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Interview: ビデオDSPのデータが、ブランド広告を変えていく – オムニバス 代表取締役CEO 山本章悟氏

Mr.Yamamoto

ブランディング効果の高い広告手法として高い期待を持たれつつ、日本市場への浸透が阻まれている動画広告。その手詰まり感を打破すべく、先日米TubeMogulの日本法人と資本・業務提携を発表したオムニバス。DMPを活用したディスプレイ広告導入支援・マーケティングコンサルティグを数多く手がけてきたオムニバス社が、ビデオDSPの提供開始でブランド広告主へどんなメリットを新たにもたらすことができるのか。代表取締役CEO 山本章悟氏に今回の提携背景とビデオDSPで実現できる広告戦略についてお話を伺った。

 

(聞き手:ExchangeWire Japan編集長 大山忍)

 

 

 

 

■  動画広告を日本へ浸透させるためのコミットメント

 

– TubeMogulとの資本・業務提携の背景を教えてください

山本 もともと弊社として2013年は動画広告にコミットしていこうという計画がありました。昨年秋に既存のDSPにサードパーティサーバーを入れて、ビデオDSPを使ったサービスを開始するというリリースも出していたのです。その頃、TubeMogul社からの話があり、ツールとしては非常に優れていたので、提携の話を進めていきました。

今回資本提携という形式にしたのは、我々が持っているアセットを充分に注ぎ込んで、一緒に市場を作って行こうと考えたからです。一代理店という立場では、この新しい技術と概念を市場に浸透させることは難しいだろうと思ったのですね。

今回は、ツールベンダーとしてのビジネスの立ち上げサポートから、弊社のトレーディングデスクの人材を使って、初期の運用まで、ビジネス全体のバックアップサポートをしていこうと思っています。

 

– 米国で数あるビデオDSPの中で、なぜTubeMogul社を選ばれたのですか?

山本 一言で言うと、TubeMogul社の本気度が伝わった、と言ったところでしょうか。昨年夏に日本法人を既に立ち上げていて、米国本社の日本に対する投資姿勢と日本法人を立ちあげた代表の狩野さんのコミットメントが強かった。

過去いろいろなツールを米国から持ってきた我々の経験から言うと、例え日本がビジネスをやりたいと言っても、米国側が乗り気でない場合はたいてい上手く行かないです。外資系ベンダーをみていると、よくあることですが。その中でTubeMogulは良いツールだっただけでなく、本国と日本法人の代表のコミットメントを感じられた。だからこそ、本気で日本の動画広告市場にコミットしようという我々と方向性が一致した訳です。

ツールそのものにも、とても魅力を感じました。既存のDSP経由で動画広告を配信するよりも、動画広告に特化したTubeMogulのほうが断然良かったのです。

例えば、動画広告のターゲットとなる広告主は主にブランド企業様です。それらの企業は、自社の広告を不適切な媒体先に露出させないなど、『ブランドセーフティー』について非常に敏感です。TubeMogulにはこの機能が既に搭載されていて、サイトレベル、ページコンテンツレベル、動画配信形式の3層にわたるレイヤーでブランドイメージの安全性を確保できているのは、よくできていると思いました。

また、広告主様の間では、動画広告はモバイルからブレイクして行くのではないか?という話がよくあります。なので、マルチデバイスに対応しているのも日本市場にマッチしていると思いました。

ビジネスの経験値という視点でも、TubeMogulは米国の動画インベントリの98%にアクセス可能で、RTBを通して入札する事が可能です。動画広告におけるDSPとしては米国最大の取引が当社のプラットフォームで行われていると言えます。また、Columbia、Range Rover、TOYOTA、20 Century FOXなど、大手ブランド企業が導入しているという点でも、日本の企業様に安心していただける要因だと思います。

 

 

■  動画広告はTV CMの効果を増幅させるための付加価値

 

– ブランド広告主が動画広告を導入するメリットは何ですか?

山本 一番に考えられるのは、リーチの補完としての活用ではないでしょうか?昨年Googleが発表したレポート(※)にあるように、ドイツではテレビの視聴時間が極端に少なく、その代りインターネットに対する接触時間が多いユーザー層(若年者に多いのですが)が生まれてきており従来のマスメディアのみの広告出稿だけだとリーチできない層が増えてきています。日本とドイツだと国が違うので断定的な事は言えないですが、実感値として日本でもそれは起こりつつあるのではなかと感じています。そのリーチの補完という意味でオンライン動画広告は効果を発揮するのではないでしょうか。あとはリアルタイムのクリエイティブ調査かと思います。TVCMに出稿されるブランド広告主は、数億もの予算をかけてTVCMをうたれますが、クリエイティブの善し悪しでインパクトが変わります。TVの場合、CMを出してすぐ測定をするのは難しいですが、ネットの場合はリアルタイムで効果を測定できます。もっと言うとTubeMogulを活用すれば動画の平均視聴時間や、離脱が多かった秒数、従来のクリック率等々を活用してクリエイティブのテストを行う事ができます。TVCM はやはり最もインパクトがあって、リーチがとれる媒体だと思うので、そのインパクトを最大化するために、インターネットの動画広告はTVから漏れるユーザーのリーチと、クリエイティブ審査という視点で補完の役割を担うのが良いと思います。

 

 

– ビデオDSPを始めるにあたり、特別な動画クリエイティブが必要になるのでしょうか?

