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WireColumn: アトリビューション特別対談:Facebook・ソーシャル・アトリビューション、日米の現状と課題 (Part 2)

ATARA Mr Arizono WireColumn

ATARA 有園雄一、Attribution.jp

Attribution.jpKenshoo対談記事の後半、テーマは『アトリビューションと運用課題』です。
Part1はこちら)


 

 

 

 

 

第2部:アトリビューションパート

Kenshoo Social, General Manager, Sivan Metzger氏(以下Sivan
Kenshoo, APAC Sales, VP
治田耕太郎氏(以下Ko
アタラ合同会社 代表取締役CEO 杉原剛(以下Go

 

-- それではソーシャルの話もまだまだ聴きたいところではありますが、アトリビューションの話に移りましょう。

Sivan:現状では残念ながら8割以上のマーケティング担当者がラストクリックモデルを採用しています。あまり楽しい状況ではないですね。実際に は、アトリビューションモデルの方がより多くのコンバージョンを獲得できる可能性があるという事実もあります。是非、多くのマーケターの方にアトリビュー ション分析に乗り出してほしいと思っています。

日本がアメリカの2~3年遅れであれば、もうちょっと時間はかかるかもしれませんね。

ただ、Kenshooはテクノロジープロバイダーとして次のステップを見据えています。今までのようにレポートで分析して適切なアトリビューションのモデ ルを選択する、という物ではなく、動的にアトリビューションのモデルを現状のキャンペーンに適用してしまう、という物です。

もちろんマーケターの方が自らの判断でアトリビューションのモデリングを選択することも可能ですが、それらを自動化していくということも出来るようになりました。

Ko:正式名称はKenshoo SmartPathという名前で提供しています。動的にアトリビューションのモデリングまで自動化するのは、おそらくKenshooが初めてだとは思いま す。だからこそ、マーケターの方のセンス、特にキャンペーンの構成やランディングページの選定など、システムで自動化できない部分が重要になると思っています。

kenshoo-rokuro01Sivan:自動操縦機能があったとしても運転するのは人間ですからね。実際に、この機能を活用することで効果が劇的に改善したクライアントもいます。

我々のプラットフォームはアトリビューションなどに積極的に取り組んでいる大手の広告主さんに採用されていますが、そういった広告主の方々と次のステップに引き上げる物だと自負しています。

Kenshooでは開発を行うチーム、これは実際にコードを書くチームになりますが、そのチームに加えてリサーチチームがイスラエルにあります。そ のチームでは博士号を持った人間がそろってポートフォリオ入札のアルゴリズムの開発・改善に取り組んでいますし、そういったチームの力があって、次々に機 能が開発・改善されるのは本当にエキサイティングなことです。

Ko:実際にアトリビューションを実施する上での課題はどの辺りにあるのでしょうか?

Sivan:実際に代理店さんがSEMとソーシャルでのアトリビューションを実施しようと思うと、まずはコンバージョンファネルを見ることが大事だ といえるでしょう。ただ、現状ではファネルというよりもコンバージョンプレッツェルといった方が正しいのかもしれませんが。(参考:プレッツェルとは)

アトリビューションを実施する以前に、それぞれの広告がどのような効果、役割を担っていたかを可視化することが重要になります。Kenshoo Enterpriseに搭載されているPath2Conversionというレポートを見れば、それまで全く何の貢献もしていないと思われていた Facebook広告がコンバージョンファネルの上位、真ん中、下部のそれぞれに存在しているという事実をみることが出来るでしょう。

その結果、8割のコンバージョンにFacebookが何かしら含まれているとしたら、それはアトリビューションに取り組むには十分な状況だといえると思います。

Ko:また、どうしてもSEMは効果が高いため、現状のパフォーマンスを維持することに流れがちになります。ともすると保守的になりがち、といって も良いと思います。ですので、ソーシャルなど比較的まだ広告予算が少ない分野だからこそ積極的に新しい分野にチャレンジしてほしいと思うこともあります ね。

また、運用型広告のオペレーション部分と分析・コンサルティングが分かれているが故に、アトリビューションへの取り組みに億劫になる部分もあると 思っています。アトリビューションのような高度な分析が必要な運用手法は、運用チームにもそれなりの運用負荷がかかってしまうという点です。ですので、統 合されたプラットフォームで一元管理する必要性があると考えています。

Go:そうなると、統合的に全てをみるプランナーが指揮をするのか、それとも個別のチームでそれぞれ動くのかという点がポイントになりますね。

Sivan:その通りですね。プロジェクトオーナーが引っ張っていくことは必要です。その点は米国でもまだまだ各社が格闘している部分だといえます。ソーシャルだけとってもオウンドとペイドではどうしても部署間の垣根のような物が出来てしまいます。

Go:なるほど。そこでKenshooは、そういったオウンドとペイドで分かれてしまいがちなマーケティングを統合していく、というところが価値になる訳ですね。

Sivan:もちろんオウンドとペイド(Facebook広告)だけではなく、SEMやFBXなども含まれます。

 

ライト・インハウスとヘビー・インハウス

 

Ko:逆に二人に聴きたいのですが、このまま統合的なマーケティングが進展すると、CRMなど外部に出しにくいデータを持っている広告主自身が広告を管理するIn-House化が進むのではないかと思うのですが、どう思われますか?

