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Twitter Japan、2019年を総括―パートナーシップとコンテンツ獲得の重要性語る

写真1:笹本 裕 氏

Twitter Japan株式会社は11月25日、都内で「2019年の総括と2020年のフォーカスについての説明会」を開催。
日本におけるTwitterの変化や成長、今後の事業アップデートの展望について語られた。
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動画広告の割合が50%。全世界シェア2位を誇る日本市場

冒頭、笹本裕代表取締役は「私がTwitter社に入って6年弱になる」と前置きし、「前澤氏のお年玉企画に始まり、5月の令和の改元の際には、関連ツイート数が24時間で1,200万以上にのぼった。今年ほど、Twitterが”what’s happening”な場(世の中で起きていることがリアルタイムで話される場)として使われたことは今までに無かった」と振り返った。

日本のTwitter月間アクティブユーザー(MAU)は4,500万人以上にまで増えた。

このユーザー数の成長について、「会話を促進する様々なプロダクトの展開やTwitterと既存メディアとの協業加速が背景にある」と笹本氏は説明。

特に既存メディアとの協業加速については、ハッシュタグ入りの新聞広告やTwitterを活用した著名記者からの情報発信、テレビを含む動画コンテンツの最適化など、2019年以降になり新たな取り組みを続けてきた。

「我々にとってコンテンツは非常に大事なもの。新聞、映像だけでなく、それがインターネットサービスであっても、パートナーシップは大きな可能性を秘めているだろう」(笹本氏)

スライド画像1:「Twitterと既存メディアとの協業を加速」

出典:Twitter Japan

主な収益元のTwitter広告については、

① Launch something new(新しいことを世の中に出して話題化)
② Connect what’s happening(世の中の大きな話題を活用しメッセージアウト)

の2つを大きなバリュープロポジション(提供価値)として展開をしてきた。

Twitterの“今起きていることを探しに行く場”という特徴を生かし、例えば令和の改元のような、今話題になっている事柄と合わせた形での広告宣伝など、広告主から様々な利用がなされた。

Twitter社の日本における売上は全世界の16%を占めており、米国に次いで、2番目に高いシェアとなる。

また、笹本氏は広告の総売上に占める動画広告の割合が50%以上にのぼったことを取り上げ、「スマホでリアルタイムに動画を配信する技術も現在は安定した運用ができている」と述べた。

「日本という市場におけるTwitterの役割や可能性は大きいと考えており、2016年から数えて社員数も4倍になった。今後はより日本の利用者に使いやすい機能の拡充も含めて、増強していければと考えている」と結んだ。

ユーザー×広告主×コンテンツ 好循環で回す動画ビジネスのエコシステム

写真2:竹井 規道 氏

続いて、竹井規道上級執行役員コンテンツパートナーシップ本部長が「コンテンツパートナーシップの可能性」と題し、Twitterにおけるコンテンツを獲得としていくことの重要性について説明した。

竹井氏は「私の所属する部署では、多くの会話と深いエンゲージメントを生む動画コンテンツの獲得に注力することをミッションとして掲げている」と述べ、動画コンテンツの中でも「スポーツをはじめ、リアルタイム性が高く、その場で利用者の会話を促せる動画コンテンツの獲得を重視している」と話した。

Twitterにおける1日の動画視聴回数は約25億回(全世界)。そのうち20%にあたる約5億回が日本における動画視聴回数となり、Twitterはテキストプラットフォームだけでなく、動画プラットフォームとしての側面も合わせ持っている。

竹井氏は動画ビジネスのエコシステムについても取り上げた。

それによると、①Twitterがコンテンツパートナーと契約することにより、利用者が視聴や視聴行為で生じる会話を楽しむことができる動画を獲得する②それらの動画コンテンツを広告主に対して、インストリーム広告が出稿できるプレミアムな広告在庫としてTwitterが提供する③広告出稿費用の一部をレベニューシェアとしてパートナーに還元する。

また、動画の視聴対象となり得るTwitterユーザーは、情報収集意識が高いことに竹井氏は触れ、そのような層へ広告リーチが可能な点も魅力の一つになるとした。

「Twitterは利用者にコンテンツを届け、パートナーには広告収益を提供し、広告主には優良な広告在庫を提供するプラットフォーム。2020年もこのエコシステムを加速していきたい」(竹井氏)

