。 -どのような業務に時間を割くことが多いですか。 Growにおけるイベントの企画・運営に最も時間を割いています。カンファレンス、ワークショップ、ウェビナーなどを定期的に開催しており、年間の戦略立案から実行までを一貫して担当しています。GTM(Go-To-Market)の観点では、グローバルとローカルの双方の期待値を調整し、各施策が日本でのビジネスにインパクトをもたらすよう注力しています。イベントごとに扱うソリューションや目的は異なるため、ローカルのビジネスチームと密に連携しながら効果的な企画を進めています。 イベントの準備は大変なこともありますが、「どうすれば面白いと思ってもらえるか」「どうすれば驚きを提供できるか」と思索する時間は好きです。リアルイベントではお客様の生の反応を見ることができるため、大きなやりがいを感じます。 また、アドテク業界は横のつながりが強く、会場では同業他社の方とお話しするのも楽しみの一つです。競合であっても気軽にフィードバックをくれたり、悩みを共有できたりと、心強い存在です。 -業務で注力していることは何ですか。 チームとの日頃の情報共有を大切にしています。私が所属するGrowのマーケティングチームのメンバーは世界各国にいるため、日本チームの現状や課題が見えにくいことがあります。以前、Unity本社のセールス担当者が「Issue(課題)がTrouble(問題)になる前に共有することが重要だ」と話していたのですが、これはグローバルチームで働くうえで特に重要だと感じています。日本チームでうまくいっていることも、いっていないことも含めて、意識的にチームと共有するよう心がけています。 -いま最もPRしたいことを教えてください。 Unityでは、モバイルゲームおよびアプリの開発・ローンチ・スケール・収益化に至るまで、開発者の皆さまがアイデアをビジネスとして成功させるための包括的なソリューションを提供しています。一過性の成功ではなく、長期的にグローバル市場でビジネスとして成功するためのノウハウと実績がありますので、アプリに関するお悩みや課題があれば、ぜひUnityにご相談ください。 https://unity.com/ja/grow
【WeekendWire】アドテク業界のご機嫌姐さんが語る、わたしの1年まるっとドキュメント-〜ご縁とおしゃれとお祭りごと。ぜんぶ、笑って楽しむ主義です〜
週末はちょっと肩の力を抜いて、広告業界のプロフェッショナル達の“オフの顔”に触れるひととき。WeekendWireは、アドテクの話題から少し離れて、皆さんにオフモードで楽しんでいただけるコンテンツです。 記念すべき第一回は、デジタル広告業界でハイキャリアを歩むOguryの新井 博子氏。 彼女のオンオフ交えた一年の日常に迫ります。どのような実生活を送り豊富な人脈を形成し、長年にわたりこの業界をどうサバイブしてきたのか。その秘密がきっと濃縮されています。一人でも彼女のようなキャリアに興味を持つ、業界でキャリアを積まれている方の参考になれば、幸いです。 (聞き手:ExchangeWireJAPAN 編集部 野下 智之) アドテクの世界を、ちょっと横目で、でも本気で見つめながら。 スケジュール帳にはイベント、会食、出張、美容、そして“乾杯”の予定がぎっしり。 気がつけば業界歴もなかなかのベテラン、でも気持ちはいつもフレッシュな“ご機嫌姐さん”。 そんな私の一年を、ぜんぶぜんぶ、まとめてお見せします。 January「寿司と初詣で一年をお清めスタート」 築地で仕入れた新鮮ネタで、元旦は恒例の“家族手巻き寿司パーティー”。おせちより寿司派の姐さん、ってことで今年もおなかも心も満たされる。 仕事始めは、チームで愛宕神社に初詣。もちろん裏参道ルートでスマート参拝。急な階段はノンノン。 夜はアドネットワークの会へ。居酒屋だろうが関係なし、ここが今年の“人脈初め”。 