オープンエイト、動画広告PMPリリースが目指す世界 [インタビュー]

動画広告プラットフォーム事業を展開するオープンエイトが、動画広告のPMP(プライベート・マーケットプレイス)をリリースした。

同社の動画広告ビジネスの特徴、新しいサービスのリリースの背景について、執行役員 三上真央氏と執行役員 岩間千明氏に聞いた。

(聞き手:ExchangeWire Japan 野下 智之)

月間延べ一億リーチに成長

― 自己紹介をお願いいたします。

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三上氏(写真右) 大学を卒業後、博報堂DYメディアパートナーズに入社し、初任はテレビスポットの局担業務でした。人事異動に伴い、スポーツとエンターテイメントを行なっているコンテンツ部署へ異動し、事業投資を含むコンテンツビジネスに携わっていました。その後退職し、マーケティングコンサルを主軸とする事業の創業に参画した後に、2015年10月よりオープンエイトに参画、営業の統括をしています。

岩間氏(写真左) オープンエイトが立ち上がる前は、@cosme を展開するアイスタイルで10年ほど広告サービスを作っていました。そこでは、メディア、例えば@cosme のコンテンツを作る仕事をしていました。アドテクが無い時代、PC広告が枠売りしていた時代から広告サービスを見てきています。PC、ガラケー、アドテク、そしてスマートフォンといった広告の流れを、媒体側で経験してきました。

― 今回のリリースの内容と新しいサービスの特徴についてお聞かせください。

岩間氏: 当社の動画ネットワーク「OPEN8 AD Platform」があり、このネットワークの下に、Native Tap や Video Tapという複数のサービスがあります。
女性系メディアで構成されるネットワークとしては国内最大規模と認識しております。月間の延べリーチ数は1億規模に達しています。現在約50のプレミアムメディアに参画いただいております。

女性系、一般のポータルサイトのほか、雑誌系や専門媒体もとても多いです。ビジネス、ファッション、美容、ママ、新聞・ポータル、エンタメなど、ジャンルが多彩です。広告主様のニーズによって、リーチしたいオーディエンス属性は様々ですが、そこに対応できている点は大きな特徴であるといえます。

広告フォーマットは、従来中心としてきたオーバーレイの他にも、インフィードフォーマットを開発し、提供しています。特許を取得しているフォーマットもあります。

― 今回のリリースにより、OPEN8 AD Platformにおいて、PMPの提供を開始したということでしょうか。

三上氏: はい。元々、OPEN8 AD Platformの中でプレミアムと呼ばれる女性系の媒体に動画広告を配信できるモデルで展開していました。今回の発表では、配信できる媒体が増えており、かつ、配信面を指定して配信できるようになりました。各媒体も様々なカテゴリーがあります。例えば、美容に興味があるユーザーを保有しているサイト、ファッションに興味があるサイトといったような、対女性系でプレミアムな媒体の共通項がありながらも、幅広いジャンルの配信面があります。そういったカテゴリーや面の指定をして、配信できるようになったことが今回の軸です。

― PMPとして提供される背景をお聞かせください。

岩間氏: 今までは「女性」というオールリーチを特徴にした広告商品として販売してきました。しかし、女性の中でもママ系・美容系の商材などと分かれてきた中で、媒体側の価値を引き出すためにどうしたらいいのかと考えました。その視点に立つと、一律で配信するよりは、ニーズを基に指定をして、価値に見合った価格設定ができる方法を模索し、提供ができることになりました。これまで一律でやっていたものに対して、ニーズに合わせた価値を見出し、媒体の価値を収益に繋げられるようになっています。

三上氏: 今回は、より媒体価値を高めることにより、広告主様のニーズを満たせることを合致できたことが大きい点だと考えます。

― 以前は、媒体の指定を出来なかったのですね?

