「ビューアビリティ・広告取引透明性のグローバル潮流を語る」-オムニバスイベントレポート-第2回
オムニバスは、今年3月21日にMOAT社を招き、ビューアビリティ計測や広告取引の透明性のグローバル潮流をテーマにしたイベントを開催した。
当日の様子についてお届けするこのシリーズの第二回目は、MOAT社 APAC and Japan Director XIAOMING SHAO氏(写真左)と、オムニバス代表取締役 CEO山本章悟氏(写真右)によるパネルディスカッションである。
前回の内容はこちら
― 広告主、広告代理店、アドネットワーク、媒体社。どこがMOATを導入すべきか?
SHAO氏: それぞれのプレイヤーがやはり違うデータを持っていると思います。広告主様は自分のデータ、代理店様では扱っている複数の広告主のデータ、アドネットワークは買い付けされたキャンペーンのデータ、そして媒体はやはりホリスティック・全体的な自社メディアの広告枠に関するデータを持っていると思います。そういう観点では、できれば全部のプレイヤーに計測ツールで測定をして頂きたいというのが本音です。
ただ広告主様が直接媒体社様から広告を購入した場合は、ランオフネットワークとかローテーションされていて、その媒体について一部の在庫しか買っていない。にも関わらずそれを測定してインビューレートが悪いですよ、と媒体に意見するのはフェアじゃない状況になるかもしれないですね。
媒体自身も自社で(ビューアビリティについて)計測・把握しておくことで、広告メニューの中でも上の枠、真ん中の枠、下の枠、それぞれインビューレートは変わってきますのでと話しができる。そうすることでクライアント側が70%のインビューレートを期待しているとすれば、その場合はこことここの掲載位置の在庫をこうしてミックスしないとね、というような判断材料を持たれたほうが良いと思います。もうひとつ例を出すと、広告主様は、自分たちの製品と、自分たちのカテゴリーしかわからない、ただ代理店様は複数の業種業態にまたがったパフォーマンスデータを持ちえて、それを提案に生かせる。ですので結論としては全てのプレイヤーに計測をして頂きたいですね。
山本氏: 日本だと話題になるのが、「媒体社が計測を嫌がるのではないか」ということ。過去アドベリフィケーションツールが日本で始まった時期にも、「データ抜かれるから嫌だ」という反応があったように、媒体社からのネガティブな反応はありませんか?
SHAO氏: はい、これは米国と対比的で面白い話です。米国ではビューアビリティについて最初に推進していたのは、実は広告主様ではなく媒体社様だったんです。Forbes様とか、NY Times様とか、CONDÉ NAST 様とか。
いかに広告主様が自分たちの媒体に広告出稿しなければならないのか、その付加価値の証明のために、ビューアビリティの高さや滞在時間の長さなどの指標を用い始めました。つまり目的としては、高いCPMでの課金維持、あるいは次のキャンペーンバジェットのリニューアルがあり、その点で出発点が日本のケースと大きく違うのかなと思います。
ただ今この状態で、まず広告主様が測定したいというリクエストの中でどういう風に対応するかというと、
ロジック的にはビューアビリティを求める広告主様の意見は正しいです。広告配信にあたって、やはり見えていなければ効果は発揮されないよね、という非常にわかりやすい理屈の中で、実際に100%というのは実際には難しいという状況で、高いインビューレートを求めていくのは自然の流れだと思います。
そこに向き合って、どうやって自社媒体のインビューレートを高めるのか、というのが正しい対応かと思います。
― ダイレクトレスポンス型のキャンペーンには導入意義が低いと感じるがその認識は正しいか?
山本氏: これも日本によった話ですが、ブランド広告に対してのインビュー計測が日本で広まらなかった背景としては、日本のネット広告出稿のほとんどがクリックCVを狙ったいわゆるダイレクトレスポンス型になっていて、「見られてなくてもクリックされたら、CVされたらいいじゃん」という節があり、意義が低く見積もられてしまったきらいがあるのかと思っています。これは米国ではどうなのでしょう、ダイレクトレスポンス型の案件でも使うのでしょうか?