Sivan:日本においては実際のところ代理店さんの手助け無しでそういったことが出来るとは思えませんね。代理店さんと広告主さんの間でNDAが結ばれてデータの共有化が進んでいく、と思っています。

Go:そうですね。特に大きな広告主さんにおいてはそれぞれのチャネルやメディアにおいて異なる代理店さんにお願いをする形は非常に多いです。

実際には、それはアトリビューションマネジメントを実践する際には必ずしもやりやすい形ではないのですが、広告主さん自身でデータを見て、分析し、意思決定をされ、それらに基づいて代理店さんと恊働していく、という流れになるのかもしれません。

そういう点から見て、ライト・インハウスとヘビー・インハウスの二つのトレンドが出来ると思っています。
ヘビー・インハウス化は広告主さん自身が全てを自社内のリソースで賄う、という形です。ライト・インハウスとは広告主さんがデータを見て、自社で意思決定をして、そして代理店さんと協働していくという流れです。

Sivan:ライト・インハウスとヘビー・インハウスという分類は良いですね。その言葉をアメリカでも使っても良いですか?

Go:もちろん、ぜひ使ってみてください(笑)。

 

まとめ

Ko:今までの話のまとめになってしまいますが、元々ネット広告は媒体側が「この広告は高いROIが期待できますよ」とか「ブランディングに効果が ありますよ」ということを言っていた訳ですが、特にアトリビューションやソーシャルを語る上では、実際に価値を測定して、その価値を分析するということが とても重要だと言えます。

Sivan:Kenshoo Socialを使ってもらうことで、細かいセグメントに対して広告を配信することも出来、そのプロセスの中で生産性向上や効果も改善も期待できます。そして広告を掲載することで、この広告がどのように作用したのか、どういう役割を演じたのか、といったことがわかってくるはずです。

Kenshoo Socialの画面

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Ko:そういう意味ではKenshooの姿勢というのはアタラさんに近いのかもしれません。アトリビューションマネジメントを実施する上ではそういう考え方は必要なことですから。

Sivan:FacebookにはAPIを利用している企業に対してPMD(Preferred Marketing Developer)という認定プログラムがあるのですが、そこに認定されている300社の中で12社がSPMD(Strategic Preferred Marketing Developer)というかたちでさらに選定され、そこに弊社が選ばれています。
我々はFacebookの広告の価値を証明するという意味でも一緒に動いています。

そこで、Facebookの人に一度「2013年のプライオリティは何なのか?」と聞いたところ「日本とブラジルだ」と即答されました。それだけ日 本においてはFacebook広告の伸びしろがある、ということですし、我々も日本語対応のKenshoo Social2.0をリリースしました。日本で活動する唯一のSPMDとして日本の代理店や広告主として皆様と一緒にビジネスを大きくしていきたいと思っています。

Go:本日はありがとうございました。

 

Kenshoo
http://www.kenshoo.com/japan/

 

【ポイント】Facebook広告なども含め、測定環境を一元化し、データを統一できるのが統合プラットフォームの価値の一つですね。動的にアトリビューションマネジメントを実施できるのもとても興味深いと思いました。アトリビューションの評価サイクルがスピードアップしていくか注目です。

 

※  このコラムはAttribution.jpの原稿「【アトリビューション特別対談】:Facebook、ソーシャル、アトリビューション - Kenshoo Sivan Metzger氏、治田耕太郎氏 ×アタラ杉原」を転載しています。

 

ABOUT 有園 雄一

有園 雄一

アタラ合同会社 取締役COO   オーバーチュア(2004~2007年)とグーグル(2007~2009年)で勤務。オーバーチュアで は、テレビCM投下量と検索数の相関分析調査を総合代理店の協力の下に実施。「○○で検索!」などのGo-to-Web型の広告手法を確立。グーグルで は、主にAdWordsの営業戦略の立案と実施を担う。現在、アトリビューションマネージメントコンサルティングを広告主や広告代理店に対して行ってい る。