三上氏: はい。今までは、「女性」に対して圧倒的なリーチをすることがメインでした。今回は、今までの方式に追加して、配信面も指定できるようになりました。

― PMPで想定されるクライアント層についてお聞かせ下さい。

三上氏: 2015年サービスのローンチ以降、女性に向けて配信したい、いわゆるテレビCMを出稿しているような広告主様、約1000ブランドとお取り引きしています。そのため、今後についてもPMPに限って絞るということではなく、引き続き幅広い広告主様を想定しています。

― 単価が上がると仰っていましたが、どの程度上がるのでしょうか?

岩間氏: CPMで言うと1.5倍ぐらいでしょうか。展開する内容やクライアント様のニーズ次第になります。

三上氏: 今回は、従来の配信方法をリプレイスするものではなく、進化した形です。
OPEN8 AD Platformの中で、新しい配信の仕方が出来るようになりました。また、媒体面が増えたことで総在庫数が伸び、ターゲットリーチを飽和させないことができた点も大きいです。

岩間氏: プラットフォーム全体の規模感が開始当初の4,000万リーチから、倍程度の規模になっています。媒体面が増えたことにより、PMPやインフィードといった様々なサービスが導入しやすくなりました。

よりインサイトベースでの配信を実現

― 広告主へのメリットは、面を指定できることで高い広告効果を返すということであるということで良いでしょうか?

三上氏: 従来のVIDEOTAPを利用いただく広告主様のメリットは、ブランドを毀損しないプレミアムと呼ばれる女性系のメディアに圧倒的な規模でリーチができることでした。今回のPMPのリリースによって、よりインサイトベースでの広告の出稿が可能になりました。動画広告を出稿する広告主様は、ターゲットが「誰で何歳なのか?」といった話になりやすいです。しかし、我々が抱えているプレミアム系の女性動画ネットワークのユーザーは、インターネットの情報取得メディアに能動的に来ているユーザーです。そのため、実はユーザーのインサイトはユーザーにあるのではなく、ユーザーがその時に能動的に訪れているインサイト、つまりメディアを捕らえて広告を配信すべきだ、と考えます。弊社もおでかけ動画マガジン ルトロンを運営することで、ユーザーのインサイトを捉えることを日々研究しています。そのため、インサイトベースでの配信というのが今までのターゲットリーチに加えてできるようになったことが、広告主様へのソリューションだと思っています。

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岩間氏: 例えば、化粧品のコンテンツに来ているユーザーは、化粧品に興味がありますよね。興味があるユーザーに広告を打ちたい、コンテンツに対して価値を返していくという形です。当社の考え方としては、人ではなく、記事の中にユーザーのインサイトがあると考えています。

三上氏: インターネット広告市場が伸びた背景には、リターゲティングというユーザーを追いかけていく仕組みがあります。例えば、不動産サイトにアクセスした後に車のサイトを見ると、不動産の広告が出ることがありますが、インサイトは既に乖離してしまっていると思います。今回は、媒体の面をインサイトとして捉えて配信します。しかも、当社の場合は圧倒的な規模でリーチできます。インサイトが高い面に対して広告を出せる場合は、ユーザーのロイヤリティが上がります。しかし、ロイヤリティが少数だったら意味がないので、ロイヤリティを上げるのと、リーチを上げるのが広告の本質的な価値だと考えています。対メディアに対しては、媒体の価値を広告に変えて、収益に繋げるようにできたことが大きいと思います。SSPに繋いでいると媒体の面に関係にない広告がでてくると思いますが、そうではない配信をOPEN8 AD Platformに参画することで、媒体としても実現できるようになった点はメディアにとってのメリットです。

岩間氏: 当社はアウトストリーム広告であり、動画の中に出てくるようなインストリーム広告ではないので、ユーザーのインサイトを分析しやすいと考えます。

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三上氏: インストリーム広告は、ターゲットのデモグラフィック分析をして配信しているため、調べている内容に関係の無い商品を薦めてくることがあります。例えば、アイドルの動画を見ていても、「30代男性」というユーザーカテゴリーで車や金融商品の広告が配信されることがありますが、そういった広告は本当にユーザーに刺さっているのか疑問に感じます。ここがテレビと圧倒的に違うと考えており、テレビは受動的に広告が入ってきますが、インターネットは能動的です。そういった面を捉えて配信することが、広告効果やユーザーロイヤリティ、態度変容、視聴レートを高めるのに非常に重要だと考えています。

― 今後もアウトストリームのみに注力されていくのでしょうか?

