先週のアドテクシーン:Yahoo! JAPANとSizmek戦略的提携、CAがAmebaデータを活用したアドテク事業者A.J.A.など新会社4社設立

(ライター:Livit Tokyo 中井 千尋)
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
【サービス連携・業務提携】
パブリッシャー・マネタイゼーション研究会、媒体社共同体「Japan Publisher Alliance on Digital」を発足
パブリッシャー・マネタイゼーション研究会は、媒体社共同体「Japan Publisher Alliance on Digital(J-PADTM)」の発足を発表した。米国の3分の1程度である国内の広告枠の質に対する対価を是正するため、販売手法の導入やオペレーションを媒体社が共同で取り組む。AFPBB News、東洋経済新報社など6社が参画し、PubMaticが提供するプラットフォームを利用した共同PMP商品などを提供する。
博報堂、デジタルプロダクト開発スタジオのリアクタージャパンと業務提携
博報堂は、リアクタージャパンと共同でデジタルテクノロジーを用いた企業の新規事業開発や既存事業のデジタル化の統合支援サービス「Innovation Generator for Enterprise」の提供を開始した。人工知能による接客機能開発やVRを使ったバーチャルショールームの開発、既存のハード商品のIoT化といったテーマにおいて企業を支援する。リアクターはフィンランド・ヘルシンキに本社を置き、IoTサービス開発やロボット/人工衛星を開発する高度な技術を持つ。
Yahoo! JAPAN、Sizmekが戦略的提携
Yahoo! JAPANは、Sizmekの広告管理プラットフォーム「Sizmek MDX」の販売総代理店として国内の販売を強化していくと発表した。広告主・広告会社は、広告制作、配信から効果測定まで、媒体横断、デバイス横断の広告キャンペーンをワンストップで実施可能。また、SizmekのプラットフォームとYahoo! JAPANのマルチビッグデータの活用で、ユーザーに合わせてメッセージやクリエイティブを最適化できるようになる。
【新サービス・新機能】
アドウェイズ、中国越境ECデータサービス「Nint for China」にて京東商城のデータ提供を開始
アドウェイズは、中国の現地子会社を通じて提供する中国越境EC市場データ分析サービス「Nint for China」において、中国EC市場でシェアNo.2の「京東商城」が持つ販売データの提供を開始した。業種分析、人気商品分析、人気ショップ分析が週次・月次で提供される。中国の主要ECモールの動向を網羅するサービスとして日本初となる。
DAC・朝日新聞社・集英社、ラグジュアリー・メディア「T JAPAN web」を提供開始
DAC・朝日新聞社・集英社の3社は、ラグジュアリー・メディア「T JAPAN web」の提供を開始した。もともと、ニューヨーク・タイムズ社が米国で発行している「T: The New York Times Style Magazine」の日本版として、2015年3月に朝日新聞社と集英社が共同で創刊していたフリーマガジン「T JAPAN」のデジタル版となる。本誌T JAPANの人気記事に加え、雑誌に掲載されていないT: The New York Times Style Magazineの記事、さらに編集部が取材し書き下ろしたデジタル限定コンテンツなどを毎日更新する。
AOLプラットフォームズ・ジャパンのSSP「ONE by AOL: Display MP」、ヘッダービディングへの対応を開始
AOLプラットフォームズ・ジャパンのSSP「ONE by AOL: Display MP」は、純広告や他のアドネットワークも含めて最高額の取引を実現するヘッダービディングへの対応を開始した。これにより従来の「ウォーターフォール型」と呼ばれる広告販売手法が抱えていた機会損失の課題を解決し、媒体社の広告収益最大化への支援を強化する。
ユナイテッドのSSP「AdStir」、レコメンドウィジェットのメディエーション機能の提供を開始
ユナイテッドのSSP「AdStir」は、ニュースなどの関連記事を表示するレコメンドウィジェットのメディエーション機能の提供を開始した。このメディエーション機能を活用すれば、複数のレコメンドウィジェットを一括管理でき、それぞれのレコメンドウィジェットの収益性に応じて、媒体社が配信比率のコントロールをすることが可能となる。
【新会社・新組織】
サイバーエージェント、Amebaデータを活用したアドテク事業者A.J.A.など、新会社を4社設立
サイバーエージェントが11月1日付で新会社を4社(株式会社A.J.A.、株式会社CyberW、株式会社トルテ、株式会社ニジスタ)設立した。事業内容はAmebaデータを活用したアドテク事業社やアニメや声優情報のメディア事業者など多様であるが、社長はすべて20代となっている。
日本アドバタイザーズ協会、デジタルメディア委員会を新設
事業会社のマーケティング部門を中心に結成されている日本アドバタイザーズ協会は、デジタルメディア委員会を新設した。(PDF) 今年3月の伊藤理事長新執行体制の発足時に掲げた運営方針の一つである“デジタルメディアへの取り組み”の一環で、デジタル環境下における広告取引の適正化と安全安心の実現を目指す。電通の不正取引の事件が背景にあると考えられる。
mediba、沖縄支店に社内カンパニー制を導入 カンパニー名を「seasorize」と命名
medibaは沖縄支店に社内カンパニー制を導入した。沖縄支店のカンパニー名を「seasorize」と命名し、独自のブランディングを目指す。設立から5年となった沖縄支店で、本制度導入により迅速かつ柔軟な経営を推進し、さらに事業を拡大していく。それとともに沖縄独自の企業文化をつくり、継続的に発展する組織を目指す。
ABOUT 野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。