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ボット、GDPR、セカンドパーティデータ:データ品質が2018年の最注目ポイントである理由とは?

(翻訳:Asia Plus 黒川賢吾)

2017年が終わり、広告主にとって将来について考える必要がある。データやインサイトは、2018年も、キャンペーン成功のために必要な役割を果たし続けるだろう。

しかし広告主は、データの量ではなく、最高品質のインサイトと知識を得るための方法により多く注力するように変化している。データの正確性と透明性がこれまで以上に求められるようになっているのである。Lotame社のCRO Eric Marterella氏が、今後のGDPRルール、またセカンドパーティデータの活用が、広告主にとって最高な品質のインサイトの発見、高いレベルでの広告戦略においてどのように有益であるかを解説してくれた。

データ品質は2018年に最も注目を浴びている項目です。今年業界において起こりうるデータ品質に関しての3つの予想について解説しましょう。

ボット問題の解決が必要

2017年はデジタルの透明性に関する問題が全てでした。 議論の大部分を、不透明なプログラマティックのサプライチェーンに費やしてきました。 しかしながら、私は、ボットこそがキャンペーンとオーディエンスの透明性確保のために、最も脅威な問題の一つであり続けると考えています。

例えば、Distil Networks社は、ボットがインターネットトラフィックの約40%を占め、ウェブサイトの94%はマーケティング分析においてボットにより歪曲されていることを発表しました。ボットトラフィックは、デジタルエコシステム全体にネガティブな影響をもたらします。 パブリッシャーの場合、ボットはファーストパーティオーディエンスデータを膨張させ、帯域の無駄な消費やコンテンツの著作権侵害、偽トラフィック、正しくないサイト分析を冗長します。ボットは、頻繁にデジタル広告にクリックやエンゲージメントの部分で悪影響を与え、キャンペーンの効率化に対してネガティブに作用します。

2018年には、ボットの問題を解決するための努力により注力する必要があります。これは無視するには余りにも大きな問題で、ベンダーレベルでの対応が必要です。今年は、より多くのアドテクとマーケティングプラットフォームが、サードパーティによるボット検出および品質測定パートナーと協業し、在庫やデータの精査を行うようになっています。これは、広告主とパブリッシャーに真の透明性を提供するための唯一の方法です。

GDPRの歓迎すべきスタート

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Eric Marterella氏、Lotame社 CRO

5月にGDPRがスタートします。デジタルに関するデータ収集に関しての新たなルールが有効となることで、EUの消費者は、個人情報がどのように活用されるかについてよりコントロールできるようになります。

広告業界では、この新しい規制への受け入れは総じてネガティブなものでした。 ブランド企業や代理店は消費者の広告体験を成功に導くために消費者データに依存しています。しかし、GDPRは匿名のデータと個人データを同様に扱うため、EUの消費者にとっての広告体験に大きく影響を与える可能性があります。
さらに、GDPRには大きなコンプライアンスのためのコストが伴います。 GDPRに従わない者は罰金を支払う必要があり、これはグローバルな収益の4%にも上る可能性があります。

現在、これらの新しいガイドラインは広告主にとって初期段階に起こるべきいくつかの問題を引き起こす可能性がありますが、GDPRによって長期的な広告効果ももたらされることでしょう。たとえば、GDPRはオプトインデータ収集の標準を上げています。 これにより収集データの規模は縮小されますが、品質は大幅に向上するでしょう。 この変化は、消費者の広告エクスペリエンスの向上、そしてROIの改善につながります。より多くのマーケティング担当者は、ガイドラインの有効化が近くにつれこの点を認識することでしょう。

セカンドパーティデータは最重要

セカンドパーティデータは2017年に非常に注目を集めるようになりましたが、2018年も継続するでしょう。セカンドパーティデータは本質的には他企業が直接収集したファーストパーティデータで、データ収集において、データアグリゲータやその他の仲介企業を利用していません。 ファーストパーティデータの所有者との直接の関係を通じて、どのようなデータが、どのような価格、取引条件で購買可能なのかを知ることができます。

セカンドパーティデータによる可能性は無限です。 広告主は、キャンペーンの最適化において、最も関連しうるデータソースを選択し、それ以外の不要なデータをすべて除外することができます。 これは、データドリブンなマーケティングを、ユニーク且つ非常に効率的に実施するための手段として有効です。また、セカンドパーティデータは規模の上で物足りないものを、精度の面でそれを補っています。

今年は、セカンドパーティデータの需要は今年飛躍的に伸びるでしょう。透明性を求める広告主がデータを非常に必要としているからです。仲介企業をカットすることで、マーケティング担当者は、最も重要な高品質データを持つ企業と直接やりとりをすることができます。データはユニークで、消費者から直接収集しているため、品質は決して問題にはなりません。

2018年には、データ品質は最重要されます。 業界が真にこれを実現するためには、ボットの問題に対処する必要があります。 一方、来るべきGDPRルールとセカンドパーティデータの活用は、広告主が最高品質のインサイトを発見し、高いレベルの広告戦略を確立するのに役立ちます。 その場合2018年はエキサイティングな年になるでしょう。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。