山本 CMのクリエイティブをそのまま使うことも考えられますが、ビデオDSPを最大限に活用するためには、ウェブ用の動画を用意する必要があります。というのも、CM動画よりも、ビデオ動画のほうがユーザーとのインタラクションを早くしなければいけないからです。ビデオ動画には、「スキッパブル」という、5秒後にユーザーがその動画を「スキップ」できる機能があるので、目を引くタイミングやメッセージを前半に持ってこなくてはいけません。

また、TVと違ってビデオDSPだと、細かくセグメントを分けて配信ができるので、訴求軸をいろいろ変えてPDCAをまわして行くために、バナーやビデオ動画がたくさん必要になるのです。

 

 

– ビデオDSPは新しい分野ですが、日本企業様が導入する際に考えられる課題は何でしょうか? 

山本 動画広告を評価するための指標が大きな課題になると思います。単純なクリックだけではない指標を用いる必要があります。米国では、オンラインGRPといった計測方法の開発が進んでいますが、マス広告がウェブに近寄る事はできないので、ウェブがマスに近づいていく、すなわち近い指標作りが必要だと思っています。

 

 

– どんな日本の企業様へビデオDSPをご提案されていく予定ですか?

山本 まずは、オンラインの可能性に気づいていらっしゃるブランド企業様というところでしょうか。消費材や自動車関連の企業様はすでに興味をもっていただいています。特に自動車のブランド企業様は、自動車の情報を見ているユーザーにだけターゲティングなど、オーディエンスデータと組み合わせると非常に強いキャンペーンを展開できるので期待できます。

 

 

■  動画専門DSPだからこその強み

 

– TubeMogulの特徴を教えてください

山本 ビデオ広告配信の仕組みは2通りあって、プレロール枠といって動画コンテンツが配信される前に流れる動画と、Click to Play枠といって、Yahoo!のブランドパネルなど普通のバナー枠に広告を配信し、クリックすると動画が流れるというものがありますが、TubeMogulは両方に対応しています。

TubeMogulは動画専門のDSPなので、プリセットで動画タイプを選択できるようになっています。例えば、動画開始前に流れる「プリロール」や、動画広告の途中でFacebookのいいねをクリックさせたり、他のサイトへ誘導することのできる「インタラクション」などです。また、エリアや時間、メーカー・機種レベルでのデバイスの配信指定もできます。

外部データとの連携ができるスケーラビリティの高さも、特徴の一つです。現在、すでに弊社が保有するオムニバスオーディエンスネットワークのデーター取り込んでいますが、DMPなど外部データを使えば、配信の精度をより高くする事が可能です。

そして最も重要といえるのが、動画広告ならではの計測方法が豊富である点です。ブランドセーフティをうたうだけあり、配信先毎の効果を明示化できます。また、コンプリーション・レートと言って、動画が開始から何秒間視聴されたかが分かる指標が取得できます。15秒の動画で、15秒再生された場合は100%といった具合です。これらのレポートは、指定したセグメント毎に効果を見る事が可能です。

 

 

■  日本の広告主に必要なのは、トータルなサポートを提供するビジネスパートナー

 

– 最後に御社の今後の方向性を教えてください

山本 今年は、DMPとビデオDSPの両輪でビジネスを推進して行きたいと思っています。日本市場では、オーディエンスデータの活用が充分に浸透していないので、ディスプレイ広告もDMPの活用により、より高い費用対効果を狙えると思います。また、オーディエンスデータとビデオDSPを組み合わせる事により、より多くのブランド広告主がインターネットの恩恵を受ける事が可能になっていくと思っています。

弊社はアドテク・プラットフォーム、オーディエンスデータ、そして運用ノウハウの提供と、制作会社とのアライアンスにより、デジタルマーケティングの成功に重要な上流の戦略策定からデータ分析、データに基づく制作指示など、広告主に必要なトータルサービスを提供できる会社で有り続けたいと思っています。また、オムニバスは数年後を見据えるビジョナリーな会社でありたいと考えていますので、これからもどんどん新しい事に挑戦し続けたいと思っています。

 

参照

http://www.thinkwithgoogle.com/insights/library/studies/de-shareshift-meta-analysis/

 

 

■TubeMogul デモ用デモグラフィックレポート画面。

TubeMogul_-_Demographics_tab_screenshot

 

 

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大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。