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「パラレルマーケターの生き方」とは?―第6回「MCA道場」が開催

一般社団法人マーケターキャリア協会(MCA)は4月2日、マーケターのキャリア育成を目的とした「MCA道場」の第6回講座を開催した。尚、新型コロナウイルス感染症の拡散・感染防止のため、本講座はWeb会議サービスのZoomビデオコミュニケーションズを利用したオンライン形式で実施された。

 

キャリアとはジャングルジムのようなもの

 

「Being とDoingから考えるパラレルマーケターという生き方」をテーマとした本講座を担当したのは、MCA理事でPlug and Play Japan 株式会社執行役員CMOの藤本あゆみ氏。冒頭では聴講者に対して「あなたの□は何ですか」という質問を提示した上で、予め決められた選択肢の中から自分に当てはまる□をチェックするのではなく、自身の能力を最大限に発揮するためには、自ら選択肢を新たに作り出す気概と柔軟性が必要なのではないかと提議した。

 

藤本氏は、キャリアの大部分を営業職に費やしてきた。さらにはPR業務に携わっていた時期もあり、いわゆるマーケターとして活動していた期間は限定される。現職ではCMOとしてマーケティング業務を統括する立場にいるものの、入社時の希望職種はあくまでもPR。勤め先の事情に応じる形で、マーケティングとPRを兼務するようになった。

 

こうした自身の経歴を振り返りながら、ときには職種や業種といった枠組みを乗り越えて能力や強みを表現する方法を考え出すことが重要であると主張。実際に藤本氏は自身の転職時にそのキャリアを再設計するにあたっては、営業職で積み重ねた実績やそれらを通じて開発した能力を細分化して整理することに努めたという。

 

さらにはFacebookの最高執行責任者であるシェリル・サンドバーグ氏がその著書の中で述べた「キャリアはハシゴではなく、ジャングルジムのようなもの」という言葉を紹介。ハシゴであれば、一歩踏み外しただけでつまずきや後退となり得るが、ジャングルジムであれば、状況に応じて何通りもの上り方を選び取ることができると補足した上で、マーケターとしては必ずしも一直線ではなく、営業やPRといった周辺領域での経験を積み重ねながら歩んできた自身の「パラレルマーケター」としてのキャリア形成のあり方を重ねた。

 

BeingとDoingの違いとは

 

次に藤本氏は、今回の講義の主題に据えたBeing とDoingの違いについて語った。一般論として、起業家は現在または未来の社会的な需要を取り込む形で、新しい事業を生み出していく。言い換えれば、起業家による個々の取り組みつまりDoingは、時代の趨勢によって変化し得る。ただし、自身が新規事業を通じていかに社会に貢献しようとしているかといった価値観や哲学つまりはBeingまで揺らいでしまってはならない。だからこそ、Beingをしっかりと築く必要がある。藤本氏は、米国のシリコンバレーにて起業家を支援するアクセラレーション・プログラムに関与していた際にこの考えに触れる機会があり、感銘を受けたのだという。

 

藤本氏にとっては、営業職やPR職がDoing、そして「新しい何かを見守る」ことがBeingに相当する。具体的には、転職サイトのtype在籍時には新しいキャリアを形成しようとする人を支援するための活動を行い、次のGoogleではオンライン広告やYouTubeといった当時の画期的な商品を世の中に広めていくことに携わってきた。その後もフィンテック、テレワーク、起業家支援と、藤本氏は常に「何か新しいこと」が起きている現場で働いている。

 

ここまで述べた後で、「自分のDoingを振り返る」ためのワークショップに移行した。最も重要なBeingではなく、Doingの検討から始めるのは、現実に即した理想を描くためだという。またこの作業においては「極力細かくそしてたくさん書く」ことが重要であると強調した。

 

 

10分にわたりこの作業を行った後で、ZOOMの「ブレイクアウトルーム」という参加者を少人数に分けて会議を実施する機能を活用し、無作為に抽出された二人一組による意見交換を5分間実施。続いて超精密性格診断「エムグラム」を実践し、さらにその回答内容に基づきエムグラムが提示した回答者の8項目にわたる性格要素ごとに「2019年にやったこと」を整理するというワークショップを行った。

 

オンライン環境独特の盛り上がり

 

その次のワークショップは「200文字程度で2019年のあなたのプロフィールを創ってください」というもの。とりわけ紋切型のプロフィール情報ではなく、Beingを意識した記述を行うよう求めた。

 

さらに次の課題となったのが「2020年のDoing」。再び「ブレイクアウトルーム」に分かれて各参加者が10分ずつ発表した上で、その議論の相手側がその発言内容を1行でまとめるという作業へと移行。2019年のプロフィール情報に記されたBeingと2020年のDoingを合体させることで、昨年1年間の歩みと今後の展望をつなげたそれぞれの指針を完成させた。

 

 

最後にこの度試験的に行われたオンライン形式について、各参加者が感想を発表。過去5回にわたり実施された机や椅子を演題の方向を向けて配置するスクール形式とは対照的に、オンライン会議上ではその他の聴講者の表情や反応を随時見られることが新鮮であったとする声などが聞かれた。また休憩中や各自が個別作業を行う際に流れた主催者推薦のBGMが好評。チャット機能を通じてBGMに対するコメントが随時寄せられるなど、オンライン環境ならではの盛り上がりを見せていた。

 

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長野 雅俊

ExchangeWireJAPAN 副編集長
ウェストミンスター大学大学院ジャーナリズム学科修士課程修了。 ロンドンを拠点とする在欧邦人向けメディアの編集長を経て、2016年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 日本や東南アジアを中心としたデジタル広告市場の調査などを担当している。