岩間氏: いえ、アウトストリームのみにこだわるということはありません。どのような形で配信するというよりは、軸としてインサイト、その時に見えている物に対して最適なものを出していこうと思っています。

本質的な価値は「ロイヤリティ向上」と「リーチの獲得」

― 動画広告の市場環境をどのように見ておられますか?

三上氏: オンライン動画広告自体のニーズは、色々なメディアで取り上げられている通り、右肩上がりで成長しています。また、当社としてもまだまだ伸びる市場だと考えています。その中で、KPIと言われるどういうところを課題にもってオンライン広告を出していくのか、という点が広告主様も迷っているタイミングかと思います。現時点では、視聴率、単価、リーチ、態度変容といった各基準がバラバラですが、より本質的な方向に向かっていくと思います。様々な広告がある中で、1オンライン広告の視聴率が数パーセント上がったというよりも、本質的な広告の価値が今後の議論の対象になっていくと想定しています。その中で、当社としては、「ユーザーのロイヤリティが上がったのか」、と「リーチが取れているか」が広告の価値だと考えています。ロイヤリティが上がったというのは、何をもってそうかと言うと、視聴率かもしれませんし、実際その広告に接触したことにより、接触していないユーザーよりも、ブランドのことを好きになった、購入意欲が高まったどうかといった態度変容かもしれません。今後は、ロイヤリティとリーチが概念化されて一つの指標になっていくと考えています。

市場環境のことでは、もう一つあります。オンライン動画広告のテクノロジーが進化しており、テレビスポットやトレインチャンネル、サイネージなどのように、ユーザーとの接触機会がかなり増えています。その中で、オンライン動画広告の域に留まらず、テレビをやっているのか、他の広告をやってないのか、などによりユーザーの環境が変わります。オンライン動画広告も単体ではなく、統合的に見るようになると思っています。

スマートフォンにとどまらず、テレビやサイネージとの連携も視野に

― 将来的に、OPEN8 AD Platformから、スマートフォン以外の、例えばサイネージなどのデバイスに配信するような構想はありますか?

三上氏: 可能性はゼロではないでしょう。当社はTBSと資本業務提携をしており、TBSの枠と連動した施策を既にリリースしています。「王様のデザート」という「王様のブランチ」の後に直結しているインフォマーシャルを当社のネットワークで展開できるような仕組みを持っています。それに留まらず、様々な番組内のインフォマーシャル連動を、動画広告の王様であるテレビと連携した取り組みにチャレンジしていこうと思っています。

― 放送局との連携が出来るということで、面白い展開の可能性が広がりますね。

三上氏: TBSが制作したインフォマーショルをオンライン動画のインストリームであるTVerにも、当社のネットワークにも流すという施策は過去に実施したことがあります。

― その場合の尺の長さはどのように調整されているのでしょうか?

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三上氏: 放送も、TVerでも、弊社サービスでも流れる仕組みですが、デジタルに流すことを基準に台本を用意しています。放送は60秒ですが、デジタル上で展開する場合は30秒にするといった調整をしています。

岩間氏: これまでは、テレビで使う商材をそのまま使うことが多かったのですが、最近はWeb用に編集し直したりするようになってきました。

三上氏: また、実際展開された素材自体をスポットで流すような取り組みもあります。今後、どんどんマスに連携する施策を展開していきたいと思っています。

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ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長
慶應義塾大学経済学部卒業。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2014年10月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価機関デジタルインファクトを設立し、プロジェクトディレクターに就任。