スライド画像2:「ビジネスモデルとエコシステム」

出典:Twitter Japan

コンテンツやアカウント運用の実例として竹井氏は、日本で開催されたラグビーワールドカップ2019(RWC、9月20日~11月2日開催)を取り上げた。

RWCでは日本語版公式アカウントを運営しており、大会を通じてユーザーの会話を盛り上げるために多くの施策を講じていた。例えば、試合中のハーフタイム(休憩)やトライ(得点が入った)の瞬間など、Twitter上での会話の盛り上がりが想定される場面では、ものの1~2分でそれらに関連した画像や動画と共にタイムリーなツイートを行うことで、話題や会話の誘発を狙っていった。

その他にも、スーパープレイの切り抜き解説動画や、テレビの試合中継には映らない選手たちと地域住民が交流する姿の紹介など、ラグビーを身近に感じてもらえるようなコンテンツの発信を様々な手段で図っていった。

竹井氏はこれらの施策(ツイート)について「動画の多くは日本のみならず世界でも注目され、世界中で取り上げられた。Twitterは会話を通してより親密な関係を築くことができるグローバルなプラットフォームである」と強調。「スポーツに限らず、海外の多くのファンがいる様々なエンタメコンテンツも含め、それらの情報発信をTwitter上で行い、会話を広め、エンゲージメントを深めより多くのファンを獲得することにつなげていける場にしたい」と展望を話した。

役割を果たすための啓発とマーケティング

写真3:服部 聡 氏

健全性と透明性の取り組みと成果については、服部聡公共政策本部長が、成長のための利用者獲得戦略については、張浩Head of Growthがそれぞれ解説。

服部氏によると、Twitterでは健全性の向上に対する取り組みとして、アカウント凍結後再びアカウントを作ろうといたアカウントを10万件凍結したほか、Twitter利用ルールやポリシーの刷新などを行ってきた。

また、“今、起きているできごとがリアルタイムにわかる”Twitterの特性に合わせて、10月12日に上陸した台風19号に関連したツイート量の多さについて触れ、「Twitterユーザーだけでなく、自治体や政府機関等にも向けて、災害時のTwitter活用法についての啓発も行っている。具体的には、災害時に役立つTwitterアカウントのフォローやリスト機能の活用などが挙げられる」とした。

スライド画像3:「災害時のTwitter活用法」

出典:Twitter Japan

写真4:張 氏

張氏はTwitterのマーケティング戦略として、“今、起きているできごとがリアルタイムにわかる”を利用者に実感してもらうため、主に ①Event ②Conversation ③Influencers、3つの要素を中心としたマーケティングを推進しているとした。

「今起きていることに対しての様々な会話と、それらをリードするインフルエンサーを繋いでいく企画を実施している。Twitterがそのプラットフォームとしての役割を果たすために、様々なキャンペーンを実施している」(張氏)

スライド画像4:

出典:Twitter Japan

TwitterJapanでは改元時には電車広告のジャックを行い、大規模なキャンペーンを展開。また、RWCの開催時には、新聞社9社が合同で、総勢180名のアンバサダー(インフルエンサー)を、起用した大規模なキャンペーンをTwitter上で行った。

張氏は最後に、毎年恒例で年末に開催している、Twitter上で年間のトレンドワードを発表する「Twitterトレンド大賞」を取り上げ、「世間が注目するイベントは、Twitter上でも盛り上がっている。また、Twitter上の会話そのものが文化になりトレンドになる」とコンセプトを説明。「今年も年末、12月26日に向けてカテゴリー別トレンドの発表なども行っていく。皆さんにも楽しみにしていただきたい」と呼びかけた。

ABOUT 柏 海

柏 海

ExchangeWireJAPAN 編集担当 日本大学芸術学部文芸学科卒業。 在学中からジャーナリズムを学び、大学卒業後は新聞社、法律・情報セキュリティ関係の出版社を経験し、2018年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。デジタル広告調査などを担当する。