SHAO氏: はい、結論としては使われています。これはコストの計算方法にも関係してくるのですが、CPC広告、あるいはCPA広告。それについて、イコールCやAにしか費用は払っていないよ、という考え方ではなく、米国では3PASのコストやクリエイティブの制作コスト、配信のストレージングコスト、アドオプスするコスト、それらすべてのコストを計上して、じゃあCやAに最終的にいくら掛かっているのか、というアクチュアルなコストが議論されます。
ですので、実際にはCPCにしか課金されていなくても、ほかのいろいろなコストも一緒に計上されています。そこでは、ビューアブルでない広告枠は、クリックやCVだってされないよね、という理屈で考えられています。そうするとアドフラウドについても、クリックフラウドという手法が実際にあったりもしますので、それについて対策したり。ラストクリックCVモデルなのかポストビューなのか、広告主さんにとって意義のあるCVなのかを見極める必要があります。
山本氏: 純広告の世界ではなく運用型広告の世界では、例えばCVなどに対して自動オプティマイズがかかる、つまり運用していくなかで自然とビューレート等の数値も高いサイトに寄せられていくのではないかと思うのですが、そこはどうでしょう?
SHAO氏: 今のところはその国々のデジタル広告商習慣にアルゴリズムが寄っていくと思うんですけれど、ラストクリックCVとなるとやはりクリックに対するオプティマイズ(最適化)は掛かるような仕組みになっていて、インビューに最適化されるような構築はされていないと思います。
例えばあるドメインレベルでインビューの平均値が全部見られていて、値の悪いドメインを省いていけばパフォーマンスは上がるだろうと考えられるのですけれども、わざわざプログラマティックではなくインビューの良いドメインを直接買い付けることも出来るのでそうすると仲介者を省くことが出来たり、安定したトラフィック量を買い付けられます。プログラマティック運用の最適化とは別の使い方も出来るということですね。
― 世界最大手のCPG(一般消費財)企業に導入をされた要因は?
SHAO氏: やはり広告の配信される先が本当に人に見られる位置にあるか、かつ人に向けて配信されているかどうか、この2点の土台をクリアしないと、その後のパフォーマンス改善は望めません。一度測定結果を開示して見せて、半分の広告が見えないような位置に配信されていたことが非常に大きな問題になりました。その分の予算をどのようにアロケーションするか、が大きな導入理由でした。
山本氏: 導入は大手のブランドの広告主が多いのでしょうか?
SHAO氏: 理想を言えば米国と似たように、媒体社様が先にMOATなどのツールを導入して、自分たちの在庫や広告メニューをクリーンナップ、改善した後で広告を販売されるのがベストです。しかし現時点では残念ながら広告主様主導になっておりますので、今後はより媒体社様の動き・向き合い方が焦点になると思います。
― 米国では市場への導入が成功しているが、どのようなアプローチを行っていったのか?
SHAO氏: インターネット黎明期の頃から大きく変革された点として、ネットで媒体を立ち上げるハードル、広告を配信するためのコスト、が昔とは比べ物にならないほどに下がってきました。そうするとしっかりと質の良いコンテンツを作成している媒体と並んで、数行程度の内容でトラフィックを稼ぐサイトが生まれてきました。
そこですべてのメディアをimpやPV,CTRで評価してしまうと、伝統的なメディアは非常に苦しくなります。重複になりますけれど、米国では媒体社様の側から危機感を持ち「なぜ広告主は自分たちの媒体に広告を出稿するべきなのか」、どうすれば高い広告単価を維持できるかという目的意識のもと、PV単位では戦うべきではないと考えるに至りました。それよりも1つのページのコンテンツをしっかり作成して、ユーザーに読んで貰おうとし、そうするとそれに関連したツールがどんどんと求められるきっかけになった、というのがあります。
山本氏: つまり、いわゆるプレミアムメディアと言われるようなプレイヤーの動きと連動して導入が進んだという話でしょうか?
