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ブランド広告主の新規開拓に注力ーサイバーエージェント、2019年度第2四半期決算を公表ー


サイバーエージェントは4月24日、2019年度第2四半期(1-3月期)の決算を発表した。同社グループ全体の四半期売上は1,173億円、前年比7.1%増。営業利益は86億円、同25.1%減。

インターネット広告事業の四半期売上は、ブランド広告主を中心とする新規開拓により、前年比10.8%増と二桁成長により674億円で過去最高を更新。営業利益は56億円で同14.3%減となった。

代表取締役社長 藤田晋氏は「第1四半期は50億円近くの営業利益を出したが、その大部分が投資育成事業における売却益によるものであった。非常に厳しかったが、第2四半期入り、しっかりと本業で従来水準の利益を出せるところまで回復した。巡航速度に戻った」と全体を総括。

事業部門別に関して「メディア事業においては、AbemaTVは順調に推移、広告事業は過去最高の売上を更新。ゲーム事業は対前四半期で回復が見られた。」とそれぞれについての見解を述べた。

営業利益については「本業で137億を獲得し、AbemaTVなどに51億を先行投資した結果の86億円。しっかりと投資をしながら、利益を出すことが出来た。」と振り返った。
画像:インターネット広告事業

出典:同社決算説明会資料

インターネット広告事業は、クライアントの業種により状況が分かれた。金融、ウェブメディア、通販・ECなどのいわゆるダイレクトレスポンス系といわれる代表格の業種では対前年で伸び悩みがみられた一方、化粧品、メーカー、自動車・バイクなどのブランド広告主が多い業種においては前年を大きく上回った。

伸び悩み業種の要因として、例えばビットコイン特需がなくなったり、前年に大型予算を投資したプロモーションをした広告主が、今期は控えたというような個別要因によるものとのこと。

インターネット広告事業の今後の成長率の見通しについては「当社の段階として、現在ブランド広告主を新規開拓している段階にある。ネット広告市場を牽引するのが、今はブランド広告主以外に見つからない。そのブランド広告主は、ネット広告にいきなり思い切った投資をすることはなかなかしない。」と現状を述べたうえで、「取引が増えていくという手ごたえはあり、今後景気が悪くならないなど、幾つかの条件が整えば15%増の成長水準となる可能性は十分にあると考えている」と今後についての見解を示した。
画像:メディア事業 [AbemaTV]

出典:同社決算説明会資料

AbemaTVについては、3900万ダウンロードを達成。WAUも目標の1000万を目指し現在も順調に伸び続けているという。

AbemaTVの広告ビジネスは、ブランド広告主を中心に広告出稿が拡大。電通・博報堂との提携による販路の拡大が大きく寄与しており「特に電通販路の広告主の売上が伸びてきている。」(藤田氏)とのこと。

AbemaTVは、現在外部との連携等によりマネタイズの手段を拡大しいるが、「現状の売上構成比は広告が65%、課金が35%。今後の目安は半々ぐらいでいいかと考えている。」と語った。

 

同社主力のインターネット広告事業、そして投資領域のAbemaTVともに、今後の成長の鍵の一つはブランド広告主との関係強化にありそうだ。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。