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DSP「Logicad」のソネット・メディア・ネットワークス、12月に東証マザーズに上場

グローバルレベルでのアドテク不況の声も聞かれる中で、日本のアドテク業界から嬉しいニュースが届いた。
 
DSP 「Logicad」をはじめアフィリエイト事業、メディア事業を手掛けるソネット・メディア・ネットワークスが、東京証券取引所マザーズ市場への上場を承認されたことを公表した。同社は今年12月22日に上場を予定する。

 
有価証券報告書(PDFアイコンPDF)によると、同社の2014年度(15年3月期)売上は37億1300万円(対前年比160.4%)、経常利益は1億6900万円(対前年比257.8%)といずれも高い成長率で推移している。
 
インターネット広告業界におけるソネット・メディア・ネットワークスの歴史は古く、米国で当時クリック保証型広告のアドネットワーク最大手であったValueClick社(現Conversant社)の日本進出時、1998年に設立されたバリュークリックジャパンにまでさかのぼる。

同社はその後ValueClick社の100%子会社となり2000年に東証マザーズに上場する。しかしその後2004年にライブドアグループの傘下に入り、翌2005年には社名をライブドアマーケティングへと改称する。

2006年1月に、いわゆる「ライブドアショック」が起こり、同年4月に東証マザーズ上場廃止となり、同年9月に社名を「メディアイノベーション」へと改称した。その後、2008年1月にソニーグループの傘下に入り(厳密には、メディアイノベーションが現ソネット・メディア・ネットワークスに広告事業を事業移管し、ソネットエンタテインメントがその株式を取得した。)、同年9月以降現社名となり現在に至る。
 
同社は2012年にDSP「Logicad」をリリース。親会社ソニーから開発者を招き入れ、人工知能を搭載した広告配信アルゴリズムの高精度化に向けた開発を進める一方、フルマネージド型DSPサービスとしてきめの細かい運用を武器に競争力を高めてきた。他の国内外のDSPと比べると、メディアへの露出も少なく派手さはないが、口コミにより着実に新規クライアントを取り込み、高い利用継続率により売上を積み重ねてきた。
 
昨年から今年にかけての「Logicad」の好調については、業界内でもしばしば話題となっていた。このDSP不況のさなかにあって、同社2014年度のDSP事業は対前年比232.8%、21億円の売上をたたき出した。これによりDSP事業の売上は、同社売上全体の56.7%を占めるに至っている。
 
同社事業の主な顧客層はこれまでアフィリエイト事業、DSP事業ともダイレクトレスポンス系のクライアントが中心であったが、現在フルファネルに対応したプラットフォームの構築に向けて、テレビCMリアルタイム連動型広告配信や、潜在顧客ターゲティングオプションなど、クライアントのブランディング需要取り込みを意識したプロダクトの開発・リリースを進めている。

また直近では台湾への広告配信を開始するなど、海外展開にも意欲を見せており、こちらの今後の動向も期待される。
 
同社代表取締役社長 地引 剛史氏は、12月1日開催のアドテック東京のセッションに登壇する。
 
ExchangeWire.jpが直近で実施した地引氏へのインタビュー記事はこちらから。
 
また近日中にLogicadのアルゴリズムを司る人工知能「VALIS-Engine(ヴァリス・エンジン)」についてのインタビューの公表も予定している。

 

 

 

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。