February「クッキーより甘いネットワーキング月間」 クッキーパーティーでは、ゼロ次会でエンジンかけてから本番突入。お酒片手に業界トークで花が咲く。10数年来のお付き合い、元同僚のタケシ(山口武)と再会して懐かしトーク。 DIGIDAY PUBLISHING SUMMITでは、ピュアホワイトのドレスで登場。目立ってなんぼの勝負服で。 ピンク×ブラウンの大人可愛い配色 甘いピンクをブラウンで引き締め、ホワイトスカートで軽やかに。ミニポシェットが遊び心。 カーディガン/allureville スカート/allureville バッグ/LOUIS VUITTON March「わたしたちの春、華やかに咲きます」 3月8日は国際女性デー。アドテク業界の“推し女子”たちが集まる晴代さん主催の「ウーマン・イン・デジタル」。 今日ばかりは、堂々と華やかに。そしてちょっと誇らしげに。 Oguryから徒歩圏のfluctオフィスへ。オンラインより対面重視派な昭和な姐さん。偶然出会った藤井洋太さんと、虎ノ門でワイン乾杯 April「乾杯と美容課金が止まらない春」 Oguryの上陸記念月。アニバーサリーパーティーはチームみんなで“サンテ!”と乾杯。 週末は韓国でOgury20歳年下の同僚Mika-sanと美容課金遠征。肌も心もアップデートして、春を迎える準備はばっちり。 私の韓国滞在レシピ満載の、永久保存版「韓国ガイド」はこちらで大公開! 食べて打って磨いて!とある渡韓日程 ストライプシャツでつくる知的エレガンス ブルーストライプ×黒で品よく。肩掛けコートとLVバッグで大人の余裕をプラス。 ジャケット/NEMIKA シャツ/Liesse パンツ/allureville バッグ/LOUIS VUITTON メガネ/BVLGRI May「同期と広報と、つながりまみれの月」 GW明けたら即、ExchangeWireの媒体説明会で濃密ネットワーキング。名前だけ知っていた青山佳那子さん(Unity)と初対面、で、その日のうちにUnity峯さんとの打ち合わせ実現。UNICORNたいちゃんの感動プレゼンに刺激受け、来年は全マーケーターにおすすめイベントだと確信。 月末にはソフトバンク同期会。30人超で集まって、学生ノリで語り倒す夜も最高の栄養。 June「曇り空?いいえ、わたしは晴れガール」 梅雨なんて関係ない。私の周りはいつも快晴。わがボスOguryカンマネの松本亮さん、今年もカンヌライオンズへ。これで3年連続。世界中の業界リーダーとアンサンブルで、最新の知見とネットワークを日本に還元。 30日はヒロシの誕生日。”オープンインターネットの貴公子”テツローと”これが天野流”のコータ、”ヒロシの仕事請負人、しごでき君のマモル※と十兵衛で今年もお祝い。その後スナック支えあいに移動したらアドテク仲間が居合わせて、大誕生日会に発展。心あたたまる笑顔の時間。 ※マモル:古澤守(Globalive(Pivot)、Leave it to me所属)。支えあいの代表を支えていることもあってか、言動が実年齢や見た目よりも、随分と大人びているように見える。(編集部) サマージレ×トートで洗練カジュアル ライトグレーのジレに白を合わせ爽やかに。ベージュLVトートでリッチ感UP。 ジレ/SACRA(NEMIKA) パンツ/SACRA(NEMIKA) カットソー/allureville バッグ/LOUIS VUITTON July「ドレスと爆買いとレインボーと」 某出版社さまの感謝の会でドレスアップ。業界の縁に改めて感謝。 プライドウィークにはレインボープライドで多様性に拍手。そして、セールでは“爆買いモード”発動、私のMariott Bonvoyカードが火を吹く。貯まったポイントはどうするかって?韓国美容課金の際の、ホテル代に還元するのが姐・さ・ん・流。 韓国ドラマの会も主催するオンニ※。あのアタラのゴーさん(杉原剛さん)とは、アドテクネタを一切語らず。 