SHAO氏:おっしゃる通りです。なおかつ、媒体社様側の動きもきちんと広告主様側からの要望に照準が合わせられています。
例えばラグジュアリーブランドだと、ネットでアドを見て、リタゲして本当に買うのでしょうか?むしろ数年後のようなスパンで、結婚や出産などのライフイベントの際にそのブランドが想起されるような寄与の仕方のほうが多いのではないか。
そういう蓄積されたブランディング効果を作るのに、定期的にユーザーにリーチしてメッセージを届けないといけない。そうするとコンテンツのクオリティが担保されないようなサイトに出稿するだけでよいのかを、滞在時間はどうなのかエンゲージメントはどうなのか、などの指標・評価をしっかりとしているプレミアムな媒体への出稿と比較することが重要視されています。
山本氏: 実は前回の弊社セミナーの際のゲストが、現在 ByronというプレミアムWEBメディアを運営されている、元BRUTUS編集長の斎藤さんという方でした。そういう一流雑誌出身の方がWEBに移籍されていて、お話されていたことは「僕らはPVはどうでもいい」ということでした。PV数的には巨大なものでなくとも、記事(コンテンツ)についてめちゃくちゃこだわっていて、クオリティが高い。そこにハイエンド・ラグジュアリーなブランド広告主の出稿がすごく集まっているというのを聞いて、SHAOさんのビューアビリティが広まった背景とも非常にリンクするなと感じました。
― 国内での導入アプローチはどのようになるのか?
SHAO氏: 広告取引のバイサイド(広告主)とセルサイド(媒体社)でいうと、バイサイドの広告主様などに紹介すると非常に刺さるので導入がしやすいです。一方でセルサイド様にお話するとバリューは感じつつも、リスクを取って導入し、かつその結果を商品構築に活かして売上につなげるとなると、どうしても躊躇されるケースは多いと思います。
ですので、いくつか先進的な媒体様を中心に啓もう活動をして、きちんとその成果を広告主様にも還元するというのが、一番大事なアプローチじゃないかと思います。これらの話は最終的にwin-winになるものだと思っていまして、プレミアムパブリッシャー様の良い位置の枠が高く評価されるようになって、その下に位置するエクスチェンジなどの枠がどんどん無くなって欲しいなというのが、私の個人的な期待でもあります。
― MOATでInview定義のマトリクスを変更可能か?(講演パートでは代理店や組織によってビューアビリティの基準が違うとのことだったが、これは代理店の定義であるのか、MOAT側で測定していてのことなのか?)
SHAO氏: 基本的に我々MOATの計測ツールベンダーという立場としまして、契約者様が、それがセルサイドであろうとバイサイドであろうと、「こういう定義で測定したい」という要望を頂いたらそれに沿うような形で測定を実現しようと致します。1%-100%、1秒-何秒までも、そこについて是が非かを発言する立場ではありません。
― 日本国内で話題となったアドフラウドニュースについて
山本氏: こちら、大手新聞紙にて国内のアドフラウド被害が割合として10%、総額100億円にものぼるという報道があり、大変話題となりました。先ほどSHAOさんの講演では日本でのIVT比率は2.2%ほどと、かい離もあるようでした。
私もJIAA様などに詳細について伺ってみたところ、このニュースについては日本のとあるベンダーが、どのアドネットワークかを伏せた状態で自社ツールによるアドフラウド測定を行ったところ10%ほどそういうトラフィックがあり、それを日本のインターネット広告費に掛け算をしたところ、100億円超という数字が出てきたとのことでした。
なので、アドフラウドが注目されるきっかけになりつつ、不安感がひとり歩きしている部分もあるのではないかと思っています。SHAOさんの方からも何かございませんか?
