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Google、オムニチャネルソリューション「来店コンバージョン」測定機能の国内導入事例を公表

Googleが12月21日、セブン&アイ・ホールディングス傘下イトーヨーカドーへの「来店コンバージョン」測定機能の導入事例を同社ブログサイト上で公表した。

「来店コンバージョン」とは、Googleの検索連動型広告をクリックしたユーザーが、実際にその広告主の店舗を訪問したかを計測できる仕組み。

このサービスは、米国でちょうど1年ほど前に提供が開始された。米国、オーストラリアなど計7カ国で提供され、日本では今年10月頃に提供開始が公表されている。

このコンバージョンの計測には、ユーザーが持ち歩いているスマートフォンのロケーションデータを活用。具体的には、ロケーション履歴をオンにしているユーザーのデータをサンプルとして集計、匿名化したデータに基づき広告をクリックして来店した全体的な人数を算出するという仕組みとのことだ。

今回イトーヨーカドーは、1カ月間を対象に、検索連動型広告をクリックしたユーザーの来店効果を計測、その結果“オンライン広告の包括的効果”や“スマートフォン”の優位性が明らかになったとのことだ。

スマートフォンの優位性については、下記の調査結果を示している。

以下、Google Inside AdWords-Japanより抜粋。

「来店コンバージョン」測定結果をデバイス別にみると、来店率、来店単価ともにスマートフォンが PC より効果が高いことがわかりました。スマートフォンで検索した人のうち来店した人の割合は 10.4%、PC からの来店は 7.2%(図 1 参照)。モバイル広告による 1 人あたりの来店単価は PC より約 40% 低く、費用対効果も高いという結果がでました。(図 2 参照)

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(図1)検索からの来店率
(図2)検索からの来店単価

一般的に、インターネット広告はWeb上のユーザー行動やその効果は把握することが出来るが、店舗を持つ広告主などが広告を出稿した効果として、その目的である店舗送客の効果があったかどうかをWeb上のコンバージョンのように高い精度で計測することはできない。

このことが、店舗を持つ、あるいは店舗送客を自社サービス評価のKPIとする企業が、インターネット広告を出稿した効果をどのように計測し、評価をすべきかについて、常に悩まされてきたが、今回のGoogleとイトーヨーカドーによる取り組みは、これを解決し得る大きな前進ともいえる。

数年前までインターネット広告とは縁遠かった店舗小売業の広告主企業、しかもその最大手がこのような取り組みを行い、その事例を公表したことは、インターネット広告市場に様々なプラスの影響を及ぼすこととなろう。

導入にあたっては、環境を整備するためにGoogleと広告主との間で一定期間の密な連携が必要であり、またGoogle側は、広告主側に対して、ビジネスサイズやサイトトラフィックなどで導入条件を設定している。

このため、このソリューションが一気に広がるということではなさそうだが、そう遠くない将来、今後確実にサービスの軽量化が図られ普及スピードを高めてくるであろう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。