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コムニコが語る、ソーシャルメディアマーケティングの今とこれから[インタビュー]

企業のマーケティング活動において、ソーシャルメディアの役割は益々大きくなっている。
これに合わせて発展を遂げてきたソーシャルメディアマーケティングはどのような現状であり、今後どうなっていくのか。コムニコ取締役COO 長谷川 直紀氏に、ご自身の考えを伺った。

(聞き手:ExchangeWire JAPAN 野下 智之)

 

 

―自己紹介をお願いいたします
コムニコには2013年に参画し、現在は 取締役COOとして事業全般を見ております。 前職からソーシャルメディアを含むデジタルマーケティング領域で仕事をしてきました 。

 

テクノロジーが進化し、ユーザー行動が変わる

―ユーザーのソーシャルメディアにおける情報収集活動と消費行動は、どのように変化してきたと感じられていますか?

プラットフォーム側の仕様が変わると、ユーザーの消費行動が変わります。例えばInstagramでは、ハッシュタグをフォローすることができるようになったことで、ユーザーはハッシュタグをたどって情報収集をするようになり、ショッピング機能が付いたことで、直接Instagramからモノを買うことが増えたユーザーもいるでしょう。

また、ストーリーズやライブ配信などの機能がアップデートされ、動画でコミュニケーションをすることができるようになりました。これにより、 企業はオンライン上で、ユーザーに対してリアル 店舗での接客に近いような体験を提供できるようになってきました。今後はAR の技術と連携が進んでい くことで、 ユーザーはInstagramを見ながらAR の機能を使って化粧品を試して 、商品を購入するというような行動がさらに活発に なっていくのではないか、と考えております。

テクノロジーが進化するとユーザーの消費行動が変わる。このような現象は、ソーシャルメディアの中でもInstagramが 一番わかりやすく表れていると言えるでしょう。

ゴールは、ブランドへのポジティブな反応

―それを踏まえて、マーケターは、ソーシャルメディアをマーケティングにおいて、どのように位置づけられるようになってきていますか?目的に応じてどのように使い分ける傾向がありますか?

企業のソーシャルメディアマーケティングは、業種や業態、ビジネスモデルに応じて、多様な目的で使われています。例えば外食企業の場合、話題化をさせて店舗への集客につなげるということを目的 にしている企業が あります。よくある事例としては、Twitterでクーポン付きのキャンペーンを実施して、実店舗でのクーポンの利用者数をカウントすることで 、効果を計測 しています。このような取り組みは、大手外食チェーンが数年前に実施して、大きな話題となり、事例化されて以降定着しました。

また、食品や日用品のような消費財メーカーの場合は、ブランドをより好きになってもらう ブランド好意度の向上 を目的に、 ECサイトを運営している企業の場合 は、ショッピングの動線が強化されてきているソーシャルメディアでいかにコンバージョンにつなげていくかということを目的にしていたりします。

 

―企業にとってのソーシャルメディアマーケティングとは、具体的にどのようなことをするものなのでしょうか?

具体的に言うと、まず企業のマーケティングの目的に沿ってソーシャルメディアの活用戦略を策定します。その戦略に基づき、ソーシャルメディア の公式アカウント運用、 インフルエンサー活用 、 キャンペーン、広告、 ソーシャルリスニングなどを 組み合わせて実施していきます。

最終的にはソーシャルメディア上で自社やブランドのプレゼンスを高め、ユーザーからブランドに対するポジティブな反応を得て事業成長に貢献することがゴールになります。

 

InstagramとTwitterに注力、きめ細かく高いレベルで継続的な運用

―貴社のビジネスとしては、Instagramが一番大きいのでしょうか?

InstagramとTwitterに関するお問い合わせが最も多く、かつ増えています。Facebookに関しては現在減少傾向です。Instagramはユーザー数の伸びが最も大きく、以前の若年層中心の時代から幅広いユーザー層に利用されるようになり、問い合わせも年々増えてきました。Twitterも大きな特徴である拡散力は全く衰えず、引き続き様々な業種業界のお客様からご相談をいただいております。

 

―ソーシャルメディアマーケティングの中で、最近一番盛り上がっているものはどのようなことでしょうか。

一数年前からですが 盛り上がりが続いているのが 、Twitterのキャンペーンです。フォロー&リツイートの中でも、「Twitterインスタントウィン」という手法が多くの企業に人気です。 これは企業のアカウントをフォローし、投稿をユーザーがリツイートすると、その場で当落結果がわかるくじ引きをユーザーが引くことができるというものです。ユーザーが気軽にキャンペーンに参加できるため、新規フォロワーの獲得や新商品・サービスの認知拡大に有効です。また、インフルエンサーの活用やUGCの活用など も数年前から多くの企業が取り組んでいて、今後も伸びていくのではないでしょうか。

 

―コムニコとしては、企業のソーシャルマーケティングとしてどのようなことをサポートしているのでしょうか?また貴社の強みはどのようなところにありますか?

当社がサポートしているのは、先ほど申し上げた、ソーシャルメディアマーケティングに当てはまる領域全てをサポートしています。

現在当社では、高知県にソーシャルメディアマネジメントセンターというサテライトオフィスがあります。ここでは、ソーシャルメディアマーケティングのオペレーションに特化した組織を構築しています。 企業のソーシャルメディアマーケティングには、運用リソースの確保が必要で、 継続運用はもちろん、きめの細かいサポートができなければ最終的にはゴールに結びつかなくなります。コンテンツ開発やユーザーとのコミュニケーション など 、高いレベルで中長期的にサポート することができるというところが、強みです。

 

新しいテクノロジーと自社開発に注力

―直近でリリースしたサービスはありますか?

企業が、TwitterやInstagramでキャンペーンを簡単に実施することができるツール「ATELU」を開発し、提供を開始しました。今年もいくつかの新しいサービスを始める予定です。

 

―今後ソーシャルメディアマーケティングはどのように発展していきますか?

2019年11月、KDDIとFacebook Japanが提携し、Instagram上から、AR を使ったショッピング体験ができるサービスのコンセプトが発表されました。今後ますますデジタル、バーチャル、そしてリアルとの境目がなくなっていき、ソーシャルメディア上でのユーザー体験も大きく変わっていくと思います。

また、 効果測定の点 では、デジタル化によって これまで分断されてきた様々なチャネルの統合がさらに加速し、ソーシャルメディア上で、アカウントを フォローされる ことや 、エンゲージメントを獲得することの効果がより詳しく数値化できるようになっていくでしょう。

現在、様々なことがデジタルにシフトしつつありますが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、この動きはさらに加速すると思います。

 

―貴社としての今後の注力領域についてお聞かせください。

新しいテクノロジーを取り入れて、企業がソーシャルメディアマーケティングを実施する うえで役立つツールを自社開発し、サービスやソリューションを拡大 していきたいと考えております。

ABOUT 野下 智之

野下 智之

ExchangeWire Japan 編集長   慶応義塾大学経済学部卒。 外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。 国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。 2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。 2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。