SHAO氏: 私からは海外でのアドフラウド被害の傾向について少しお話させて頂くと、米国で取引されているネット広告はだいたいCPM課金で、動画広告だとCPM4,000円~5,000円と比較的高額でやりとりされています。そうするとアドフラウド(のトラフィック)を行う価値がそのぶん高まるということになります。
しかし同じことをほかの国や地域、メニューで行おうとすると、アドフラウドを行うような不正業者が稼げるかどうかが変わってしまうんですね。例えば日本のようにCPC課金が盛んな国ではインプレッションに関するフラウド(詐欺)を行ってもお金にならない、クリックフラウドをやろうという話になる。また東南アジアなどの話になると広告のCPM単価がそもそもすごく低いので、フラウドするコストの方が高くなってしまう逆転現象なども起こっています。
そういうことを考えるといろいろな国と地域でフラウドの種類や定義、それに対応する方法も変わるでしょう。その中でベースとしては、人間によるトラフィックでなければ価値がないということについては不変だと思いますので、きちんと計測をして、国々で対応する必要があるかと思います。
― ビューアビリティの議論と、アドフラウドの議論は別軸で考えるべき
山本氏: 本日ここまででもお話がありましたけれど、ビューアビリティはブランド広告のしっかりとした指標を作り上げていき、より広告価値が上がるように持っていきたいというポジティブな方向性の話で、不正な業者が利益を搾取する構造のアドフラウドとは別問題でとらえた方が良いだろうと感じました。
SHAO氏: アドフラウドの問題は媒体では(責任は負いつつも)対応しきれない部分があります。それこそロボットに勝手にアクセスされていて自分たちでは何もできない可能性がありますから。一方ビューアビリティの問題は、(より良い掲載位置の配置を考える)サイトの構築に関してなので、どの場所に広告枠を設置するか、ページの下に行くとそこで初めてロードするかなど、媒体社様がコントローラブルで、責任を担える領域だと思います。ただ広告主様からの観点では、どうしてもサプライサイドには両方への対応を求めていらっしゃるのかなと思います。
― MOATのような3rd partyベンダーと業界としてどのように向き合うべき?
SHAO氏: 本日のテーマである「ビューアビリティ」の例に限らず、アドテク業界では毎回「黒船」のような形で新しい考え方やツール、サービスが登場するケースが多いのではないかと思います。
米国の市場で誕生し世界へ、ヨーロッパには12カ月の遅れ、日本には24~36ヶ月の遅れで展開されるというのが全体傾向です。そこで重要なポイントとして「測定パーティがとりわけ3rd Partyである」ことの必要性について意識は徐々に浸透されて来ているかと思われます。
なぜかというと、みなさまも日頃FacebookやGoogleによる調査結果やケーススタディをご覧になっていると思いますが、そういう例の中に彼らの媒体価値を否定するような結果があったことって、おそらく無いのではないでしょうか。
それが示すこととして、大手パブリッシャーが自身で媒体価値を評価するのは良くない(コンフリクトがある)ことで、評価するのはやはり出資関係などの無いクリアな3rd party ベンダーであるべきなのではないか、ということですね。
※以降、会場来場者を交えたQ&A
Q. SHAO氏の講演パートで国内動画広告に対するIVTレートのお話がありました。この数字というのはインストリームのみならずアウトストリーム型の動画広告も含めたものなのでしょうか?
SHAO氏: はい、インストリームに加えてアウトストリームも測定しております。例えば Teads様やUnruly様など、ほとんどのサービス会社様でも弊社のツールで測定しています。
アウトストリーム型の広告は非常にバラエティに富んでいるというか、例えばコンテンツと連動して動くような枠、あるいは常時画面の上部に掲載されるオーバーレイ型の枠、あとはプレイヤーのスペースまで遷移すると初めてエキスパンドして配信されるフォーマットなど、実装方法次第でインビューレートも完全視聴率も大きく違ってくるという印象があります。
あと動画広告について付け加えるならば、音声が非常に重要になると思います。音声自動オフなどの際には広告主様の方で字幕を付けたり、色々と努力はされながらも、やはりテレビCMに近いクオリティでのメッセージングを求めると音声は非常に大事です。音声無しの動画広告の場合だと、クリエイティブが動画になったディスプレイ広告として扱うべきかな、というような話も海外ではされています。
Q.モバイルの広告の場合、アウトストリームでは音声オフがメインかと思うのですが、そのお話は海外では音声オフのモバイル動画広告はディスプレイとして換算しているということでしょうか?
