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広告主がRTBをモバイル動画利用に受け入れる理由

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

RTBは、キャンペーンや広告配信ごとに大きな費用をかけずに評価、反復、最適化が可能なため、最適な広告方法をテストするのに優れた方法である。本コラムでは、AppLift社のCEO Tim Koschella氏が、広告主にとっての利点を解説し、モバイル動画の消費が今後急増すると予測する理由について説明してくれた。

現在、モバイル動画のリアルタイム入札が大きく飛躍しており、パブリッシャーや広告主にとっても非常に良い傾向であると考えられます。

RTBでは広告主が在庫をバイイングする場所、時期、価格についてのより詳細な管理が可能なため、広告主にとって有益なツールです。フリークエンシーキャップ、広告のシークエンス配信、ファーストパーティ、サードパーティなどのデータを活用して、広告バイイング決定をサポートする高度な戦略確立が可能になります。

これらのメリットを活用することで、モバイル動画への投資を強め、初めて試みる施策に対して広告主をサポートします。これは、パブリッシャーにとっても利点があり、入札競争を通じて、潜在的な買い手候補を探し、より多くの在庫をより高い価格で販売できます。また、パブリッシャーはより多様な広告の恩恵を受けることができるため、同じネイティブ広告を同一のユーザが複数回閲覧するような事態を回避できます。

Tim Koschella氏、AppLift社 CEO

このプログラマティックによるモバイル動画を業界がどのように位置づけ、そして広告主、とりわけこのようなやり方に慣れていない企業が、どのようにして最良の結果を得ることができるのかを見てみましょう。

モバイル動画は、エンゲージメントやコンバージョンが非常に高いため、ブランディングだけでなく、パフォーマンス用途に非常に向いたフォーマットと言えます。さらに100%のビジビリティをサポートし、通常はプリキャッシュされているため、インターネット接続が弱い場合でも動画は中断することなく再生されます。そういったメリットにもかかわらず、多くの広告主はこのフォーマットへの投資が遅れており、携帯端末でユーザが費やしている時間の長さにもかかわらず、大きな予算を割り当てていません。

IABの調査によると、プログラマティックによる動画バイイングは、2016年のデジタル動画広告費用の41%を占め、過去2年間で58%の伸びを示しています。広告主は徐々にプログラマティックにより安心感を覚えるようになっています。プログラマティックによるモバイル動画の在庫バイイングがより容易になることで、フォーマットの採用も増えていきます。この変化の背景にはいくつかの原因があります。

1.

昨年、モバイルへの投資を重視するエクスチェンジにおいて、RTB上で動画インタースティシャル(オプトインとスタンダード(「報酬あり」と「報酬なし」)を可能にする技術の開発へ投資が行われました。

2.

モバイル動画広告ネットワークにて、パートナー経由または独自のエクスチェンジテクノロジーを開発して、RTBによる在庫サービスが開始された。

3.

パブリッシャーは、プログラマティックによるモバイル動画をサポートするためのテクノロジー採用を開始しました。モバイルアプリの大規模な変更には、時間がかかります。開発者は、アプリ内で新しい技術を展開するにあたり、アプリストア内のアプリビルドを更新する必要があります。新しいテクノロジーの利用には、最新のアプリケーションバージョンに更新する必要があります。このプロセスは2016年に始まったばかりで、市場への影響を確認しているところです。

新しいモバイル動画広告主に向けたアドバイス

RTBでは、モバイル動画を快適にサポートするために、必要な透明性と広告主のコントロールが可能になります。モバイル動画のバイイング者のほとんどはパフォーマンス指向であり、アプリのインストールは最もよく利用されるコンバージョン指標です。しかしながら、アプリ内のインタースティシャル広告を含むモバイル動画の在庫によって、サインアップやメンバー入会、バイイング、問い合わせなどのパフォーマンスを目標としているユーザに加えて、ブランディングへの利用などに対しても効果を発揮します。

モバイル動画を検討している広告主は、ある程度の予算を費やし、キャンペーンの評価を行う必要があります。また、利用可能な動画広告在庫の種類についても理解を深める必要があります。

1.

プレロール、ミッドロール、ポストロール:これらの広告は、動画コンテンツの前、中間、または後に配置されます。通常、この広告枠は高額です。これは、テレビ広告やデスクトップ動画と類似しています。一部の広告主はデスクトップキャンペーンの延長として利用しています。

2.

ネイティブ動画:これは、デスクトップの「アウトストリーム型動画」と同様です。動画プレーヤーは、アプリまたはモバイルウェブのフィードに直接埋め込み利用されます。

3.

インタースティシャル動画:これらの広告は全画面表示で、通常は100%表示可能です。ほとんどの場合、プレキャッシュされた広告で、HD動画も待ち時間なく再生できます。これはモバイルのみで利用されるフォーマットで、デスクトップワールドには存在しないため、企業のマーケターの検討が遅れ導入に時間がかかります。動画の長さは15〜120秒で、配信内容に応じて15秒または30秒を超える広告は通常スキップ可能です。

テストを行い、投資に十分値すると自信を持つまでには時間がかかります。インタースティシャル動画は実際にはすべての形式の中で最も効果的です。

他の形式の動画広告とは異なり、ほとんどのモバイルインタースティシャル動画広告には、動画の最後に表示される「エンドカード」やコンパニオンバナーがあります。エンドカードは、宣伝された商品の行動や要約を明確に示すクリックアウトのために非常に優れたツールです。そのため、インタースティシャル動画は他の形式の動画広告よりも高いクリック率を生み出します。

RTBは、キャンペーンや広告配信ごとに大きな費用をかけずに評価、反復、最適化が可能なため、フォーマットをテストするのに優れた方法です。プログラマティックの利用に安心を覚えるようになった広告主様にとって、モバイル動画への予算を効率的に活用するのに役立つでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。