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モバイル・マーケティング・ソリューションを強化-Criteoが目指す一気通貫のプラットフォーム

写真:小野良一氏

Criteoは5月16日、東京本社にて「モバイル・マーケティング・ソリューション」での取り組みを説明するとともに、アプリにおけるリエンゲージメント広告の導入事例を公表した。

市場ではゲーム以外のアプリの成長に期待感

会に先立ち、同社小野良一国内セールス部門統括コマーシャルディレクターがCriteoの事業動向とアプリ市場の展望について説明。

Criteoでは従来のリターゲティング事業から潜在顧客の発掘なども含めた、一気通貫のコマースマーケティングプラットフォームへの進化を2019年の事業方針として掲げている。
2018年11月には、アプリインストール広告ソリューションを提供するManage社(カリフォルニア州)を買収するなど、モバイル・マーケティング・ソリューションの強化を図ると同時に、アプリインストール市場への本格参入に取り組んでいる。また、今年下半期から2020年にかけては、Criteoが従来から得意としてきた、リエンゲージメント・ダイナミックリターゲティング領域のプラットフォームと、Manage社のインストールのプラットフォームを統合した、強力なモバイルソリューションプラットフォームの立ち上げも予定している。

小野氏は総務省の出している『情報通信白書』のデータに基づき、世界のアプリ市場の成長について「これまで市場を牽引してきたモバイルゲームの成長は鈍化する一方、今後はゲーム以外のアプリの成長が期待される」と話し、「Criteoが一番の強みとしてきた購買行動に特化したビッグデータに基づくパーソナライズされた広告配信技術を、アプリマーケティングにも応用していく」と述べた。

グラフ:世界のモバイル向けアプリダウンロード数のタイプ

出典:Criteo公表資料

アプリインストール広告の目的は「顧客事業の最大化」にあり

写真:鶏田薫氏

続いて、同社鶏田薫モバイルアプリ事業統括責任者がモバイルアプリソリューションの概要について説明。

Criteoではアプリ広告のメニューとして、2019年からβ版としての提供を開始した ①新規顧客獲得の「インストール」、2014年から提供を続けてきた、②休眠ユーザーの再度利用を促す「リエンゲージメント」と ③EC、トラベル、不動産や人材向けのレコメンド広告「ダイナミックリターゲティング」の3種類を提供している。

Criteoが目指すアプリインストール広告の特徴としては「インストール数の最大化を行うことではない」と鶏田氏は前置きし、「Criteoでは、機械学習と予測最適化により、配信ネットワークを通じて、アプリ内でサービスの利用を積極的にしてくれる良質なユーザーを予測して配信することで、インストールをしてもらった先で、顧客事業の最大化を目指すことにある」と強調した。

図:Webサイト訪問ユーザーにアプリインストールを訴求

出典:Criteo公表資料

Criteoのリエンゲージメント広告(ダイナミックリターゲティング) 運用開始2年で応募数が8倍以上

藤野亮氏

アプリにおけるリエンゲージメント広告の導入事例は、ディップ株式会社が紹介。

同社マーケティング室藤野亮氏は、ディップが運営するアルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」のデジタルプロモーション領域の戦略立案および実行を務めている。

デジタル広告運用のミッションとして、藤野氏は「CPA(バイトルに応募するユーザーの獲得単価)の最適化である」と話し、バイトルではアプリを利用し応募するユーザーが年々増加しており、アプリ利用ユーザーの増加に合わせ、必然的にアプリ広告の強化がユーザー集客の要にもなってきていると説明した。

また、アプリ広告において重要なアクションとして、「インストールの獲得」「インストールしたユーザーの応募」の2点があるとして、アプリ広告においてはインストール広告だけではなく、リエンゲージメント広告を活用することで、アプリプロモーション全体の最適化が回りだすとした。

バイトルにおいては、Criteoのモバイル・マーケティング・ソリューションによるリエンゲージメント広告(ダイナミックリターゲティング)の運用を、2016年10月から開始。バイトルのアプリをインストールしているユーザーに対して、閲覧履歴等を元におすすめの仕事を広告配信した。また、広告誘導先はアプリの特定の画面に遷移させることのできるディープリンク機能により、アプリ上の仕事詳細ページへ誘導した。

その効果について藤野氏は「とにかくCPAが安く、機械学習のスピードも早い」と述べる。他のリエンゲージメント広告と比較しても、CTRは約4倍、CPCも約半分で配信できており、CVRにおいてもターゲットユーザーを効率的に誘導できている結果、他広告と遜色ない水準で推移している。Criteoのリエンゲージメント広告(ダイナミックリターゲティング)経由の応募数の上昇率は、運用を開始した2016年10月から、直近(2018年10月~2019年1月)までで、8~11倍の伸びとなった。

ディップ社資料「Criteo in App」

出典:ディップ公表資料

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。