SHAO氏: 回答としては「KPIがディスプレイのそれを置いている」ということになります。どうしても媒体様側の問題でUXなども考慮した場合に音声オフにしなければならないという場合、いくつかの工夫があり、例えばオーディオジャックのON時OFF時で広告音声のONOFFも切り替えるというもの。そして音声OFF配信での広告について、インストリームアドとの比較ではなくて普通のバナー広告としてKPIを設定しているというケースが多いです。基本的にはアウトストリームとインストリームで別々の媒体として扱った方が良いというのは最近の傾向ですね。
Q. 以前御社のツールを用いてクライアント様のキャンペーン計測を行うことがあり、モバイルではオーディブルは測れなかったのですが
SHAO氏: はい。動画広告の測定にはVPAIDに対応している必要があります。日本ではまだVPAIDがそこまで広まっておらずVASTタグがメインかと思うのですが、今MRCなど業界的に求められている基準の計測を行うためにはVPAIDでないと正しく行えません。プレイヤー側の対応か、アドサーバー側の対応か、やはり大手クライアント様のバジェットに対応するには各ベンダー様でVPAID対応がひとつの急務かなと感じています。
山本氏: モバイルではVPAIDが使えないですがそちらはどういう対応がありますか?
SHAO氏: モバイル(App)の話は大きく2つのやり方があって、1つはWEBビュー。ChromeやSafariのブラウザをコールしてその中でWEBビューのプレイヤーを使うと、VPAIDには対応できます。ただUX的に最初の数秒が暗転など良くなくなります。またネイティブビューだと、2つ目に弊社SDKがありますので、弊社のSDKを導入すると、VPAIDと同じようなデータの伝達が出来るので、それを導入すると対応できます。
Q. 他にはノンアクティブ、いわゆるブラウザのタブ的に後ろに隠れた状態でYouTubeで音声だけ聞いているような状態については、測定可能ですか?
SHAO氏: はい、出来ます。VPAIDの測定によって、精緻な視聴到達率などに関するデータ以外にブラウザ(タブ)のアクティブ・インアクティブについても計測することが出来ます。今のユーザー様の閲覧行動などを調べていると、果たして本当に画像は全部見ているのか、質問した方もおっしゃったように、耳でだけ聞いているような環境も増えてきています。そういう意味でも音声ONは非常に重要ですよね。
Q. ビューアビリティの計測とアドフラウドへの対策、この2点が整備されないことにはネット広告費がテレビ広告費のような成長軌道に乗ることは無いのではないかと思います。海外ではメガクライアントがきちんと3rd Party計測に対応したプレイヤーでないと取引はしないと代理店およびメディアに向けて宣言されました。代理店は欧米の場合、フィー制でコストを請求できますが、パブリッシャーは3rd Partyベンダーを入れた際の計測コストについてどう賄われているのでしょうか。
SHAO氏: 今のところ各社が計測ツールをどういう目的で入れられているのかと言うと、バイサイドは買い付ける広告在庫がちゃんと価値があるかどうか、セルサイドは自社の広告枠価値がちゃんとしていることの証明と、基本的に自社のために用いられています。
また一方で質問した方がおっしゃっているようなトラディショナルなメディア、例えばテレビ局様が米国でニールセンに対して投じられているコストは、デジタル計測費よりもケタが1つ2つ変わるほどの額にのぼります。
私の希望というかビジョンとして、各社が自社の利用目的で都度利用される段階から一歩進んだステージとしては何があるのかと考えると、デジタルの3rd Party計測ツールを出身とした、トラディショナルメディアなども全部機能でカバーしかつ中立の立場でバイとセルを仲介するような、大きなプレイヤーが誕生すれば、また弊社がそうなれればいいなと思っています。
皆が認める中立な監査を行うような組織があって、それぞれのプレイヤーがそこにお金を支払う、また新しいメディアやプレイヤーに関しても必然的にそこに参加することで秩序が保たれるような、そういう状態が理想であると思います。
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ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長 慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。