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先週のアドテクシーン:DACが記事内動画広告「In-Read」を開始、ヤフーとブレインパッドが合弁会社を設立

(ライター:Ginger)

広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。

 

 

 

 

「ADJUST for Smartphone」を提供するcci、リッチアドを強化

スマートフォン向けプレミアムアドネットワーク「ADJUST for Smartphone」を提供するcciは、動画広告をはじめとしたリッチアドを新たに開発、販売を開始した。米Celtra Inc.社、米GoldSpot Media, inc.社 に加え、株式会社mobile360社との提携により、リッチアドの制作、フルビデオバナーを含むリッチアドの配信、レポーティング、YouTubeにアップしている宣材動画をアドの素材として活用など、リッチアド配信の全行程を提供できるようになった。成長を続けるスマートフォン市場において、企業がコンスーマーへ訴求する手法の拡大と、リッチアドへの取り組み障壁を下げることになるであろう。

 

 

DAC、記事内動画広告「In-Read(イン・リード)」を提供

DACは、高まる動画広告の需要に対してプレロール広告の在庫不足が否めない現状に対応すべく、通常の記事内で動画広告を配信する「In-Read」を開発した。ユーザーがページをスクロールして動画広告エリアをビューアブルになった際に動画広告を表示する。提供方法は、媒体社の純広告メニューの他に媒体を横断したメニュー、またDSP連携の第一弾としてTubeMogulからRTBにも対応して提供する予定。このサービスにオーディエンスターゲティングを組み合わせると、更に効果が期待できるのではないだろうか。

 

 

Facebook、2013年第四半期と2013年の収支報告が好調ぶり示す

ソーシャルネットワークの米Facebookが2013年の第四半期と2013年の収支報告を発表した。噂されていたユーザーの減少は今のところ見受けられず、月毎アクティブユーザーが7.5億人、日毎アクティブユーザーが12.3億人でそれぞれ前年比16%と22%の増加。モバイルユーザーは更に増進幅が大きく、日毎アクティブユーザーは前年比49%の増加であった。本業の売上げを示すレベニューは55%の増加と好調で、特に経費を差し引いたオペレーションインカムは、一昨年のIPO関連出費が一段落したのか前年比5倍の増収であった。

モバイルユーザーの増加に伴い、モバイル向け広告による収益の増加や、先日告知されたPaperのようにモバイルアプリケーションの開発提供によるユーザー数の増加を目指すのであろう。

 

 

リスティング広告自動入札の「THREe」に、「ヒト型ポートフォリオ」ロジックを搭載

株式会社ロックオンは、2月8日にリスティング広告自動入札ツールの「THREe」のバージョンアップを行い、日本初の「ヒト型ポートフォリオ」ロジックを搭載する。既存のポートフォリオ型はロジックがブラックボックスであったり、細かなチューニングを要したりヒトの経験とインテリジェンスが必要であった。そこでリスティング運用に長年の経験を持ったプロフェッショナルをロジック開発に参画させ、これまで自動化されていなかったコンサルティング要素を数値化してロジックに反映させた、他に例を見ない運用者からのボトムアップによるポートフォリオを開発した。ポートフォリオは統計学を用いた予測モデルのためデータ量が少ないと効力を発揮できず中小アカウントは恩恵を受けられなかったが、「ヒト型ポートフォリオ」搭載によって中小のアカウントにも利用を見込む。

 

 

マイクロアド、RTB経由のディスプレイ広告市場を2017年に1,000億円突破と予測

株式会社マイクロアドは2012年から2013年までの日本国内におけるRTB経由のディスプレイ広告市場の調査と、2017 年までの市場規模の試算を発表した。2013年のRTB経由の広告市場規模は前年比153%の392億円であり、2017年には1,000億円を突破すると予測した。モバイルでバイスの普及も受けて2014年から2015年にかけてはスマートフォン向けのRTB経由広告市場が拡大していき、2017年にはスマートフォン向けRTB経由の広告がパソコン向け広告規模を上回るとも推測している。広告タイプでは通信の高速化と費用定額制の普及により、パソコン・スマートフォンともに動画などを用いたリッチ広告が浸透していく見込み。広告手法では効率的で費用対効果の高いアドテクノロジーの利用が高まり、オーディエンスターゲティングを利用するシーンも増加すると見られる。

 

 

Yahoo! Japanとブレインパッド、データ分析とコンサルの「Qubitalデータサイエンス」を設立

 

ヤフー株式会社と株式会社ブレインパッドは、データ分析とコンサルティングを専門とする合弁会社、株式会社Qubital(キュービタル)データサイエンスを設立した。出資比率はヤフー株式会社が51%で、代表取締役兼CEOは株式会社ブレインパッドの草野隆史氏が勤める。ヤフーは昨年11月にYahoo! Japanのデータを利用したプライベートDMPの提供を発表したが、企業内にはビッグデータを分析する人材が不足している潜在課題に対して、データサイエンティストを抱え高度な分析実績を持つ、株式会社ブレインパッドと基本合意に基づき設立に至った。高度な分析とビジネスへの活用支援をするコンサルティングサービスを2014年3月から提供する。

 

 

(編集:三橋ゆか里)

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。