剛さんが繰り出す胸キュン恋ドラネタに対し、オンニは真逆の復讐シリアスサスペンスドラマトークで対抗。Digiday イベントで知り合ったGeniee原本真希ちゃんは、20代目線で参戦。 ※韓国語で姐さんという意味 剛さんは胸キュン、私はドロドロ。韓ドラ好みプロット図 Ads.txtで困ったら、アドテク業界元祖”父”の、宮一良彦さん(現、株式会社PIER1)に駆け込む日常。相談場所はまさに、”支えあい”。スナックだけどワインもあって、Cloudy bayを飲みながら、業界課題に取り組む生真面目 姐さん。 August「夏のイベントは全方位スマイルで」 今年は広告主とパブリッシャーが未来を語る、「Open Internet Revival」にジョイン。 プライベートは夫と息子の誕生日、20年ぶりの運転再開を兼ねてMINI JCWで長野の星野リゾート「界」へ。MINI購入の際は、ヤマショーさんから素敵なアドバイスもたくさんいただき、感謝感謝。 我Oguryは、フレンチ・カンパニー。なので、7月中旬〜8月末は“ヨーロピアン・サマー”でバカンスモード。グローバルメンバーは、日々の忙しさを癒やす月。 September「引越しと生誕祭と神輿でアップデート」 今年はOguryの恵比寿オフィス移転準備で大忙しだけど、お披露目はしっかり華やかに。 自分の誕生日はもちろん生誕祭で盛大に。奥沢の大蛇神輿と韓国美容課金で心身を整える。フォーエム綿本さんも同じタイミングで渡韓すると聞いていて、合流できるか画策中。(彼はきっと仕事かな。私は美容。) グリーンバッグで差し色上級者 ブラウン×黒のシックコーデにGUCCIグリーンを一点投入。旬と華を添える上級テク。 ジャケット/martinique ワンピース/BRAHMIN ベルト/GUCCI シューズ/NEBLONIE バッグ/¡GUCCI October「アドテックで業界の勢いを感じ、夜の社交で秋を彩る」 アドテックは“静かに品定め”がわたしのスタイル。ブース配置から業界の力関係をじっくり観察。会場近くにはFLUXさんのブランニュー・オフィス。平田さん、Oguryを今後ともよろしくね♡ 夜は「レッツゴーナイト」でシャンパン片手にきゃぴっとご挨拶。イベントは30分前入りが勝負。 今年はあのDMEXCOがシンガポールで初開催!在住の元mediamath同僚の山内優子(Moloco所属)に会いに行きがてら、DMEXCOにも参加しようかやめとくか。。 November「アドテク事業者のお楽しみ、ATS Tokyo2025公式は挨拶ダッシュ、非公式は夜まで全力」 今年も11/21(金)にJAAの林 博史氏が司会する、「ATS Tokyo2025」が開催。ここでは通路側の神席から挨拶ダッシュ。 ランチは秒で済ませたら、あとはネットワーキングに全力投球。必須装備は両手フリーのクロスボディバッグと、ネックホルダー裏に忍ばせた名刺たち。夜はATS“非公式”のアフターパーティーで恵比寿まで大移動し、3次会まで完走予定。 ホワイト×チュールで華やぎリラックス 白ジャケットで上品に、黒チュールスカートで軽やかに。旅仲間のLouis Vuittonトランクが存在感。 ジャケット/allureville スカート/allureville シューズ/TORY BURCH スーツケース/LOUIS VUITTON December「乾杯ラッシュと築地場外市場にダッシュ、そして年越し」 サンクスギビングを過ぎたら、いよいよホリデーモード突入。 最後の業界ビックイベントのAWA、忘年会にクリスマスパーティー、毎晩ドレスとシャンパン三昧。そして年末恒例・築地の早朝買い出し。お正月用の海鮮丼ネタを5時発でゲット。 この12ヶ月、ご機嫌で駆け抜ける新井 博子のアドテクライフ。翌年も、翌々年も、変わらず笑って乾杯しましょ。
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