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電通、「2013 年日本の広告費」を発表 —ネット広告は前年比108.1%、DSPが急成長

(ライター:岡 徳之

電通は20日、日本国内の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2013 年(平成25年)日本の広告費」を発表した。これによると、昨年2013年(1~12月)の日本の総広告費は5兆9,762 億円、前年比101.4%であった。2013年の総広告費は、「アベノミクス」効果による持続的な景気の回復傾向と消費税増税前の駆け込み需要の影響もあり、2年連続で前年実績を上回った。

 

媒体別にみると、「テレビ広告費」(前年比100.9%)、「新聞広告費」(同98.8%)、「雑誌広告費」(同98.0%)、「ラジオ広告費」(同99.8%)の「マスコミ四媒体広告費」は同100.1%と微増。また、「プロモーションメディア広告費」も同 100.1%と2年連続で前年を上回った。メディア価値が定着してきた「衛星メディア関連広告費」(同109.6%)と運用型広告が好調の「インターネット広告費」(同108.1%)は、引き続き堅調に伸びた。

 

インターネット広告媒体費を市場全体でみると、デバイスの多様化・進化や景気回復による後押しもあり、2013年は前年を上回る伸び率で成長した。市場の内訳をみると、従来からある枠売り広告は伸びが横ばいとなる一方で、新興領域である運用型広告は高い伸びを示した。

 

枠売り広告は、「情報・通信」「自動車・関連品」「食品」「飲料・嗜好品」を中心に幅広い業種で出稿が定着。手法としても、主流であるポータルサイトの活用に加え、ジャンルを特化した各種専門サイト、動画などのリッチ広告、ソーシャルメディアやスマートフォンサイトおよびアプリなど、さまざまな展開がみられた。デバイスが多様化する中、広告業務においてはデバイス横断型でキャンペーンを管理する“デバイスフリー”への試みが始まっている。

 

インターネット広告媒体費のうちの運用型広告費は4,122億円、同121.6%。 運用型広告費の大半を占める検索連動広告の市場は、スマートフォンやタブレットなどの普及拡大も追い風となっており、引き続き拡大基調にある。また、RTB(リアルタイム入札)によるDSP(広告主側からみた広告効果の最大化を支援するシステム)を活用した、ターゲティング効果の高い新しい広告手法が急成長している。さらに、動画を活用した運用型広告も急伸している。業種としては、従来からの中心業種である「金融・保険」やeコマースを活用するさまざまな業種だけではなく、「自動車・関連品」「食品」「飲料・嗜好品」などの業種においても、ブランディングを目的に運用型広告の活用が拡大・浸透しつつあるという。

(編集:三橋 ゆか里)

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長 米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。 2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。